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男!岩田剛太郎の秘密  作者: やのへい
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第五十六話 パン&スープパーティー準備

夏目家でのパン&スープパーティーを始める為に、買い出しに行く剛太郎と祥子。

第五十六話 パン&スープパーティー準備


その男の名は、岩田剛太郎。

高校3年生18歳、ゴツいのは名前だけではなく、見た目もゴツい。身長185cm体重135kg、柔道部主将、屈強な体。目つきも鋭く、強面、かなりゴツい男。

見た目に反して、この男、気は優しく、あまり怒らない。

頭も良く、県下でトップクラスの進学校(一高)に通う。文武両道の男。

ただ、彼には、人に言えない秘密があったのです。


 いつもの一高下校風景。剛太郎と祥子が、二人で下校中である。

祥子「剛太郎君、明日の休みは、家でスープパーティーだよ。」

剛太郎「うん。楽しみだ。あ、明日は、お父さんは居るの?」

祥子「お父さん?居るよ。剛太郎君が来るから、楽しみにしてるよ。」

剛太郎「良かった。」

祥子「お父さんに、何か用事なの?」

剛太郎「うん。自由研究の件でちょっとね。」

祥子「今月の自由研究か、題材は何なの?」

剛太郎「相撲と日ユ同祖論だよ。」

祥子「・・・難しそうね。」

剛太郎「難しくはないよ。相撲のルーツの話だよ。」

祥子「お相撲の歴史か、それで、うちのお父さんに、なるほど。」

剛太郎「こないだ、カーニバルの話の時、お父さん、ヨーロッパやアジアの相撲に詳しそうだったから。」

祥子「そうね。あと、日ユ同祖論って?」

剛太郎「ああ、日本人とユダヤ人は、同じ祖先じゃないかっていう話だよ。」

祥子「ユダヤって、イスラエルだよね。あんな遠くの人たちと私たちが同じ祖先ってこと?」

剛太郎「そうなんだ。失われた十支族って話だよ。こないだ、図書室で借りた本に載ってたんだけどね。」

祥子「ふーん。」

剛太郎「かいつまんで言うと、敵に攻め込まれたユダヤ人の十二支族のうち、二種族は、そのまま残ったんだけど、残りの十支族は、シルクロードを越えて、そのうちの二種族が日本まで来たってお話。」

