第7話 町の探索②
結果だけ言ってしまえば、空振りだった。
出てきたのは、大きな鼠だったが逃げてしまった。
「ここも外れか」
「それはそうと、あれも呼び名みたいなのが欲しいが」
「そうですわね、こういうのは得意な人に任せまてしまいましょう」
「か、考えておく。その前に中も調べないとさ」
急に振られたので、名付けは保留にしておく。
「ふーん、竜喰に、竜に刺す剣、火神の懐刀ね、そっちはどう?」
置いてある書類に軽く目を通しても、そこそこの強さらしい。
「使えるか判らないけど、ポーション類が残ってる」
「こちらは多分、解体室でしょうか?」
こうなると、鑑定道具も欲しい所であるが、冒険者ギルドなので多分あるという予想も付けたが、見つけられなかった、正しくは、見つけたが使い物にはならなかった。
「魔法道具を扱う店を探すしかないね」
「この赤い液体はなんだろ、1本しか無いし」
「赤い液体ですか?」
「賢者の石。だったりしてね」
旅の錬金術師が生み出したとされる石、偶然にも手にしていたのを知らずに、それを探していた謎の組織との争いに巻き込まれる事になった主人公の漫画を思い出す。その石の色が赤かった。
「材料は」
「ネタバレはストップ」
「聞いてもよろしいのでわないですか?」
まだ連載途中の漫画だったので、知ってるのは二人だけだった。
「中身を出して見て、液体かどうか見れば」
そう言うと、入ってる瓶を傾けて一滴が垂れていった。
「液体だな」
「こぼれましたわね」
「ポーションだね、それは大丈夫だから持ってこ」
予想は付きそうだけども、今は断定できる訳じゃないのでそういう事にしておく。
日も暮れて来たので、今日の探索も終える事にして宿に帰る。
ー翌日ー
昨日の冒険者ギルドよりも大きな建物であるが、どうやら代官の屋敷なのだろう。
「大きな屋敷」
「今の宿よりも、ここに移る?」
「別荘、でしょうか」
さらっと別荘と発言する辺りは、富豪の家系なのだろう。
「ここは、後回しでいいや」
「なんで?」
「どうしてですの? 」
「今は、まだ情報集めが先。気配も感知できないなら、こういう場所は罠がある」
「そういうこと」
「納得ですわね」
後回しにする事にして、別の建物に入る事にする。
「商業ギルドかな、多分?」
置いてある物をみてから判断をする。
「えっと、シュなんとかが1箱で1銀貨?」
「こちらは、多分、岩塩が1キロで1銀貨ですわね」
物価の価値も、基準が無いので高いか安いかが判らないが、塩が1キロ1銀貨の基準で考えると、シュなんとかもそれなりに高いのだろう。
他の部屋も見回ったが、特にこれといった事は無かったので、昼食を取る事にした。
次に目にしたのが、神殿だったので立ち寄る事にしたが、立派な神様の像が置いてあるだけで、他には無かった。
「信仰はしてないけど、祈っとく?」
「しなくていいんじゃない?」
「そうですわね」
祈る事はせずに中を調べていると、奥には孤児院らしき建物を見つけた。
「奥も調べるよ」
そう言って向かう事にすると
「危ない!!」
声が掛からなければ、足元に刺さった炎の槍みたいなのが刺さってしまう所だった。