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全員バトン  作者: 森野昴・シンG・しいたけ・ぼるてん・黒イ卵・間咲 正樹・陸 なるみ・マックロウXK・砂臥環・砂礫零・秋の桜子・かわかみれい・べべ
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6月 (間咲 正樹)

 一方その頃、あの世では。


「「「「はっぴばーすでーとぅーゆ~。はっぴばーすでーとぅーゆ~。はっぴばーすでーでぃあ第六天魔王~。はっぴばーすでーとぅ~~~ゆううううう~~~~~」」」」

「ありがとう! いやあ、みんなありがとう!」


 誕生会の主役がよく被っている三角帽子を頭に乗せて屈託ない笑顔を振り撒いているのは、日本一有名な武将と言っても過言ではない、あの織田信長その人であった。

 本日6月23日は、信長の誕生日なのだ(※諸説あります)。


「殿、お誕生日おめでとうございます。私からの誕生日プレゼントはこちらです」

「おっ、サンキュー光秀!――おおっ! これ、俺がずっと欲しかった、『敦盛・オブ・ザ・デッド』のDVDじゃん! やるな光秀! これ今生産中止で、どこにも売ってないのに!」

「ふふ、探すのに苦労しましたよ」


 光秀と呼ばれた男は、かの有名な明智光秀である。


「へへへ、じゃあご褒美にくすぐってやるな。ほら、こちょこちょこちょ~」

「はっ!? ちょっ、今日ぐらいはやめてくださいよ殿! う、うひゃひゃひゃひゃ」

「こちょこちょこちょ~」

「うひゃひゃひゃひゃ。マ、マジでやめて」

「こちょこちょこちょ~」

「やめて。やめ、やめ」

「こちょこちょこちょ~」

「やめてって言ってんでしょうがッ!!! 第五天魔王にすっぞッ!!!?」

「っ!!」


 光秀は突如ブチギレた。

 光秀は普段は温厚だが、キレると怖い男なのだ。


「ファラオッホッホッホ、ファラオめでとうございます信長様。わたくしからはこれです」

「ありがとよパトラ。お、『プトレマイオス朝饅頭』じゃん。これ、薄皮で美味いんだよな~」


 パトラと呼ばれたおっぷぁいが大きい美女は、世界三大美人の一人、クレオパトラである。

 因みに『ファラオッホッホッホ』という口癖は、彼女が自分で考えたキャラ付けだ。


「フンッ! 何よ信長! パトラのおっぷぁいばっかガン見して! 傾国するわよッ!! その後、開国もするわよッ!!!」

「いやいや楊貴妃、もうとっくの昔に日本は開国してるって」


 楊貴妃と呼ばれたちっぱいの美女は、世界三大美人の二人目、楊貴妃である。

 彼女の生き甲斐が傾国することなのは、言わずもがなだ。


「フンッ! しょうがないから私もプレゼントあげるわよ! だ、大事に使いなさいよねッ!」

「お、おお。……ん? 何この紙の束?」

「肩たたき券ならぬ、傾国券よ!」

「傾国券?」

「それ一枚につき一回だけ、私が好きな国を傾国してあげるわ! ありがたく思いなさいよね!」

「あ、うん……。さんきゅー」


 信長は苦笑いを浮かべながら、傾国券を懐に仕舞った。

 信長はどちらかというと国を統一する方が好きなので、傾国は趣味ではないのだ。


「ども~、ほんじゃ、あーしからはこれね~。ノッブとミッチーをイメージして作った~、弥生土器の夫婦茶碗どぅえす」

「はあっ!?」

「おおおおッ! やるじゃん卑弥呼! 早速今日から一緒に使おうぜ、光秀!」

「い、いや、私は……、その……」


 卑弥呼と呼ばれたウザい喋り方の美女は、邪馬台国の女王、卑弥呼である。

 クレオパトラ、楊貴妃ときたら三人目は小野小町なんじゃないの? と思われた方もいるかもしれないが、リレー小説の世界では、世界三大美人の三人目といえば卑弥呼なのである。

 古事記にもそう書かれている。


「ふぉっふぉっふぉっ、盛り上がっとるようじゃのう、諸君」

「あっ、神!」


 そこに現れたのは、ブーメランパンツ一丁で、肩幅が二メートルくらいはあるムキムキマッチョな爺さんである。

 何とこのゴリマッチョジジイこそが、この世界の神なのである。


「ではワシからもお主に一つプレゼントじゃ。コスプレスイッチぽちー」

「?」


 ゴリマッチョジジイが、手に持った『コスプレスイッチ』と書かれたスイッチを押すと、一瞬で光秀の着ている着物がウェディングドレスに変化したのであった!


「えーーー!?!?!?」

「うおおおおおおおおお!!!! スゲーな神!! 流石神! 神ってるなッ!!」

「ふぉっふぉっふぉっ、そうじゃろうそうじゃろう。6月といえばジューンブライドじゃからな。特別サービスじゃよ」

「いやいや、だったら私じゃなく、世界三大美人に着せてくださいよ! 何で男の私が着なきゃいけないんですか!?」

「いや光秀、俺はお前に着てほしいよ」

「っ!……と、殿」


 信長は凛々しい顔で、光秀の手を握った。

 二人のバックには、大量の薔薇の花が舞っている。


「……俺の部屋で、二人で敦盛踊ろうぜ」

「…………はい」


 仲睦まじく二人で歩いていく信長と光秀の背中を、世界三大美人の三人は恍惚とした表情で見守っていた。


「「「推しカプ~」」」

「ふぉっふぉっふぉっ、今日も世界は平和じゃのお」







「なーんて感じにあの世はなってるんじゃないかと思うんだよ、俺は。今日6月23日だし」

「アホクサ。相変わらずお前の言ってることは意味不明だな。正月に書いてた書き初めもそうだったけど」

「何だよ、一応今のは、先月お前が作ったパングラムから着想を得たんだぞ。ほら、あれに『うほ』とか、『神エロ』って謎の単語が入ってただろ?」

「ふーん」

「? どうしたんだよ、ノリ悪いな。何か嫌なことでもあったのか?」

「嫌なことっていうか……」


 やつは意を決したように唇を真一文字に引き結んで、言った。


「……思い出したんだよ、俺」

「思い出した?」


 何を?


「……俺の前世は、坂本龍馬だったってことをさ」

「…………は?」


 今、何と?

因みに少し調べた限りですと、ハッピーバースデーの歌詞は1999年で著作権が切れてるっぽいので、使っても大丈夫かと思って使っちゃいましたw

お手数ですが、誤字や明らかに描写がおかしい箇所等ございましたら、ご指摘いただけますと幸いです。

また、信長やクレオパトラ等の描写については、なるべく私が書いた他のリレー小説を見たことがない初見の方にもわかるように書いたつもりですが、わかりづらいところ等がございましたら、あわせてご指摘ください。

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