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第七話 犬っころ

「嘘…。」

幻想であり、空想の存在だと思っていた人物が目の前に現れて私は目を見開いた。

「何の用だ。…ん?誰だ?お前。」

男は私を頭のてっぺんから足先までをじろじろと品を見定めるように見ながら続ける。

「俺の記憶にはこんな女いなかったと思うけどなぁ…。でも、なんであの名前を知ってんだ?」

私に振り返り、「で、何やってんの?」と気軽に彼は話しかけてきた。

「あ…、た、助けてください!!」

唐突に表れた彼が何でもないように話していた為、自分の身の危険を一瞬忘れてしまっていた。あの狼は突如現れた人影に警戒し、距離をとっている。この緊迫しきっていた空気を彼は一切感じなかったようだ。

「え?助けろって何から?まさか、この犬っころじゃないだろうな…。」

(い、犬っころ!?!?!?)

私を殺してその死体を貪っていた生物を呼ぶ言葉ではない。

ありえないと私の顔が語っていると、彼はボソッと私に聞こえるか分からない音量で言う。

「これって…。」

「え?何ですか??」

聞き返す私に「なんでもー。」とニコニコと言い放つ。

「とりあえず、片付ければいいのねー。」



七話 犬っころ


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