高給に釣られて始めたアルバイトが、別な意味でヤバかった件
御意見・御感想お待ちしています。
なお、洗脳、強制性転換、強制女装など、本人の意思を無視したこうした行動は犯罪です。絶対にマネしちゃダメ!
「じゃあ、次はこれね」
と、10代後半と思しき青年が手にしたのは、可愛いデザインのブレザー制服が掛かったハンガーと、紙袋だった。
「・・・まだやるんですか?」
そう呆れた声で尋ねるのは、今服を渡した青年とほぼ同年代の少女だ。
整った顔立ちに、豊かで形の良い胸、服の上からでもわかるほどメリハリがついたスタイルに、スラッとした手足という、それだけ見れば普通に美少女といえた。
ただその顔は、美しい顔とは不釣り合いな程のげんなりとしたもので、明らかに今の状況に「不満」と言っている。
というか、そもそも平日の真昼間からウサミミと黒ハイレグと同色の網タイツとハイヒールがセットになった衣装。つまりはバニースーツを、明らかに未成年の少女が着ている時点で、色々とおかしい。
しかし、そんな彼女の気持ちを無視して、青年は笑顔で。
「まだまだやるよ~」
と言った。
もちろん、その答えに少女は盛大に溜息を吐いた。
「はあ~。わかりました」
少女は青年からハンガーと紙袋を受け取り、トボトボと衝立の向こうに消える。
そして、十数分後。
「お待たせしました~」
「おお!」
出て来た少女は、先ほどハンガーに掛かっていた臙脂色のブレザー制服を着ていた。首元にはリボンタイが結ばれ、形よく膨らんだ胸が制服に覆われてなお、存在感を示している。
しかし、青年の視線が向かっている先は、ミニスカートから下の下半身。特に・・・
「うんうん。良く似合ってるよ・・・フフフ。やっぱりミニスカブレザー制服と、ニーソックスの組み合わせはいいね」
ミニスカートと太もも近くまで覆った黒のニーハイソックス、そして両者が作り上げる絶妙な素肌のライン、絶対領域に向けられていた。
もっとも、見られる方は自分の体を隠すように両腕で胸のあたりを抱きしめ、両脚をギュッと閉じ、さらに顔を真っ赤にしていたが。
さらに。
「この変態」
と悪態を吐く。
「変態で結構。君だって高給、つまりは金に惹かれて来たんだから、お互い様でしょ。ちゃんと約束したお給料は出しているんだし、君だって了承したでしょ?」
「それはそうですけど・・・だからって、流石に体を女にされて、延々着せ替え人形にされて、おまけにエロイ視線に舐め回されるなんて・・・」
ブツブツと文句を言う少女。
この少女、実は本当は男である。
時を遡ること数週間前、彼は仕事を探していた。それも、出来る限り実入りの良い仕事を。
「金がいるんだ~!!」
金が要る理由。それは簡単、借金をこさえてしまったからだ。それも、ギャンブルという、典型的な自業自得の理由で。
「畜生!こうなったらヤバイ仕事でもいい!」
人間切羽詰まると、色々と危ない方向に思考が行くが、この男もそうなった。
なお、犯罪はダメ。絶対にダメ。
しかし、男はついにヤバイ仕事を見つけてしまった。
「日当5万円!?住み込み、三食付き!?無期限!!何その好条件!!」
破格の、と言うより逆に胡散臭いまでの好待遇である。
しかし、切羽詰まっていた男はこの仕事に飛びつき、面接場所へと赴いた。
面接場所は、郊外の人気のない屋敷であった。
なけなしの金をはたいて、電車とバスを乗り継いで数時間。そこで待っていたのは、明らかに怪しい人相の・・・ではなく、どこにでもいそうな、眼鏡を掛けて品のいいスーツを着た、男と大して年代の変わらない優男の風の青年であった。
「いやいや、こんな山奥まで御苦労様です。早速履歴書を見させてもらいます。その間、お茶でも飲んで待っていてください」
「はい・・・グフ!?」
お茶を飲んだ途端、男の視界は暗転した。
そして次に目覚めると。
「何じゃこりゃああ!?」
悲鳴を上げる男・・・ではなく、少女。上げた悲鳴はまるでアニメ声優のような高く可愛い声。
そもそも、容姿がまるっきり変わってしまっていた。視線を下げれば胸には激しく自己主張する膨らみがあり、逆に股間の慣れ親しんだアレの感触が消え去っていた。
「あ、お目覚めだね」
絶叫し驚愕する少女の目の前に、先ほどの青年が現れた。
「あ、あんたは!?・・・俺の体に何をした!?」
「見てのとおり、女の子になってもらったんだ。そして君には、暫くの間僕の着せ替え人形になってもらうよ」
「なななな・・・」
ヤバイ仕事かとは思っていたが、男に女にされ、しかも着せ替え人形にされると言われ、気色悪いと思わない人間は、そう多くはないだろう。
「そんなこと出来るわけないだろ!」
「あ、そう・・・これでも」