祥子「それとお相撲と、どう関係があるの?」

剛太郎「実は、シルクロードを渡り歩いてくる時に、相撲の文化を残していったんじゃないかって言われてるんだ。」

祥子「へえ、そういえば、カーニバルの時も、たくさん競技あったもんね。」

剛太郎「そう。トルコのヤールギュレシ、ネパール相撲、モンゴルブフ、韓国シルムは、日本の相撲に似ているよ。」

祥子「日本には、二種族来たの?」

剛太郎「日本に来たのは、エフライム族とガド族かイッサカル族って言われてるんだ。」

祥子「お父さん、そこまで知ってるかな・・・。」

剛太郎「いや、ユダヤの話じゃなくて、相撲の歴史を聞きたいんだ。」

祥子「それなら、大丈夫だね。あ、そうそう、スープの買い出しあるから、ちょっと早めに来てね。」

剛太郎「ああ、10時くらいにお邪魔するつもりだよ。」

剛太郎と祥子、仲良く話ながら、帰路につく二人であった。


 翌日の夏目家、祥子父一郎がそわそわしていた。

祥子父一郎「祥子、今、何時だ。」

祥子「10時5分前よ。」

祥子母律子「あらあら、どっちが彼女かしら。」

祥子父一郎「いやいや、聞けば、わしに用事があると言うじゃないか。しかも相撲の歴史を教えて欲しいとは。」

祥子「お父さん、興奮しすぎ。」

ピンポーン、玄関のチャイムが鳴る。

祥子「来た。」

祥子父一郎「来たか。」

祥子と祥子父一郎が、玄関に出迎える。


玄関を開ける祥子。

祥子「いらっしゃいませ。」

剛太郎「ただいまです。」

祥子父一郎「おお、剛太郎君、よく来たな。さあ、上がってくれ。」

リビングへ移動する3人。剛太郎がリビングの祥子母律子に挨拶をする。

剛太郎「ただいまです。」

祥子母律子「お帰りなさい。」

祥子父一郎「剛太郎君、ただいまとは、はて?」

祥子母律子「わたしがお願いしたんですよ。うちへ来るときは、お邪魔しますじゃなくて、ただいまって言ってねって。」

祥子父一郎「おお、そうだったのか。剛太郎君は律儀だな。」

祥子母律子「まあ、遅かれ早かれ、いづれは・・・、ねえ、祥子。」

祥子「ちょ、ちょっと、お母さん・・・。」

剛太郎「ただいまなんて、図々しいと思ってしまいますよね。お父さん、すみません。」

祥子父一郎「いやいや、わしからもお願いしよう。家へ来るときは、ただいまと言ってくれ。」

祥子母律子「祥子、よかったわね。」

祥子「お母さん・・・、もう・・・。」

顔が赤くなる祥子であった。

剛太郎「祥子ちゃん、買い出し行こうか?」

祥子「そうね。ちゃちゃっと、行ってこよう。お父さんの首が長くなっちゃうから。」

祥子父一郎「おお、行ってきなさい。話はあとでゆっくりしよう。」

剛太郎「では、行ってきます。」

祥子「行ってきまーす。」

祥子母律子「気をつけてね。パンの方は、もう焼くだけだから。」

剛太郎「僕のために、すみません。」

祥子母律子「いいの、いいの。さあ、早く行ってらっしゃい。」

祥子「剛太郎君、行こう。」

剛太郎「うん。」

剛太郎と祥子がスーパーへ向かった。


 スーパーへ到着した、剛太郎と祥子。買い物を早々に終わらせ、スーパーから出て行く。

祥子「いっぱい買ったね。」

剛太郎「こんなに飲めるかな。」

祥子「ファミレスで1タンク飲むんだもん。全然飲めるでしょ。」

剛太郎「単位が、1タンク・・・。」

祥子「剛太郎君の為の単位だね。」

微笑ましい光景である。そこへ、いきなり怒号が飛び交ってくる。


運送屋の男「狭いから通れないんだけど。」

スーパーの若い従業員「す、すみません。」

運送屋の男「昨日も一昨日も、今日もだぞ。」

スーパーの若い従業員「今、どかします。」


祥子「揉めてるね。」

剛太郎「ちょっと、見てこよう。」

剛太郎が揉めている二人の元へ歩いて行く。


運送屋の男「ったく、これじゃ、荷物降ろせないつうの。」

スーパーの若い従業員「すみません、すみません。」

剛太郎が、若い従業員に声をかける。

剛太郎「どうしたんですか?」

スーパーの若い従業員「あ、お客様、すみません。気になさらないでください。」

運送屋の男「あ、お客さんには、関係ないよ。業者同士の問題だから口出さないでくれる。」

状況をみて内容を把握した剛太郎。

剛太郎「しかしですね、店頭であんな大声を出されたら、我々客は、いい気持ちしませんよ。」

スーパーの若い従業員「すみません。私から謝ります。私の不手際なので。」

運送屋の男「そうそう。こいつが悪いの。この通路幅じゃ荷物運べないからね。」

剛太郎「何処まで運ぶんですか?」

運送屋の男「その先に降ろすんだよ。」

剛太郎「5mくらいですね。」

運送屋の男「そうだよ。この観葉植物がいつも邪魔なんだよ。」

