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デッドオアラブ~Dead or Love~  作者: 平河 宗真
8/8

8話シリアスからコメディへと

「それじゃあ弥は今から送るデータをまとめて」

そう言ってみづきは慣れた手つきでタブレットを操作して弥にファイルを送信していく。

弥も一つ一つ開封していきながら目を通していく。

内容は久遠家の中でも自分、久遠弥に関係する社員に関するデータで一つのファイルを開封するのに通常の倍以上を要する。それだけ自分に関わっている人が多いと考えれば感謝感激と言った感じなのだがこれを全員調べるのかと思うともう少し減らしてもいいのではとも思う。

しかし一度引き受けてしまったことだ。最後までやるしかない。弥は全てのデータを受け取った後に自室に籠ってデータの解析とそれをまとめる作業に取り掛かった。

そして数十分後。弥はタブレットを持ってみづきの元を訪れる。

「あら、随分早かったわね」

「ちょっと気になる事があってな」

そう言って弥は画面を見せる。

「何だこの弥隊っていうのは」

「その名前の通りです。護衛はもちろん、道に落ちている小さな石を回収して転倒を防ぐなどの些細なことまでも行う特殊警備隊です」

「そんなのがどうして五十人以上いるんだ」

「先ほど言った通り様々なことをする部隊なのでそれなりに人員が必要なの。ここに割当が書いてあるわ」

そう言ってみづきは自分のタブレットを見せて来る。

するとそこには顔写真や履歴と共に担当割当が記載されていた。

それには身辺調査係などの重要そうな担当から、仕事人という謎の担当もあり、こんなことのために人材を集めていると思うと呆れてしまう。

「ん?身辺調査係?」

弥は最初に目に入った担当に疑問を持った。

「その名の通り身の回りに居る人間が問題ない人間なのかを調べる係よ」

「……この係の奴が犯人なんじゃないのか?」

「そうでも無いの。この弥隊はその特性上ほとんど活動しない係が存在するのです。そんな人たちに不労所得を渡すわけにはいかないから様々な係に小間使いとして一時移動するということがよくあるの。だから全部の係の人間が操作可能な状態になってしまっていたわ」

「どんだけ馬鹿なシステムなんだよ」

「ちなみにこのシステムを考えたのは弥のお父さんよ」

おい親父、何してるんだ。いつもコスト削減コスト削減と口癖のように言っているのにとんでもないところにコストをぶち込んでるんじゃねぇかよ!

とりあえずこの前のアミューズメントパークの件と一緒に一度家族会議を開く必要がありそうだ。

「とりあえず分かった。作業を続ける」

そう言って弥は再び部屋に戻ってデータの集計と分析を行う。

データには人物名とその役職と身辺について、さらには仕事内容の報告や細かいところだと何時から何時まで会社に居てこの時間にはここに居てこの時間にはPCを使っていたなどの細かすぎる内容までもが記載されている。まずはいつ働いていたかや、その仕事内容と場所などをまとめて可能性の高そうな人物をリストアップしていこう。

