第四十一話 加奈子とクマラル
クマラルと加奈子上手くいくのか?剛太郎の昔話もあるよ。
第四十一話 加奈子とクマラル
その男の名は、岩田剛太郎。
高校3年生18歳、ゴツいのは名前だけではなく、見た目もゴツい。身長185cm体重135kg、柔道部主将、屈強な体。目つきも鋭く、強面、かなりゴツい男。
見た目に反して、この男、気は優しく、あまり怒らない。
頭も良く、県下でトップクラスの進学校(一高)に通う。文武両道の男。
ただ、彼には、人に言えない秘密があったのです。
モールをあとにし、加奈子と別れた、剛太郎と祥子。剛太郎と祥子が、夏目家の玄関に到着した。
クマリン「さあ、祥子、お約束、お約束。」
クマエル「お、耳ハムハムだね。」
マモリン「ここで?」
祥子「そう?キスよりわたしは平気だけど。」
剛太郎「ほんとに、いいの?」
祥子「うん、平気だけど。」
クマリン「祥子、積極的だな。」
クマエル「加奈子さんに負けないようにね。」
祥子「さあ、ちゃちゃっと、やりましょ。」
剛太郎がしゃがみ、目をつぶる。祥子が剛太郎の左側に中腰になる。遂に、耳ハムハムである。
祥子「じゃ、耳ハムハムー。」
祥子が剛太郎の耳をハムハムする。
剛太郎「ふうううーー。」
クマリン「パワー充電。」
クマエル「ドーーーーーン。」
マモリン「フルパワー!」
祥子「はい、おしまい。」
放心状態の剛太郎である。
クマリン「剛太郎、パワー充電なった?」
クマエル「良いねー、耳ハムハム、良いねー。」
クマエル「祥子、ほんとに平気なんだね。」
祥子「耳ハムハムは、全然平気。何でだろう。多分、遊びの延長って感じなのかな?」
剛太郎「祥子ちゃん、ありがとう。」
祥子「あ、剛太郎君、今日は、上がっていく?」
剛太郎「お邪魔しても大丈夫?」
祥子「全然良いよ。」
クマリン「祥子、積極的だな。」
クマエル「クマラル効果だな。」
マモリン「取られたくない気持ちの現れだね。」
祥子「お母さんがいると思うから。」
夏目宅に入る、剛太郎と祥子。
祥子「ただいま。」
祥子母律子「おかえりなさい。あら、剛太郎君も一緒なの?」
祥子「うん。二階いくね。」
剛太郎「お邪魔します。」
祥子母律子「もう、お邪魔しますじゃなくて、ただいまでもいいわよ。」
剛太郎「いえ、自宅ではないので・・・。」
祥子「10日間は、自宅だったもんね。」
剛太郎「やっぱり、気が引けます。」
祥子母律子「そう?わたしは、ただいまって言われた方が嬉しいかな?」
剛太郎「そうですか。」
祥子「じゃあ、今度、ただいまって言ってみようね。」
祥子母律子「あら、祥子、今日は積極的ね。何かあったの?」
祥子「ううん。何でもない。二階にいるから。」
剛太郎「お邪魔します。」
祥子母律子「ごゆっくり。」
剛太郎と祥子が、二階へと上がっていく。
祥子の部屋に、上がってきた剛太郎と祥子。
剛太郎「祥子ちゃん、リュックありがとうね。」
祥子「うん。あのリュック、剛太郎君のボディバックと同じデザインだもんね。同じデザインなら、欲しくなるもんね。」
クマリン「でも、まさか、クマラル呼んじゃうとはね。」
クマエル「うん。超ビックリした。」
マモリン「祥子は、大丈夫?」
祥子「何が?」
マモリン「同じプリンセスとして、ライバルじゃない?」
祥子「ライバルって感じはしないな。」
剛太郎「何だろう、仲間って気持ちが沸いたね。」
祥子「そうそう。同志って感じ。」
クマリン「だから、クマラル来ちゃったんだ。」
クマエル「だね。ボクらの思いも入っちゃったのかな。」
マモリン「うん。多分そうかも。」
クマリン「クマラル、いじめられっ子だったもんな。」
クマエル「うん。ちょっとな。」
マモリン「そうだったの?」
祥子「そういえば、剛太郎君も、昔、いじめられっ子だったって聞いたよ。」
剛太郎「・・・うん。」
