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男!岩田剛太郎の秘密  作者: やのへい
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第六話 秀英高校生徒会長登場

秀英高校生徒会長と剛太郎が祥子を賭けて、対抗試合に望む。

   第六話「秀英高校生徒会長登場」


その男の名は、岩田剛太郎。

高校3年生18歳、ゴツいのは名前だけではなく、見た目もゴツい。身長185cm体重135kg、柔道部主将、屈強な体。目つきも鋭く、強面、かなりゴツい男。

見た目に反して、この男、気は優しく、あまり怒らない。

頭も良く、県下でトップクラスの進学校(一高)に通う。文武両道の男。

ただ、彼には、人に言えない秘密があったのです。


 秀英高校生徒会室。月曜日である。

稔「イテテ、あの、筋肉馬鹿がいる限り、祥子に手は出せないな。」

武「一昨日のやつ、あれ、何なんだ、稔。」

武は、昨日の稔友人である。稔と武は、ともに三年生で、生徒会委員をしている。

稔「岩田剛太郎、一高の柔道部の主将らしい。」

武「あの力、尋常じゃないぞ。普通、片手で人一人持ち上げるか?」

稔「あの美人の祥子、何とか彼女にできないもんか。」

ガチャッとドアが開き、男が入ってくる。

男「美人がとうしたって?」

稔「あ、光か。いや、一高に、俺の知り合いで夏目祥子って美人がいるんだけど、何とかあいつを彼女に出来ないかなって。」

光「そんなに美人なのか?興味あるな。今日放課後、一高に行ってみるか。」

光は生徒会長である。フルネームは、二階堂光。秀英高校の理事長の息子で、いわゆるボンボンである。親父の金と権力を使い、秀英高校を牛耳っている。稔と武は、その腰巾着的存在である。