そうして弥は数時間ぶっ続けでデータ確認を行った。

「弥、少しいい?」

ベッドの上に寝転がっていた弥のもとにみづきが訪れる。

「ん?どうした。作業ならいったん休憩中だ」

「それはいいわ。それより少し気になることがあって」

そう言ってみづきはタブレットを見せる。

「弥に送ったデータの中に石田優奈という人物がいたと思うのですがこの人物の行動履歴はまとめ終えてる?」

「石田?ちょっと待ってくれ」

弥は起き上がり、データを調べる。

五十音順でまとめていたのでとっくに調べ終わっているはずだ。

「あったぞ。これだ」

そう言って弥はみづきに情報を見せる。

自分が見た限り今のところは普通で特に違和感や怪しい点は無い。

「ぱっと見普通ですね…。寧ろそれが怪しいような…」

「そんなこと言ってたらきりがないぞ。それともこの人に何か思うところがあるのか?」

「えぇ、いくつか」

そう言ってみづきはその画面の写真を撮り部屋を出て行こうとする。

「ん?教えてくれないのか?」

そんなみづきを弥は呼び止める。

てっきりそのいくつかの点を教えてくれるかと思っていた。

「これは個人情報に大きく関わる問題だから弥には言えない」

「そんなこと言ったら今やってることなんて全部個人情報に関わりまくってるじゃないか」

「それはそうだけど…」

そう言ってみづきは考え込む。

「…それでもだめだわ。言うことが出来ない」

「一心同体」

「うっ」

そんな弥の一言にみづきは声を上げる。

その顔は口角が上がりながらも何とかそれを抑えようと口の筋肉が強張っていて何とも言い難い表情になっている。

どうやら自分はみづきの表情や決意のようなものを揺るがすほどのチートコードを発見してしまったようだ。

だが使うたびにみづきとの距離感を縮めているようで、ある意味での既成事実になる気がするのでむやみやたらに使ってはいけないとも思う。

「そ…それでも駄目です」

だがみづきは意思を貫き通す。

「そうか…残念だなぁ…」

弥がそうわざとらしく言うとまたみづきは苦しそうにする。

これは押せば行けるな。弥はそんなみづきの様子を黙って見つめる。

しかしみづきはこんなに分かりやすい性格だったけか。

昔はもっと無口でおとなしい、言い方はあれだがアンドロイドのようであったが今のみづきはなんというか、指先でチョンとつつくだけで反応を見せると言った状態だ。

これまで自分への思いを我慢してきたとは言っていたがここまで爆発するような思いだったとは思わなかった。

「こ…交換条件です。今晩私と一緒に眠ってください。それなら教えます」

動揺した様子から一気に冷静な口調となり、そう言ってきた。

「いや何で?」

「だから交換条件です。欲しいものがあるときには無理やりか交渉しての二つしかありません。そして私は例え弥からどんなにひどいことをされても絶対にいう事はありません。寧ろ肉体的なことなら大歓迎です」

なぜかみづきはそう豪語してきた。

「いや、でもこれは共有すべき情報だろ?どうしてそれが有料なんだよ」

「私にとってこれは共有すべきものではありません。それを添い寝と言うある意味でのご褒美で提供してあげるんですよ」

「お前にとってのご褒美だろうが俺にとっては危険を伴う行為だ」

「いや、本当に寝るだけですから。それ以外は何もしませんから。ちょっと休むだけですから」

みづきはそう早口で言う。しかしながらその視線は弥の視線とはぶつかっていなく、確実に嘘であることが分かる。

「……分かったよ」

弥はしぶしぶ了承する。

みづきがここまでして隠そうとすることが気になるし、それに内容によってはクーリングオフということで逃げればいい。まあ重要なことであったとしても約束を無為にするのだが。

「そうですか。それでは今夜、部屋の鍵は開けておいてくださいよ」

そう言ってみづきは再び部屋から出ようとする。

「ちょっと待て、言わないのか?」

「言うのはベッドの上で。それに今言ってしまうと弥は逃げてしまいそうなので」

バレてた。流石幼なじみと言ったところか。

「それじゃ、なにかあったらいつでも連絡して」

そう言ってみづきは部屋を後にした。

弥はベッドにうつ伏せに倒れ込んで唸る。

とんでもないことになってしまった。

みづきのあの下半身への視線。

確実にR18指定のことをする気だ。

それは何としても避けなければならない。

そんなことをしてしまうとそのままズルズルと行ってしまう。別にみづきのことを嫌いという訳では無いが何と言うか、それは違う。

それにもしもここで致してしまえば経験の無い天界の住人のただでさえギャグで誤魔化している描写がえらいことになる。それにR指定にするというのも面倒臭い。

弥はしばらくこれを解決する方法を模索する。

しかし、みづきの戦闘力と性格を考慮するとベッドに連れ込んだ時点で確実に負ける。それを踏まえた結果、鍵を掛けてご破算にするという弥にとっても不本意な方法でこの場を乗り切ることにした。

そして時間は飛んで晩飯時。

今日の晩飯担当はみづきであり、食卓には牡蠣フライやウナギ、そしてニンニクがふんだんに使われているジンギスカンなど、確実に玉を取りに来ているおかず達が並べられていた。

「……本当に何もしない気なのか?」

「えぇ、信じて下さい」

「この食事を見て信じられるやつはいないぞ」

「たまたまです。たまたま冷蔵庫の中にあってたまたま日にちが危なかったのがこの子達です」

「さっきからですます口調なのはどうしてだ?」

「……」

何も言わないみづきに弥は落胆し、大きなため息をつく。

もう確定じゃん。ヤル気満々じゃん。

しかし出されたものは食べなければいけない。

別に食べたところで鍵を掛けてしまえばいいのだ。

そう思った弥は精力食材達を口に運ぶ。

味は悪くないがにんにくをふんだんに使っているせいで味が濃い。弥はその濃さをご飯で中和させつつ、食べ進める。

そしてご飯が茶碗の半分くらいにまで減ったとき、弥は意識を失った。



どうも僕です。

最近は現実世界が忙しく、現実逃避がてらに文字を入力しています。さて、これを見ている、評価してくれている人がいるかは分かりませんが読んでいただきありがとうございます。

さて、次でR指定になるか、それともこのままちびっ子にも見て貰えるような健全な話になるのか、お楽しみに。

PS、最近ギャルゲで表現を勉強しています。もしもそうなったら気合いで頑張ります。

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