第八話 祥子パパ登場
祥子パパ登場。剛太郎と対決。
第八話 祥子パパ登場
その男の名は、岩田剛太郎。
高校3年生18歳、ゴツいのは名前だけではなく、見た目もゴツい。身長185cm体重135kg、柔道部主将、屈強な体。目つきも鋭く、強面、かなりゴツい男。
見た目に反して、この男、気は優しく、あまり怒らない。
頭も良く、県下でトップクラスの進学校(一高)に通う。文武両道の男。
ただ、彼には、人に言えない秘密があったのです。
夏目家に戻ってきたクマリン、剛太郎から、パワーをもらってフル充電状態。祥子と部屋で雑談していた。
祥子「ラストボム使ったら、結局どうなるの?」
クマリン「分からない。でも、やっぱり動けなくなるか、再パワー注入でも、以前の記憶がリセットとか、何かしら不具合はあると思う。」
祥子「でも、クマリンは大丈夫よね、何で?」
クマリン「多分、クマ自身の戻りたいと念じる力、あと持ち主の帰ってきて欲しいと願う力が影響するんじゃないかな。あの意識が遠くなった時、祥子と剛太郎の声が聞こえたんだ。」
祥子「何て?」
クマリン「戻ってきてって。」
祥子「うん、あの時そう願ったもん。」
クマリン「戻ってきたら、一緒にお風呂入ってあげるって。」
祥子「ん???それは、言ってないなぁ。」
クマリン「そう?」
祥子「クマリン?」
クマリン「はいリン?」
祥子「嘘でしょーーー。」
クマリン「バレたかーーー。」
祥子「フフフ、でも、ほんと良かった。クマリン戻ってきてくれて。」
クマリン「僕は不死身なのだ。」
祥子「じゃあ、もう一回、ラストボムしてみる?」
クマリン「やだ、もうやんない。」
ピンポーン、インターホンが鳴る。
祥子「あ、多分、お父さんだ。」
一階へ、クマリンと一緒に降りる祥子。玄関に出迎えに行く。
祥子父「ただいま。」
祥子「おかえりなさい。」
祥子父の夏目一郎50歳は、県議会議員である。男気あふれる性格で地元からの支持が厚い議員である。中学校の教員から40歳の時に県議に当選し、今に至る。体格は身長180cm体重100kgと大柄である。
祥子母律子、祥子弟蒼太も、リビングから出てくる。
祥子弟蒼太「父さん、おかえりなさい。」
祥子母律子「お帰りなさい、夕飯は済ませてらっしゃったんでしょ。」
祥子父一郎「ああ、昼に連絡した通り、商店街の方々にお世話になった、町おこし事業の打ち合わせだよ。」
リビングに移動する4人。
祥子「商店街って、隣町の?」
祥子父一郎「ああ、今度、商店街主催で相撲大会を開くことになった。県から補助金も出るから、結構盛大になるぞ。小学校、中学校、一般とあるぞ。さすがに男性だけだけどな。」
祥子「優勝すると、何かもらえるの?」
祥子父一郎「実際のところ、補助金で商店街の商品を買って、それを賞品にする予定だ。確か一般の優勝賞品は、電気屋さんのテレビだったかな。」
祥子「テレビか。」
祥子父一郎「限定品のクマちゃんテレビらしいぞ。」
祥子「なに?クマちゃん?」
祥子弟蒼太「俺も出ようかな。」
祥子父一郎「中学生の部は、優勝はゲーム機だったかな。」
祥子弟蒼太「よし、練習しようっと。」
祥子母律子「お父さんに稽古つけてもらったら、お父さん、昔、強かったのよ。」
祥子弟蒼太「お父さん忙しいから無理だよ。そうだ、剛太郎さんに稽古つけてもらおうかな。」
祥子「剛太郎は、柔道だよ。お相撲じゃないよ。」
祥子父一郎「父さんも、剛太郎君に会ってみたいな。祥子の彼氏なんだろ。」
顔が赤くなる祥子。
祥子「彼氏じゃないよ、友達!告白されてないし、告白もしてないし。」
オロオロする祥子。
祥子母律子「あら、そうなの。もうとっくに告白してるのかと思ってたわ。」
祥子父一郎「告白は男がするものだろう。今は女性からでもいいのか?」
祥子弟蒼太「今は女の子からでも告白するよ。昨日もされたもん。」
祥子「あんたは、外見だけで寄ってくる女の子ばっかりでしょ。」
祥子弟蒼太「お姉ちゃんは、待ってるんだよね。剛太郎さんからの告白。」
祥子父一郎「だから、友達なんだって。」
