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第六話 光
私の声がこだまする。私の全身全霊の叫びは誰に届くこともなく、消えていった。
(終わった…。一瞬見た映像の人間の名前を呼ぶなんて、なんて非現実的なのだろう。)
「どうしよう…。」
私の声により、狼は興奮状態になり先ほどよりも涎をだらだらと垂らしている。
それが私に飛び掛かろうと、態勢を整える。
(さっきと、同じだ…。)
前回死んだときの光景を思い出す。今から何が起こるのかが手に取る様に分かり、冷や汗と共に涙が出てくる。
「助けて…。」
私がそう懇願すると、唐突に目の前が光始めた。それは何ともまばゆく、妖艶で不気味だ。少なからず、この世のものが現れるとは思えないほどだった。しかし、それは私が生死を問われ、絶対的な死を目の前にしていたからなのかもしれない。その光が消え、目の前には一人の人影が立っていた。
「なんなんだ…。まったく。」
はぁ…。とため息をついてその人影は言った。そこには、勇者と呼ばれた男が立っていた。
六話 光




