第四十五話 加奈子の作戦
剛太郎の好みを聞きにきた加奈子。剛太郎とのデートで試す加奈子であった。
第四十五話 加奈子の作戦
その男の名は、岩田剛太郎。
高校3年生18歳、ゴツいのは名前だけではなく、見た目もゴツい。身長185cm体重135kg、柔道部主将、屈強な体。目つきも鋭く、強面、かなりゴツい男。
見た目に反して、この男、気は優しく、あまり怒らない。
頭も良く、県下でトップクラスの進学校(一高)に通う。文武両道の男。
ただ、彼には、人に言えない秘密があったのです。
岩田家を目指し歩きながら話す、剛太郎と加奈子。
加奈子「剛太郎、手話出来るのか?」
剛太郎「少しね、小学校の時、習ったんだ。」
加奈子「小学校でか?」
剛太郎「うん。小学校で仲良し学級というのがあってね、近所の聴覚支援学校から月に1回、生徒が来てたんだ。そこで、手話の授業があってね。」
加奈子「仲良し学級か。」
剛太郎「その仲良し学級で、お人形さんみたいな女の子が来てたんだ。」
加奈子「初恋か?」
剛太郎「うーん。分かんないけど、それに近いのかな。その子ね、すっごい可愛かったんだけど、声出すと、上手く話せなくて、みんなが笑ったんだ。僕はからかうのをやめろって怒った。耳が不自由なんだから、声がちょっと変なのは当たり前のことだと分かってたからね。」
加奈子「剛太郎偉いな。」
剛太郎「僕も一緒にからかわれたけど、その子のことが好きなんだろうってね。でもそんなことより、彼女を侮辱していることが許せなかった。」
加奈子「剛太郎、やっぱり漢だな。」
剛太郎「あ、家ついちゃったね。僕の家ここね。」
剛太郎と加奈子が岩田家に入っていく。
剛太郎「ただいま。」
加奈子「お邪魔します。」
剛太郎母幸子と剛太郎妹今日子が出迎える。
剛太郎母幸子「あら、お帰りなさい。」
剛太郎妹今日子「お兄ちゃん、お帰りー、ん、後ろの方は?」
加奈子「秀英高3年の如月です。」
剛太郎妹今日子「あ、加奈子さん?」
剛太郎母幸子「剛太郎の部屋を見に来たの?ささ、上がって。」
加奈子がリビングに上がる。
剛太郎「着替えてくるね。」
加奈子「ああ、ここで待ってるぞ。」
剛太郎が、二階へ上がっていく。
剛太郎母幸子「加奈子さんは、ここでいいの?」
加奈子「はい、今日は、お母さんに聞きたいことがあって、来たんです。」
剛太郎母幸子「わたしに?」
加奈子「剛太郎が居ないときに、聞きたいんですが、剛太郎の好きな女性ってどんな女性ですか?」
剛太郎妹今日子「加奈子さん、直球ね。」
加奈子「わたしは、回りくどいことは嫌いなので、不躾とは思ったんですが、是非聞いておきたいんです。」
剛太郎母幸子「そうね。剛太郎が降りて来ないうちにね。うーん。剛太郎はね、飾らない人が好みね。あと、豪快なおならが好き。」
加奈子「それは、知ってます。」
剛太郎妹今日子「あとね、白いワンピースが好き。お揃いも好きだよ。」
剛太郎母幸子「あと、積極的な女性に弱い、クマちゃんが好き。」
加奈子「他には、ありますか?」
剛太郎妹今日子「うーん、パインアメが好き。ああ見えて、寂しがり屋、迷彩好き。」
剛太郎母幸子「あとは、そうね。うーん。それくらいじゃないかな。」
剛太郎妹今日子「まあ、奥手のお兄ちゃんだからね。積極的なのが一番じゃない?」
加奈子「そうだな、今日子ちゃん、ありがとう。お母さん、ありがとうございました。」
剛太郎が、リビングに戻ってくる。クマちゃんTシャツにクマちゃん短パンである。
剛太郎「加奈子さん、お待たせ。二階へ行こうか。」
加奈子「おお、それが正装だな。クマちゃんルームも見てみたいな。」
剛太郎妹今日子「加奈子さん、頑張ってね。」
微笑む加奈子。剛太郎と2人、二階へと上がっていく。
