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転生

とある病室の一角にて...


「リアン!生まれたのか!!」


「ええオルガ。元気な男の子よ」


目に涙を浮かべ、僕に微笑みかける灰色の髪の女性と黒髪の男性。

そして感極まる二人の間に挟まれる僕。


(嘘⁉ここから始まるの⁉)


もう少し成長した状態で生まれ変わらせてくれたらありがたかったなと女神に心で愚痴る。


「私達の可愛いレイ。何の心配もせず、のびのび育ってね」


僕の名前はレイというらしい。レイ=ヴィネア、か。不思議と違和感はない。

何の心配もせず?今この瞬間も心配事でいっぱいなんですけど。


「この子ならば、継げるかもしれないな」


「オルガ、私達限りではいけないのかしら」


「それはできない。誰かが必ずこの仕事をやらなければならないのだ。心配はいらないよ

リアン。俺がレイを一人前にしてみせる」


そう言い母を抱きしめる父。とても愛妻家なのだろう。夫婦円満な家庭に産ませてくれた女神と母に心から感謝するのであった。

ヴィネア家に転生して早4年。おおよそをまとめると、

まず1年目。

とりあえず衝動に任せて行動した。好きなときに鳴いて、好きなときに食べた。元の身体が思春期真っ只中だからか母とはいえ乳を吸うのは物凄く気が引けた。「完全記憶」も相まって忘れようにも忘れられない。全く、忘れられないというのも考えものだ。


2年目。

頃合いを見て立ってみた。両親が抱き合って喜んでいて嬉しかった。魔力というものの存在を認識できるようになり、それからは魔力増幅の訓練を欠かさず行うようになった。


3年目。

魔力量が一年前のおよそ3倍にまで増えた(魔力量は年齢によって変化するが、変わっても1.3倍ほどの増加量だ)。とりあえずは何処にいても咎められないくらいの年齢になったので、ほぼ毎日、書斎に潜って魔導書を読み漁った。女神が言語を習得しておいてくれて本当に良かった。「完全記憶」によって家の中にある5つの魔導書内のすべての魔法を会得するに至る。


 とまあ、こんな感じだ。

齢4歳にしてそこら辺の魔法使いよりも魔力・詠唱できる魔法が多くなった。僕の完全下位互換に成り下がった魔法使いを少しかわいそうに思う。


「レイ、降りてきなさい」


「はい」


14段ほどある階段を一気に飛び降りてリビングに向かう。

この4年間で大幅に身体能力が向上した。父オルガが魔族ということもあり、文字通り

人間離れした身体能力を手にし、「超身体能力」が相乗効果をうみ、今の僕がある。


「父さん、お呼びでしょうか」


「ああ。レイ、我がヴィネア家の裏の顔を知っているな?」


「はい。人間を監視し魔族の安定を図る諜報員ですよね」


「そのとおりだ。今日からお前に、一人前の諜報員になるための訓練を施す」


「はい。父さんの期待に応えられるよう、全力で取り組みます」


「よし。今日行うのはお前の実力を測る模擬戦だ。庭に出なさい」


「はい!」


ようやくこの日が来た。脳内で燻っていた魔法のあれこれを試すのだ。

「なんでもいいぞ。打撃でも魔法でも。なんでもいいから俺に攻撃を入れてみろ!」


父さんがどーんと構える。


「では行きます!」


「レイ、ガンバレー!」


台所で模擬戦を見ている母さんが僕に声を掛ける。


「では、参ります。名もなき炎の精霊よ。我が魔力を染め上げよ!5級魔法「火球」!」


詠唱によって練り上げられた魔力の結晶が父さんに向かって放たれる。


「魔法か!その年で撃てるとはな‼」


そう言い父さんが右腕を振り払う。すると火球が野球ボールのように彼方へ飛んでいってしまった。ホームランである。


「まだまだ!水の小精霊よ。我が術に宿れ!4級魔法「水波」!」


次は連続技。無数の小さな波を放つ。


「今度は水か。火と水がお前の属性なんだな」


剣を抜き、父さんが構える。


「魔流・黒網」


網目のような軌跡を描きながら水波を打ち消す。そのうち一つが父さんに当たろうとすると、パリンと音がして波が網と同時に割れた。

 魔流。書斎で見たことがある。魔族にのみ伝わる一門相伝の剣の流派で、剣技の軌跡によって様々な効果が得られる。黒網は確か...


「魔法の相殺!」


「よく分かったなレイ、正解だ」


まずいな。どんな魔法を撃とうとも相殺されてしまう。今やらなくちゃいけないのは


「地と水の精霊よ!今連携し、大地を解せ!3級魔法「液状化」!」


「ちょっと待て。3属性なんて聞いてな」


「2属性だけなんて言ってません!」


「確かに」


父さんの周りを底なし沼へと変える。父さんがもがくが沼は奥へ奥へと引きずり込んでいく。


「今だ!『隠形』!」


姿を見えなくして父さんへ突進し、

「2級魔法「物質生成」!」

自身の魔力で針を生成し、そして、

プスリ。

刺して距離を置くと同時に「液状化」を解除。父さんが何事もなかったかのように立つ。

「驚いた。まさか4歳で2級魔法が使えるとは。なあリアン!レイは天才かもしれn」

ドサリと倒れこむ父さん。死んではいない。今回使ったのはただの針ではなく、ちょっとした睡眠毒。10分もすれば目が覚めるだろう。不意打ちとはいえ父さんに勝てたのは素直に嬉しかった。


ゲームとかでもお父さんに勝てるとめちゃめちゃ嬉しいよね!手加減していたと知らなかったあの頃は良かったなぁ(懐古厨)

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