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13 エルの結婚

ここに来て2年が過ぎた。

エルとお兄さんは飛竜隊に入隊でき、以前の屋敷を取り戻した。

お兄さん達はここから引っ越して行き、先月エルは結婚した。

僕はエルの結婚式が終わったので、ここを出て行くことにした。

マックも成長してもう立派に飛べるようになり、飛竜の調教も終わったと、太鼓判を押して貰った。

今は、僕と一緒にあの滝のある小屋まで行き、小屋の改築をしている。もう少し住環境を良くしようと目一杯頑張っている。ここは僕達の憩いの場所になる。

エルも、この場所を気に入って、手伝いがてら、遊びに来ることもある。エルは、

「ここは若しかして、飛竜の巣がある崖の北端じゃあ無いか?ここから、ずっと崖が広がって居るぞ。空からみればハッキリ分る。」と言っていた。

ここに魔物がいないのは、飛竜が周りの魔物を狩って居るおかげだった。ここは飛竜には狭いから、寄りつけなかったのだろう。

なんにしても最高の場所と言う事だ。

普段は、トロンに作った商店で仕事をすることにした。其処では、ソシアが切り盛りしている。もう立派な商売人だ。トレードマークの帽子をかぶり、従業人と一緒になって、僕の作るスクロールや、アイテム、アイデアの商品をさばいてくれている。そのおかげで、トイレの改良版、魔方陣は、凄い勢いで広まった。僕がサボっていると、尻を叩かれる。ソシアはとても張り切って働いている。

トロンは治安は少し問題があるが、僕の使う素材が格安で手に入るし、質も量も申し分ない。

ここに店を出せて良かったと思っている。

久し振りに長い休みを取ってマックと一緒にやっと完成した崖の小屋に来た。

これからここで暫くのんびり過ごそう。


「マック、ちゃんと川で洗ってから小屋に入れよ。」

「分ったキュル!」

小屋はかなり大きく作り直したから、マックも入ることが出来る。一緒に夜空をみながら、お酒を飲むのが、この頃の習慣だ。マックは難しいことは言えないが、僕にとっては丁度良い話し相手だ。

「僕は知らない間にここに来ていた。何故来られたのかな。あの時、強い衝撃があって、気を失ったけど、あの誘拐犯は其の侭あっちの世界に居るのかな。それとも、あいつらも、ここに来ているのかな。顔を見ていないから、もし会ったとしても分らないし。それに、ここに来た時食料があった。誰かここに住んでいたのだろうか?」

「死んだキュッ?」

「そうかも知れないけど、僕には分らないよ。それにティムは何故こんな処に降りてきたんだろう。其の侭飛竜に乗って街に行けたかも知れないのに。もし僕だったら、態々ここには降りないでまっすぐ街に行ったと思う。それに、ここは知っていないと来る事は出来ない場所だ。」

「待ち合わせかもキュッ。」

そうかもな。でも誰と?ここの住人か。ここに来れるのは飛竜乗りくらいだ。後は、獣人くらい?獣人なら森のことは知り尽くしているだろう。若しくは僕が転移してきたように転移を使える魔術師が居るとしたら、如何だろう。転移の魔法は僕は知らないけど、この世界に使える人がいたとして、転移の失敗で僕と入れ違ったとしたら、僕がこちらに来られた理由にはなるだろうか?

「キュルッ」

「御免、つい考え込んでいた。」

僕の力が、異世界転移の特典では無くて、その魔術師の力を僕が取り込んでしまったとしたら、文字の問題も、魔力の問題も答えが出るような気がする。

「分らないことはもう考えないことにするか。マック明日は何する?」

「狩りキュウ。」

「ふ、ふ、まあそうだな。珍しい獲物を探してもっと深いところに言ってみようか。」

「探す。まかせてキュ。」


僕らは次の日初めての場所へ行ってみることにした。

マックが空から偵察して見付けた場所だ。

マックでも楽に降りれる広めの岩場だ。其処には大型の魔物が洞窟にいそうだ。

離れた処に静かに降りて、洞窟に近づいていった。洞窟の中にはあり得ないものがあった。

「何でここに自動車があるんだ!」

かなり壊れて原型をとどめては居ないが、これは自動車だ。然も中には白骨死体が三体あった。

一体は僕がされていたように拘束されている。

車体の前部座席には二体。その白骨遺体の鞄を探ると、僕の写真とスマホがあった。ボロボロだが、僕のものだと分る。彼等は、誘拐犯だ。そして、後部座席の遺体はボロボロの魔法使いのマントを着ていた。

手にはスクロールを持っている。ぼくはそのスクロールを取り上げてみたが、複雑すぎて分らない。後で本と照らし合わせて見よう。

これは多分転移のスクロールだ。昨日の僕の予測は当たっていたのだ。

何かの原因で、転移が失敗したのだ。

もし、僕の予想通りなら、ティムも関係しているはずだ。彼はスパイだったのか?何かの組織に潜入していたのは確実だ。書類はそこから持ってきたものだろう。二重スパイか。

其れがバレて、殺されそうになったのか?

カルマの領主が異常に警戒していたのは、若しかしてティムを疑っていたためかも知れない。

と言う事は、アレス真教がティムの潜入先と言う事になる。

この魔術師もスパイだったのか?若しかしてこのスクロールは、態と間違いを起こすように細工されていたのかも知れない。スパイとバレて殺された?

予測は限りなく本質に近いと思う。イレギュラーは僕と誘拐犯だ。まさか、異世界から入れ替わりが来るとは誰も予想しなかっただろう。






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