第四十九話 ソフトバレーリーグ戦
ソフトバレーのリーグ戦が始まる。剛太郎と本田の必殺技Aクイックが炸裂する。吹奏楽部村上の必殺技も・・・。
第四十九話 ソフトバレーリーグ戦
その男の名は、岩田剛太郎。
高校3年生18歳、ゴツいのは名前だけではなく、見た目もゴツい。身長185cm体重135kg、柔道部主将、屈強な体。目つきも鋭く、強面、かなりゴツい男。
見た目に反して、この男、気は優しく、あまり怒らない。
頭も良く、県下でトップクラスの進学校(一高)に通う。文武両道の男。
ただ、彼には、人に言えない秘密があったのです。
いよいよ、クラスマッチ開幕である。ソフトバレーのリーグ戦が始まる。祥子が剛太郎にハチマキを持って来た。1組は、4組と8組と同じブロックである。2勝すれば、決勝トーナメント進出となる。
祥子「はい、剛太郎君、ハチマキ。」
剛太郎「ありがとう、祥子ちゃん。さあ、みんな、頑張ろう。」
4組とのリーグ戦開始である。井上Aチームが勝利、高山Bチームは惜しくも負け、勝敗はCチームにかかっている。
剛太郎「さあ、僕らの出番だ。みんな、練習の成果を出そう。」
本田・江上・野村・村上・森本「おう。」
本田「Aクイック多用していこう。剛太郎君に、ブロックがついたら、江上君にトス上げるね。」
江上「本田君のバックトスに合わせるね。」
森本「僕たち後衛は、本田君にボールをレシーブで、返そう。」
野村「声かけていこう。」
村上「頑張るよ。」
Cチームの試合開始である。サーブ権は、ポイントと取った方に与えられる。始めは、4組からのサーブである。サーブはアンダーサーブのみである。また、サーブを1回で相手コートに返したら、反則となり、相手ポイントとなるルールである。
本田「森本くん。」
森本「おう。」
森本がレシーブ、本田にボールを返す。
本田「剛太郎君。」
剛太郎「おう。」
Aクイックでトスを上げる本田、すぐさま剛太郎がスパイクを決める。
剛太郎「おりぃやーーー。」
ズドン。
ソフトバレーとは思えない、豪快なスパイクが決まる。唖然とする4組のCチーム。
剛太郎「オッシャー。」
江上「いいぞ、剛太郎。もう一本いこう。」
1組野村のサーブ。
野村「とりあえず、入れていくからね。剛太郎、江上君、ブロック頼むよ。」
本田「森本君、村上君、こぼれ球に、反応してね。」
森本・村上「了解。」
野村のサーブ、4組がアンダーでレシーブ、セッターが上げる、ライトアタッカーのスパイク、しかし、剛太郎と江上のブロックに止められる。
江上「よっしゃー。」
剛太郎「止めたぞ。」
本田「野村君、どんどんいこう。」
野村のサーブ、4組がレシーブ、セッターが2アタック、村上が狙われる。村上の前にボールが落ち、ポイントを取られる。
本田「村上君、ドンマイ。落ちついていこう。」
4組のサーブ、村上が狙われる。さっきのミスに戸惑う村上。レシーブするも、コートの外にボールがはじかれてしまう。
村上「ご、ごめん。」
剛太郎「村上君、落ちついて、練習通りいこう。」
本田「ボールを指揮者と思って、目を離さないで。」
4組のサーブ、また、村上狙い。森本君が村上の前に入り、レシーブし、本田へ返す。剛太郎にブロックがついているのを確認した本田、江上にバックトスを上げる。開いたところから走り込んで、スパイクを決める江上。
江上「はいっ。」
ズドドン。
スピードある江上のスパイクが決まる。
江上「オッシャー。」
本田「いいぞ、江上君。さすがは、本職。」
剛太郎「どんどんいこう。」
村上のミスを皆でカバーする、剛太郎Cチーム。10分が経過し、6対2で勝利し、1組が4組に勝利である。