剛太郎「自分で、その観葉植物動かせばいいんじゃないですか?」

運送屋の男「なんで、おれが?この観葉植物、スーパーの持ちもんだろ?」

剛太郎「荷物、何個です?」

運送屋の男「10ヶだよ。」

剛太郎「この段ボール10ヶだけですか。」

運送屋の男「あのね、配送先は、ここだけじゃないの。まだ、たくさんあるの。ぐずぐずしてると間に合わないの。」

剛太郎「手で運べばいいんじゃないですか?」

運送屋の男「カートで一気に運んだ方が、早いの。素人には分かんないから。」

剛太郎「どけろって叫んで、従業員さんを呼んで移動して貰うより、自分でどかした方が早いんじゃないですか?」

運送屋の男「だ・か・ら、この観葉植物は、スーパーのものでしょ。」

剛太郎「店員さん、この観葉植物、自分でどかしても構わないんですか?」

スーパーの若い従業員「ええ、触って頂いても、どかして頂いても構いません。あとで、僕が元に戻すだけですから。」

剛太郎「らしいですよ。運転手さん。」

運送屋の男「ああ?なんだ?俺が悪いのか?」

剛太郎「運送業って、商品を卸すまでが業務ですよね。こちらのスーパーはお客様なんじゃないですか。あと、運んでやってる感がすごいですね。」

運送屋の男「ああ?なんだ?俺が悪いのか?」

そこに後ろから声がする。

謎の声「ああ、お前が悪いな。」

運送屋の男が振り向く。

運送屋の男「何?あっ・・・しゃ、社長・・・何で・・・。」

そこには、運送屋の社長が、鬼の形相で立っていた。

運送屋社長「お前の素行が悪いと、会社にクレームが入ってな、お前の仕事ぶりを見ていたんだ。」

運送屋の男「あ、いや、これはですね、たまたま、今日だけ・・・。」

運送屋社長「お前の処遇は、帰ってからだ。それよりも・・・。」

スーパーの若い従業員と剛太郎に、深々と頭を下げる運送屋社長。

運送屋社長「社員教育が行き届いておらず、本当に申し訳ありません。私がお詫びします。店長へも後日、謝罪に行く予定です。店のお客様にまで、ご迷惑をおかけして本当に申し訳ございません。」

スーパーの若い従業員「いえ、こちらも気をつけますので。」

剛太郎「業者さんの問題に口を挟んで、申し訳ありません。」

運送屋の男「社長、相手もああ言ってますし・・・。」

更に怒りの形相で睨む社長。

運送屋社長「まだ、分からんのか、お前は!私たちが運んでいるのは商品だけじゃないんだぞ。送り主の気持ちも一緒に運んでいるんだぞ!」

運送屋の男の頭を押さえつけ、一緒に謝らせる運送屋社長。

運送屋社長「本当にすみませんでした。」

運送屋の男「・・・すみませんでした・・・。」

運送屋のトラックは、社長とともに去って行った。


スーパーの若い従業員「ありがとうございました。」

剛太郎「いえいえ、こちらこそ出過ぎたまねをしてすみませんでした。」

祥子が駆け寄ってくる。

祥子「剛太郎君、大丈夫?」

剛太郎「うん。大丈夫だよ。お父さん待ってるね。帰ろうか。」

祥子「うん、帰りましょ。」

スーパーの若い従業員「ありがとうございましたー。」

スーパーの若い従業員は、二人が見えなくなるまでずっと、頭を下げていた。


夏目家に戻る剛太郎と祥子。

剛太郎「さあ、相撲の歴史を教えて貰うぞ。」

祥子「お父さん、詳しいかな?」

マモリン「あのー。」

剛太郎「マモリン、どうしたの?」

マモリン「ぼく、相撲の神様なんですけど・・・。」

剛太郎「そうだった!」

祥子「マモリン、知ってるの?」

マモリン「うん。日本のはね。日本の前は、クマリンが詳しいじゃないかな?」

剛太郎「えっ、クマリン?」

マモリン「日本の相撲はね、僕、建御雷神タケミカヅチ建御名方タケミナカタの力比べが起源とされているの。」

祥子「そうなんだ。」

剛太郎「で、その前って。」

クマリン「僕、だーれだ?」

祥子「クマリン。あ、大天使ガブリエルだ。」

クマリン「世界の相撲の起源は、僕なの。」

剛太郎「そうなの?」

クマリン「僕、つまり大天使ガブリエルと人間のヤコブがお相撲したの。それが始まり。」

祥子「お父さんじゃなくて、おもいっきり近くに、居たね。」

クマリン「まあ、僕らの知らないことが出てくるんじゃないかって、期待してるんだけどね。」

剛太郎「クマリンもマモリンも、クマが悪いな。」

祥子「それ、人が悪いじゃ・・・。」

剛太郎「クマリンもマモリンも、クマちゃんだから。」

クマリン・マモリン「なるほど。」

祥子「うなづくんかーい。」

祥子父一郎の話とパン&スープパーティーに期待が膨らむ剛太郎であった。


第五十七話に続く。


第五十七話に続く。第五十七話も書きます。

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