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第六話「戦闘機」

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「君にはもう一度百多々に行ってもらう」

 宮下にそう言われた高坂は、目的を伝えられた。

「百多々からテレポートゲートを使用しSD-2Ti戦闘機を輸送し、各地の航空自衛隊基地へ輸送する」

 それは、アメリカが日本や百多々に軍事的圧力をかける可能性が出たからだった。

 日米同盟破棄。これにより、日本国内でもただでさえ低かった政府の支持率は下がっているという。

「行ってきます」

 そういって、俺はテレポートゲートに入る。


「ようこそ、高坂さん。」

 テレポート先は、百多々空軍基地。

 そこには、大波アリスや小久江大臣らが待っていた。

「おはようございます。それで、SD-2Tiを日本に供与してくれるという事ですが、数はどれくらいなのでしょうか」

 小久江大臣はこう返した。

「350機だ。」

 350機というと、日本の航空自衛隊の保有数が430機程度らしいのでかなり多い。というか、自衛隊全体の3分の1の戦闘機の数になる。

「そんなに供与してくれるのはありがたいのですが、百多々側の防衛が手薄になるのとパイロットは足りるのでしょうか?」

 大波はこう返した。

「心配ありません。百多々にはSD-2Tiがそれ以外に1500機ありますし、パイロットは百多々から予備役を含め派遣します。」

 百多々は、この世界に当てはめるとかなりの軍事大国のようだ。


「なるほど。では、これからテレポートを利用した百多々から日本へのSD-2Ti輸送を行います。宮下から、大波らパイロットが乗った状態で千歳・松島・小松・岐阜・美保の各基地にテレポートし、私はすべてのテレポートが完了したら岐阜基地にて会議に参加する予定と聞いていますが、変更は無いでしょうか?」

「その通りだ。それでは、任せた」


 その日、百多々から日本各地の航空自衛隊基地に合計350機のSD-2Tiが輸送された。

 翌日から、SD-2Tiを訓練飛行に使ってもバレないよう、ヘリコプター風に偽装する改装が行われる。

「全機のテレポート、完了いたしました。これにて失礼いたします」

 小久江にこう言うと、高坂はテレポートゲートを通り日本へと帰還する。


 岐阜基地の整備場に並べられた、78機のSD-2Ti。

 それの使用方法をパイロットらに説明する大波の姿が会議室にいた。

 高坂はそれを見た後、隣の会議室で行われた会議に参加した。

 オンラインで各地をつないでおり、椎野総理らの姿が映っていた。

「それでは、会議を始めます。まずは防衛省情報本部から重要資料が届いているので、読み上げさせていただく」

「アメリカは世界標準時明日0時、日本時間午前9時に日本と百多々に戦闘機による大規模攻撃を仕掛ける」

 その瞬間、会議は驚きのあまりざわついた。

「日本への攻撃に対する使用機はF-35、F-22を含んだ最新鋭機など500機。対して、こちら側が使用可能な戦闘機は百多々から供与されたSD-2Ti350機のうちパイロット教育が完了した松島・小松・岐阜の185機とかなりの数的不利です」

 椎野総理はこう言った。

「これは和平を準備すべきかもな……」

 高坂はこう言った。

「今は和平もそうですが、せっかくSD-2Tiを百多々から供与していただいたのですから百多々と共に行動しましょう」

 椎野総理はうなずき、防衛省にこう指示した。

「領空侵犯を確認したら、すぐに警告し、SD-2Tiをスクランブル発進させろ。在日米軍基地も警戒を強めておいてくれ」

 そして、椎野総理は高坂にこう指示した。

「君には、ある任務に就いてもらいたい」


 翌日午前8時30分、Jアラートが発表。

 テレビは一斉に臨時ニュース体制に入った。

「航空攻撃情報。航空攻撃情報。政府は全国にJアラートを発表しました。政府によりますと、アメリカの戦闘機が領空侵犯を行っているという事です」

 同時刻、千葉東方沖の太平洋。

SD-2Tiの複座型モデル、SD-2Ti/Bに乗っているのは大波アリスと高坂由真だった。

「それでは、中継開始します」

 高坂の任務。それは空戦の様子を中継し、日本と百多々の防衛技術を公開することであった。

 アリスは相手のF-22を発見すると、すぐにこう伝える。

「こちらは日本国の領空である。直ちに退去せよ」

 相手はもちろんこちらに向け射撃を行う。

「攻撃を行う」


 一方その頃、臨時ニュースを伝えているテレビには、高坂が映している空戦の様子が映っていた。

「こちらは日本側の戦闘機に乗っている政府関係者の映像です。千葉の銚子沖だということです」

 テレビでは専門家がこう話す。

「この日本の戦闘機、F-2Bとは全く違う内部ですね。複座型なのは分かりますが、一体何の戦闘機なのでしょうか」

 そう言っていると、向こうから10機以上のF-22がやってくる。

「フォックス2!フォックス2!」

 しかし、SD-2Tiは一瞬でそのF-22らを撃墜する。

 テレビの専門家は、驚きながらこう言う。

「いやぁ、あの速さと性能。もしかしたらSD-2Tiかもしれませんね」


 11時、総理官邸・危機管理室。

「11時までの空戦結果です。米軍F-35撃墜86機、F-22撃墜216機。対して航空自衛隊SD-2Tiに被害なし!」

 その圧倒的戦果に、危機管理室はざわついた。

「被害なし……?」

「SD-2Tiの本気。というのでしょうかね」

 椎野総理は驚きながら情報を収集していた。


 その日の夜。ホワイトハウスにて。

「全機撃墜だと!?ありえない!」

 スミスはこう言って机を叩く。

「全機撃墜で間違いありません。しかし、日本や百多々は反撃の意思を見せず、このままではアメリカが一方的に攻撃したとなります。早めに攻撃をやめ、両国に謝罪すべきでは……?」

 スミスは怒りながらこう返す。

「そんなことはしない!そうだ!在日米軍を動かせ!今すぐにでもいい!」


 その日、在日米軍は指示に従い戦車などで出撃したが、事前に警戒していた陸上自衛隊により即日抑えられた。


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