村上「やっぱり、僕はお荷物だね。」
剛太郎「いや、村上君、そんなことはないよ。」
本田「相手が、村上君を狙ってくるから、逆に、戦略が立てやすくなるよ。」
江上「それはあるな。」
野村「僕も、レシーブミスしたけど、村上君が、そのボール、相手コートに返したじゃない。」
森本「みんながカバーするから、大丈夫。クヨクヨしないの。」
村上「みんな、ありがとう。」
剛太郎「さあ、次は、8組との試合だ。ここで勝てば、決勝トーナメント、準決勝だよ。」
本田「次も、頑張ろう。」
コートを移動する1組。8組には、柔道部の田中がいた。田中が、剛太郎に話しかける。
田中「剛太郎、Cチームか?」
剛太郎「ああ、Cチームだ。」
田中「僕もCチームだ、さっきの試合、見てたぞ。村上君狙いでいくからな。」
剛太郎「作戦ばらしていいのか?」
田中「ああ、穴は、そこしかなさそうだからな。」
村上「やっぱり、穴なんだね。僕は・・・。」
剛太郎「大丈夫だよ。村上君、さっきも言ったけど、それならそれで、作戦立てやすいから。」
本田「そうそう。あ、村上君、もう、レシーブ1本でいこう。最初から、アンダーレシーブの形を作って、構えていてね。構えたまま、ステップで移動する。」
江上「ああ、そっちの方がいいかもな。その方が、レシーブにブレが無いよ。」
村上「頑張ってみるよ。」
野村「それ、僕もやってみよ。」
森本「村上君のカバーは、僕がやるから。」
剛太郎「さあ、試合だ。」
第二試合、8組との試合が始まった。井上Aチームは勝ち、高山Bチームは負け。第一試合と同じ状況となった。
高山「剛太郎、また、負けてしまって、すまん。」
剛太郎「気にするな。僕たちCチームが勝てばいいんだ。」
江上「相手は、バレー部居ないから、大丈夫。うちが勝つ。」
高山「やっぱ、手でボール扱うのは無理。足の方が楽だよ。」
本田「高山君は、サッカー部だもんね。」
剛太郎「さあ、いこう。」
江上「勝つぞ。」
剛太郎・森本・本田・村上・野村「おおー。」
Cチームの試合開始である。1組のサーブで試合開始である。野村のサーブ、8組がレシーブ、トス、田中がアタック、1組剛太郎がブロック。
剛太郎「おっしゃー。」
田中「剛太郎、ブロック高いな。なら、作戦変更。」
再び、野村がサーブ、8組がレシーブ、トス、田中がアタック。剛太郎がブロックに飛ぶ。
剛太郎「さっきと一緒だな。」
田中「なんの、ほれっ。」
田中が、強打ではなく、ソフトスパイクで、後ろの村上を狙う。ソフトスパイクにタイミングを狂わされた村上、倒れ込みながらレシーブするも、ミスしてしまう。
村上「ごめん、また、ミスしてしまって。」
本田「大丈夫、大丈夫、声出していこう。」
森本「さっきのは、誰でも無理だよ、あそこまでタイミングずらされたら。」
野村「次、取ろう。」
剛太郎「さすが、テクニシャン田中。」
田中「それ、褒めてる?」
1組と8組、一進一退の攻防、9分経過で4対4の同点。残り1分、最後のワンプレーである。
剛太郎「さあ、最後のワンプレーだ、集中していこう。森本君、サーブ入れていこう。」
村上「何が何でも、レシーブ上げるからね。」
江上「村上君、その意気だ。」
本田「最後は、Aクイックいくからね。剛太郎君頼むよ。」
剛太郎「分かった。」
江上「僕がおとりになるね。」
森本がサーブを入れる。8組が、レシーブ、セッターが2アタック。村上が狙われる。バランスを崩すも回転しながら、片手でレシーブを上げる村上。
村上「本田君、上げたよ、頼む。」
ボールを上げた村上は、受け身を取る。