二階へと移動した、加奈子と剛太郎。クマちゃんルームで話している。
加奈子「凄いな、ありとあらゆるものがクマちゃんだな。」
剛太郎「まだまだだけどね。」
マモリン「みんな、しゃべりだしたら止まらないよ。」
クマウル「仲間がいっぱい。」
クマラル「ここ、良いね。」
クマ時計「ここに来た女性は、2人目だね。」
クマテレビ「居心地いいもんね。」
クマコップ「加奈子は、大丈夫?」
加奈子「何がだ?」
クマコップ「ものが話すのは、気持ち悪くない?」
加奈子「いや、楽しいぞ。」
剛太郎「加奈子さんもクマちゃん好きで、良かった。」
加奈子「剛太郎、クマちゃんルームも見られたし、そろそろ帰るな。」
剛太郎「ああ、じゃあ、送っていくよ。」
加奈子「いや、大丈夫だ。そんなひ弱じゃないぞ。」
剛太郎「ああ、分かった。じゃあ、玄関まで。」
2人、階下へと降りていく。
剛太郎母幸子「あら、もうお帰り?」
加奈子「はい、お邪魔しました。」
剛太郎妹今日子「いつでもどうぞー。」
剛太郎母幸子「また、いらっしゃいね。」
剛太郎と加奈子が、玄関へと出る。
剛太郎「じゃあ、また、明後日だね。」
加奈子「ああ、また、充電に来るぞ。」
岩田家をあとにする加奈子であった。
加奈子は、急ぎ、家路を目指す。家に帰りついた加奈子、クマウルとクマラルと作戦会議中である。
加奈子「ヒントは貰ったかな。」
クマウル「ヒント?」
クマラル「迷彩ペアルックだな。」
加奈子「明日、買いに行く。」
クマウル「パインアメも買おう。」
クマラル「迷彩ルックでクマちゃんバックだね。」
加奈子「明後日の休みに、剛太郎とモールへ行くかな。」
クマラル・クマウル「頑張ろー。」
一方の岩田家。剛太郎と剛太郎母幸子、剛太郎妹今日子がリビングで話していた。
剛太郎母幸子「加奈子さんも、素敵ね。」
剛太郎妹今日子「お兄ちゃん、モテ期到来。」
剛太郎「加奈子さんも可愛いし、祥子ちゃんは美人だし、どうしたらいいのか分からないんだ。」
剛太郎母幸子「そうね。決めるのは、剛太郎だから、しっかり2人を見極めるしかないわね。」
剛太郎「分かってる。」
剛太郎妹今日子「お兄ちゃん、今のところ、どっちなの?」
剛太郎「どっちって、まだ、分からないよ。どっちも素敵だし・・・。」
剛太郎妹今日子「はー、贅沢な悩みだねー。」
剛太郎のスマホのラインが入る。
剛太郎「あ、加奈子さんからだ。家に着いたのかな?」
加奈子ライン「明後日、休みか?休みならモールに付き合ってくれ。以上だ。」
剛太郎「加奈子さんから、明後日モールに付き合ってくれって。」
剛太郎妹今日子「ほほーー。積極的だねー。」
剛太郎母幸子「奥手の剛太郎には、積極的な加奈子さんがいいかな?」
剛太郎「祥子ちゃんも行くかな?」
剛太郎妹今日子「ほんっと、察しの悪さ、ウルトラ級ね、お兄ちゃん。」
剛太郎母幸子「祥子ちゃんへは、言わない方がいいわよ。もし聞かれたら、一緒に行こうか?の方がいいわよ。」
剛太郎「そうなの?」
剛太郎母幸子「女心はそういうものよ。まあ、加奈子さんとのデートもいいじゃない。」
剛太郎「じゃあ、祥子ちゃんには、聞かれたらで。」
剛太郎のスマホのラインが再び鳴る。
祥子ライン「明後日の休みは、お母さんとお出かけするから、家に居ないからね。」
剛太郎「明後日、祥子ちゃんは、お母さんとお出かけらしい。」
剛太郎妹今日子「ナイスタイミングだね。」
剛太郎母幸子「2人に返信しときなさいね。」
剛太郎「分かった。」
2人に了解と返信する剛太郎であった。
さて、二日後、岩田家に加奈子がやってきた。岩田家に待ち合わせ後、モールである。加奈子の服装は、全身迷彩、クマちゃんリュックであった。剛太郎は全身迷彩に、クマちゃんボディバックである。加奈子を見て驚く剛太郎。
