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第二話 死
「ガルル…。」
背後から、突然唸る声が聞こえ私は現実に引き戻される。狼か何かだろうか。肉食獣であることは確かだろう。じりじりと私との距離を縮めるそれは、紅色の毛で全身が覆われ、鋭い牙が生えた口元からだらだらと淀を垂らしている。瞳は黄金に輝き木々の陰になった草むらの中でギラギラと主張してくる。私より一回りも二回りも大きいそれは私を獲物としか捉えておらず今にも飛び掛からんとした態勢だ。
恐怖で足がすくむ。背を向ければ即座に殺られる。しかし、何をしなくても結果は何も変わらないだろう。
(叫ぶ?でも近くに誰もいなければ、刺激するだけになってしまう…。)
考えても答えは出ない。
私が働かない思考を回している時に事は起こった。紅色のそれは私に飛び掛かり首に嚙みかかる。刺さるような激痛と共に息ができなくなる。苦しい。つらい。痛い。
(助けて…。)
意識が遠くなる中、小さく寂しそうな少年の声が聞こえた。
「またね…。」
そこで私の意識は途絶えた。
二話 死