祥子母律子「でも、剛太郎君から告白されたら、絶対、断らないでしょ。」
真っ赤になる祥子。
祥子父一郎「ますます、剛太郎君に会いたくなったな。」
二階へ移動した祥子とクマリン。
クマリン「ひゃっ、ひゃっ、ひゃっ、ひゃ。面白かった。剛太郎に告白はよって、テレパスするかな。」
祥子「クマリン、余計なことしなくていいの。」
クマリン「冗談、冗談、しないよ。告白迫って、今の関係が崩れたらいやだもん。祥子もそうでしょ。」
祥子「わたしは、このままでもいいの。剛太郎君の力になってやりたいだけだから。」
クマリン「うん、うん。待てば海路の日和ありだよ。」
祥子「意味、知ってるの。」
クマリン「詳しくは知らん。」
笑顔になる祥子。
祥子「そうそう、限定クマちゃんテレビって、お父さん言ってたわね。クマリン、何か知ってる?」
クマリン「クマちゃん界の超激レアアイテムだよ。剛太郎がずっと探してたやつだね。」
祥子「そうなの。そういえば剛太郎の部屋にテレビ無かったもんね。」
クマリン「剛太郎にテレパスしてやっかな。」
祥子「出来るの?」
クマリン「うん。ちょっと充電使うけどね。フル充電で48時間なの。今、36時間残ってて、そのうち2時間分くらいで送れるから、余裕だよ。文字数や距離で変わるんだけどね。剛太郎にパワー送る時の方が消費が大きい。」
祥子「ふーん。」
クマリン「ま、充電0になっても、また、剛太郎に触れれば、すぐ満充電なるから。」
祥子「じゃ、早く、送ってみて。」
クマリン「うん。・・・・スモウタイカイ、ユウショウショウヒン、クマチャンテレビ、どーーーーん。」
岩田家二階、剛太郎の部屋。腕立て中の剛太郎。
クマリンテレパス「スモウタイカイ、ユウショウショウヒン、クマチャンテレビ。」
剛太郎「なにーーーーー。今からトレーニングだ。」
一階へと柔道のジャージで降りていく剛太郎。
剛太郎「母さん、ちょっと公園にトレーニン行ってくるね。」
剛太郎母幸子「遅くならないようにね。気をつけてね」
公園に向かう剛太郎。
再び、夏目家二階の祥子の部屋。
クマリン「うん、テレパス送れた。剛太郎、今からトレーニングだって張り切ってた。」
祥子「そう、良かった。てか、わたしがラインすればよかったんだ。」
クマリン「うん、充電使うから、次からはそうして。まあ、やるとこ見せておきたかったし。」
一階から、祥子父一郎が呼びかける。
祥子父一郎「祥子、ちょっとコンビニまでビール買いに行くが、一緒に行くか?用事あるんだろ?」
祥子「あ、明日、レポートのコピーを提出だった。コピーしに行かなきゃ。クマリンも来る?」
クマリン「もちろん。」
祥子父一郎と祥子が、近くのコンビニに車で向かう。
祥子「たしか、こっちのコンビニは・・・。」
コンビニ改装中だった。
祥子父一郎「仕方ない、隣町の方へ行くか。」
隣町のコンビニに行き、祥子父一郎は買い物を済ませ、祥子もコピーを済ませた。車で帰る途中、公園でトレーニング中の剛太郎を発見する祥子。
祥子「あ、剛太郎君だ。」
祥子父一郎「あれが、剛太郎君か、ガッチリしてるな。四股やってるな、柔道部って言ってなかったか。」
祥子「相撲大会のこと教えたから、もうトレーニングしてるみたいね。」
祥子父一郎「そうか、彼も出るのか。」
考え込む祥子父一郎。
祥子父一郎「祥子、ちょっと彼に挨拶してきていいか?」
祥子「えっ、今?」
祥子父一郎「いや、祥子の父とは、名乗りはしない、ちょっと確かめたいんだ。」
祥子「うん、わかった。」
車を降り、剛太郎に近づいていく祥子父一郎。
クマリン「パパリン、何するの?」
祥子「確かめたいって・・・。」
四股を踏んでいる剛太郎のすぐ後ろまで来た、祥子父一郎。
祥子父一郎「君、相撲の稽古かね。」
振り向く一郎。
剛太郎「こんばんは。はい、今度、大会があるって聞いたので、ちょっと練習です。」
祥子父一郎「一人じゃ物足りないだろう、実は、私も昔、ちょっと相撲しててね、君の四股を見ていたら、体がうずいてきてね。どうだ、一番取ってみないか。」
剛太郎「えっ、いや、大丈夫です。」
