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4話 空間転移


 さらに、半年が経過した。


 俺とアリシアは順調に育っています。


 俺はだいたい2歳。アリシアは1歳になった。


 そして、たった今、アリシアは初めて立ち上がろうとしている。




 俺の身体を支えにして。

 俺にしがみついて。




「アリシア、もう少しだ!」

「もう少しよ! 頑張って! アリシア!」


 ……うん。がんばれアリシア。


 父さんと母さんは声を出して応援しまくっているけど、俺は静かに見守る。


 ここで声出したら、アリシアは驚いて落ちてしまいそうだから。


「んんんうう!」


 どうして、アリシアが俺を支えにするようになったのか。


 ……ぶっちゃけ、分からない。


 いつの間にかこうなっていた。


 だけど、そういうものなのかもしれない。役得役得。


 そして、


 そして、


「だあ!!!」


 ぎゅっと俺にしがみつきながら、妹は見事に立ち上がりました。


「きゃー! やったねアリシア!」

「さすが俺と母さんの子だ!」


 心から嬉しそうに叫ぶ両親。

 これもまた、そういうものなのかもしれない。


 俺は俺で、ゆっくりとアリシアの頭をなでていた。


「すごいね! アリシア!」


 そうやって褒めると、アリシアは「いー!」と笑顔を見せた。




 とても愛らしいと思った。




 もう少ししたら、アリシアもしゃべるようになるのかな。


 できることなら、この子の笑顔がいつまでも続きますように。



   ♦ ♦ ♦



 これから、ディメンションと話す。


 家の中で1人でいる時を狙えば、ディメンションとの話に集中できる。


 次のように尋ねた。




 アリシアはいずれ、勇者として生きてきた記憶を取り戻すのか?




《【次元魔法】で記憶も封じている。絶対とは言えない。だが、お前が解こうとしない限りは思い出さないだろう》


 なんだろう。

 いずれ本当に思い出してしまいそうな気がする。


 まぁいい。

 今考えても仕方がない。


 それで、何か用か? 1人でいれる場所に移動しろだなんて。


《ああ、そろそろ始めようと思ってな》


 ……? 何を?




《戦闘訓練。要は実際に【次元魔法】を使ってみる》




 その一言に、俺の心臓は高鳴った。


 いい、のか? 俺はまだ2歳になったばかりなんだが。


《散々、魔法の訓練をしたがっていたくせに、ここに来て怖気づくのか?》


 ……いいや。ビビるものか。


 やれるならやる。喜んでやる。


《そうだよな。幼児だろうが何だろうが、力があるなら『守れる』さ。それができるのが【次元魔法】だ》


 あ、でも1つ、気になることがあって。


《女々しいな! 腹をくくれ!》


 たしかにうだうだしているのかもしれないが、大事なことなんだ。

 どうやって【次元魔法】の練習をするんだ? もしかして、父さんと母さんには【次元魔法】のことを話すのか?


《それはありえない》


 スパっと、言い切られた。


《とっとと強くならなきゃいけない。魔物も倒さなきゃいけない。というか、訓練で実際に倒しに行く。なのに親に知られてしまったら、心配されて自由に行動できなくなるだろう》


 分かってる。

 そんなことくらいは予想がつく。


 だけど、2歳である俺が、親に知られずに外に出るなんて無理があるだろう。絶対に止められてしまう


《そうだな》


 あっさりと肯定されて、だが、ディメンションの言葉には続きがあった。


《だからこそ、お前は最初に、ある【次元魔法】を覚えなければならない》


 ……それは?




《『空間移動』――テレポートだ》




 そんなこともできるのか。【次元魔法】っていうのは。


《時間や、空間に作用するのが【次元魔法】だ。だからあの時、生まれ変わることができた》


 ……今はさすがに、生まれ変わったりはできないんだよな?


《木端微塵に破滅して、存在自体なかったことになってもいいなら、可能だ》


 それ、生まれ変わったと言えないだろう……。


《とにかく、テレポートが使えれば、少しの時間は内緒で外に出れる》


 それでも対して時間はとれないだろう。


《分かってないな。村の外に一瞬で飛んで、そのあたりにいた魔物を一瞬で潰し、家の中に一瞬で帰る。……完璧な作戦だ》


 ……なるほど?

 どこか家の中の隠れられる場所からテレポートでまた一瞬で戻る、のか?


《お前はまだ実感が持てていないかもしれないが……【次元魔法】はとんでもチート能力だ。やってやれないことはない》


 そう言われると、これからの自分に期待が膨らんでいく。


 よし、始めよう。


 さっそくテレポートを使ってみたい。




《よし! じゃあ、実際にテレポートをやってみるんだ》




 ……え?


 どうやって?


《気合で》


 訳わかんないこと言ってないで、さっさと教えてくれ。


《別に間違ったことは言っていない。自分を信じて、死ぬ気で瞬間移動をイメージして、無理やりでも強引にでも、ぶちかます。ああ、それから、本当に適当にやるなよ。そんなことしたら、そこらへんの壁に激突するどころか、埋まるぞ》


 ……なんかとんでもないこと言ってる。


 いや、でも。

 このやる気が頂点まで上がっていないというか、何が何でもやり遂げる意思がないことはまずいのかも。


《以前、成し遂げようとする意志が【次元魔法】に必要不可欠と言ったのを覚えているか? アリシアにやルリアと生まれ変わった時に、2人を助けることを死ぬほど望んでいたのを覚えているか?》


 そうだ。その通りだ。


 まったく俺は……、何度も同じ失敗を繰り返してんじゃねえよ。




 助けるって決めただろ。




 ……よし、やろう!


 本気で!!! 気合で!!! イメージして!!!

 何が何でも絶対に成功させる!!!

 

 いくぞ!!!


 空間転移!!! 発動!!!


 …………。


 ……。



 ♦ ♦ ♦



 結論から言うと、ぐわんと、1センチぐらい瞬時に身体が移動した、らしい。


 現実はうまくいかない、という風には考えない。


 さて、まだまだ修行の時間だ!




 ……次の瞬間に魔力切れに気がついて、絶望するのはまた別の話。




ここまで読んでくださって、本当にありがとうございます!!


まことに恐縮ですが、お願いがあります!


この物語を読んで面白いと思っていただけた方は、ぜひブクマと評価をしてください!


画面下の「☆☆☆☆☆」をクリックしていただければ泣いて喜びます!


皆様、これからもどうぞよろしくお願いいたします!

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