放課後の一高。

教室から、剛太郎がダッシュで帰ろうとする。

祥子「待って、剛太郎君。一緒に帰ってもいいじゃない。」

剛太郎「学校はさすがに、人目があって、恥ずかしい。」

祥子「もう図体ばっかりデカくって、ほんと、恥ずかしがり屋なんだから。」

剛太郎「分かった、校門で待ってるから。」

祥子「うん。先生に封筒渡したら、わたしも行くから。」


一高の校門、道路を隔てた茂みに隠れている、稔と武。その後ろに立つ光。

稔「まだ、来ないな。」

武「もう帰ったとか。」

稔「いや、一高は掃除当番なくて、全員で掃除だから、うちより30分遅いはず。」

光「お前達は、面が割れてるから、見つかるなよ。」

稔「あ、やつだ。剛太郎だ。」

剛太郎が校門に出てきた。

光「デカいな。柔道部っていうから、もっと丸いのかと思ったら、筋肉タイプだな。顔も不細工じゃなく、強面タイプか。」

武「俺、片手で持ち上げられた。」

稔「俺も、吹っ飛ばされた。」

光「一高だし、筋肉馬鹿ではなさそうだな。」

稔「お、祥子が出てきた。」

茂みに隠れ直す、稔と武。

光「あれか?」


道路対岸の様子。

祥子「剛太郎君、ゴメン。待ったー。」

剛太郎「いや、じゃ帰ろうか。」

祥子「うん。」


再び秀英側。

稔「やっぱ、美人だな。」

武「そうだな。」

固まっている光。

光「すごい美人じゃないか。あいつとじゃ、美女と野獣だぞ。」

稔「だろ。」

光「稔、あきらめろ、お前じゃ釣り合わん。」

稔「え、俺よりもやつの方が釣り合うって言うのか。」

光「いや、お前よりやつより、俺様が一番釣り合う。」

稔「じゃ俺にあきらめろってことか。」

光「俺の5番手彼女の美咲、あいつをお前にやるよ。」

光には5人の彼女がいるのである。

稔「え、いいのか。」

光「ああ、かわりに祥子は、あきらめろよ。」

稔「わかった。」

光「じゃ、早速、作戦会議だ。俺の家へ行こう。」


二階堂宅。父は会社を3つも経営しているいわゆる金持ち。その豪邸での作戦会議である。

光「柔道部だったな。」

稔「ああ。主将らしい。」

武「今度、一高との対抗試合で柔道もあったんじゃないか。」

光「それだ、それを利用しよう。一高柔道部は強いのか?」

稔「やつ以外は全然弱いらしい。」

光「そうか。じゃ、楽勝じゃないか、明日、一高に行って勝負を申し込もう。」

稔「何の勝負だ、祥子を賭けるってことか。」

光「一高が勝てば、もう一切手出しはしない、秀英が勝てば、俺様と一日デート。」

武「のってくるかな。」

光「まあのってこなければ、次の手を考えるさ。しかし、一日デートで俺様の魅力には勝てないだろう。」


翌日、一高柔道場に乗り込んでくる、秀英高生徒会長の光。稔と武もいる。

剛太郎「あいつは・・・。」

光「秀英高生徒会長の二階堂です。来週の一高秀英高の対抗試合で、一つ提案がある。」

剛太郎「なんだ。」

光「君は、夏目祥子の彼氏なんだろ。」

赤くなる剛太郎。

剛太郎「彼氏ではなく、友達だ。」

稔「やっぱり、祥子のやつ嘘ついてやがった。」

剛太郎「だが、そいつらがちょっかい出してきたら、追い払うボディーガードは請け負っている。」

稔「そういうことか。」

光「さあ、早速、本題に入ろう。今度の対抗の柔道の試合で、そちらが勝てば、夏目さんには今後一切関わらないと、生徒会長の僕が約束する、ただし、こちらが勝てば、僕と夏目さんが一日デートする。どうだ、悪くない提案だと思うが。」

