side story:シャルル・ノーヴァス①
今回はside story のみです!
人生はつまらない。面白くないし楽しくない。だから今すぐに死んで永遠に寝ていたい。
「シャルル!ちょっといいかぁ?マスターがお呼びだ。」
「チッ…面倒くせぇ…。」
今日も面倒くさい日が始まる。元々孤児だった僕を闇ギルドのマスターが拾ってくれて、それからは暗殺者になるために叩き起こされては訓練をする日々を送った。感謝はしているが正直訓練は面倒くさい。訓練の内容は様々…毒の耐性をつけるためにわざと毒を飲んだり…獲物を一人で仕留められるように魔獣しか居ない森へ放り込まれたりなど。その他にも剣術や話術、魔法に隠密、暗殺まで闇ギルドで生き残るためにありとあらゆる技術と知識を叩き込まれた。今では王族からも依頼を受けるようになっていた。
「シャルル…王族からおめぇに依頼が来てるぞ。パティンソン公爵家が不正を働いているらしい。不正の手口と主犯をを見つけ出し始末するという内容だ。不正に少しでも関わった者もリストにまとめておいてほしいそうだ。やり方は問わないと書いてあるぞ。だから殺しても構わん。」
「えぇ〜パティンソン公爵家ぇ?あそこ近づきたくないんだよねぇ〜…なんか不気味なんだよぉ〜。」
「この任務を遂行してくれたらなんでも願いを一つ叶えてやる。どうだ?」
「願いなんてないよぉ〜…。はぁ〜でも最近暇だし…仕方なくやってあげるぅ。報酬は弾んでよねぇ〜。んじゃぁ〜下見行ってくるねぇ〜。」
転移魔法でパティンソン公爵家の領地に侵入した。色々調べてたら家臣の数名が脱税をしている事が分かったが途中でめんどくさくなり屋根裏でゴロゴロしている。
(チッ…めんどくせぇ…やっぱ断ればよかった…。明日はとっとと終わらせて帰ろう…。)
次の日、不正をしているやつを一人殺し、そいつに化けてもっと詳しく調べ上げた。その後主犯とその仲間を眠らせ王宮が管理している監獄に転送させた…面倒くさくなったので後は王宮に任せることにしたのだ。そしてマスターに伝書鳩を使い任務完了の報告をした。
「あぁ〜疲れたぁ…。でも意外と早く終わったぁ…。ん〜帰りたいけど…ギルドに戻ったらまた新しい任務を押し付けられるからぁ…寄り道して帰ろう〜。霧の森にでも行こうかなぁ。」
霧の森。昼は静かな森だが夜になると霧が濃くなり魔獣が異常に活発に活動し始めるため夜は立ち入ることが禁止されている。だが警備員などは居ないため夜でも簡単に入れる。
「あぁ…相変わらず魔獣が多いねぇ〜…。よいしょっと…。」
数歩歩くと魔獣が寄ってくる。だがいちいち倒していては時間がかかってしまうので避けながら進んだ。
「確かこの辺だったようなぁ…あったぁ。」
森の真ん中には湖があり唯一魔獣が出てこない場所だ。夜中になると月の光により神秘的に光るので月の湖と呼ばれている。幼少期に何度も訓練のためここで寝泊まりした。
「ふぁ〜…眠いしちょっとだけ寝ようかなぁ…。ん〜?」
木の上で寝ようとしたが人の気配がしたため様子をうかがった。
「クククッ…ここなら誰にも気づかれねぇぞ…ククッ!おい!引っ張んじゃねぇよ!」
「良いじゃねぇか!こんなにたんまりあんだからよっ!」
「それもそうだな!ガハハハッ!」
どうやらこいつらは盗賊らしい。大量の袋の中に金貨がたっぷり入っている。
(ん〜ざっと17人ぐらいかなぁ…見つかったら面倒だし一旦ここを離れるかぁ…。)
「ん?おい!木の上に誰かいるぞ!」
「あ?誰だてめぇ!」
(チッ…バレたか…まぁ…いっか…。殺しちゃお…。)
グサッ…
「な?!なんだ?!てめぇ!」
グサッ…ザッ…ブスッ…
「グアア…!なんなんだ?!?」
グッ…プスッ…ズズ…
「助け…。」
1人また1人…刺しては引きずっての繰り返し。正直、人を殺すのは楽しい。殺す時色々な表情をしてくれるから飽きない。恐怖に歪んだ顔。絶望で歪む顔。呆気にとられる顔。どれも面白い。気づいたらもう終わってしまっていた。
「ふぅ〜もう終わりかぁ…。まぁ良いけどぉ…。」
その時、湖の反対側に人影が見えた。
(まだ仲間が居たのかなぁ?でもまぁ…もう少し遊べるから良いけどぉ………ん〜…?子どもぉ?)
「あれぇ…女の子?」
そこには可愛らし女の子が立っていた。