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男!岩田剛太郎の秘密  作者: やのへい
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第九話 町おこし相撲大会

町おこし相撲大会が始まる。はたして剛太郎は優勝できるのか?

   第九話 町おこし相撲大会


その男の名は、岩田剛太郎。

高校3年生18歳、ゴツいのは名前だけではなく、見た目もゴツい。身長185cm体重135kg、柔道部主将、屈強な体。目つきも鋭く、強面、かなりゴツい男。

見た目に反して、この男、気は優しく、あまり怒らない。

頭も良く、県下でトップクラスの進学校(一高)に通う。文武両道の男。

ただ、彼には、人に言えない秘密があったのです。


 商店街主催の町おこし相撲大会当日である。会場に来ている、剛太郎、祥子、クマリン。剛太郎父達夫、母幸子、祥子母律子と両家族総出の応援となっていた。既に、小学校、中学校の部は終了している。中学生の部に出場していた祥子弟蒼太は、なんと3位だった。

祥子弟蒼太「もうちょっとで優勝出来たのになあ。せっかく剛太郎さんに、毎日稽古つけてもらったのに。優勝がゲームで、なんで3位は参考書なんだ。」

祥子「商店街には本屋さんもあるからね、勉強しなさいってこと。今の蒼太には、そっちが必要ってことなのよ。来年、一高受けるんでしょ。」

祥子弟蒼太「そうだけど・・・。」

剛太郎妹今日子「蒼太君、かっこよかったよ。うーん、お尻もキュート。」

剛太郎「まあ、準決勝は、ガチの相撲部だったもんな。結局、彼が優勝したから、実質、準優勝と同じだな。」

祥子母律子「蒼太、頑張ったわね。お母さん、あなたを見直したわ。」

剛太郎父達夫「血は争えませんね。あの夏目一郎議員の息子さんなんですから。」

祥子「お父さん、父をご存じなんですか?」

剛太郎父「ええ、私が中学生の時、お父さんは、高校相撲でインターハイ出場でしたからね。当時、新聞に出ていたので覚えていますよ。大相撲からスカウトが来たくらいでしたから。」

祥子母律子「でも、あの人は、子供達を教える道を選びました。子供は未来の宝だって、当時、口癖のように言ってましたよ。」

剛太郎父達夫「では何故、中学校の先生から県議に?」

祥子母律子「当時、市の教育委員会の方々とあまり上手くいってなかったみたいで、改革を訴えても、県からの方針ばかり押しつけられ、反対されてばかりいました。それなら、自分が方針を決める立場になるっていって、それで県議会議員に立候補したんですよ。40歳からの転職、それも、議員でしたので戸惑いましたが、あの人の男気に共感する教え子や地域の皆さんの応援のお陰で当選して、今があるんですよ。」

