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第一話 異世界転生
疲れきった日々、いつもの道を歩き一つ溜息をつく。
「疲れた…。」
私は、去年新社会人として社会に駆り出され荒波の様な就職時期を乗り越え、たどり着いた先はブラック企業だった。上司は常に苛立ち、理不尽なことで怒鳴られ、なじられる。職場は常にぎすぎすとしている。典型的な就職失敗例だ。
今、巷では「転生」や「召喚」、「やり直し」なんて作品をよく目にする。プレイしていた
ゲームに転生。ほのぼのした異世界。なんて羨ましい物だろうか。
「私だって、こんなことになるつもりじゃなかったのに…。」
そんなことをただ、ひたすらに思う。ぶつぶつと今日、上司から言われた文句に対して考えながら帰路につき、疲れた体を癒すために即座にベッドへと潜り込んだ。
目を覚ますと、そこは見たこともない森の中だった。
「どこ、ここ。」
夢の中なのかと目を何度も擦るが、瞳に映る状況は変わらない。
「これ、現実ってこと…?」
確かに寝る前に「私だって異世界行きたい。」なんてふざけて言っていたけど、現実に起こると戸惑いと共にお先が見えない恐怖に襲われる。
(ここで死んだら、どうなるの…?)
怖い。怖い。いち早くこの場所から逃げ出してしまいたい。
絶望の淵に立たされていた私は、背後から近づく陰に気が付かなかった。
一話 異世界転生