祥子「あ、ゴメン。いやな思い出だったよね。」
剛太郎「いや、大丈夫。でも、祥子ちゃんには知っといて欲しいから。丁度いい機会だから、話そうか?」
祥子「いいの?」
剛太郎「うん。じゃあ、話すね。」
剛太郎の昔話が、始まる。
一方の如月家。加奈子の部屋で、加奈子とクマラルが話している。
加奈子「ふむふむ。キングとプリンセスとナイトの関係は分かったぞ。」
クマラル「カーニバルも、さっき説明した通りだよ。」
加奈子「剛太郎は、世界チャンピオンなんだな。」
クマラル「そうそう。カーニバルで優勝はなかなか出来ないよ。剛太郎の自力とクマリン、クマエル、マモリン、あと祥子ちゃんのお陰だね、」
加奈子「そこに、わたしが割り込んでもいいのか?」
クマラル「うん。大丈夫。加奈子は、ライバルって言うより同志って感じがする。」
加奈子「同志か?」
クマラル「うん。仲間って感じ。だから、ぼくが呼ばれたんだと思う。」
加奈子「クマラルは、クマリンとクマエルと仲間だったのか?」
クマラル「うん。天界で、ぼく問題児だったから、よくいじめられてた。それを助けてくれたのが、クマリンとクマエルだったんだ。」
加奈子「そうか。仲間か・・・。」
クマラル「うん。仲間だね。だから、加奈子も遠慮することないよ。チームと思えばいいの。」
加奈子「そうだな。そういえば、剛太郎も、昔、いじめられっ子だったらしいぞ。」
クマラル「そうなの?」
加奈子「祥子が言ってたぞ。」
クマラル「今じゃ、考えられないね。」
加奈子「そうだな。今の剛太郎いじめるやつなんていないからな。」
クマラル「豪快な払い腰で投げられるな。」
加奈子「剛太郎は、少林寺拳法も使うぞ。多分、柔法はわたしよりも上手いぞ。」
クマラル「最強だね。」
加奈子「あ、風呂いってくるかな。」
クマラル「ぼくはー?」
加奈子「クマリン、クマエルに怒られるぞ。クマラルは部屋で待っとけ。」
クマラル「ふあーーい。」
再び、夏目家、祥子の部屋。剛太郎の昔話である。
剛太郎「僕が、幼稚園の年長から小学校2年生くらいまでの3年間、同級生の塚本君にいじめられてた。相手は、いじめてる意識はなかったかもしれない。ただ、遊んでいただけなのかもしれない。」
祥子「どんなことされたの?」
剛太郎「そうだな。カードゲームしてたな。トランプで2が一番強くて、3が一番弱い。カードを2分して、裏の状態で、お互い、一枚ずつ上からひっくり返して出し合うゲーム。いつも負けてた。」
祥子「何で?運じゃないの?」
剛太郎「ゲームの前に、塚本君がカードを分けるんだ。塚本君が分けたカードで勝負。」
祥子「でも、見ないんでしょ。」
剛太郎「それが、彼は見てカードを分けてたんだ。」
祥子「それじゃ、絶対負けるじゃない。」
剛太郎「そう、負ける。」
祥子「それ、楽しくないよね。」
剛太郎「うん、苦痛だったね。」
祥子「他には?」
剛太郎「あと、学校のみんなに、僕が子分にしてくださいって言ってきたって噂を流された。そして、誰かに聞かれたら、そう言えって言われてた。」
祥子「そうじゃないよね。」
剛太郎「もちろんだよ。ただ、聞かれたら、そう言ってた。」
祥子「暴力は?」
剛太郎「あったよ。空手の正拳中段パンチって言って、お腹を殴られたかな。」
祥子「塚本君、空手してたの?」
剛太郎「してないよ。してたら、いじめなんてしないよ。見よう見まねだったんじゃない?」
祥子「剛太郎君は、その暴力が怖くて、言うこときいてたの?」
剛太郎「いや、塚本君は他に友達がいなかったから、僕くらいは友達でいてやりたいって気持ちがあったかな。暴力も少し怖かったのかもしれないけどね。」
祥子「他には?」
剛太郎「お金も取られたかな。」
祥子「お金・・・。」
剛太郎「両親には言えないから、僕の隣の家のおばさんから、お母さんがちょっとお金を貸して欲しいって言ってるって言って、500円貸して貰ったかな。そのお金を渡した。」