剛太郎父「さすが、信念がしっかりしていらっしゃいますね。」

剛太郎母「今日は、いらっしゃっるんですか?」

祥子母律子「実行委員会の方におります。ほら、丁度あそこに。」

祥子父一郎に手を振る祥子母律子。祥子父一郎も祥子母律子に合図する。

剛太郎「えっ、あの人って、こないだの公園の相撲おじさんじゃ・・・。」

祥子「そう、あれがわたしのお父さん。実は、あの時、剛太郎君とお父さんの相撲、こっそり見てたの。」

剛太郎「そうなの?紹介してくれればよかったのに。」

祥子「多分、お父さん、自分が祥子の父親だって分かったら、剛太郎君が本気出してくれないって思ったんじゃないかな。それで、何も言わずに相撲したんだと思う。」

剛太郎「確かに、夏目さんのお父さんって分かっていたら、全力は出さなかったかも。」

祥子母律子「そういう人なんですよ。あの人は、自分の体全体で、剛太郎君を感じたかったんでしょう。」

剛太郎「僕、お父さん投げちゃったけど、良かったのかな?」

剛太郎が祥子に聞く。

祥子「喜んでたよ。歳には勝てんな、若いときに勝負したかったって言ってた。」

剛太郎父達夫「さあ、一般の部が始まるぞ、剛太郎、頑張ってこい。みんなで応援してるからな。」

剛太郎母幸子「剛太郎、ファイト!」

剛太郎妹今日子「ふぁいとー。」

祥子母律子「祥子、蒼太、私たちも移動しましょう。」

剛太郎父達夫、剛太郎母幸子、剛太郎妹今日子、祥子母律子が、観客席へ向かう。

祥子弟蒼太「剛太郎さん、優勝してくださいね。優勝したら、お姉ちゃんがいいものあげるって言ってたから。」

剛太郎「何かな?」

祥子「えっ、わたしそんなこと言った?」

祥子弟蒼太「剛太郎さん、ちょっと耳貸して。」

剛太郎の耳元でささやく祥子弟蒼太。次の瞬間、顔が真っ赤になる剛太郎。

剛太郎「と、と、とりあえず、頑張る、う、うん。」

まわしの準備に、選手控え室へと走り出す剛太郎。

祥子「蒼太、わたし何かあげるって言ったっけ?」

祥子弟蒼太「ううん、言ってない。」

祥子「じゃ、さっき、剛太郎に何て言ったのよ。」

祥子弟蒼太「仕方ないな、お姉ちゃんも耳貸して。」

祥子「なになに?」

耳を蒼太の口に傾ける祥子。

祥子弟蒼太「剛太郎さんの・・・ほっぺにチュッ。」

祥子も顔が真っ赤になる。

祥子「えええええええええ。ちょっと蒼太、あんた、ええええええ。」

祥子弟蒼太「さあ、剛太郎さんのやる気、元気、本気。かなり充実したはずだよ。」

祥子「蒼太、あんたねぇ・・・。」

祥子弟蒼太「着替えてくるねー。」

控え室へ走って逃げる祥子弟蒼太。

祥子「もう、蒼太のやつ・・・。でも、それで、剛太郎君パワーアップしてくれるかな?」

クマリン「へへへっ、クマパワーより出たりして。」

祥子「そうだったら・・・、嬉しいな。ね、クマリン。」

クマリン「ごちそうさま。」


控え室前。剛太郎父が剛太郎に声を掛ける。

剛太郎父達夫「剛太郎、感じないか?」

剛太郎「どうしたの、父さん。」

剛太郎父達夫「さっきから、剛太郎と同じパワーを感じるんだ。父さんの能力は、人の心が読めることと、人のパワーの大きさも分かるんだ。剛太郎と同じ質のパワーを感じる。多分、能力者がこの中にいるな。気をつけるんだぞ。」

剛太郎「分かった。気をつけるよ、父さん。」


実行委員来賓席。祥子父一郎が他の実行委員に話しかけられる。

実行委員「息子の蒼太君、3位じゃないですか、すごいじゃないですか。」

祥子父一郎「蒼太なりに頑張った結果だと受け止めています。これで蒼太も一つ成長です。それよりも今回、私は、一般の部が楽しみなんです。」

実行委員「今回は、秀英高校に留学中の、柔道の世界Jrチャンピオンのキム選手も参加してくれています。優勝候補ですよ。」

祥子父一郎「お、そろそろ、始まるようですね。」


競技が始まる。土俵の上で、男達の熱い戦いが繰り広げられた。

剛太郎は、一回戦、二回戦、三回戦、準決勝と順当に勝ち上がり、決勝進出。

選手控え室の剛太郎、祥子とクマリンもいる。

剛太郎「あと一つ。」

祥子「クマちゃんテレビまで、あと一勝だね。クマちゃんテレビって、超激レアアイテムなんでしょ?」

クマリン「そう、限定アイテムだから、多分パワー4か5じゃないかな?」

剛太郎「うん。ずっと、探してたんだ。4以上はあると思う。パワー注入してみなくちゃ分からない。相性もあるからね。量産タイプは販売されていたけど、限定タイプは非売品なんだ。展示ディスプレイ用に作られた特別品だから。」

祥子「量産品とどこが違うの?」

クマリン「眉毛だよ。」

剛太郎「ほら、限定品テレビのクマちゃんには、眉毛があるでしょ。キリッとして、格好いいでしょ。」

クマリン「うん。格好いい。」

祥子「・・・眉毛って・・・。それだけで、違うの?」

剛太郎「そうなんだ。パワーを貯める力は、大きさじゃないんだ、希少性や祈りや思い入れなんだ。大きいベッドやタンスだからって貯める力があるわけじゃないんだ。お守りとかお祈りアイテムもパワーが高い。自分で買ったものより、人に買ってもらって買った人の思いが入っていたりすると、更にパワーを増幅するんだ。」

