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この花は咲かないが、薬にはなる。  作者: sirosugi
ストラ14歳 ラジーバ改革編

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149 ストラ ハードモードな旅も満喫する。

 未知の領域への旅立ちもまったりと

 砂漠の旅では先人の道しるべからそれてはならない。

 魔物や砂賊に襲われたり、手つかずのオアシスを見つけたりしても、道からそれてはいけない。砂漠の真ん中で道しるべを見失えば待っているのは終わりのない上で、乾き。どんな勇者も賢者も砂に返る。

「ですから、くれぐれも星の導きからはそれないように、お願いします。」

「それが精霊さんでも?」

「精霊様と我らでは作りが違いますから。」

 精霊の里へ旅立ちを決めたとき、ロザードさんとジレンさんは真顔で私にそう伝えてきた。この言葉自体は、ラジーバの関係者からは耳にタコが出きそうなほど聞かされているが、2人の声のトーンは何時になく真剣なものだった。

 まあ、精霊さん達の感覚って人間とはずれてるからねー。

「くるるる(西の方にまっすぐ走るだけです。)」

 白熊の要領の得ない案内を聞けば誰だって不安にはなるだろう。そんなわけで砂上船に積めるだけの物資を詰め込み、貨物運搬用のソリを後ろにつないでさらに物資を積んでおく。見た目は大型トラックのようにごっつくなったが、クマ吉は余裕で疾走している。

 それなりの重量の砂上船が走ったあとにはきれいなあとが残るが、いずれば砂に埋もれてしまう。砂上船でそれなのだから、ラクダや徒歩での旅は一瞬でも気を抜けば道を見失ってしまうことだろう。

「いよいよ、街の領域からは外れます、ストラ様、覚悟はよろしいですか?」

「引き返すなら、ここ。」

 砂漠を飛ばすこと半日、ロザードさん達が改めて聞いてきたけど、私の答えは決まっている。

「冒険しましょう。」

 危険と分かっていても、精霊の里なんて素敵スポットを逃す手はない。いざとなれば精霊さん達に助けてもらえばいいという安易な保険もある。

 とりあえずば

「いくよー。」

「ふるるるる(行くぜおらー。)」

「ぴゅうううう(あらほらっ、さっさ。)」

 私の魔法で砂を固めて、サンちゃんとレッテに加熱と冷却をしてもらう。

「おお、これは。」

 やっていることはいつものガラス製作。何度も繰り返してきたので、その精度はちょっとした芸術品レベルだ。5メートルほどの高さのそれは適当なイメージの模様が波打つ四角柱で一遍は1メートルほど、夜だと分からないが、昼間ならガラスが反射して目印になるだろう。

 これを定期的に作っていけば帰りはコレを頼りに返ってこれるかもしれない。

「なるほど、これならば安心ですね。」

 私の意図を理解したロザードさんが感心した様子で柱を触っているけど、ガラスなので強度はお察しだ。あんまり強く叩くと割れるよ。

「いや、この柱を起点に砂だまりができれば、目印としては充分だと思います。よくを言うならば、周辺に砂山を作っておかれるといいかもしれません。旅をするものはその山影で休むことができますから。」

 なるほど、現地の人の意見はためになる。私達はまだまだ進むが、通常は一日でたどり着けるかも微妙な距離だ。

「ぐるるるる(やる?)」

「いや、ここは私に任せて。練習もしたいし。」

 クマ吉やハルちゃんたちに任せてもいいけれど砂山を作る程度なら、魔法の練習にちょうどいい。ロザードさん達には離れてもらって柱を中心に砂地を盛り上げて圧縮する。強度は乾いた粘土程度で触ればボロボロと崩れそうだが、砂漠では充分だろう。

「さあ、先へ進もうか。」

 こういうのって、未踏破のマップを埋めていく感じいいよね。各地のランドマークを通るとマップが船名になっていく感じ好き。オープンワールド系のRPGだと、シナリオ攻略の前にマップ埋めをしたものだ。

「ぐるるる(また、ワームが来るよ。)」

「OK,、狩るぞー。」

 人の手が入らない地域ということで、魔物というかレア素材もたくさん出てくる。

「狩るって、何かくるんですか?」

「あの砂煙、ワームだ。」

 砂上船で警戒態勢をとるロザードさん達には悪いが、数が揃わなければワームはレア素材でしかない。見た目はあれだが、肉は美味いし、皮はいろいろな素材に仕える。

「じじじ(ここは我らにお任せを。)」

「ふるるる(アッ抜け駆けはズルイゾ。)」

 止めるまでもなく暴れん坊なハチとフクロウが砂煙に突撃し、次の瞬間には爆発音が響く。

「ジジジ(やりすぎ。)」

「皮が痛んでないといいけど。」

 砂煙は晴れるころには、輪切りにされたサンドワームが3匹分ほど転がっていた。おそらくは内部から燃やして輪切りにしたっぽい。キバはボロボロだけど肉はいい感じに火が通っていていい匂いがする。

