第三十九話 柔道地区大会個人戦
柔道地区大会個人戦が始まる。加奈子の父真一も観戦である。
第三十九話 柔道地区大会個人戦
その男の名は、岩田剛太郎。
高校3年生18歳、ゴツいのは名前だけではなく、見た目もゴツい。身長185cm体重135kg、柔道部主将、屈強な体。目つきも鋭く、強面、かなりゴツい男。
見た目に反して、この男、気は優しく、あまり怒らない。
頭も良く、県下でトップクラスの進学校(一高)に通う。文武両道の男。
ただ、彼には、人に言えない秘密があったのです。
玄関前で、キスとなった剛太郎と祥子。すっころんでいる祥子父一郎。
祥子「ちょ、ちょっとお父さん、剛太郎君、試合でへとへとなんだからね。危ないじゃない。」
祥子父一郎「すまん、すまん。で、大会はどうだった。」
祥子「優勝よ。」
祥子父一郎「なんと、優勝か。凄いじゃないか。剛太郎君。」
剛太郎「おおおーー。」
祥子父一郎「おお、この元気なら、明日も大丈夫だな。」
祥子「何でこうなるの?」
剛太郎と別れ、自分の部屋に帰ってきた祥子。
祥子「また、事故ってしまった。」
クマリン「事故かなー。」
クマエル「でも、口の方が良かったね。」
祥子「なかなか、ほっぺに出来ないね。」
クマリン「でも、加奈子さんも剛太郎にアタックしてきたね。」
クマエル「純粋だもんね。」
祥子「うん。仲良くなれそう。ライバルって感じしないな。」
クマリン「うん。女性版剛太郎だな。」
クマエル「うん、うん。雰囲気一緒だもんね。」
祥子「そうね。」
クマリン「でも、祥子は負けちゃダメ。」
クマエル「剛太郎は、祥子を選ぶぞ。プリンセスだからな。」
祥子「さあ、明日も応援頑張ろう。」
クマリン「祥子は、明日、剛太郎が優勝したら、何するの?」
クマエル「加奈子さんは、クマちゃんグッズプレゼント。多分、勇気付きだな。」
祥子「勇気は、ちょっと・・・。」
クマリン「まあ、クマちゃんグッズプレゼントでいいと思うよ。」
クマエル「剛太郎、バック系欲しがってたな。」
祥子「バック系ね。了解。」
クマリン「あと、お口にチューは2回したから・・・、うん、耳ハムハムしてあげよう。」
クマエル「それは、剛太郎喜ぶな。」
祥子「えっ、そんなの、剛太郎君好きなの?」
クマリン「剛太郎は、眉毛クマちゃんとハムハムクマちゃんが、大好きだからな。」
クマエル「耳ハムハムでパワー充電だ。」
祥子「そんなので、喜ぶ?まあ、キスよりは大丈夫だよ。」
クマリン「じゃ、テレパスしとくね。祥子、クマエル、いつものお願い。」
祥子「分かった。」
祥子が、クマリンの口をクマエルの耳に近づける。
クマエル「耳ハムハム、耳ハムハム、パワー充電、どーーーーーーん。」
クマリン「ウホホー。テレパスどーーーーーーーん。」
一方、岩田家。自分の部屋で、腹筋300回中の剛太郎。
剛太郎「明日の個人戦も優勝だ、頑張るぞー。おっ・・・。」
マモリン「テレパスだね。ふむふむ。・・・ユウショウシタラ、ミミハムハムダヨー。」
剛太郎「ええっ、祥子ちゃんが、僕の耳をハムハム?」
マモリン「こ、これは・・・。」
剛太郎「オッシャーーー、意地でも優勝だーーーー。腹筋プラス200回。」
マモリン「・・・張り切り過ぎちゃったかな。」
再び、夏目家。祥子の部屋。
祥子「どう?」
クマリン「腹筋300回のあと、200回追加らしい。」
クマエル「合計500回、剛太郎凄いな。」
祥子「明日の試合、大丈夫かな?」
クマリン「剛太郎なら大丈夫だよ。」
クマエル「うん。張り切ってる。この調子なら優勝間違いなしだよ。明日は、ボクはお休みして、マモリンとクマリンにクマパワー発揮して貰うかな。」
祥子「さあ、寝ましょう。おやすみー。」
クマリン・クマエル「おやすみー。」
翌日の一高、武道場に集合している。一高柔道部。重量級の試合が始まろうとしていた。
剛太郎「よし、いくぞ。田中、決勝で対決だ。待ってるぞ。」
田中「剛太郎は、決勝いけそうだが、こっちにはキム選手と水田選手がいるんだぞ。まあ、3位狙いだな。」
剛太郎「決勝は、水田選手だろう。昨日、個人戦終わったら、会う約束してるから。」
田中「剛太郎、水田選手と知り合いなのか?」
剛太郎「ちょっとな。」
