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田舎娘、神様に会いたい

只今連載中の「神の守護騎士」と言う作品の番外編みたいなものです。こちらを読まなくても大丈夫なように書いているつもりです。

気まぐれに思いつきで書いたので更新頻度は不明です。

 西の大陸ヴァラトス国。少女は魔物と目が合っていた。一触即発とはまさにこの事で、指1つ動かせば魔物が襲いかかって来る勢いだ。

 少女――ドルチェは今日、11歳の誕生日だった。だが、裕福でもないいたって普通の、いや、少し貧乏な家庭で育ったため、誕生日と言っても特に何があるわけでもなく、母親がドルチェの為に奮発して小さなケーキを作ってくれるだけだ。ドルチェはそれで満足で、今日もそのケーキに飾る野いちごを採るために、森へとやってきた。

 普段鹿やうさぎなどの動物しか見かけたことがなかったため、まさか魔物がいるとは知らず、ドルチェはこのままここで死ぬのだろうかと、幼心に諦めていた。


(今日の誕生日だけでも……ママのケーキだけでも食べさせてよ!神様助けて!)


 心の中で叫ぶと同時に、痺れを切らした魔物が襲いかかる。


「………っっ!!!」


「…………??」


 待てども魔物が噛み付いて来ず、恐る恐る目を開ける。


「大丈夫ですか?」


 そこには魔物ではなく、キラキラと金色の髪をなびかせた中性的な顔立ちの人物が立っていた。ドルチェは瞬時に、この人が魔物から助けてくれたのだと理解した。


 その人がどれだけ尊い人なのか知ったのは、家に戻ってからだ。母親は地面が磨り減るのではないかと言う勢いで土下座をしているのを見て、ドルチェは同じように土下座をしてお礼を言った。


「止めて下さい。私は当然の事をしただけなんですから。」


 なんて慈悲深い。ドルチェはその人物と名前を、目と耳にしっかりと焼き付けたのだった。





 ――5年後。


「え!?ルクス様がオリエス国に来てるの!?」


 ドルチェは食べかけていたパンを飛び散らせ、興奮気味に話し相手の弟、ロージに向かって叫ぶ。見事に食べかすが顔にかかったロージは、嫌悪感をあらわにした。


「……信じらんない。」

「ごめん。」


 母親からタオルを受け取り、顔を拭く。


「オリエス国なんて全然遠いだろ。反対側だよ?何でそんな興奮出来るんだよ……。」

「だって、地図上で見れば近いじゃない!」

「そりゃ家の地図上では30センチだけどさ。てかスピルス大陸の方が近いし。」


 子供の頃に助けてもらって以来、命の恩人であるルクスの信者となってしまった。もう一度会ってお礼を言いたい。もう一度そのご尊顔を拝みたい。毎日毎日、そう呟いている。


 教会に行っては神官にルクスの話を持ちかける。しかし面識があまりないと言う神官は話せることはなく、勝手にルクスの事を喋るドルチェに迷惑していた。それが飽きずに毎日繰り返される。

 比較的平和なこの村は1年に1回、教会騎士団が巡回に来る程度で、ルクスが来る程でもない。それを知ってからは、その教会騎士団にも話しかける始末だ。


「会いに行けばいいじゃない。スピルス大陸まで。」


 ウンザリとした言い方で、母親は提案する。それにドルチェは困った顔をする。それもそうだ。一昨年父親を亡くし、それ以来ドルチェは村の人々の手伝いや、得意のお菓子を少し作っては店に置いて貰って生活費を稼ぐのを手伝っていた。もし自分が家を空ければ、少しだが収入が減る。それを気にしているのだ。それに、スピルス大陸まで行くための資金もない。


「ロージがいるんだから、何も心配いらないわ。それに船賃くらい用意出来るわよ。」

「でも……。」


 困惑するドルチェに、ロージはイラつきと日頃の迷惑さを込めて放つ。


「毎日聞かされるこっちの身にもなれよ。さっさと会いに行ってお礼でもなんでも言ってくればいいだろ。」

「……ほんとに、行ってもいいの?」


 ドルチェは2人の顔色を伺う。それは呆れた笑顔だったが、もちろん否定的なものではない。それをわかったから、ドルチェは嬉しそうな笑顔で2人に抱きついた。


「ありがとう!嬉しい!」

「全く。そんなにルクス様に会いたいなんて、珍しい子だね。」

「でもさ、そう簡単に会えるわけ?相手は神様みたいなもんだろ?」


 せっかくの気分に水を差すロージに、ドルチェは変わらぬ笑顔で答える。


「大丈夫!なんたって私はルクス様を崇拝しているんだから!」


 何の根拠もない自信に、母と弟は一気に不安になるのだった。

唐突に女の子同士の話が書きたくなったので、気まぐれですが書いてみました。落ちとか多分ないですが、暫くお付き合い下さい。

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