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第19話 目白駅ダンジョン

 入学式の後、オレたち3人は自分たちに割り振られた教室に向かった。

 エリート高校というだけあって校舎は綺麗で新しかった。教室には、中学時代に見慣れた3つしかない座席が並んでいたが、中学とは違い、椅子は高級なものだし、机は社長のデスクかというほど大きい。備え付けられているデバイスも最新のものだ。


 机の上に浮いているデバイスの起動ボタンを押し、試しに6つのモニターを空中に表示させてみる。しかし、デイトレーダーではないのでデュアルモニターにすぐに戻した。これだけのスペックのデバイス、ただの授業でどう活用するのだろうか。


 そして、授業がはじまる。迷宮攻略科というだけあってダンジョンに関する授業が半分ほどで、毎日のように実技訓練のスケジュールが組まれていた。


 それからは、毎日真面目に授業を受け、優等生かのような振る舞いをして、日々を過ごしていく。だが、心の中では、以前から考えていた計画を実行に移す日を待ち遠しく思っていた。


 3ヶ月後、ついにはじめてのダンジョン研修の時間がやってきた。計画実行の日だ。



「ついに、だな」


「ええ……」

「うん……」


「2人とも、覚悟はいいな?」


 2人が頷くのを確認する。


 オレたち1年生は、今日、はじめてのダンジョン研修を受けるために、ダンジョン前に集合していた。総勢100名弱の学生がダンジョンのゲート前に並び、5から10名のパーティごとにゲートに入っていく。


 研修に選ばれたのは、目白駅ダンジョン、オレたちが隅々まで知り尽くしているダンジョンだった。


 オレたち学生は、制服の下に戦闘服を着込み、キャリブレーションを終え、それぞれが得意な武器を持ってダンジョンへ入場していく。周りの学生は少し浮かれたような顔をしているやつもいれば、緊張して震えているやつもいる。


 でも、オレたち3人は違った。緊張はしていない。ずっと準備してきたからだ。浮かれてなんていない。オレたちは絶対に大切な人を助ける。そのために、ここまで積み上げてきた。


 オレたちの番がやってきた。3人でゲートの前に立ち、頷き合う。


 オレたちは今日、この日、このダンジョンを攻略するために、ここに立っていた。



 ゲートのモヤをくぐり、ダンジョンの中に踏み入れる。


 ゲート付近では他のクラスのいくつかのパーティが戦っていた。相手はレンガでできたゴーレムだ。2メートルほどの大きさのゴーレムをパーティ全員で囲んで、真剣な顔で対峙していた。

 今日の研修では、1パーティ1体のゴーレムを倒すのが目標なので、みんな、素直にその目標を達成しようとしているようだ。


「わたしたちは、ボス部屋までなるべく戦わずに行くわよ」


「ああ」


「体力温存だね!作戦通りいこっ!」


 ゆあちゃんの明るい声を聞いてから、オレたちは鈴を先頭に歩き出した。


 目白駅ダンジョンは、黄土色のレンガで作られた坑道のようなダンジョンで、左右上下5メートルほどの広さの道が何本も枝分かれしている。


 オレたちは慣れた足取りでボス部屋を目指して歩いていく。レンガの壁にはところどころ植物や樹木が露出しているので、緑を見ることができる。天井には鈴蘭のような植物が定期的にぶら下がっていて、それが発光しているため、坑道内の光量は十分だ。これらの植物があるおかげで、目白駅ダンジョンはあまり不気味さを感じない。


「順調ね」


 10分ほど進んで、モンスターと遭遇しないため、鈴がそう言った。しかし、それがフラグだったのか、前方から騒ぎ声が聞こえてくる。


「撤退!撤退しろー!」


 前から10人くらいの学生たちが走って逃げてきた。奥から5体のゴーレムが追ってきている。


「引き返す?」


「いや、倒そう。戻る時間が勿体無い」


「了解」


「ゆあに任せて!」


 ゆあちゃんがアーチェリーを構える。


 逃げてきたパーティはオレたちのことなんか気にせずに通り過ぎていった。


 パシュ!ゆあちゃんのアーチェリーから射出音。さらに続けて2本の矢を放った。三本の矢が3体のゴーレムの額に直撃し、身体を光の粒に変える。


「お見事!」


 オレは左のゴーレム、鈴が右のゴーレムに駆け寄った。


 地面を蹴り、壁を蹴って、額を狙って双剣を振るう。額のルーン文字を斬り裂くとそいつは動きを止め、光に帰っていった。


 鈴の方も、ゴーレムの右ストレートをひらりとかわし、そのまま拳の上に着地して、二丁拳銃のトリガーをひねる。銃口から黄緑色の光弾が飛び出し、額に直撃した。


 オレたちは、一瞬で5体のゴーレムを倒しきる。何度も倒してきた相手だし、授業でも額を狙えば簡単に倒せると説明されていた相手だ。だから、オレにはさっき逃げていった奴らに疑問を感じずにはいられなかった。


「あいつら、なんでこんな雑魚相手に撤退したんだ?」


「あんた……それ、本人たちに言わないでよ?」


「なんで?」


「嫌味だからよ」


「ふむ?」


「ノンデりっくんは、そういうのわからないよ、鈴ちゃん。さ、進もっ」


 また、ゆあちゃんに変なあだ名で呼ばれてしまった。オレはあまり気にしないように努めて、2人の後を追う。ボス部屋まであと1時間ほどだろう。

「面白かった!」


「ヒロイン可愛い!」


「今後どうなるのっ……!」


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