祥子「あ、だから、こないだの、対抗試合の時のお守りも強かったんだ。」

剛太郎「そう、パワー5のクマ大明神お守りになったからね。」

クマリン「ちなみに、僕もパワー5なんだ。」

剛太郎「クマリンは、限定とかお祈りアイテムじゃないけど、パワー5。よっぽど、僕との相性が良かったんだと思う。」

土俵から歓声が上がる。

剛太郎「終わったかな。決勝は、キム選手だろうな。ちょっと見てくる。」

外に出る剛太郎。

祥子「ふーん。思いか・・・。」

クマリン「僕の場合、剛太郎に対する誰かさんの思いが半端ないからね。」

祥子「誰かさん?」

クマリン「分かってるでしょ。」

祥子「そういうことか。」

クマリン「あと、ラストボムするとプラス1になるみたい。こないだ、パワー6だったもんね。自分でもびっくりしたよ。」

控え室に、驚いた顔の剛太郎が戻ってくる。

剛太郎「キム選手が負けた。」

祥子・クマリン「えっ。」

祥子「じゃあ、相手は?」

剛太郎「分からない。後ろ姿だけチラッと見えたけど。」

控え室に入ってくる剛太郎父達夫。

剛太郎父達夫「剛太郎、分かったぞ、パワーの主はあいつだ。」

剛太郎「父さん、あいつって、キム選手を破ったやつか?」

剛太郎父達夫「そうだ、剛太郎と同じパワーだ。おそらくパワー5だろう。普通の相撲勝負にはならんぞ、パワーとパワーのぶつかり合いになるぞ。」

剛太郎「夏目さん、クマリンとクマ大明神お守り持ってる?」

祥子「うん。あるよ。」

剛太郎「僕が合図したら、まず、クマ大明神使って。そのあと、もう一回合図するから、その時、クマリン使って。」

祥子「使うって・・・。あ、祈るのね。」

剛太郎「そう、対抗試合のときみたいにやればいいよ。」

祥子「わかった。」

剛太郎「あとは、夏目さんのお父さんに伝授された技がある。自力の差もあるかもしれないけど、その作戦でいこう。」

剛太郎父達夫「何が起きるか分からん、剛太郎、気をつけろよ。」

剛太郎「うん、分かった。さあ、みんないくぞ。」


実行委員席。

祥子父一郎「いよいよだな。」


決勝の土俵。呼び出しが力士を呼びだす。

呼び出し「ひがーしー、ごうーたろーうー。」

剛太郎が立つ。

呼び出し「にーしー、けーんーたろーうー。」

謎の男健太郎が立つ。

お互い塩を撒き、仕切る。

行事「みあってみあって。」

お互い手を付け、呼吸を読む。

行司の軍配が返る。

行事「はっきよい、のこった。」

両者立ち上がる。左四つに組み合う。お互い上手、下手ともに引いて引きつけ合う。がっぷり四つである。

謎の男健太郎「すまんが、あれを渡すわけにはいかんのだ。」

剛太郎「クマちゃんテレビは渡さん。」

謎の男が、砂かぶりに座る、謎の女ユリに合図する。クマちゃんお守りに祈るユリ。

クマ菩薩「力を与えん。」

謎の男健太郎「クマパワー5だ。」

剛太郎が祥子に合図する。クマ大明神に祈る祥子。

クマ大明神「叶えて使わすぅ。」

剛太郎「こっちも、クマパワー5だ。」

謎の男健太郎「なんと、お前もクマパワー能力者か?」

ただ、自力は謎の男健太郎が上回っている。謎の男健太郎の方が、じりじり押す。

謎の男「一気にいくぞ。」

謎の男健太郎が、再度、謎の女ユリに合図を送る。

謎の女ユリが、クマちゃんペンダントに祈る。

クマ天使「パワー降臨。」

謎の男健太郎「クマパワープラス4、合計クマパワー9だ。」

一気の電車道、土俵際近くまで押される剛太郎。

剛太郎が祥子に合図する。

祥子がクマリンに祈る。

クマリン「祥子の愛を受け取れー。」

剛太郎「クマパワープラス5、合計クマパワー10だ。」


実行委員席。

祥子父一郎「今だ、うっちゃれーーー。」


再び、土俵。

謎の男健太郎「なんと、クマパワー10だとーーー。」

剛太郎、相手との隙間を作り、引きつけ直し、体を反らせ相手を右に振り回り込み、体を入れ替える。

剛太郎「うおおおっらぁっーーーー。」

ドドーーーーーン。

行司軍配は、東に上がる。

剛太郎が、東の仕切り線に戻り仕切る。

行事が勝ち名乗りを上げる。

行事「ごうーたろーうーーーーーー。」

場内アナウンス「只今の決まり手は、うっちゃり、うっちゃりで、剛太郎の勝ち。」

祥子・クマリン「やったーーーーーーーー。」

剛太郎の優勝である。


第十話に続く。


第十話に続きます。第十話も書きます。

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