本田「剛太郎君、いくよ。」
剛太郎「おお。」
江上も飛んで、おとりになる。ブロックが一人江上につられる。剛太郎には田中がつく。剛太郎のAクイック。
剛太郎「おるあーーー。」
田中「なんの。」
田中がブロックで応戦。
剛太郎「このボールは、村上君が必死で上げたボール。ここで決める!」
剛太郎と田中がボールを押し合う。
剛太郎「おおおおおおおお。」
田中「あああああああ。」
剛太郎がパワーで田中ごと吹っ飛ばす。
剛太郎「おらーーーー。」
剛太郎が手を振り切る。
田中「うわーーー。」
後ろに倒れ込む田中。
ポン、ポン、ポン。ボールが8組のコートに落ちる。
ピピー。審判のホイッスル。
審判「5対4で1組の勝利。」
応援中の1組メンバー「やったーーー。」
江上「よしっ。」
本田「やった。」
森本「村上君、やったね。」
野村「みんなで繋いだ一点だよ。」
剛太郎「よっしゃー。」
村上「勝ったの?」
本田が、倒れている村上を起こす。
本田「ナイスレシーブ、村上君。凄いよ、回転レシーブだよね。」
村上「うん、剛太郎君に、柔道の受け身を教えて貰ったんだ。」
剛太郎「村上君、ナイス回転レシーブだったね。練習したかいがあったね。」
江上「バレーの練習のあと、柔道場に行ってたのは、この練習のため?」
野村「凄いや、村上君。」
森本「努力は人を裏切らないね。」
倒れていた田中が起き上がってくる。
田中「柔道場の隅っこでやってたのは、これだったのね。しかし、剛太郎、僕ごと吹っ飛ばすのは、反則じゃないの?」
江上「オーバーネットじゃないから、反則じゃないな。まあ、剛太郎にしか出来ない芸当だけどな。」
田中「僕、100kgなんだけど・・・。」
本田「剛太郎君のパワーは、並外れてるからね。」
剛太郎「さあ、整列だ。」
1組は、4組と8組に見事勝利し、決勝トーナメント進出である。
トーナメントまで、30分休憩である。祥子が、剛太郎の元へ駆け寄ってきた。
祥子「おめでとう、男子は、準決勝進出ね。」
剛太郎「祥子ちゃんのハチマキのお陰だよ。女子は?」
祥子「女子は、予選敗退。1勝1敗で敗者復活も無し。」
剛太郎「そう、じゃあ、応援よろしくね。」
祥子「もちろん。」
そこへ、Cチームメンバーも集結する。
本田「Cチームは、チームワークがいいよね。」
江上「このまま、優勝だな。」
森本「村上君の、必殺回転レシーブがあるからね。」
野村「村上君、あんな技出来るんだもん、ビックリしたよ。」
そこへ3組の近藤がやってくる。
近藤「決勝で、待ってるぞ。優勝は3組だけどな。」
江上「近藤、優勝は1組だ。」
近藤「まあ、リベロの俺がどんなスパイクでもレシーブするからな。」
江上「まあ、そっちは、後衛3人、バレー部だからな。」
近藤「中学校の時の本田君へのリベンジもあるしね。」
本田「そういえば、そうだったね。」
剛太郎「中学校の時?」
本田「中学校の大会で、近藤君の中学校に勝ったことがあったんだ。」
近藤「まあ、村上狙いでいくから、Cチームはうちの勝ちで決まりだな。」
剛太郎「それはどうかな。村上君には、必殺技があるからね。」
近藤「必殺技?トランペットでも吹くのか。」
野村「トランペットじゃないぞ、トロンボーンだぞ。」
森本「さっきも、その必殺技で勝利したからね。」
近藤「試合が楽しみだ。決勝まで来いよ。」
そういうと、近藤は3組の元へ戻っていった。
剛太郎「さあ、時間まで、レシーブ練習だ。みんな、準決勝も勝って、決勝も勝って、優勝だ。」
江上・森本・本田・村上「おおー。」
第五十話に続く。
第五十話に続く。第五十話も書きます。




