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この花は咲かないが、薬にはなる。  作者: sirosugi
ストラ 12歳 学園編

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84 ストラ、獣人に絡まれる。

ワクワク学園生活 獣人王子編はじまるよー

「ストラ・ハッサム、貴公に決闘を申し込む。」

「いやです。」

 言葉とともに投げつけられた手袋を触れることなく燃やし尽くす、投げられた手袋受け取れば決闘の了承、弾いたり落としたりすれば後日にあらためて、避けるのは臆病者。というのがこの世界の貴族ルール

なので、証拠から消してしまう。

「な、なにをする。この非常識が。」

「初対面の女性に喧嘩を売る非常識に非常識言われたくないわ。」

 あれれ、なんかこの流れ、前もあったけ?

「くっしかし、私とて、ここで引くわけにはいかない。我が国の未来のため、俺はひかない。」

「燃えてけ、獣人。」

 言いながらもう片方の手袋を投げつけようとするその手を、さらっと燃やす。

「じじじ(過激)」

「ふるるるるる(見事に手の皮だけ焼きやがった。)」

「あっやべ、つい本気に。」

 お転婆だったことの気分で魔法をかましてしまった。久しぶりの実家からの手紙で浮かれているな。

「な、なんだ今の魔法、化け物か。」

 いや、それでいいか。もう王子には、一度じゃれつかれる運命だと思ってあきらめよう。

「ま、マルクス王子、大丈夫ですか?お嬢、なんてことを。」

 リットン君、慌てなくていいいよ。ちゃんと加減しているから。

 マルクス・ルーサー。チョコレートのような褐色の肌にモフモフした手足、とんがった御耳と左右に三本ずつ生えたお鬚が特徴の獣人国の王子様。銀色の輝く体毛ととんがった御耳は、希少なオオカミの獣人にして、獣人族の王族の証。はいそうです、この子もゲームの攻略対象、ワンコ枠パート2です。

 まあ、ワンコ枠パート1で獣人との出会いは経験済みなのででリアクションは少な目、出会いも割愛。あれです、メイナ様関係で知り合いました、以上。

「よし、帰ろう。今日の課題は厄介だから急がないと。」

「待て待て待てい。」

 ちっ、

 火にあぶられているうちにスルーしようと思ったのに、獣人てのはどうしてこうめんどくさいんだろう。一度決めたら猪突猛進というのがデフォなのか?

「いやいや、ストラ・ハッサム。今日こそ私との決闘に応じてもらうからな。貴様も貴族なら、逃げるな。戦え、応じろ。」

「決闘をするのは男子のみです。女性に喧嘩を売るのは、普通に非常識です。」

「獣人は男女平等だ。」

 それこそ、知るか。普段は温厚で事なかれ主義な私でも、さすがにこの態度には怒る。

「お、お嬢、そのへんだ。」

「大丈夫だよ、この程度のことで国際問題とか言い出したら器の底がしれるから。」

 怯えるリットン君を挟んでにらみ合う、私とマルクス王子。なかなかに剣呑な雰囲気なのに周囲の人達は遠巻きに見ているだけで、止めようとしない。もうね、これも何度も起きているイベントなんだよ。

「またやってるよ。」

「今日はどっちが勝つかな?」

「どうせまた、ハッサムだろ。あれを勝負というならだけど。」

 なんか賭けに発展しそうな会話までされる。もしなったら私は私に全賭けするけどな。

「いい加減しつこいですよ。こんな木っ端貴族をいじめて楽しんですか、マルクス王子?」

「ならば、貴様もこちらの要求を呑め。条件と待遇は保証するぞ。」 

「だから、私に君に決める権利はないっていうんですよ。」

 うんざりするほど繰り返されたやり取りに私は頭を抱えたくなる。

 とあるきっかけから、私に突っかかるマルクス王子と、それを邪険に扱う私。いつだって平行線にしかならないこのやりとり。メンドクサイが、引くわけにもいかない。

 私らしくない。という自覚はある。さらっと流すか、権力(メイナ様とか王子関連)で殴るなどして解決が私のスタイルなのだけれど・・・。」

「いや、だめだ。今日こそ貴様からリットン・ビー氏をもらい受けるのだ。そして、愛しのマイシスターの婿とするのだ。」

 理由がアレすぎて、誰もまともに取りああってくれない。(私も含めて。)


 自慢じゃないが、うちのリットン君は優秀だ。トムソン譲りの生真面目な性格と優秀な頭脳、ハッサム村で自然発生した英才教育と成長を阻害しない程度に限界まで追い込むスパルタブートキャンプ。これらによって成績、運動能力、魔法、全ジャンルにおいてトップクラスの実力を持っている。元庶民ということで本人に自覚と自信がないから、謙虚で努力家。おまけにゲームの攻略対象ということで顔面偏差値も高い。

 これがモテないわけがない。あっちなみに、私やメイナ様、ナナミ様とかからは可愛い弟感覚です。

 そんなわけで、大小、男女関係なくリットン君にアプローチして来る輩は多い。同級生や先輩の女子からランチやデートに誘われることから、将来的に家に仕えないかという貴族の青田買い。スペックに対して立場が軽いリットン君は、優秀な婿候補、あるいは側近候補というわけだ。

「リットン・ビー、俺の下にこい。そしてマイシスターの思いを受け止めるのだ。」

 そして、その人気は隣国の王子様と王女様のハートも射抜いてしまった。

 えっなんでリットン君じゃなくて、私が絡まれてるか?そもそも王女様はどこか?

 うん、それはまた長くなるから、いったん、このワンコをぶちのめしてからでいい。

「いでよ、クマ吉」

「それはだめえええええええ。」

 悲鳴を上げるリットン君。いや、君のためだからね、一応。

 


リットン君「やめてー、僕のために争わないで―。」

マルクス「あれ、出会いパートがカットされてない?」


リットン君をジャックと誤認していた過去の文章の添削に追われる日々・・・。

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