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プロローグ

木々が新緑になり太陽が笑顔を振りまく夏の季節。これはそんな日に突然起こった物語だ。


「明日から夏休みだーーー!」


僕はただのしがない中学生。顔は普通。学力はそこそこ。運動はそこまで。

今は通学路を歩いてるところ。だが当然のように寝坊しているので速歩きだ。


「おっかしいなー。目覚まし、セットしておいたんだけど...」


そうぶつくさ言ってるときに事は起こった。

 怒号のようなクラクションに驚いたのは、僕が宙を舞った後だった。

ドサッと地面に倒れる僕。


「おい坊主!大丈夫か⁉」


「誰か救急車呼んでくれ!」


「坊やしっかり!」


なんか大勢の人が僕のこと見てる。こんなに注目されたのは学級のスピーチ会以来...ってそんな事言ってる場合じゃない。そもそもスピーチ会ではこんな目で見られていない。恐らくすごい量の出血。頭から落ちたからきっと血がドバドバだ。

 意識が朦朧としてきた。ああ、多分僕は死ぬんだろう。交通事故死とか、僕の中で3番目に死にたくない死に方だった。ちなみに1番は溺死だ。てかこんなこと考えれる余裕あるんだったらワンチャン生きてるみたいな事ないかな。

 意識が段々と遠のいていく。


(あー。終わった。ホントに死んじゃうよ僕。夢のような夏休みがぁ...)


最後に、僕以外のみんなを連れて行く夏を惜しみ僕の意識はブラックアウトしたのだった。

目覚めたら天国だったなんて都合の良い話があるわけがない。

僕はなにもない白い部屋、というよりは空間にいた。

本当に白一色。それ以外何も無いような超殺風景。


「目が覚めたみたいだね」


「!!」


可憐な声が響いた方を向くと、そこには純白のキトンをまとった幼女がいた。


「えっと、君は?」


「わたし女神!12代目なんだ!」


女神ってそんなに代替わりするの⁉てっきり年を取らないものだと思っていた。

というか女神ってことは...


「やっぱり僕は死んじゃったんですか...」


「うん。享年16歳。死因は交通事故による大量失血死。トラックの運転手さんの不注意と 君がボケーっとしてたのが相まって事故になっちゃったみたい」


「ボケーっとて...」


否定はできないが心外だ。僕はちょっとばかり浮かれてただけで。


「それよりお兄さん、あそこに未練めっちゃあるでしょ?」


「そりゃあるよ!享年±4歳とかあんまりだよ!」


「ちょっと何言ってるかわからないけど...まあいいや。

 そんなお兄さんにお願いがあるの」


お願い?一体なんだろう。


「私はね、お兄さんみたいにあの世界に強い未練を持って死んじゃった人をこうやって呼び止めて提案をしているの。もし私のお願いを叶えてくれたら、あの世界に生き返らせてあげる!」


「!!本当に?」


「うん。でももし君が嫌なら断ってくれてもいいよ。君の魂を輪廻に還させるから」


「やる。やります!」


「君ならそう言ってくれると思ってたよ。

 私のお願いは大きく分けて2つ。

 1つ、魔王を倒すこと。」


「魔王??」


「あなたにはこれから地球とは違う世界に転生してもらう。勿論記憶を受け継いで。そこは魔法の世界。そこであなたに魔王を倒してもらいたいの」


「なるほど、、、。その魔王が悪いことをしてるんだな」


「いや、そうじゃないの。魔王が無能すぎて魔物たちが暴れ回るようになっちゃったの。だから殺すの」


「お、OK。それで、もう一つのお願いは?」


「そうだったね。もう一つのお願いは、『あなたが新しい魔王になること』!」


「え?えええええええ!?!?」


「だって倒しちゃったら替えが必要じゃない。ほら、あなたもティッシュを使い切ったら補充する。当たり前でしょう?それと一緒だよ」


妙に納得できてしまう例えを出されて「ほなしゃあないか」となってしまう僕。


「でも人間が魔王になれるの?」


「?」


「え、だってさ、魔王を倒すってことは人間じゃなきゃいけないでしょ?」


「君はいつから自分が人間に転生できると思っていたの?」


「違うの!?」


「君の転生先は魔族と人間のハーフ、半魔族ハーフデーモンだよ」


「...」


そっか。それもそうだ。いつの間にか勇者気取りだった。魔王を倒すのはてっきり勇者の仕事だと思っていたから。


「期待してたのと違うって顔してる。なんかごめんね」


「いや、大丈夫。気にしないで!」


「そう言ってもらえるとありがたいよ。

 それじゃあ気を取り直して、君の転生先について基本的な情報をあげるね。

 転生する家ヴィネア家。表向きには伯爵家で、国内ではそこそこの地位を築いている。裏向きは魔族の平穏を守る為の人間の諜報員(スパイ)だ。魔王に大事な情報は報告することもあるからその隙をみて殺っちゃうのも手だね」