祥子父一郎「遠慮することはない、これでも高校の時は、全国大会まで行ったんだぞ。」
剛太郎「いいんですか?」
祥子父一郎「構わん、一番取ろう。」
剛太郎「僕は柔道部なんですが、相撲は素人です。胸をお借りします。」
祥子父一郎「ぶつかり合うと危ないから、組んだ状態で始めるか、柔道部の君もその方がやりやすいだろう。」
剛太郎「ご配慮、痛み入ります。」
祥子父一郎が、足で土俵を描く。そして、ゆっくり組み合う二人。
祥子父「さあ、はっきよい、のこった!」
引きつけ合う二人。
剛太郎「おじさん、強いですね。」
祥子父「その口ぶりだと、全力じゃないな。構わん、全力で来なさい。」
剛太郎「おおおおおおおーーーー。」
一気に押し出そうとする、剛太郎。
祥子父「一気の電車道か。これでどうかな。」
わざと引き、隙間を作り回り込み、体を入れ替える祥子父一郎。形勢逆転。剛太郎に方が、土俵際となる。
車の中から見ている祥子。
祥子「お父さん、挨拶って相撲?。」
再び、土俵。
剛太郎「こんな技があるんですね。」
右に右に回り込む剛太郎。中央まで押し戻す。
祥子父一郎「こっちも行くぞ。」
電車道一気に剛太郎を押す、今度は、剛太郎がわざと引き、隙間を作り引きつけたまま、回り込み体を反りながら、体を入れ替える。
剛太郎「うおおおっらぁっ。」
祥子父一郎「ぐおおおおお。」
土俵を割ったのは、祥子父一郎だった。
へたり込む二人。
祥子父一郎「ふうふう、やっぱり、年には勝てんな。息があがる。昔のようにはいかんな。」
剛太郎「はあはあ、おじさんすごいですね。稽古ごっつあんでした。」
スックと立ち上がり、座っている祥子父一郎に、深々と一礼する剛太郎。
祥子父「あの技は、うっちゃりという技だ。今度の大会で試してみるといい。こちらこそ、こんなおじさんのわがままに付き合ってくれて、感謝するよ。」
剛太郎「ご指導、ありがとうございました。」
手を差し伸べる剛太郎。
祥子父一郎「すまんな。」
剛太郎の手につかまり、起き上がる祥子父一郎。
祥子父一郎「大会頑張るんだよ。」
剛太郎「はい。優勝目指します。」
祥子父一郎「また、機会があれば、一番お願いするよ、今度は負けんぞ。」
剛太郎「また、稽古お願いします。こちらこそ、ありがとうございました。」
後ろ向きで、手を振り、その場を去る、祥子父一郎。祥子父一郎が見えなくなるまで、頭を下げ続けている剛太郎であった。
車の中。
クマリン「パパリン強ーい。あの剛太郎とあそこまでやり合うんだもん。」
祥子「もー、こっちがハラハラしちゃった。」
車に戻ってくる祥子父一郎。車に乗り込む。深呼吸して呼吸を整えていた。
祥子「お父さん大丈夫?挨拶って相撲のことだったの?」
祥子を見て微笑む祥子父一郎。
祥子父一郎「祥子!」
祥子「な、何?」
祥子父一郎「彼は、本物だ。今時珍しい若者だ。挨拶もしっかり出来るし、相手を敬う心、相手を思いやる心を持っている。男は話すよりも、体をぶつけ合う方が相手がどんな人間なのかよく分かる。」
祥子「お父さん。」
祥子父一郎「女が惚れる男の基準は、私にはよく分からんが、男が惚れる男は、本物だぞ。私も、彼に惚れてしまったようだ。祥子、彼を放すなよ。何なら、私から彼に告白しようか。」
祥子「や、やめてよ。」
祥子父一郎「冗談だよ。ただ、それくらい、彼は素敵だという意味だ。女性蔑視してるわけじゃないが、男は外見じゃない、内面だ。内面をどれだけ磨くかが、その男の価値だと思うよ。まあ、祥子は分かっていると思うがな。」
祥子「分かってる。だって、私の理想はお父さんだから。」
祥子父一郎「嬉しいね、何も出ないぞ。コンビニ戻るか?」
クマリン「祥子はファザコンだったか。」
祥子父一郎「ん、何か言ったか?」
祥子「ううん、何も。」
小声の祥子「クマリン、口チャック。」
小声のクマリン「ふぁーい。」
楽しげな車内、自宅に向かう二人と一匹であった。
第九話に続く。
第九話に続く。次回は相撲大会。第九話も書きます。感想お願いします。文章下手ですみません。