応援席に祥子が到着。程なくして、加奈子も到着した。
祥子「加奈子さん、こっちこっち。」
加奈子「祥子ちゃん、試合は?」
祥子「今からだよ。」
加奈子「間に合った。出がけに父さんがしつこくてな。どんなやつか非常に気になるらしい。一緒に来るって言うから、連れてきてしまった。今、トイレに行ってるぞ。」
祥子「えっ、加奈子さんのお父さん、来るの?」
加奈子「自分の目で確かめたいらしい。剛太郎と祥子ちゃんをね。」
祥子「わたしも?」
加奈子「好きな相手と恋のライバルを確認らしい。」
そこへ加奈子父真一がやってくる。
加奈子父真一「こちらが、祥子ちゃんだね。初めまして、加奈子の父の真一です。」
祥子「こちらこそ、初めまして。夏目祥子です。」
加奈子父真一「いやー、家で加奈子の話を聞いてると、剛太郎君と祥子ちゃんに会ってみたくなってね。お邪魔かと思ったが、来てしまった。」
加奈子「まあ、お邪魔だな。」
祥子「加奈子さん、わたしは大丈夫よ。」
加奈子父真一「お、あれが剛太郎君だな。がっしりタイプだな。顔も厳つい系だね。」
加奈子「剛太郎、強いぞ。」
祥子「柔道は強いわね。」
加奈子父真一「お、始まるぞ。」
一回戦が始まる。剛太郎の登場である。双方選手が試合場に入り、開始線に立つ。
審判「お互いに礼。始め。」
両者組み合う。
剛太郎「おらあーーー。」
審判の開始の言葉の三秒後に、豪快な払い腰を決める剛太郎。
ドドン。
審判「一本、それまで。」
両選手が開始線に戻り礼をし、別れる。
応援席の加奈子父真一が驚く。
加奈子父真一「秒殺・・・。」
加奈子「相手は、かわいそうだな。」
祥子「剛太郎君は、獅子欺かざるの力がモットーですから。力を抜くのは相手に失礼だって言ってます。」
加奈子父真一「ははっ、凄いな。何事にも全力を尽くすということか。」
加奈子「剛太郎らしいな。」
続く、2回戦、3回戦、順々決勝、準決勝も危なげなく勝利する剛太郎。あっという間に決勝進出を決める。決勝の相手は、水田選手である。水田選手は、準々決勝で一高の田中を破り、準決勝でキム選手を破ってきた。
再び、応援席。
加奈子父真一「いよいよ、決勝だな。キム選手は、世界Jrのチャンピオンのはずだが、彼を破ってくるとは、水田選手も相当強そうだな。」
加奈子「昨日の団体戦でも、剛太郎との勝負だったもんな。」
小声の祥子「マモリン、クマリン、準備オッケー?」
小声のクマリン・マモリン「オッケー。」
試合会場、剛太郎と水田選手が入場である。
水田選手「アニマルパワー使っていくよ。ダブルニャンパワー8だ。」
剛太郎「分かった。」
剛太郎が、祥子に合図を送る。
応援席の祥子。
祥子「マモリン・クマリンお願い。」
祥子がマモリンとクマリンに祈る。
マモリン「タケミカヅチ降臨。エゾヒグマパワー5発動。」
クマリン「大天使ガブリエル降臨。ゴディアックヒグマパワー5発動。」
光が剛太郎の元へ走る。
再び試合場。
剛太郎「ダブルクマパワー10だ。いくぞ。」
審判「お互いに礼。始め。」
剛太郎、水田選手、お互いに組み合う。
水田選手が右、剛太郎は左組みである。
剛太郎が大外刈りにいく。
剛太郎「おるあーー。」
こらえる水田選手。
水田選手「くううっ。」
こらえるも、剛太郎が水田選手を投げ、技ありとする。
水田選手「やはり、パワー10は凄いな。でも全力でいくよ。」
水田選手が、いきなり、袖釣り込み腰を掛けるが、びくともしない剛太郎。水田選手が、元の体勢に戻るやいなや、祥子スペシャル炸裂である。右にフェイントを掛け、左足で支え釣り込み足、崩れたところに、引きつけて、豪快に払い腰を決める。
剛太郎「おおおおりゃあああああーーーーー。」
水田選手「ぐふうっ。」
ドドーーーーーン。
審判「一本、それまでー。」
剛太郎の優勝である。
応援席の加奈子父真一が驚きを隠せない。
加奈子父真一「何だ、あのパワーは?尋常じゃないな。」
加奈子「やったな、剛太郎。優勝だ。さすがだな。」
祥子「やったーー。優勝よ、優勝。おめでとー。」
試合会場の剛太郎と水田選手が礼をし、握手後、同じ控え室へ戻っていく。
水田選手「やはり、パワー8ではかなわないな。」
剛太郎「すまない。やはりパワーを使わせて貰った。」
