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無敵の武器出し攻撃

 朝になり、鳥のさえずりが聞こえアキトは目を覚ました。ゆっくりと起き上がって肌着の上から外套だけ羽織り、昨日の桶を持ち一階のカウンターへ向かった。早朝で店がまだ開いてないからか利用客はおらずカウンターの奥で作業をしている従業員に話しかける。


「あら、お早いですね?どうぞ井戸からくみ上げたばかりの水ですから冷たいですが」

そういって手に持っていた桶を渡して交換するように新しい水が入った桶を受け取った。それを持って二階に戻り顔を洗い、身体を拭く。


「何度も聞くけどアキトってさ、汚れないんだろ?それやる意味あるのか?」

エルが僕に対して当然のように疑問を口にする。


「野宿以外では習慣化してるからやらないと僕が気持ち悪いんだ。あと清潔にしていないみたいな目で見られるかもしれない、それが嫌かな」


 服を着なおし、剣帯や留め具を確かめて外套を羽織る。装備の確認が終わり、一階のカウンターで再度従業員に声をかける。今日も泊まる場合は朝食が出るということだったが、丁寧に断り礼を言って酒場を出た。



 外に出ると夜の時にはなかった活気が村から感じられた。労働者たちが外に出ており、人の行き来がみれる。村長の家まで移動する際にぐるりと周囲を見渡しながら歩いた。村には子供の姿がほとんど確認できなかった。御者は頻繁ではないと言っていたが子供の気配がない村というのは未来がないように感じた。村長の家に付きノックをするとゆっくりドアが開いた。初老の男性がこちらを伺っている。


 名を名乗り、旅をしていて昨日御者から聞いた話を詳しく聞きたいこと力になれるかもしれないということを伝えたところ部屋に招かれた。


 どうやら昨夜別れた御者があらかじめ村長に事前連絡をしてくれていたようで、すんなりの話が通じた。村の噂が広まるのが早い不気味さというより気が利く手回しに感謝した。村長から子供を村に連れ帰ってくれれば報酬を用意するということ、賊の拠点であろう場所、賊の構成人数等の情報を提供された。


 最初は御者が言っていたように焦った一部の者たちでなんとかするつもりが調べるうちに規模や失敗、報復の怖さから無理だと諦めていた事柄だが、よそ者が勝手にやったと装う分には可能性があるならば藁にもすがりたいといったような話のようだ。


 今後も村の安全を考えるならば街に兵を出してもらったほうがいいのではないかと一応言ってみたが、やっていることが後ろめたいからか調べられて後々追求されるほうが痛いらしく、街への協力要請が出来ないとのことだった。


(馬鹿げているが、それだけ利益が出ているのかもしれない・・・村長の家はそれなりに立派だし、村全体で貧しい感じは確かにない)


「無関係な旅人として賊のところには向かってみようと思います。情報ありがとうございました。では僕はこれで失礼します。」


 村長の家を出て、森の中にある賊のアジトへ歩いていく、情報の提供者は村の狩人ということでかなり信頼できるものだ。狩人というのは普段から動物や魔物を相手しているだけあって気配を消す術に通じており、地理にも詳しい。農業に押され始めているとはいえ魔物が存在する以上、村にはなくてはならない存在だ。


 日頃から狩りをしている狩人が突き止めたというアジトは説明された通りの場所にあった。大昔に利用されていた鉱山の跡地、山を削ったその廃坑は入口も中の空間も広く魔物が住み着いていたらしい。最近になって住み着いていた魔物が討伐され結果的にそこに賊が入れ替わる形で住み着いたようだ。



 廃坑の入り口には見張りがいなかったのでそのまま入っていった。情報通り中は広く通路も運搬のために広く削っているようだ。先がT字路のようになっており丁度曲がり角に差し込むあたりで話声が聞こえたので立ち聞きする。


「あの小娘の取引先はまだ見つからないらしいな」


「我慢するのもきついぜ売るのやめておもちゃにしちまいてえのによぉ」

「ガキに発情してんじゃねえよ希少で処女だから変態に高く売れるんだろうが、お頭に殺されてえのか?」

「女が足りねえよ女がもっと攫って好き勝手やりてえんだよ」


「そういうのは拠点を移す寸前にしろ、大きく動き過ぎると面倒なことになる」


会話の内容をある程度聞いたあと、立ち位置を確認し終えた。


(三人か、一人さっさと殺した後動揺している隙を衝こう)


 目の前の空間にハルバードを出現させた。2mほどの斧槍で用途も幅広く、愛用しているものだ。両手で持って腰だめに構えて全力で走りだし、こちらに気付く前に突進して一人を突き殺した。突進の衝撃で突き刺さったハルバードからすぐ手を放し、次の標的目掛けて走り出しスレッジハンマーを出現させて両手で振り下ろす。


「はっ?」

間抜けた言葉を発した瞬間には二人目は頭部を砕かれて絶命していた。


「なんだ手前は!!?」

大きく動揺した三人目が腰に下げている剣を鞘から抜く。引き抜いた剣は刃が薄い曲刀のような形をしていたのを見てスレッジハンマーから手を放し、僕は大盾であるスクトゥムを両手で持ってそのまま突進した。勢いよく賊の体が跳ね上がりそのまま壁に叩きつけられた。


「あぁぁあああ」

壁に押し付けた後メキメキと音が聞こえ、うめき声が聞こえてくる。足元には折れた曲刀が落ちていた。右手に短槍を持ち、大盾を左手でちょっと引いた後すぐ短槍を突きこんだ。短槍は胸に深く突き刺さり、刃先の留め具のあたりが曲がってしまった。


 急ぎ足で奥を確認するがどうやら行き止まりのようだった。反対側の通路から増援が見えないあたり、楽観的に考えると聞かれてなかったことになるが、死体はすぐに通路側から見えないように引き摺って端に除けておいた。


「アキト、俺を使いなよ?装填している魔力瓶も交換して・・・」

 エルが自分を武器として使えと言ってくる。魔力が込められた液体が入った小瓶がエルには装填されている。剣の柄のところに溝があり溝に合わせて作った小瓶を回してはめ込むもので留め具を必要としない。エルが魔法を使う時にマナがないからと喚くので用意しているものだ。交換用の魔力瓶はいくつか持っており全部満たされているが、補充するために薬師を探さないといけないため面倒なのだ。


「聞いていた通り鉱山の中は広いから出番はないよ」

「広い場所なら普通に考えて剣より槍のほうが強いし、簡単だから」

(それに君は魔法で僕の飲料水を作るための水筒だから・・・)


「どうせ俺のこと水筒とか思ってるんだろ!?もっと労わって?ていうか二人目は俺でもよかったじゃん」


(二人目は小盾みたいなの左手に括り付けてたから、質量で押したほうがよかった。人は咄嗟に反応するときに防御行動くらいは間に合う物で小盾で防がれれば猶予を与えてしまう。少しでも冷静になられると面倒だから防いでも骨ごと粉砕できるハンマーが丁度よかったんだよといっても反応すら出来ない凡骨だったけど)

なろうの投稿フォームに困惑しヘルプ沢山開いて読み直しながら投稿させてもらってます。

続けて読んでくださり、ありがとうございます。

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