第3話 冒険の始まり
長かった話も聞き終わり、別の扉に案内されて出て行った先は普通の草原だった。
「まずは、何しよっか?」
二人に提案をしてみる。
「スキルの確認じゃないの?」
「渡された物の確認もですね?」
最後になって、部屋から出る前に渡された道具袋の中身を見ると、薬瓶が数本と一枚のカードが入っていた。
「それじゃ、私からか」
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名前:リリィディズ
系譜:闘神
スキル:闘技LV1、魔力LV1、剣の才能、拳の才能、素早さ、身体強化LV1
魔法:なし
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「次は私か」
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名前:ディージー
系譜:獣神(狼)
スキル:大剣技LV1、弓技LV1、野性の勘、弓の才能、回避、身体強化、特性(狼)
魔法:種族魔法(風)
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「では、どうぞ」
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名前:シャンスミン
系譜:地母神
スキル:短剣技LV1、棍棒技LV1、治癒魔法の才能、身体上昇、慈愛の心
魔法:大地魔法、治癒魔法LV1
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「その耳は狼か~」
「身体上昇?」
「狼なのですね」
三者三様の反応を示しているが、やはりミミが気になっていたようだ。
「後は、このカードか」
袋から取り出したカードを見せる。
「説明を聞いてなかったの?」
話が長く後半の方は、聞き流してしまっていた。
「それは来館カードで、安全な場所で使うようにということですね」
表面は何も描かれていない真っ白だったが、裏返すと自分の名前が書かれていた。
「そういや、武器は自分が考えた形にも出来るって言ってよね」
そう思って、剣を思い浮かべた姿で創造しようとした。
『必要レベルが不足しております』
不意に声が聞こえたが気にせずに続ける。
「・・・なにそれは?」
「まるで」
「ストォォップ!!」
中途半端に不恰好な剣が出来上がり、自分が考えた最強の剣(仮)の出来損ないの様な物が出来てしまっていたので、元に戻すことにした。
「レベル不足だってさ、作れるけどこれじゃ普通の武器のがマシだよ」
改めて、普通の剣を創造して見せてからの素振りを始める。
「意外と重くない」
そう言って創造していたのは、ツゥハンドソードと呼ばれる種類の大剣を持って振り回していた。
「自然に動けるものなんですね」
こちらは、短剣を持って素振りして、今度は杖に変えたりしては素振りをしている。
「魔法は?」
二人に期待の眼差しを向ける。
「私のは種族魔法、使えても補助魔法なんだよ」
「大地魔法ですね、少々お待ちを」
そう言うと、集中し始めて呪文を唱える。
「大地操作:壁」
地面が盛り上がり壁が出来上がると思ったが、どちらかといえば、少し段差が出来上がる程度だった。
「攻撃魔法は?」
魔法と言えば、攻撃魔法だろうと思ったので聞いてしまった。
「ありますよ、これからの事を考えると、温存しておくべきでしょうね。今の魔法で半分は消費してしまいましたので」
あれを作るだけでも、消費は多かったようだ。
「確認も終ったし、出発しよっか」
「町がある方角は判ってるの?」
「それは・・・」
「右か左でしょうか?」
地面の跡を指しては、どちらに行くのかを教えてくれた。
右を見れば、遠くには山が見え、左を見れば地平線とその左右には林が広がっていた。
「法則的に考えれば、右に行こっか」
なんの法則なんだと、言いたそうな二人を尻目に歩みを進め始める。