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男!岩田剛太郎の秘密  作者: やのへい
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第四十七話 クラスマッチ始まる

一高名物、クラスマッチが始まる。と、その前に、体育の授業である。

第四十七話 クラスマッチ始まる


その男の名は、岩田剛太郎。

高校3年生18歳、ゴツいのは名前だけではなく、見た目もゴツい。身長185cm体重135kg、柔道部主将、屈強な体。目つきも鋭く、強面、かなりゴツい男。

見た目に反して、この男、気は優しく、あまり怒らない。

頭も良く、県下でトップクラスの進学校(一高)に通う。文武両道の男。

ただ、彼には、人に言えない秘密があったのです。


 一高では、クラスマッチが行われる。今回は、ソフトバレーボールである。もちろん、競技は、男子女子別ではあるが、女子は自分の分と、男子の分のハチマキを作ることになっていた。一高は、男子と女子が隣の席になっている。ただ、男子の数が多いクラスもあるので、その場合は、女子が3本受け持つ事もある。ただ、1組は、男子と女子の数が一緒なので、隣の席の男子の分を作る事になっていた。剛太郎の席の隣は、真奈美であった。

真奈美「剛太郎君、わたしが作るより、祥子が作った方が良いよね。」

剛太郎「僕は、どっちでも構わないよ。」

真奈美「そう?ねえ、祥子、代わろうか?」

祥子「いいの?」

真奈美「顔に、剛太郎君のハチマキが作りたいって書いてあるよ。」

祥子「えっ。」

真奈美「図星か。あ、祥子の席の隣は、本田君ね。本田君、君のハチマキ、わたしが作るけどいいよね?」

本田「オッケー。ほつれないように、ちゃんと作ってよ。」

真奈美「大丈夫、大丈夫。どうせ、家庭科の時間に作るんだから。誰が作っても同じものなんだから。」

本田「川口さん、頼むね。」

真奈美「任せとけ。」

祥子「真奈美、ありがとうね。」

真奈美「いいの、いいの。だって、わたしが作ったものより、祥子が作った方が、絶対、剛太郎君力はいるから。」

剛太郎「ありがとう、川口さん。」

真奈美「あ、次の授業、体育だよね。女子はソフトバレーだけど、男子は?」

剛太郎「男子は、ラグビーだよ。」

真奈美「ラグビーか、きつそうね。」

剛太郎「僕は多分、フォワード。スクラム要員だよ。」

祥子「じゃあ、真奈美、着替えに行こうか。」

1組の男子、女子、それぞれ体操服に着替えに更衣室へと向かった。

 

男子の体育は、1組と2組の合同で行われる。1組にラグビー部は居なかったが、2組にはラグビー部が3人いた。緒方、加藤、筬島である。3人ともバックスである。3人がグラウンドで、集合前に話していた。体育の先生は、ラグビー部顧問の溝上先生であった。