祥子「何度も?」
剛太郎「ううん。それは、やっぱり、バレるって思ったのか、お金はその1回だけだったかな。良く覚えてないけど、お小遣いも少しは取られてたかも。」
祥子「同級生には、相談とかは?」
剛太郎「小学校1年生から6年生まで一緒だった、渕上君っていたけど、彼も被害者だったから。」
祥子「それが、3年間・・・。」
剛太郎「子供だったからね。どうしていいか分からなかったしね。夜、当時買ってもらったクマちゃんに、どうして僕はいじめられるのかなって話してたな。」
祥子「クマちゃんに・・・、いじめは転校するまで続いたのね。」
剛太郎「そう、なんで知ってるの?」
祥子「今日子ちゃんに、ちょっと聞いてたの。」
剛太郎「そう。あのCDショップのいじめられっ子の時?」
祥子「うん。あんなに熱心に、助けてあげようとしてたから。いじめられっ子の気持ちが分かるのは、いじめられっ子だけだからね。」
剛太郎「いじめられてるのは、雰囲気で分かるよ。」
祥子「塚本君が転校したら、いじめはなくなったの?」
剛太郎「そう、あと、渕上君も被害者じゃなくなった。それに、僕、小学校3年生くらいからぐんぐん背が伸びて、あと、柔道始めてゴツくなって、誰からもいじめられなくなった。」
祥子「でも、中身は弱い剛太郎君だったのね。」
剛太郎「そうだね。外見は強そうでも、内面は気が弱かったね。中学くらいになると、気持ちも強くなった。」
祥子「辛かったね。」
剛太郎「あの時は、辛かったね。学校行きたくなかったもん。」
祥子「そこまで・・・。」
剛太郎「でも、死にたいとかはなかった。死ぬ方が怖かったのかな。あと、夜、寝るとき、いつも、クマちゃんに話してたから。」
祥子「クマちゃん、答えてくれた?」
剛太郎「多分、答えてくれてたんじゃないかな。」
クマリン「答えていたと思うよ。」
クマエル「剛太郎、くじけちゃダメだよって。」
マモリン「がんばれーって言ってたと思うよ。」
祥子「剛太郎君、頑張ったね。」
涙目の祥子である。
剛太郎「そんな、泣くことじゃないよ。塚本君も友達いなくて、寂ししそうだったし、僕が勇気を出してもっとちゃんと接してあげれば良かったって、今でも後悔してる。」
祥子「柔道始めて良かったね。」
剛太郎「それは思う。体だけじゃなく、心も鍛えられるから。」
クマリン「立派な、クマちゃんマニアだ。」
クマエル「それを言うなら、立派なクマちゃんナイトだな。」
マモリン「どっちも一緒だよ。」
剛太郎「あ、もうこんな時間だ。そろそろ、帰るね。話聞いてくれてありがとう、祥子ちゃん。」
祥子「うん。また、明日、学校でね。また、昔話聞かせてね。」
剛太郎「うん。じゃ、帰るね。」
一階に降り、祥子の母律子に挨拶して帰る剛太郎であった。
一方の如月家。加奈子がお風呂から戻り、部屋に入ってくる。
加奈子「クマラル。」
クマラル「何?」
加奈子「いじめれれるって、どんな気持ちだ?」
クマラル「そうだね。絶望と悲しみだね。何かにすがりたいって気持ちになる。」
加奈子「剛太郎は、そのすがりたいものが、クマちゃんだったかな?」
クマラル「多分、そうだね。じゃないと、クマちゃんナイトにはなれないと思う。クマちゃんに話しかけてたと思う。僕は、運良くクマリンとクマエルに助けて貰ったけど。」
加奈子「剛太郎は、一人で戦ったんだ、体だけじゃなく、心も鍛えられてるな。」
クマラル「だから、強いんだよ。」
加奈子「クマラル、わたし頑張るからな。」
クマラル「うん。一緒に頑張ろう。その為にも、一緒にお風呂だね。」
加奈子「クマリンとクマエルがOKしたらな。」
クマラル「絶対無理じゃーーーん。」
少しずつ、互いを分かり合いだした、加奈子とクマラルであった。
第四十二話に続く。
第四十二話に続く。第四十二話も書きます。