「!?」
少女は差し出されたものを見て固まった。それは、彼が生まれて初めて見る札束(100万円)だった。
「そいつは前金。そして、仕事を引き受けてくれたら、さらに就職祝いの支度金に100万円出すよ。それに、給料も約束通り日当5万円は約束するよ・・・さあ、どうする?」
「お願いします」
お金の魔力には勝てない元男の美少女であった。そして彼女は、その日から着せ替え人形となった。
「は~。やっと終わった」
少女は今日の仕事(仕事と言っていいのか微妙だが)を終えて、与えられた自室に帰って来た。その口からは盛大な溜息が漏れる。
今日も今日とて、彼女は朝から晩まで雇い主のあの男が指定した服を、延々と着せ替えられていたのであった。
「たく、あの変態男。今日も散々恥ずかしい目に遭わせて・・・」
雇い主の男は、彼女に色々な服を着せてくる。それこそ、シンプルなワンピースやブラウスにロングスカートという組み合わせから、旧スク水着やブルマ体操着、挙句今日の様なバニースーツと言った露出の激しい服まで。
犯罪でこそないが、かなり際どい衣装も平気で着せてくる。
「ま、手を出してこないのは褒めるべきなのかな」
とは言え、雇い主の男は彼女を着せ替え人形にして、見入ったり、録画したり、写真に撮ったりはするのだが、決して手を出すようなことだけはしてこない。
「こんな美女を前にして、手を出さないとはね」
少女は部屋の中に置かれている姿見の前に立つ。
今の彼女は、フリルがふんだんに使われたネグリジェを身に纏っていた。
スタイル抜群の美少女が、扇情的なネグリジェ姿となっている。見る者によっては、中々刺激的であろう。そして、彼女自身その刺激に酔いしれる自分がいるのを、如実に感じ取っていた。
だが、ようやくここで彼女は気づいてしまった。その危うさに。
「ま、待った!何で手を出してこないことを不満に思うの?それに、この姿に酔うなんて!?」
頭を抱える少女。男としてなら、あり得ない感情を抱いてしまっていたからだ。
「ち、違う!この姿はあくまで、金のための一時的なもので、決して本当の私じゃない!」
が、ここ最近の自分の行動を顧みて、少女は余計に頭が痛くなっていった。
よく考えれば、バカバカしいほどの高給(+支度金)のおかげで、この仕事を始めた理由の借金はとっくに返し終わっている。なのにどうしてこの仕事を続けている?
「いやいや、それはお給料が良いから・・・」
その高給を最近では化粧品や美容品、さらにプライベートタイム用(ちゃんと休日と休憩時間はある。むしろ、ホワイト)の服や鞄まで買い込んでいる。もちろん、ちゃんと使っている。
さらに思い出すと。
最初は着るのさえ恥ずかしかった女性ものの下着や、スカートを極自然に身に着けるまでになっている。毎日着ているのだから「慣れ」と言ってしまえばそこまでだが、ピッタリと胸や臀部をサポートする感覚や、腰周りの解放感を今では普通に感じている自分がいる。
これらから、導き出される答えは・・・
「私、心まで女の子に!?」
そして、彼女は口を両手で抑えた。自然に自分のことを「私」と称していたことに愕然としつつ。
と、室内で少女が身も心も女性になりつつあることに愕然としている中。
「フフフ・・・やっぱり脈ありだね」
雇い主の青年が扉に聴診器を当てながら、不敵な笑みを浮かべていた。
「元々適性のある娘を選んだけど、順調に心まで女の子になっているみたいだね」
実はこの青年、少女を女性化の対象に選んだのは、単に面接に来たからではなかった。なぜなら、高給に惹かれて面接に来た人間は、これまでにも数人いたからだ。
青年は彼らに睡眠薬入りのお茶を入れて飲ませると、そのまま眠った男たちの体型や脳波を測定して、性転換後に自分好みの女性になるかの適性を毎回調べていた。
これまではこの段階で「適性無し」となり、起きたら「今回は御縁がありませんでした」と返していた。
だから少女が選ばれたのは当然「適性有り」となったからだ。そもそも「適性無し」では、いくら高給だからと言って、女性の体にいきなりされたり、女性の服を散々着せられたりしているのに、ここまで順応することはない。
そして青年の目論見通り、少女は精神的にもドンドン女性へと墜ちつつあった。
「ククク。でも、まだまだ。もっともっと女の子らしくして、僕のお嫁さんになってもらうからね。そうなると、そろそろ恥ずかしい系の衣装は止めた方がいいかな?明日からは落ち着いて上品な・・・着物とかもいいかな」
青年は、少女を完全に自分の女に堕とす策を、練るのであった。
・・・高給だからと言って、仕事内容や勤務条件、そして雇い主の性癖には、よく注意しましょう。