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(そういえば、昨日途中で寝落ちしちゃったからお風呂入ってないや……)
互いの身の内を知り、安堵の雰囲気が流れる中で切り出した
「あのっ…お風呂借りても良い……?」
「昨日寝落ちしちゃったせいで、入れてなくて……お風呂入ってないと、どうしても落ち着かないからさ……」
敬語から離れるのは少し勇気が必要だったが、互いに秘密を共有する上で親睦を深めるために頑張った。
「そっか…お風呂なら廊下出てすぐ右にあるから、入って良いよ」
「あっ、ありがとう……」
相手に悟られない程度に、なるべく早く風呂場へ向かった。
(いきなりタメ口にしちゃったけど、大丈夫だったかな……)
(まあ、あっちもタメ口で話してくれたから大丈夫…なのかな……?)
(とりあえず、あんまりお邪魔するのも悪いし、早めに出ないと……)
メイクを落とし、洋服を脱いで、風呂場へ入り、シャワーの蛇口を捻る。
最初は冷たかった水も、次第に温かい湯に変わり、シャワーを浴び始める。
(そういえば、他人の家のお風呂使うの初めてだな〜)
(なんなら、他人の家入るのも初めてだし……)
なんて事を考えていたら、目の前にある煌びやかなボトルに目が行った。
(なにこれ……?)
(って……これめっちゃ良いシャンプーじゃん…!)
(楓くんって普段からこんな良いやつ使ってたんだ…… 今度なんかのタイミングでお礼渡さないとな……)
申し訳なさを感じながらもシャンプーを使い、頭の汚れを落としていった。
一方その頃・・・
(とりあえずお風呂入れたけど、大丈夫かな……?)
(掃除はしっかりとしたし、特に問題は無いとは思うんだけど……)
「しかし、驚いたな……」
「お互いとも異性装してたなんて…到底現実とは思えないな……」
「あんな可愛いのに、男の子なんでしょ……」
「.....」
「……///」
「いや、あまり深く考えるのはやめよう……///」
「そういえば、バスタオル用意してないじゃん!」
「でも、もし今お風呂から上がってたらマズイよね……」
「まあ、流石にまだ上がらないと思うし大丈夫でしょ…」
少し不安はありつつも、バスタオルを用意し洗面所へ向かった。
「流石に大丈夫だよね……」
そう言って扉を開けた瞬間...
ガチャ…「シャワー気持ち良かったなぁ〜」
「·····」
「えっ……///」
「あっ……///」
あろうことか、洗面所に入るタイミングが風呂場から出ていく瞬間と被ってしまった。
「す、すっ…すいませんでしたっ……!」
一瞬ながらにも、翡翠の裸体を見てしまった。
男性ながらも、女性のように華奢で、艶のある綺麗な身体。
両性具有の女性と言っても差し支えないような身体を持ち合わせていた。
(どうしよう……どうしよう……)
(こんなの絶対に嫌われるじゃん……終わった……)
(バスタオルは置いてったからいいとして、上がっきたらまずなんて言おう……)
過ちへの対処を必死に考えている間に、気づけば十数分程経過し、翡翠は洗面所から出てきた。
(とりあえず、謝ってわざとじゃないって事を伝えないと……)
「あのっ、先程は本当に申し訳ござませんでしたっ…!」
「わざと覗こうとかそういう気持ちはなくて…バスタオルを用意し忘れたので、そのっ……洗面所に置こうと思ったら、偶然お風呂から出るタイミングと被っちゃって……」
「とにかく……そのっ……えっと……」
焦って言葉に詰まっていたとろ、予想だにしない言葉をかけられた。
「あのっ……」
今回は昼過ぎから書き始めてみたのですが、深夜テンションでないと書くのが難しいため長時間かかってしまいました。
毎度のこと、1話1話をさらっと読めるようになるべく文字数を少なくしているのですが、少なすぎても、それはそれで読み応えがないのではないかなと思い現在葛藤中です。
執筆当初からの構成とはかなりズレているため、今一度構成を考え直してみようと思います。