祥子「ちょっと待ったー。」

祥子が道場へ入ってくる。

祥子「ちょっと、わたしが居ないところで、わたしのこと、勝手に決めないでちょうだい。」

光「これは、これは、麗しきビーナスのお出ましだ。」

祥子「剛太郎君、別にこんな勝負受けなくていいから。」

剛太郎「わかった。受ける。」

祥子「えっ何で?負けたらどーすんの。わたしいやだよ。あんなキザ男とデートなんて。」

剛太郎「ルールは、うちが決める。それでいいなら受ける。」

光「何でも構わない。凶器ありか。いいぞ。ルールはそちらで決めてくれ。提案成立だな。」

心配そうな祥子。

祥子「剛太郎君、大丈夫なの?」

祥子にウインクする剛太郎。

剛太郎「勝負は5人の抜き勝負、どちらか一人以上残った方の勝ちとする。細かいルールは通常の柔道公式ルールだ。僕は大将で出る。」

光「抜き勝負、なるほど、とにかく相手を全員倒せば・・・全員!」

しまったの顔の光。

祥子「はいはいはい。そういうことね。要は、大将の剛太郎君を負かさないと勝負に勝てないって事ね。流石、剛太郎君、あったま良いー。」

光「まて、ちょっと待ってくれ。」

祥子「あ、どうしたの、男は一度言った言葉は、守らなきゃいけないのよ。」

何か考えが浮かんだ光。

光「まあ、良いだろう。こっちにも考えがある。では、当日まで、アディオス。」

あっかんべーの祥子。

帰って行く秀英高の3人。

剛太郎「さあ、試合までもうすぐだ。気合い入れるぞ。」

柔道部全員「おう!」


 対抗試合当日の一高の校門。

剛太郎を待つ祥子、手にはクマちゃんお守り。

剛太郎が校門に到着。

剛太郎「夏目さん。」

祥子「剛太郎君、頑張ってね。」

剛太郎「ああ、油断しなければ勝てる。」

祥子「負けても、責めないから安心して。一日、目つぶってデートすればいいんだから。」

剛太郎「大丈夫、勝つから。」

祥子の手のクマちゃんお守りに気づく剛太郎。

剛太郎「あ、クマちゃんだ。」

ニコニコ剛太郎になる。

祥子「こらこら、勝負に向かう男がそんな顔じゃ駄目だぞ。」

剛太郎「だって、クマちゃんなんだもん。」

祥子「これ、昨日、ガールズハウスで買ってきたから、あげる。」

剛太郎「クマちゃんだ。わーい。」

祥子「その顔じゃ、負けそうな気がする。分かった、応援席で、あたしが持ってるから、試合が終わったら、渡すね。」

剛太郎「わかった。」

勝負の顔に戻る剛太郎。

祥子「強いんだか弱いんだか、まあ、そこが良いんだけどね。」

剛太郎「何?」

祥子「ううん。」

剛太郎「じゃ、このお守りに祈りを込めるから、夏目さんも一緒に祈って。」

祥子「わかった。」

二人手を合わせる。祥子の手の中で、一瞬、お守りが光る。

・・・「叶えてつかわす・・。」

祥子「ん。剛太郎君、今、何か言った?」

剛太郎「いや、何にも。」

祥子「気のせいか。」


試合会場

今から、対抗柔道大会が始まる。

先鋒、次鋒、中堅、副将、大将と両校並ぶ。大将を先に倒した方が勝ちである。

審判の合図。

審判「正面に礼。」

審判「お互いに礼。」

試合開始である。

案の定、秀英の中堅までに4人抜かれた、一高。

二年生丸山「剛太郎先輩、すみません。中堅までしかもちませんでした。」

剛太郎「上等、上等、あと3人抜けば勝ちだ。」

試合線に左足から出る剛太郎。相手は中堅。審判のかけ声。

審判「はじめ。」

剛太郎「おう。」

中堅「おう。」

組んだ瞬間、いきなり剛太郎の左からの豪快な払い腰が決まる。

審判「一本、それまで。」


応援席の祥子「おおー、剛太郎君強っ。この調子でがんばれー。クマちゃんも見てるぞー。」


再び会場。

相手の副将が出てくる、副将は主将の永田である。

剛太郎「永田、大将じゃないのか?」

永田「ああ、今回は特別ゲストが来ているからな。」

二年生の丸山が秀英の大将の正体に気づく。

丸山「あの大将、先月の世界Jr大会の優勝者、韓国のキム選手じゃないか。」

一年生部員「そうです。キム選手ですよ。なんでこんな対抗試合に?」

丸山「どうやって・・・。」

秀英高生徒会長の光が説明しだす。

光「交換留学生ですよ。韓国の高校から、一時留学してもらったんですよ。」

丸山「お金とコネ・・・、汚いぞ。」

光「いやいや、キム選手は、秀英の留学生です。試合に出ても全然問題ナッシングです。」

剛太郎「おらー!」

ドン!剛太郎が、副将の永田を左内股で投げ飛ばす。

審判「一本、それまで。」


応援席祥子「いいぞー。剛太郎。全部投げ飛ばせー。」


いよいよ、キム選手の登場である。

剛太郎「はあ、はあ、あと一人。」

大将キム選手が開始線に出てくる。

審判「始め。」

剛太郎「おう。」

キム選手「オウ。」

組み合う二人。キム選手右、剛太郎左、ケンカ四つである。いきなり、キム選手が谷落としを仕掛ける。

剛太郎「くうっ。」

踏ん張る剛太郎、しかし投げられる。ポイントには、ならない。

剛太郎「つ、強い。」

キム選手「コイツ ツヨイ。」

お互いに強さを認めている。再び組み合う。体力を消耗している剛太郎が不利。

丸山「剛太郎先輩も、去年足の怪我さえなければ、県優勝してたんだ。全国でも3位くらいの実力はあるんだ。ただ、相手が世界jrチャンピオンじゃ・・・。」

ドン!

キム選手の大内刈りが決まる。

審判「技あり。」

光「これで決まったな。」


観客席祥子「えーーー。マズいよ、マズい。こらー、剛太郎、本気ださんかーい。」


ドン!

キム選手の小内刈りで転がされる剛太郎。ポイントはなし。

一高柔道部員が必死の応援。

剛太郎「マズい。強すぎる。技あり取り替えさねば。」

大外刈りを仕掛ける剛太郎、しかし、中途半端な入り方でキム選手に返し技をくらう。

ドン!

ポイントなし。


応援席祥子「もう時間ないよー。どうすんの、どうすんの。もう、クマちゃんに頼もう。」

クマちゃんお守りを握りしめ、祈る祥子。

応援席祥子「クマちゃんお願い、剛太郎を勝たせて、お願い。」

お守りが一瞬、閃光をを放ち、光の玉となって、試合場の剛太郎の背中に入る。

クマ大明神「叶えてつかわすぅ。」

応援席祥子「えーーーーーー。」


試合場の剛太郎、背中の光が体に入った瞬間、意識を失う。目をつぶったまま、キム選手に」組み合う。

キム選手「オウ、ハイイ、オワア。」

キム選手が技を何度も掛けてもびくともしない。

無意識剛太郎「クマ5倍パワー発動!」

剛太郎、右にフェイントを掛け、左に動くキム選手に支え釣り込み足、キム選手ガクガクと崩れる、そこへ一気に左からの豪快な払い腰を決める。

ドドン!

審判「一本、それまでー。」

会場全体が凍り付く、次の瞬間、大歓声が沸き上がる。

一高柔道部員「やったー、スゲー、剛太郎先輩、世界Jrチャンピオン倒しちゃったー。」

秀英柔道部員「まさか、そんな。」

光「そんな、バカな。」

稔「これ、負けたって事?」

武「そう、だね。」


応援席祥子「やったーーーー。剛太郎君。すごーい。勝ったー。」


我に返る剛太郎。

剛太郎「あれ、試合は?」

キム選手「ナイス、ファイト、GOUTAROU。」

剛太郎「えっ。」

審判が勝ち名乗りを剛太郎にあげる。

そして、全員整列。

審判「お互いに礼。正面に礼。」

対抗試合終了である。

一人キョトンとする、剛太郎。

剛太郎「僕、どうやって勝ったんだ?」


第七話に続く。


第七話に続きます。第七話も書きます。

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