水田選手「いや、このアニマルパワーも能力の一つだ。隠すべきではないだろう。そう思って僕は使っている。」
剛太郎「確かに、能力を最大限発揮しないと、逆に相手に失礼だと、僕も思う。」
水田選手「ホッキョクグマにエゾヒグマにゴディアックヒグマか、しかも、大天使と雷神のようだな。最強じゃないか。」
剛太郎「そっちはパワー4かな?」
水田選手「ああ、ピューマとライオンだよ。天使と明王かな。」
剛太郎「ネコちゃんは、ネコ科の動物ってことね。ネコちゃんナイトなの?」
水田選手「そっちは、クマちゃんナイトだろ?カーニバルは出たのか?」
剛太郎「この間、初めて出た。」
水田選手「僕もこの間、初めて出て、バトルロイヤルは勝てたけど、ベスト8止まりだったよ。君はパワー5だ、優勝したか?」
剛太郎「ああ、優勝したよ。決勝は同じパワー5だったけど、何とか勝てた。」
水田選手「その差もあるな。カーニバル優勝者には勝てないよ。僕も頑張って、激レアネコちゃん探すかな。」
剛太郎「プリンセスは?」
水田選手「プリンセスは、僕の彼女の優子だよ。応援席で祈って貰った。」
剛太郎「パワーはいつから?」
水田選手「ついこの間だよ。それまでは普通の選手だった。優子が不良3人に絡まれて、優子を助けようとしたときに、パワーが降臨したんだ。あ、キングは、優子のお父さんだったよ。」
剛太郎「運命の相手ということか。」
水田選手「そうだな。」
剛太郎「部屋はネコちゃんルーム?」
水田選手「そっちは、クマちゃんルームだろ?」
お互いに笑い出す二人。一高の田中が、二人を呼びに来る。
田中「剛太郎、表彰式始まるぞ。水田君も一緒にいこう。」
剛太郎「ああ、分かった。」
水田選手「今行くよ。」
両選手、表彰式へと向かう。表彰式は行われた。三位は秀英のキム選手、二位は中央校の水田選手、優勝は剛太郎であった。
観客席の加奈子が父に話しかける。
加奈子「父さん、あれが、剛太郎君。分かった?」
加奈子父真一「漢を感じるな。」
加奈子「それ、わたしと同じ感覚。」
祥子「剛太郎君は、正義感の塊みたいなところがあるもん。こないだも、ひったくり捕まえて、警察署長さんから表彰状貰ったの。」
加奈子父真一「表彰状?新聞には載っていなかったようだが。」
祥子「柔道部の顧問の先生が、メディアへは伏せてくれと頼んだみたいです。剛太郎君もメディアに出るなら辞退しますって言ったみたいです。」
加奈子「その謙虚さがいい。」
加奈子父真一「ますます、気になるな。」
祥子「わたしの父も、同じ事いってます。わたしの父は、自分の素性を知らせず、剛太郎君と相撲して、彼は素晴らしいといってました。」
加奈子父真一「相撲?もしかして、祥子ちゃんのお父さんは、県議の夏目一郎さんでは?」
加奈子「父さん、知ってるのか?」
祥子「ええ、父は、夏目一郎です。」
加奈子父真一「その相撲、勝ったのは剛太郎くんかい?」
祥子「ええ、父が負けましたけど、父は喜んでました。」
加奈子父真一「あの夏目一郎さんが認める男か。加奈子、祥子ちゃんに負けるなよ。」
加奈子「何をだ?」
加奈子父真一「お前も察しが悪いな。祥子ちゃんは恋のライバルなんだろ。剛太郎君の事あきらめるなよ。」
加奈子「諦めがつかないから、ここにいるんだぞ。」
加奈子父真一「そうだな。祥子ちゃん、二人の仲を邪魔することになるかもしれんが、加奈子の事、暖かく見守ってほしい。」
祥子「邪魔だなんて、そんな。わたしもまだ、剛太郎君から告白されてませんから。」
加奈子「祥子ちゃんが断ってくれたら、わたしに告白なんだ。それを待ってる。」
加奈子父真一「まあ、選ぶのは剛太郎君だ。男として羨ましいな。」
加奈子「では、剛太郎がどんな男か分かったところで、帰って欲しいぞ。このあと、モールに3人で行くんだ。」
加奈子父真一「ああ、分かった。お邪魔虫は退散するよ。」
そう言うと、加奈子父真一は帰っていった。
加奈子「さあ、優勝のプレゼントを選びに行くか。」
祥子「そうね。あ、剛太郎君、着替えて来たみたい。こっちに来るわよ。」
手を振って、祥子と加奈子の元に走ってくる剛太郎であった。
第四十話に続く。
第四十話に続く。第四十話も書きます。