第6話 町の探索①
「なーんも無く、朝だね」
夜中に襲撃があるかと期待していたが、朝までぐっすりと寝る事が出来た。
「まだ寝てるし」
二人よりも早く起きてしまったようだったので起こさない様に部屋から出ていく。
回りを見渡しても、違和感はない。花瓶が置いてあるがこれは触れられなかった。
確認をしている間にも、端から端までゴフリンクが歩いていた。
「かわいい、のか?」
疑問に思ったが、美的センスはやっぱりおかしいと思うが長い付き合いなので口を紡いでおく事にしている。
そんな事を考えながらも、下の階に向かい昨日と同じテーブルに着こうと思ったが、ここも調べて無いので勝手にカウンターの中に入っていく。
コップを持ち出して樽の蛇口を捻り、独特な匂いがした。
「紫?ぶどうジュース」
ワインなのだろうと判断して、飲む訳にもいかないのでそのまま捨て、隣の樽も同じ文字みたいなのが書いてあるので、奥の厨房を調べるために向かと、眠そうな声が後ろから聞こえた。
「おはー、早いじゃん」
「おひゃようございます」
「おはよう」
短く返事を返す。
「顔を洗いたい」
「髪の毛もぼさぼですわね」
整えている髪も寝癖でかなり広がっている様子を見ながらも苦笑をする。
「まったく、髪を整える道具も一緒に入れてくれて欲しかったね」
渡された道具袋には、入って無かったので文句を言う。
「宿屋なら探せばあるんじゃない?」
「・・・誰が使用したかも不明なのをですか?」
不満を含めて言い返したようだが、自分もそんなのは使いたくは無い。
言い争ってる間にも厨房は見て回った。
「厨房は、魔法設備。コンロは無事、食べ物は無し。水は・・・無い」
三人揃ったので、水を出して貰い携帯食を食べてから、町を回ることにする。
◇町の中
道具屋を見つけて、勝手に入り調べる事にした。
「無いよりはマシってとこか」
身だしなみを整える為に、櫛を探し出して持っていく。
「あと必要なのは、大きめの桶と石鹸?」
「下着と着替る服も欲しいですわね」
他に目ぼしいものも無いので、次に向かう事にする。
桶屋で必要な大きめの桶と、小さな桶を見つけ、古着屋だろうと思う場所で、着替えの服と下着を探すが、この際だからデザインなんて選ぶなんてのは出来なかった。
「これでいっか」
無難な服装を選び出して幾つかを持っていく。
「どう、かな?」
「なんと言いますか、個性的と言いましょうか」
やはりここでも、独特なセンスを発揮してしまうので、改めてこちらが選んだ服を持ってもらう事にする。
パン屋を見つけてここも誰も居ないが、粉になる前の麦袋が大量に残っていた。
淡い期待を込めて聞いてみた。
「パンが作れる?」
「小麦じゃ無いね」
「ライ麦、でしょうか。作り方は同じ・・・酵母が無いので、無発酵パンでしょうね」
後で聞いたが、固くて不味いらしいけど、携帯食の方がまだ栄養バランス的にもいいらしい。他の食べ物も見つからないので。
途中で、食事を取りながらも雑談をして次に向かったのは冒険者ギルドらしき建物。
扉を開けて中に入る前に確認する。
「やっぱ誰もいないね」
「敵意の反応が薄いけど、なにかが居る!」
「昨日のみたいなのでしょうか?」
悩んでも仕方ないので、入ることにする。
「5カウントで入るよ!」