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この花は咲かないが、薬にはなる。  作者: sirosugi
ストラ 12歳 学園編
72/84

70 ベジタリアンも博愛主義者も押し付けられた面倒だ。

 見た目詐欺のエルフに説教をする12歳

 ボルド・カークス。それとの出会いイベントは発生条件が厳しい上に、初遭遇の際の会話イベントで敵かか味方が決まるという面倒極まりキャラだ。

「お前は、魔女なのか、それとも聖女か?」

 その言葉から始まる会話を分析して、いくつかの選択肢を正しく選べれば彼を仲間にすることができる。一方で選択肢を間違えまくるとその時点で敵対してゲームオーバーとなる地雷っぷりである。

 おまけにセリフパターンが異常に多い。正義とは何か見たいな王道なものから、服の好みや朝食の内容、様々なパターンをこれでもかと詰め込んだうえでのランダム生成な会話。どんな些細なアプデや緊急メンテのたびに、絶対に充実させるというスタッフの謎のやる気によって、ついたあだ名は「地雷エルフ」

 主人公だけをスキルで隔離した状態で問いかけをしてくる。そのスチールに爆弾を書き加えたイラストともに、おまえこそ、ナニモンだよというのツッコミがファンの間で流行ったけ?

「カレーの女神よ、アナタを見極めたい。」

 そして、このセリフイベントの拡張がバグを産んでたっけ?

「お前こそ、ナニモンだよ。」

「はっ」

 よし、言ってやったぜ。

「あなたにどんな事情があるか知りませんが、これでもまっとうに生きてきたんです。突然、攻撃されるいわれはありません。」

「えっ、攻撃?攻撃なんて。」

「スキルって言ってましたよね。」

 「障壁」はボルドのもつ固有スキルで、一定エリアを障壁で囲い外部と隔絶するというもの。敵を閉じ込めたり、自分たちを守ったりと便利なスキルであるが。

「攻撃性の意図がある行為は、魔法でもスキルでも免許がいるのはご存じで?」

「えっ?」

「そして、予告なし、理由なしの不意打ちですから、これって違法ですよ。」

「え、ええっと。」

 同時に私には、身を守るためにありとあらゆる手段が許容される。

 いわゆる正当防衛が成立するといわけだ。

「ま、まってくれ。俺はただ、君と話が。」

「話をしたければ普通に話掛ければよかったんです。ですが、あなたのしていることは立派な犯罪です。」

 無免許運転、無免許営業は絶対に許してはいけない。

 この見た目詐欺の美少年じじいが、この世界に置いてどんな立場なのか、私は知らない。

「どこのどなたか存じませんが、これは明らかに犯罪で、攻撃です。なので、防衛手段を講じさせていただきます。」

「えっ?」

 幸い、「障壁」は外部に情報が漏れない仕様だったはずだ。本気で嫌がらせしてやろう。

 初手で投げつけるのは薄い紙で包まれた真っ赤なボールだ。

「ぎゃ、ぼ。」

 破れやすい紙で包んだそれはボルドの足元に落ちると、中身をぶちまけて赤い霧となる。唐辛子を見つけた段階で試作していた防犯用のスパイスボール。粉にした唐辛子とカレールーを作るときに余った匂いのきついあれやこれなどを混ぜ、衝撃を与えると勢いよく弾ける木の実、「ハジケクリ」を中に仕込んでみたもので、相手の周囲にしか効果がでないように調整するのは苦労した。

「いや、いたたたたたた。」

 口を開けば、激辛激臭の成分が、目や鼻に入れば涙が止まらなくなるだろう。

 問題があるとしたら、事前に察知されてたら風魔法などで簡単に防がれてしまうことだ。

「風よ、踊れ。ストーム」

 まあでも、風魔法で追い打ちできる人には、充分な性能だろう。

「ぎゃああああ。」

 赤い竜巻、そこにあるのは血ではなくスパイス。うん、風魔法や水魔法に毒物を混ぜるのはやばいな、今後は控えよう。

「ごぼ、ごぼ、まって、話を。」

「問答無用」

 催涙ガスとかの何倍もやばい威力のはずなのに、まだ元気そうなので、更なる追い打ちを用意する。

「伸びろ、ロックパイル」

「おおう。」

 生み出すは無数の岩の柱。本来は範囲攻撃であるそれを使って相手の動きを制限し、時間を稼ぎつつ、本命は別にある。

「洗い流せ、スプライト。」

 相手ボルトを中心に薄い霧を創り出し、目くらましにする魔法。ゲームでは逃走用の魔法なのだが。今のような状況だと

「ぶああああああああああ。」

 粉になってまっていたスパイスが湿気によって落下、ほとんどは地面に落ちつつもボルドの全身にまとわりつく。こすっても、いやこするほど目や鼻に入っていくから。

 ちなみに「辛さ」とは「痛み」である。唐辛子はそれほどじゃないけど、激辛スパイスなどを不用意に肌につけると、めっちゃ痛い。

「くっ、この、悪魔―」

 うん、やっておいてあれだけど、ひどいわーこれ。なんかごめん。

「こ、この。そっちがその気なら、こっちも。」

「いやだから、そっちが先に仕掛けてきたんじゃないですか。」

「そ、それは。」

 これだけのことをされてもイケメンが崩れていない。イケメンってすごいなー。

「ああ、死ぬかと思った。」

 自分にも非があると思っているのか、乱暴な手段はとらずに、水魔法でスパイスを流し、見た目を整えることに注力するボルドだが。

 敵を前に余裕ですねー。

「えっちょっとまって、なんで笑ってんの。その顔、怖い。」

「変質者、絶対タオス。」

 前世でもこういう輩が結構いた。善意だとか言って手作りのお菓子を公園で子供に配って食中毒を起こしたDQNに、学校に車を無断駐車するDQN、評論家気取りで何時間もクレームを入れてくるやつ。別にやるなとは言わない。だがそういうやつらに限って無免許で無許可だったりした。

 免許を持つ、許可をとる。ホウレンソウを大事にする。

「どうして、そういう簡単な事ができないのかなー?」

「ひっ。」

 いけない、いけない。どうでもいい記憶に引っ張られて声が低くなってしまった。

「ま、待って、話を。」

 喜ばしいことは、この世界には「魔法」「スキル」なんて便利な力がある。

 嘆かわしいことにそういった便利な力を悪用する輩がいる。

 ご都合主義的に、それらを行使する条件が、前世の車なんかよりもずっと緩い

「来い。」

 だから、残るのは結果だけ。

 私が不審者に襲われ、それを返り討ちにしたという結果。そのために私は持てる手札の中で最大の手を切ることに躊躇がなかった。

「クマ吉 召喚。」

「ぐるるるるる(お前かーー。)」

 地属性で最強の精霊にして、ハッサム村の守護者。最大サイズな私の友達の一撃を受けてみろ。


 

ストラ「拉致って、二人きりになるとか普通にアウトだよねー。」

ボルド「お、俺はただ話を」

ハル「じじじ(お巡りさん、こいつです。)」

 ゲームとかでも、精神世界とか、秘密の場所に主人公が拉致られてお話、なんてイベントがあるけど、普通にアウトではと思ってます。


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