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この花は咲かないが、薬にはなる。  作者: sirosugi
ストラ13歳 ラジーバ 留学編

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147 そして、伝説が生まれた。

 緑化実験も大詰めです。

 モルタル、コンクリートと言われる建築材は古代エジプトからあったと言われている。

 だが、前世ではコンクリートは工業製品だし、レンガやエンビパイプなどはホームセンターで買うもので自作した経験はない。ハッサム村にある建物は粘土から作ったレンガと木材の組み合わせ。王都の城や建物は、そこに切り出した石材や鉄骨などが加わる程度。

 根本となるセメントが見つからなかったのだ。鉱物資源であることは見たことがあるけど、どこにあるかは知らなかったが。確か大規模な採石場とかがあるんだっけ?

「ストラ様、採取してまいりました。」

「・・・クサイ。」

 アクアラーズの近くの岩山からが黒くて粘り気のある液体が採れるらしく、お願いしたらロザードさん達が一日で取ってきてくれた。

「なるほど、これは。」

 害はないとのことなので、触って確認したら、べとべとな液体だった。

「ご所望の通り、近くの岩ももってきましたよ。」

 ついでにばかりにお願いしたのは、近くの岩。灰色の岩で表面はざらざらで強度はなく落とせば簡単に割れるそうだ。うん、石灰石ですね、これは。

「この街では、これや骨を煮込んで作った膠を混ぜて建材にしているんだ。まあ、他に使い道はないし、砂を固めて作る壁でも充分だからな。」

 採取を待っている間に、オクマナさんの説明を聞きながら、街の建物を観察したけど、どの壁も王国とは違っていた。王国の家はレンガや藁に蝋や膠を縫って雨漏り対策をしていたけど、アクアラーズをはじめラジーバは石組みの屋根にこの液体を塗り込んで防水しているらしい。

「これならいける?」

 建築は専門外なのだが、ある程度貯水できれば、ガラスよりはコストはいいかもしれない。


 まあ、やるだけやってみればいいか。


 というわけで、再び緑地についた私はクマ吉たちに頼んで、また10メートル程度のくぼ地を作ってもらう。今度は深めに作り、そこに黒い液体と砕いた岩とから骨を混ぜたドロドロを流し込む。

「こ、これは、大変だぞ。」

「うへ、タルの底の方が固まってる。」

 この作業はアクアラーズの人達の手を借りている。次々に岩山から黒い液体を運び込み、砕いた貝やカニからに砂を混ぜて混ぜる。暑さと乾燥ですぐに乾くので最初は苦戦していたけれど、そこは獣人の器用さで、繰り返すうちに作業を分担し効率化していき、半日と掛からずくぼ地にはドロドロが流れ込んだ。 

 そのまま一日放置するとぶよぶよながらがも確かな硬度になった。

「この量だと、歩けるようになるのに一週間、完全に固まるまでは一月ってところだな。」

「じゃあ、それまでは放置ですね。」

 サンちゃんレッテのコンビで固める方法もありだが、人力での再現なのでこちらはしばらく放置だ。それに彼らには別の仕事がある。

「ふるるるるる(姐さん、こっちは準備OKだぞ。」

「ぴゅううう。(飽きた。)」

「お疲れー。」

 コンクリート製のダムを準備している間に、精霊さん達には、ガラス製の緑地候補を作ってもらっておいた。できる限りと言っていたが、その範囲はちょっとした運動場サイズ。何十人もの人間が10メートル程度の範囲を加工している時間にこれだけのことを成し遂げるのだから、精霊はやっぱりチートである。

「ありがたや、ありがたや。」

「精霊さま。」

 その完成度に何人かがお祈りしているが気にしないでおこう。ちなみに、コンクリートもガラスもデコボコの日々だらけ、ドワーフ達が見たら、雑過ぎると怒りそうな完成度なので、完成後は今後の課題だ。

「さて、じゃあ、生ごみをいれて。」

「「「うい。」」」

 港や市場から出てきた生ごみをガラスの場所に流し込ませ、砂をかけて火をつける。

「うーん、やっぱ燃えが悪い。」

 だがあまり燃えないし、色々混ざっているので匂いもクサイ。これはあらかじめ燃やしたものを持ってきた方がいいかもしれない。

「ゴミを燃やす作業場を作った方がいいかもしれんな。」

「風呂や竃で燃やすついでじゃだめか。」

「それだと匂いがきついぞ。」

 まあ、そのあたりも勝手に解決しそうだ。なんかもう勝手に話し合ってるし。

「サンちゃんお願い。」

「ふるるるるる(あいよ。)」

 というわけで、サンちゃんにお願いして一気に焼き尽くして漏らし灰とする。あとは水を撒いて精霊草を雑にまく。今回は一目があるのでエキスは無しで。

「これだけでいいのですか?」

「水や植物が循環する仕組みが出来れば水はたまると思いますよ。」

 それに、これだけ派手にやっていれば。と空を見れば形が出来ていた。

「お、きたきた。」

 二週間近く緑化と水巻きを続けてきたなら、おのずと湿気が保たれる。そこで火を興して気温を温めれば。

「「「「あ、雨だ―――。」」」」

 ぽつぽつとふり、すぐに乾いてしまう程度のささやかな雨。それでも循環が出来ている証拠だ。

「奇跡だ―――。」

「聖女の奇跡だー。」

「ありがたやー。」

 広い砂漠の空からすると小さく、ささやかな物。海が近いというのにその湿度の低さから雲すらなかった砂漠では奇跡のような光景らしい。

「雨だ、雨がふったぞ。」

 いや、海辺ならそんなに珍しくないだろうに。大袈裟な連中だ。


 だが、私は知らなかった。

 このファンタジーな世界に置いて、砂漠で雨が降るのは神話の世界の話であったこと。それは海辺で会っても例外でなく、真水を求めて海に船を出して水を集めたり、清潔な水は大金で取引されるたりするほど貴重なものであったこと。

 ここにいるほぼすべての人間が、砂漠に振る雨を生まれて初めて見たという事実を。

「今後は我らにお任せを、ぜひとも成功させて見せます。」

「あ、ああ、よろしく。」

 急に敬語になった獣人たちの覚悟の重さも私は気づかずに、気圧されるままにうなづくのだった。


 その後、感動したアクアラーズの住人たちによって、砂ダムの製作と緑化活動は大体的に行われ、やがては砂漠を覆い尽くす大事業になるのは何年も跡の事である。


 

ストラ「科学の力ー。」

獣人一同「奇跡だ―――。」

 自分のしでかしたことの大きさを理解していないストラさん。

 

 ちなみに話で出てきた黒い液体の正体はアスファルトです。現代では石油を加工して作るコンクリートの材料ですが、天然で採取できることもあり、古代エジプトではミイラの防腐剤などにも使われていたそうです。そこから推測するに油も産出できるのでいろんな問題が解決できるのですが、流石のストラさんもそこまでの知識はないです。


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