4月 (ぼるてん)
4月になり、俺は女コマンドーの元で修行をすることになった。
日々の修行メニューは、ラブレターの書き写し600回とチョコレートの大食いだ。
そもそも何故、女コマンドーの元で修行をしているのかというと、俺が先月チョコレートを買った洋菓子店の会計窓口に居た若いお姉さんは、なんと女コマンドーの妹だった。
どうやら、あの日の事を女コマンドーに話したらしく、校門で待ち伏せされ、俺は強制的に女コマンドーの修行を受ける事となった。
ちなみに、その時に偶然居合わせてしまった“やつ”も巻き添えを食らい、共に修行している。
女コマンドーに声を掛けられるまでは洋菓子店は心に安らぎを与えるなんて思っていたが、とんでもない。
あの店は俺達を修羅の道に突き落としてくれた樹海だった。
そんなわけで、俺達は毎日のようにチョコレートを貪り、ラブレターの書き写しに励んでいる。
なお、ラブレターの書き写しだが、俺は達筆という理由で一日600回のノルマだ。
しかし、やつは字が汚いせいか一日6万回を命じられている。
俺はふと、ブランデーの匂いを口から漂わせながら、やつへ向け小声で呟く。
「な、なぁ、これって修行なのか?」
「わ、わからん。拷問にしか感じないが……」
すると、俺達の眼前に丸い物が飛んできた。
これは……まずい!
「ドーン!!」
その直後、爆発と共に黒煙が立ち上る。
「ダメだろう、お前達! 気を抜いたら修行にならないじゃないか!」
丸い物の正体は、女コマンドーの放った手榴弾だった。
手榴弾は俺達を吹き飛ばすが、不思議なことに俺達は傷一つ負うことなく地面に叩きつけられる。
どうやら修行の成果が出てきたらしい。
「気を抜いてなんかいません、女コマンドー! 」
俺は立ち上がり抗議するも、女コマンドーは鼻息を荒くしながら声高に口を開く。
「はんっ! お前、さっき唇をチロリと舐めただろう? 嘘なんてお見通しだ!」
どうやら嘘がバレていたようだ。
女コマンドーは言葉を吐き捨てると、俺達へ向けマシンガンをブッ放してきた。
「ドドドドドドドド!!!!!!!!」
俺は華麗な足捌きでマシンガン避ける。
しかし、横を向くとやつはマシンガンの餌食となり、チョコレートとも血液とも知れない赤黒い液体を口から流していた。
そんなわけで、俺は修行の日々を過ごしていた。
最初こそ、鋼の心で挑んだ修行だったが、今となってはチョコレートの如くドロドロに溶け落ち、惰性に身を任す。
やつも最初は女賢者先生に告白するんだと熱く夢を語っていたが、今では女コマンドーをジト目で眺めている。
俺達は未来に絶望し、下半身を丸出しにしながら、ひと月が経とうとしていた。