さらっとえげつない事いうなこの娘。


「魔王ってそんなに弱いの?」


「いやいや、そんなことはないよ。頭がとんでもなく悪いだけで()()歴代最強なんだ。余計にタチが悪くて嫌になっちゃうよ」


「じゃあどうやって倒せばいいの...?」


「君にスキルをあげるよ。2つまでね」


「あ、ありがとう。2つも?そんなにくれるの?」


「うん。魔王はスキルを7つ持ってるからそのくらいは手助けするよ。普通の人間は通常1つだけだけどね」


「その僕がもらえるスキルっていうのは?」


「うーん。君に合うのがどれかわからないや。どんなのがいい?」


こっちに丸投げはやめてほしい。そもそもどんなスキルがあるのかもわからないのに...

なんとかゲームとか異世界転生モノの知識をフル動員してついていってるのだ。


「じゃあ魔力を増やしたり、魔法を打ちやすくするようなヤツってある?」


「ん、探してみるよ。どれどれー?」


女神がどこからともなく辞書みたいに分厚い本を取り出し、ペラペラめくっていく。

把握しておいてくれ女神だろっと心でツッコミをいれる。


「あ!あったあった!『魔法適正』だね。これは「ユニークスキル」って呼ばれていて、色んな能力が詰まってるんだ。」


僕の脳内に能力の諸情報が入り込む。


「まずは『魔力増幅』。とってもシンプル。魔力量が努力次第でグンと増える能力だね。ちっちゃい頃から訓練すると良いかもね!

つぎにこのスキルのメイン『魔法適性』。本来、人間は2つしか使用可能属性を持てないんだけど君の場合、全ての属性が使用可能な属性になるよ。

最後に『魔法創造』。好きな魔法を考えて生み出すことができる。人を簡単に殺せるような強すぎるものとか悪質なものは作れないから、変なことを考えないように。

こんなところかな、さああと一つだ。何が良い?」


「うーん...あ!スパイって諜報活動とか暗殺とかがメインでしょ?それに合うスキル!」


「OK。難しいな...」


また女神がペラペラする。


「見つけた!『諜報者』!これも『ユニークスキル』だね!こっちは「魔法適性」とは違って長いし個々の能力を紹介するのはめんどくさいから自分で確認して!」


やっぱりひどい。そんなことを思っていたら、僕の頭の中に能力が表示された。

『諜報者』

・擬態...あらゆるものへと化けることができる。ただし1度見る必要がある。

・模倣...相手の技・声・仕草などを真似る。自分自身の力量によってクオリティは変化する。

・完全記憶...忘れるという概念を忘れる。要は絶対に忘れない。

・気配隠蔽...気配が消える。体温調節も自由自在。

・超身体能力...身体能力の向上がしやすくなる。

・隠形...自身の身体を透明化する。悪用、ダメ。絶対!

・情報共有...「情報保管庫」からあらゆる世界の情報を探し出せる。強化版グー◯ル。

・分身...もう名前の通り

こっちのほうがひどいなんてことあるんだ...と内心引いている。

本当に諜報に特化したスキルだ。完全記憶は前世で欲しかったけど。情報共有があれば毒や手榴弾など、僕の生活ではあまり馴染みのないような武器の作り方も知ることができる。


「めちゃめちゃ強いよ⁉『魔法適性』、それに『諜報者』...!何から何まで本当にありがとう!」


「依頼を受けてくれたんだ。コレくらいはしなくちゃね。じゃあ、気をつけて!」

そして僕の意識は再び闇へともどる。


(あ、言語の習得は既にやってあるのでご安心を!)


本当に何から何までやってもらっちゃったな。

 それにしても魔王か。一体どんなやつなのだろう。

皆さんはじめまして〜。初投稿の宵雨 ゼナ〈ヨイサメ ゼナ〉と申します。以後お見知りおきを。始まってしまいました超大作(笑)。高校受験期に何を考えているのやら。今現在12月の11日なので受験まであと32日となりました。マジヤベェ。小説と勉強をどっちも頑張る、そんな文文両道を掲げ、日々頑張って行きたいと思っております。応援のほどよろしくお願いいたします。

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