第8話 少女との邂逅
突き刺さってた槍の炎が消えると、一人の少女が闇を纏いながら現れて、こちらに短い槍を向けて、左腕に小さな盾から見える手で手招きをしている。
「一騎撃ち勝負ってこと?」
聞いても返事は無かったが、応じるしか無いようだ。
「手は出すなだってさ」
「見守るしかありませんね」
正面に回り、見受けられる年頃としては、自分達よりも若い印象を覚える。
こちらも武器をどうするか悩むが、今はロングソード一つで挑んでみることにする。
★ ★ ★
「うーん、実力を試された感じかな」
負けたので交代する事にして、外から眺めながらも動きを確かめる。
「どういうことですの?」
「見てればわかるけど、崩れた隙に攻撃を仕掛けてこない、さっきの魔法も使わないし、正直言って」
そう言いきる前に、決着が付いてしまった。
「大剣のリーチでなんとかなると思ったけど、逆に懐に入られちゃ不利だ。それじゃ交代よろしく」
「私ですか?」
少女が槍先を向けている様子をみて
「相手も指名してるし、行ってきなよ」
「出来る限りのことはしてきますね」
隣に座ってきたので、聞いてみた
「戦いづらかった?」
「正直言えば、そうだね」
「一応、相手は敵だよ?まあ、向こうはこっちを試してるみたいだけども」
槍で、杖が弾かれて勝負が決まったようだった。
「あっ!負けちゃったか」
「魔法を使う余裕もありませんわね」
「接近されたら、余裕はなさそうだね」
まだ戦うかを相談している間に、いつの間にか少女の姿は消えていた。
「卑怯かもしれないけどさ、三人で戦うかしか」
「連携もなにもないけど、そうなると大剣は使えなさそうか」
「魔法も、もっと素早く使える様にしませんと」
反省点も踏まえてから、宿に向かう。
定番の席に着いて、また話し合いをしたが、まだ彼女には勝てそうにもないので、探索していない場所を探る事と結論付けた。
ー翌日
残る町の探索は、ほぼ空振りに終わる事となったが、冒険者ギルドで見つけた地図には、何ヵ所かに印が付いたので向かうが、ここも何もなかった。
「ダンジョンかと思ったのに」
不満げな表情をしてしまっている。
「敵の気配もなし。結局は、なんだったろう?」
「印を残す以上は、どこかに秘密の入り口とかあるのではないですか?」
そう言われても、回りには木が生えている以外は怪しい物は無い。
「もう一度、地図見せて」
地図を広げて、印の側に書かれている文字を見るが、まだ読めないし、暗号で書かれていたらお手上げ状態だ。
「本命は、ここじゃなかった。ここからまだ先みたいだね」
印に書かれている文字の共通点を探し、似たような記号があったので、数字と仮定した場合ならと考えれば、ピースが填まる気がした。
「暗号じゃ無かったんだ」
「流石ですわね」
そして歩いて進んで行った先には、見つけづらいようにカムフラージュされた洞窟が見つかった。
「場所を知らないと、見つけづらいな」