緒方「体育で、ラグビーかよ。」

加藤「まあ、部活の前のウォーミングアップだな。」

筬島「俺たち3人居るんだ、まあ、負けないだろ。」

溝上先生「始めるぞー。」

溝上先生の号令で、集合した、1組男子20名、2組男子20名であった。

溝上先生「今日は、ラグビーだ。1チーム15名の競技だ。フォワードとバックスで構成される。基本、体の大きいものがフォワード、足の速いものがバックスだ。」

ラグビーの基本についての話が10分ほど行われ、パス練習が始まる。その後、体の大きいものから順に選ばれ、フォワードでスクラムの練習である。

溝上先生「基本は、以上だ。じゃあ、1回、試合やってみるか。」

両チーム15名が並ぶ。

剛太郎が1組のチームに声を掛ける。

剛太郎「みんな、ラグビーを楽しもう。作戦は、さっき話した感じでいこう。」

2組のラグビー部3人も話している。

加藤「あーあ、試合になるかなー。みんな、俺たちにボール回せばいいからな。」

緒方「ま、付き合ってあげましょう。パス回しで翻弄させるか。」

筬島「まあ、素人相手だ。キックオフトライ狙うかな。」

余裕の表情の3人である。

キックオフは、2組。溝上先生のホイッスルで、試合開始である。筬島が相手陣地深くにボールを蹴る。

筬島「ほれー。」

加藤「筬島、本気で蹴るなよ。」

加藤「あ、ボールをキャッチしたのは・・・。」

筬島のキックオフのボールをキャッチしたのは、剛太郎であった。剛太郎は、キャッチするやいなや、2組陣地に向かって突進してきた。

剛太郎「おら、おら、おら、おらーーー。」

ボールを左脇に抱えた剛太郎、右手で2組の男共を振り払い、突進していく。

緒方「タックルだー。」

緒方が剛太郎に左足にタックルするが、吹っ飛ばされてしまう。

加藤「止める!」

加藤もタックルに行くが、右手ではじき飛ばされる。あれよあれよという間に、筬島一人になってしまう。

筬島「ええーーい。」

筬島が渾身の力で、両足タックルに行く。さすがの剛太郎も、バランスを崩すが、手を伸ばし、ボールを前に置く。ボールはゴールラインを超えていた。

溝上先生「ピーーー。1組トライ5点。」

なんと、ラグビー部が3人居る2組相手に、キックオフトライを決めた1組であった。・

溝上先生「おい、緒方、加藤、筬島、お前ら、何やってるんだ。」

緒方「すみません。」

加藤「剛太郎は、反則だな、うちのプロップより体格いいもの。」

筬島「剛太郎に、ボールがまわらんようにせんとな。」

初トライに喜んでいる1組。

剛太郎「あ、コンバージョンキックだな。」

高山「作戦通り、俺が蹴るな。」

高山は、サッカー部のエースストライカーである。

高山「ほいっ。」

サッカー部の高山、見事コンバージョンキックを決める。

溝上先生「ピピーー。キック成功、2点。」

呆然とする、加藤、緒方、筬島。その様子を見て、3人に声を掛ける溝上先生。

溝上先生「おい、おい、おい、お前ら、素人相手に負けるなよ。負けたら、今日の練習、きついぞー。」

加藤「やばいぞ。」

緒方「まあ、バックスでボール回して、トライを狙おう。」

筬島「相手の防御力次第だな。あ、内田、お前、同じ柔道部だから、剛太郎止めろよ。」

柔道部副主将の内田は2組である。

内田「頑張ってみるけど、多分無理。剛太郎の方が足早いもん。」

さて、1組のキックオフで試合再開である。キッカーは、サッカー部高山。

高山「おりゃっ。」

強烈なキックで、相手陣内の奥深くに蹴り込む、ゴールライン前20mまで蹴り込んできた。

筬島「キック力あるな、さすが、サッカー部。ただ、ここから、挽回だ。」

フルバックの筬島がボールをキャッチし、前に突進していく。ステップとフェイントで抜いていくが、前方に剛太郎。右にフェイントを掛け、左から抜こうとするが、剛太郎のタックルに掴まってしまう。筬島は、そのままタッチラインを割ってしまった。

剛太郎「タックルは、柔道の諸手刈りと一緒だな。今の柔道じゃ、反則だけどな。」

内田「確かに、諸手刈りだな。」

剛太郎と内田が話していた。

2組のスローインから始まる。加藤がスローインし、緒方が受け取る。そこでモール状態となる。ボールを緒方が、筬島にパス、筬島が加藤にパス。焦った加藤は、ボールを前に落としてしまう。ノッコンである。

溝上先生「ピーーー。ノッコン。1組ボールのスクラム。」

筬島「おい、何やってんだ。」

加藤「す、すまん。」

緒方「スクラムで、ボール取り返すぞ。」

2組の自陣30mラインで、スクラムである。1組のプロップは、剛太郎とバスケ部の井上。井上は、横幅はないが188cmと長身である。フッカーは、サッカー部の高山。1組と2組のスクラムである。案の定、ぐいぐい押し込んでいく、1組。

剛太郎・井上「おら、おら、おらー。」

内田「ムリー。」

フッカーの高山が、後ろにボールを蹴り出す。スクラムハーフがボールを貰い、スタンドオフへ渡す。やはり、素人、ボール回しがぎこちない。

筬島「バックス、ボール奪うぞ。行くぞー。」

加藤・緒方「おおーーー。」

スタンドオフが、加藤のタックルで倒されるが、右ウイング野村にパスをする。

緒方「潰すぞー。」

筬島「あ、野村か、ヤバい・・・。」

右ウイング野村が、緒方のタックルをかわし、一気に走り抜ける。ちなみに、野村は陸上部100mの選手である。100mを10秒台後半で走る、全国大会にも出場する選手である。

