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とりあえず案内されるままにリビングへ向かい、椅子に座った。
目の前には顔を赤らめ、顔を合わせようとしない楓くんが座っている。
自分も中々話出せずに気まずい空気が流れている。
(なんかすごい不思議だな……)
(顔も声もかっこいいのに、すごい大っきい胸があるから違和感が……)
「あの、、そのっ……///」
「はっ……はいっ……!」
気まずい現状を打破する策を考えていたため、突然の尋ね対して思わず大きな声で返答してしまった。
「じっ……実は男装してるのには訳がありまして……///」
「子どもの頃から周りの子に比べて背が大きくて、それで女の子が好きなキラキラしたものとかも苦手で……そのせいで『女の子らしくない』とか、『本当はお前男なんだろ』って言われて……大学は地元から離れてるところに進学したけど、また同じことが起こるかなって思って、性別を偽ってたんです……」
身の内を明かす楓くんは悲しそうな顔をしている反面、まだ顔の火照りが収まっていない。
「そうだったんですね……」
(これほぼ私と同じじゃん……!)
(なんかすごい運命を感じるような……)
「こうやって、騙すような形になってしまいごめんなさいっ……!」
「その……どうかこの事は誰にも言わないで欲しいですっ……!」
「出来ることなら、なんでもやりますので……」
心做しか、少し瞳を潤ませて私に懇願してきたのだ。
「もっ…勿論誰にも言いません…!」
「それに、誰にも言うつもりもありませんし……」
(私だって同じ状況だから言えるはずもないんだけどね……)
「わざわざ私情に付き合ってくれてすみません……」
「自分みたいなの…気持ち悪いですよね…?
もう帰っていただいても大丈夫ですから……。」
「そっ…そんなことありませんから……」
(どうしよう…これって自分の事も言った方がいいのかな……)
「あの、本当にお世辞とか遠慮とか大丈夫ですから……」
(どうしよう……)
(どうにかして、楓くんの元気を取り戻さないと……)
数秒悩んだ末、名案を思いついた。
「そっ……そういえばさっき出来る限りの事はするって言いましたよね?」
「いっ…言いましたけど……」
(何やらされるんだろう……)
「今から私の言うことを絶対に信じてもらって良いですか…?」
「えっ……?」
「分かりました……」
(言うこと? 何だろう……)
私は一呼吸おいてから勇気を出して言った
「わっ…私も女装してるんです……///」
「……えっ?」
数秒の沈黙の後、その声が室内に響き渡った
(どういうこと……?)
(女の自分は男装していて、北川さんは、女装してる男ってこと……?)
「さっ…流石に冗談ですよね……?」
「しっ……信じてって言いましたよね……///」
「信じれないならこれ見て下さい……///」
そう言って財布から取り出された運転免許証を自分に見せつけた。
北川 翡翠
性別 男
何度確認しても確かにそう書いてあるのだ。
免許証の顔写真も確かに本人とほぼ一致する。
「疑ってしまい、すいません……」
「まさかこんな事があるなんて思いもしなかったので……」
「私だって…未だに驚いてますよ……///」
「それに、女装してる理由だってほとんど同じですし……///」
「そっ…そうなんですね……」
「こんな奇跡あるんですね……」
「とっ…とりあえずっ……!」
「この事は誰にも言わないでくださいねっ……///!」
「あっ、当たり前ですよ……」
約2ヶ月振りの執筆です。
久しぶりすぎて、全然小説が書けませんでした。それに、話を区切るタイミングも全然分かんなかったです。
今日からぼちぼちと再開していけたらなと思います。
そして、今回も相変わらず深夜テンションで書いてます。深夜テンションじゃないと小説が書けない体になっているのかもしれません。
さて、前回の後書きで今作と同時進行で新たな作品を書くと伝えていましたが、まだ小説書くのにもブランクがあるので、しばらくは見送る形になります。
話は変わって、この作品をR-18の方向にするかどうかですが、一旦は健全な方向で行かせていただきます。ただ、この先の展開的にも少しR-18要素的なのは入るかもしれません。
なるべくそこら辺は上手いことぼかして書いていきます。
これからもとりあえず頑張って書いていきます。