誘われました
指を空に向けてポーズを決めるアルフィス。
周りの視線が痛いのなんの、、。
「とりあえず指を下ろせ!、、ここじゃなんだ、いつもの酒場に行こう」
「ん?あぁそうだな」
俺たちは逃げるように酒場へ向かった。
いつのも酒場へと着き、酒を飲みながら話を聞くことにする。てか飲まずには聞いてられん。
「それで、、、なんで冒険者をやめて、そのホストクラブをやろうと思った?」
…アルがまた真面目な顔に戻る。
「…俺はな、シン、これ以上は強くなれん。もう限界なんだよ」
「なんだよ、いきなり、、、」
「Aランクにあがって、、、更に危険な依頼を受けるようになった。ケガをすることも増えた。俺の攻撃が効いていない魔物もでてきた、俺はここら辺が限界なんだ」
…なんだよ、それ、、そんなことまったく言ってなかったじゃねーか
「そんな、こと、、、」
「シン、お前も気づいていたはずだ。最近はお前の足を引っ張ってたってことに」
「そんなことっ!!!」
「あるんだよっ!!!!!」
ダァァンッ!!!!
アルの大声と共に、手に持っていたコップをテーブルに叩きつける。
「俺は、、お前と違って直線的な攻撃しかできない。魔法も、支援も、斥候も!…もうこれ以上は無理なんだ」
「・・・」
そんな風に思っていたなんて、、全然わからなかった。
「…これ以上はいつ死ぬか分からない、、その前に俺は冒険者をやめて、他の道を歩くことにする。、、すまねぇシン!」
「…わかった、お前がしっかり考えたうえで決めたことなら、、仕方がない」
…止めても無駄だろう、無理に依頼を受けても心が離れていってるんじゃ、、本当に死ぬだけだ。
俺はこいつに、死んでほしくはない。
…しかし、田舎に帰る手もあるはずなのになぁ
「故郷に、帰ろうとは思わなかったのか?」
「あぁ、それも考えた、、でも帰ったところでなぁーんもねーしなぁ、、」
ま、ほんとに山と川しかないド田舎だからなぁ、、
「それに、、、」
「それに?」
アルの顔がどんどん青くなっていく、、。なんだ?具合でも悪いのか?
「…モニカと、かーちゃんに、、冒険者の依頼がきつくなったからやめてきた、なんて言えるわけ、、」
「そ、、うだな、、たしかに、言えない、、か」
「あぁ、、下手をすると命にかかわる」
…冗談ではないので笑えない。
アルフィスの母親は昔、冒険者をしていたそうで、小さなころから俺や、アルフィス、そしてアルフィスの妹のモニカを鍛えていた。
いや、鍛えていたなんでもんじゃない、、。あの人の訓練は地獄だった。
2人して幼いころからのトラウマ、、もとい訓練を思い出し顔が青くなる。
俺たちがすぐにAランクまで上がれたのも、アルフィスの母親が鍛えてくれたからだ。
「…い、言えない、、言えないんだ、そんなこと言ったら、、またあの地獄が!」
「…あとでバレても俺は知らんからな」
俺は関係ない、地獄に行くなら1人でいってくれ!
「折を見て、ちゃんと連絡するよ、、」
そうしておけ、、命のために。
「さて、なあシン」
「ん?なんだ?」
真面目な顔を作り、顔の正面で手を組んだアルフィス、そして満面の笑みへ。
「…お前もホスト、やらないか?」
めっちゃ良い笑顔でなに言っちゃってんの?こいつ