野村「おっしゃーーーー。」

剛太郎「野村、いけーーーー。」

筬島が追いかけるも、追いつかない。そのままゴールラインにトライを決める野村であった。

溝上先生「ピピーーーー、1組トライ5点。」

1組男子全員「オッシャー!」

高山「あ、キックだね。蹴るね。」

当然のように、コンバージョンキックを決める高山。2点追加である。

溝上先生の笛「ピピーーー、ノーサイド。」

結局、14対0で負けてしまった2組であった。肩を落とす、緒方、加藤、筬島。そこへ、溝上先生が声を掛ける。

溝上先生「おい、お前たち、素人だと1組をなめてただろ。」

緒方「すみません。」

加藤「ラグビーは、俺たちの方が上手いって思ってました。」

筬島「1組の方が、僕たちより、チームワークも良かったですね。」

溝上先生「そうだ、チームワームの勝利だな。パワーの剛太郎、スピードの野村、キックの高山、高さの井上。皆、持ち味を存分に活かしてたな。ラグビー自体は、お前たちの方が確実に上手いぞ。ただ、1組は長所を最大限に活かす為に、周りがサポートしていたな。」

筬島「ワンフォアオール、オールフォアワンですね。」

溝上先生「そうだ。一人はみんなのために、みんなは一人のためにだ。ラグビーの精神だ。」

加藤「ラグビー部の僕たちの方が、教えられてしまいました。」

緒方「僕たちは、個人で戦おうとしていました。」

溝上先生「まあ、いい教訓になっただろ。でも、実際、1組は相当強いぞ。剛太郎、井上、野村、高山は、本物だからな。」

筬島「強敵でしたね。」

1組のその4人も話に入ってくる。

高山「キックだけならいいけど、やっぱ、手でボール扱うのはムリだな。」

野村「ボール持ったまま走るの、難しいね。腕はどういう風にするの?」

井上「スローインのボール取るとき、肩車してもいいんだね。」

剛太郎「スクラムは、息を合わせないと、回っちゃうね。」

溝上先生「お前たち4人、今度、ラグビー部に体験入部しないか?何か得るものがあるかもしれんぞ。各顧問の先生には、言っておくから。」

筬島「いいですね、それ。」

緒方「いい意味で、刺激になるね。」

加藤「ラグビー部に、転入してくるんじゃないぞ。」

溝上先生「それは、いっこうに構わんぞ。1組の4人なら、すぐにでもレギュラーとれるぞ。素質が凄いからな。入ってくるか?」

加藤「僕、レギュラーから外されそう・・・。」

剛太郎「いえ、僕は、柔道部ですから。」

高山「僕は、やっぱりサッカーがいいです。」

井上「バスケが好きです。」

野村「僕は、球技は苦手です。」

溝上先生「はっはっは、冗談だ。各顧問の先生が、大反対するだろう。私が怒られるよ。ただ、今回の授業は、2組のラグビー部3人には、いい勉強になったと思う。チームワークの大切さと、如何に長所を活かすか、短所を補うかをね。」

筬島・加藤・緒方「なりました。」

溝上先生「来週は、クラスマッチだな。ソフトバレーだから、高さがものをいうな。井上と剛太郎が居る1組は、強敵だぞ。2組も負けるなよ。」

筬島「レシーブで拾いまくりますよ。」

緒方「回転レシーブ、特訓するかな。」

加藤「柔道の受け身と同じ動きだよな。」

剛太郎「柔道部への体験入部は、いつでもどうぞ。」

柔道部副主将の内田が、ニコニコしてやってきた。

内田「みんな、僕が投げてあげるからね。」

剛太郎「内田の背負い投げは、痛いよーー。」

筬島・緒方・加藤「やだ。」

溝上先生「さあ、次の授業が始まるぞ。体育の授業は、おしまいだ。みんな、集合!」

1組と2組の男子が、溝上先生の前に整列する。

剛太郎「溝上先生に、礼。」

生徒全員「ありがとうございました。」

体育の授業、終了である。


第四十八話に続く。


第四十八話に続く。第四十八話も書きます。

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