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第63話 鎧武者

 オレたちは、池袋駅ダンジョンのボス部屋の前まで到達していた。


「ついにですね」


「はい。緊張してます?」


 隣の栞先輩に笑いかける。


「ええ、少し。でも、大丈夫です。訓練通りにやれば勝てるって確信しています」


「オレもです。じゃあ、ゆあちゃん、鈴、2人も大丈夫か?」


「うん!大丈夫!いつでもいいよ!」


「いいから、さっさと倒しちゃいましょ。わたしたちの目的はここじゃないんだから」


「そうだな。うん。そうだ。ここはただの通過点だ」


『おい、咲守』


「油断はしてませんよ。師匠」


『……ならいい。おまえらなら倒せる。自信を持っていけ』


『みんな、本当に危なかったら撤退してね?』


「はい!了解です!」


 オレは2人の言葉を聞いてから扉に手をかけた、観音開きの重い扉だ。木製のように見えるが鉄の装飾が施されていて、赤く塗られているので材質はよくわからない。


 力を込めて押すと、ギィィ、と音を立てて向こう側に開き切った。


 扉を開けた先は、小さい道場くらいの大きさの部屋だった。内装は城の廊下と変わり映えはせず、木の床に、白塗りの壁、そして、左右に大黒柱のように太い柱が数本立っていた。天井は高い。梁が複雑に絡み合って、天守閣の形に吹き抜けている。高い位置にある天窓から、外のロウソクの灯りが差し込んできていた。


「あれが、全部、神器なんだよね?」


 ゆあちゃんが見ているのは、左右の壁だ。壁越しにガラスのケースに納められた様々な武器が陳列していた。全部で6つのケースがある。中身は全て、師匠が言っていた武器と一致する。

 ただ一つ、右の壁沿いの真ん中のケースの中身は空になっていた。


「なるほどな。一度持ち出した神器は復活しないらしい。僥倖だ」


「そうみたいですね」


 空になっているあのケースには、もともと栞先輩が持っている神器が納められていたらしい。だから、師匠の仲間が持ち出してくれたおかげで空になったというわけだ。


 一応、この件については3パターンの想定をしていた。

 ①全く同じ神器が復活している。

 ②復活せず空になっている。

 ③見たことがない神器に変わっている。


 この3つだ。一番厄介だったのは、対策できていない武器がある③のパターンだったのだが、一番楽な②のパターンだった。まずは一つ目の賭けに勝ったと言えるだろう。


「あとは、あいつに勝つだけですね」


『ああ』


 オレたちは真っ直ぐに正面に座っている影を見据えた。師匠も、ロボットのカメラ越しに見ているのだろう。憎しみのこもった暗い声が聞こえた。


 オレたちの目線の先には、甲冑を全身に纏った武者が正座していた。正座と言っても、股を開き、腿の上に両手をのせている。殿様に謁見するときの武士のような風体だ。

 真っ黒な甲冑、そして、兜には太い2本の角。


「クワガタみたいね。あんたの仲間じゃない」


「お?オレがカブトムシだからってか?やっと虫スタイルって言うのはやめてくれるんだな」


「なに嬉しそうにしてんのよ」


「別に」


 オレは双剣を構えて、やつが動くのを待ち構える。みんなも臨戦体制を整えた。


 鎧武者がピクリと動くと、左右の壁や天井に吊るされているロウソクに火が灯った。そして、あいつのすぐ横の燭台にも火が灯る。


 暗くて見えなかった顔には、鬼のような、真っ赤な顔の仮面が隠れていた。


「VR訓練で見てたけど……怖いかも……」


「ま、あんなの余裕だ。師匠と比べればな」


「はは、そうかも」


『おい』


 鎧武者がゆっくりと立ち上がる。


『……あんときは、俺のダチが神器に触れたら襲ってきた。不意打ちだった。その一撃で、2人死んだ。今回はそんなことはしねー。正々堂々、正面から俺たちが勝つ』


「はい!いざ!尋常に勝負!」


 オレの言葉に呼応するように、鎧武者が左手を横に差し出した。


 ガラスケースの一つが開き、武器が吸い寄せられる。やつの手の中に弓がおさまった。そして、背中には矢筒が現れ、そこから3本の矢を取り出し、オレたちに向かって構える。


『的場、やれ』


「はい!」


 ゆあちゃんも同じように3本の矢を構えた。


 パシュシュ!同時に矢が発射される。

 ヤツの矢は、オレたちに届く前に、ゆあちゃんの矢にぶつかった。3本ともだ。空中でぶつかった3本の矢は、先端から凍りついて、地面に落ちパリンと割れる。


「やった!」


『まだだ!次!』


「はい!」


 やつが次弾を装填していた。ゆあちゃんとの攻防が続く。次も3本の矢を放つ鎧武者。ゆあちゃんも同じように返り討ちにした。矢は氷となって砕ける。

 そして、さらにもう一度矢を打ち終わると、ヤツの矢筒は空になる。


 やつは、それを確認せずに弓を放り投げた。


 右手をガラスケースにかざす。次は槍だ。

「面白かった!」


「ヒロイン可愛い!」


「今後どうなるのっ……!」


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