剛太郎「加奈子さん、その服装は・・・。」
加奈子「剛太郎に合わせてみた。嫌か?」
剛太郎「いや、逆に好きだよ。」
加奈子「服装か?わたしをか?」
剛太郎「ふ、服装だよ。あ、ゴメン、そういう意味じゃ、うーん、何て言ったらいいか・・・。」
加奈子「まあ、大枠でOKということだな。じゃあ、行こうか。」
剛太郎「うん、行こう。」
モールを目指す、剛太郎と加奈子。
加奈子「飴、いるか?」
剛太郎「飴?何の飴?」
加奈子「パインアメだ。」
剛太郎「えっ、パインアメ持ってるの?」
加奈子「ああ、3袋持ってるぞ、これ美味しいもんな。リュックに入ってるぞ。」
剛太郎「リュック・・・。あ、クマちゃんリュック・・・。」
加奈子「いるか?リュックから取っていいぞ。」
剛太郎は、加奈子のリュックからパインアメを取り出す。
加奈子「2、3個持っておいたらどうだ?」
剛太郎「いいの?」
加奈子「剛太郎の為に買ってきたんだ。」
剛太郎「加奈子さん、無理してない?」
加奈子「無理はしてないぞ。嘘は嫌いだからな。迷彩は好きだぞ、クマちゃんも好きだ、伊達に小3からクマちゃんアイテム持ってないぞ。パインアメも昔から食ってるな。」
剛太郎「そうなんだ。僕に合わせて無理してるんじゃないかと思った。」
加奈子「無理なら、ここに来ないぞ。わたしは、基本的に、剛太郎に似ている気がする。」
剛太郎「僕もそれは感じていた。」
加奈子「そうか、嬉しいな。祥子ちゃんも誘ってくると思ってたぞ。」
剛太郎「祥子ちゃんは、お母さんとお出かけらしい。」
加奈子「ラッキーだったというわけだ。」
剛太郎「実は、祥子ちゃん誘おうとして、母さんと今日子に止められた。」
加奈子「剛太郎は正直だな。」
剛太郎「でも、ラインが僕宛だったから、そうかなって思ったんだけどね。」
加奈子「祥子に悪いなって思ったのか。」
剛太郎「その気持ちは、あったね。」
加奈子「祥子は祥子。わたしはわたしだ。気にするな。」
剛太郎「こないだは、ゴメンね。」
加奈子「何がだ?」
剛太郎「ほら、聴覚支援学校の中学生と高校生の男たちのもめ事の時、加奈子さんにいきなり、2人いけるって聞いちゃって。」
加奈子「剛太郎が聞かなかったら、わたしが剛太郎に聞いたぞ。何人までいける?って。」
剛太郎「ははっ、そうなの?」
加奈子「わたしもああいうのは許せないな。」
剛太郎「やっぱり、似てるのかな。」
加奈子「剛太郎に似てて、わたしは嬉しいぞ。」
剛太郎「加奈子さん、迷彩は、何で好きなの?」
加奈子「笑うなよ。制服が好きなんだ。迷彩は自衛隊の制服だろう。」
剛太郎「あ、それ、僕も一緒。警察官になりたいのも、制服への憧れもあるから。」
加奈子「海上自衛隊の夏服は、メッチャカッコいいぞ。」
剛太郎「分かる、分かるよ、加奈子さん。白い制服だよね。」
加奈子「わたしは、自衛官志望なんだ。言ってなかったな。」
剛太郎「そうなんだ。」
加奈子「大学へ行くかどうか、今、悩み中だ。」
剛太郎「家の人は何て?」
加奈子「自分の好きにしろって。金は出してやるって。」
剛太郎「悩むね。」
加奈子「まあ、大学行ってからでも、自衛官にはなれるから、大学受験する予定だ。」
剛太郎「僕も、大学行ってから、警察官を受ける予定。」
加奈子「法学部だよな。」
剛太郎「そう。」
加奈子「わたしは、体育大学かな。まあ、体動かす方が性に合ってるからな。」
そうこう話しているうちに、モールへ到着した2人。クマちゃんアイテムを散策しに行く。加奈子のペアルック作戦に、まんざらでもない反応を示す剛太郎であった。
第四十六話に続く。
第四十六話に続く。第四十六話も書きます。