「うむ、我らの出番が。」

「サンドワームがこんなにも簡単にできるとわ。」

 再び船を止めて、死骸を解体しながらロザードさん達が複雑な顔だ。たしかに護衛として同行している2人のことを軽んじてしまったかもしれない。

「ぐるるるる(それなら次は任せよう。)」

「ふるるる(何かあれば助けるから安心しな。)」

 おいおい、そういうとこだぞお前ら。

「二人とも、もう一匹くるみたいだよ。」

「「はっ?」」

 慌てて警告を出しつつ、私は砂上船に戻る。兵隊ハチさん達も死骸を船の近くに持ってくる。

「私たちは船を守るから、任せたよー。」

「「えええ?」」

「ふるるる(こっちは任せろ)」

 ちゃっかり船に戻ったサンちゃんが炎で船の周囲を囲む。その火力は素晴らしくたいてい脅威は避けられる、同時に2人の逃げ場がないなった。

「くっこれが精霊の試練か。」

「ただの悪ノリじゃないかな?」

 その炎に目を丸くしていた2人だったけどそこはプロの傭兵、近づく砂煙を前に即座に構えをとる。

「サンドワーム程度で倒される程度なら、今後の旅にはついてこれないということですね、ストラ様。」

 そう叫んで、その場を飛びのくロザードさん。直後に砂の中からサンドワームが飛び出してくる。マザーほどではないが、人間など丸呑みにしてしまいそうなほど大きな口と巨大はそれだけで足が竦みそうになる。

 だが、その巨体を前にしても2人はひるまず、飛び込んでいく。

「聖女よ、精霊よ、わが技の冴えを照覧あれ。」

 サンドワームはその巨体ゆえに砂から飛び出した時に次の行動までわずかなスキが生まれる。飛び出して身体を捻り、獲物を追撃する動きは蛇のように俊敏だが、根本は動かない。

「おらおらおらおら。」

 その無防備な腹に向かって、ロザードさんの連撃が叩き込まれる。交差させた腕から繰り出される手刀で皮の一部を切り裂き、蹴りあがるサマーソルトキックで傷口を広げる。着地と同時に繰り出される連撃はむき出しの筋肉を削り取りその腹に大穴を開ける。

「ぐっ。」

 だが、快進撃はそこで終わる。穴かラ漏れだした消化液を避けるためにロザードさんはその場から後退し、ワームは痛みに苦悶の声をあげながらも土から飛び出して、逃げようとする。

「逃がさない。」

 だが、その尻尾をジレンさんががっしりとつかんで逃亡を防ぐ。巨体を抑え込むことはできず、ジレンさんは体勢を崩してしまうが、ワームの勢いは止まり、重力に従ってその場に落ちてくる。

「おらー。」

 その隙を逃さずロザードさんがワームの頭に飛び込んでその口を潰す。

「あれって、脳みそはどこにあるんだろうね?」

「じじじ(さあ?)」

 そんな様子を暢気に見ながら、私達は待機させておいた魔法を解除する。

「すごいなー、さすがはラジーバ最強の傭兵。」

 毛無しさん達との模擬試合では明らかに手加減をしていたようだったけど、改めてその戦闘を見ると見事の一言である。

 ただ。

「・・・痛い。」

「なんのこれしき。」

 無理をしていたのか、ジレンさんは肩を痛そうに抑え、ロザードさんは強がっているが両腕の鱗がボロボロになっている。

「腕力に身体が追いついてないのかな?」

 そんなことを思いつつ、私は荷物から傷薬を取り出して彼らの元っへと足を進めるのだった。あの程度のダメージなら、薬と湿布ですぐに治せるのだから、この世界はファンタジーである。

 ついでに彼女たちの強化案も浮かんだから提案してみよう。

ストラ「ちなみにサンドワームは、単独で撃退できるものではありません。よい子は真似しないようにね。」

ジレン「今更すぎる。」

ロザート「実はけっこうギリギリでした。」

 危険な旅もなんだかんだ楽しんでいるストラと愉快な仲間たち。

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