第三十七話 柔道地区大会開始
いよいよ、柔道地区大会開始である。応援席でも試合開始である。
第三十七話 柔道地区大会開始
その男の名は、岩田剛太郎。
高校3年生18歳、ゴツいのは名前だけではなく、見た目もゴツい。身長185cm体重135kg、柔道部主将、屈強な体。目つきも鋭く、強面、かなりゴツい男。
見た目に反して、この男、気は優しく、あまり怒らない。
頭も良く、県下でトップクラスの進学校(一高)に通う。文武両道の男。
ただ、彼には、人に言えない秘密があったのです。
一高にて、柔道地区大会が行われる。剛太郎を応援しにきた、3年2組の二階堂留美、秀英高校3年少林寺拳法部の如月加奈子、3年1組クラスメートの夏目祥子が勢揃いする。
祥子「あ、留美さんも応援?」
留美「ええ、ルールはよく分からないけど、とりあえず応援しに来たの。」
加奈子「ルールは簡単だ。背中から投げられた方が負け。20秒押さえ込まれた方が負け。試合時間は4分かな。」
留美「祥子さん、こちらは?」
祥子「ああ、加奈子さん。秀英高校の3年生。」
加奈子「如月加奈子です。こないだ、剛太郎に告白して、振られちゃったんだけど、あきらめがつかなくて、見に来た。」
留美「加奈子さんも振られたの?わたしと同じね。」
加奈子「剛太郎は、祥子ちゃんへの気持ちがあるからな。でも、わたし、二番目って言われたから、可能性はあると思ってる。」
留美「やっぱり、そうなのね。剛太郎君、祥子さんのことを想ってるのね。」
加奈子「祥子ちゃん、もう告白したのか?告白されたか?」
祥子「してないし、されてないよ。断られたらいやだし・・・。」
加奈子「そうか。まだなのか。祥子ちゃんが断ってくれたら、わたしの番なんだけどな。」
留美「そうなの?」
加奈子「あ、祥子ちゃん、留美さん、すまん。ぶうっ。」
留美「ちょ、ちょっと、何?こんなところで、もう。」
祥子「豪快ね。これが、剛太郎君が言ってた豪快な・・・。」
加奈子「すまん、朝ご飯食べすぎて、お腹が張ったみたいだ。でも剛太郎は、女子の豪快なおならが大好きみたいだぞ。」
留美「そ、そうなの?」
祥子「・・・そうだよ。剛太郎君、変わってるから。」
加奈子「祥子ちゃんは、剛太郎の前でやったことないのか?」
祥子「一回だけあるかな?」
加奈子「どうだった?」
祥子「かなり、喜んだ。加奈子さんみたいに豪快じゃなかったけど。」
留美「豪快なおなら・・・。わたし無理かも・・・。」
加奈子「そうか?わたしは普通に出来るぞ。」
祥子「わたしは、剛太郎君が好きならって、勇気を振り絞ってした。」
加奈子「まあ、おならが全てじゃないからな。あ、剛太郎こっちに気づいたみたいだ。」
剛太郎に手を振る三人。
一方、試合会場の剛太郎。
剛太郎「えっ、なんで、3人とも?」
副主将の内田が、剛太郎に声を掛ける。
内田「剛太郎、応援3人かよ。モテモテだな。」
他のレギュラーメンバーも声を掛ける。
田中「学校一のマドンナ、留美さんか?」
久保山「あと、秀英の美人拳士じゃないか?」
坪井「如月さんだな。俺中学一緒だったから。」
剛太郎「応援ありがとねー。」
女子3人に手を振って答える剛太郎であった。
再び、応援席。
祥子「剛太郎君、気づいたね。」
留美「うん。手振ってた。」
加奈子「追い返されるかと思ったけど、大丈夫のようだな。」
留美「みんな、恋のライバルってわけね。」
加奈子「ああ、そうなるかな。」
祥子「剛太郎君、人生最大のモテ期到来ね。」
留美「さあ、恋のライバルだけど、今は、一緒に剛太郎君を応援しましょ。」
加奈子「賛成だな。」
祥子「ええ、そうしましょう。」
一触即発の状況下、何とか、剛太郎の応援という共通の目的で団結する3人であった。
試合会場では、一回戦が始まっていた。地区予選は、今日が団体、明日が個人である。団体戦は、抜き勝負ではなく、個別対戦である。5戦のうち、3勝した方が先へ進む。32校がエントリーしており、1回戦、2回戦、準々決勝、準決勝、決勝となる。上位4校が県大会出場である。一高の一回戦の相手は東校である。既に、先鋒、次鋒、中堅、副将が4勝しており、大将の剛太郎も豪快な払い腰で勝利した。5-0であった。
応援席の3人。
留美「勝ったの?」
祥子「5-0みたいだね。」
加奈子「一高強いな。決勝までいくな、こりゃ。張り切ってるな、剛太郎。祥子ちゃん、優勝したら、キスするとか約束してない?」
ドキッとする祥子。
祥子「えっ、あの、その・・・。」
加奈子「・・・そういうことか。」
留美「ずるい。じゃ、わたしも、するからね。」
祥子「ほっぺにだよ。ほっぺに。」
加奈子「じゃあ、わたしは、豪快な一発をお見舞いするか。」
和気あいあいと観戦する3人であった。
さて、試合会場。2回戦も危なげなく勝ち進んだ一高。準々決勝である。相手は、西高である。先鋒内田が勝利、次鋒久保山が負ける、中堅坪井は引きわけるが、副将田中が勝利する。剛太郎も余裕で勝利し、3-1で勝利である。準決勝進出である。
再び、応援席女子3人。
祥子「次が準決勝ね。」
加奈子「県大会出場決めたから、あとは優勝狙うだけね。」
留美「加奈子さん、秀英の応援はいいの?」
加奈子「秀英?秀英も準決勝進出だから、大丈夫。キム選手いるからね。決勝はうちと一高じゃないかな?」
祥子「あと、二つで優勝ね。」
留美「祥子ちゃん、心の準備はいい?わたしは慣れっこだけどね。」
加奈子「焼き芋買っててくるかな。」
依然、和やかムードの応援席である。
試合会場では、顧問の石橋先生が、剛太郎達に檄を飛ばしていた。
石橋先生「みんな、よくやった。県大会進出だ。ここまできたら、優勝を狙うぞ。」
剛太郎「公立高校でも、優勝出来るんだってとこ見せてやるぞ。頑張るぞ!」
一同「おー!」
さあ、準決勝である。先鋒内田は背負い投げで勝利、次鋒久保山は押さえ込まれて負け、中堅坪井は大外で勝利、副将田中も内股で勝利する。この時点で、決勝進出を決める。気合いののった剛太郎も、豪快に払い腰を決め、4-1で決勝進出である。
興奮状態の応援席の3人。
留美「勝ったのよね。凄い、決勝進出よね。」
祥子「このまま、優勝ね。」
加奈子「でも、決勝は、秀英じゃないみたい。秀英は中央高校に負けたみたい。」
祥子「キム選手がいるのに?」
加奈子「キム選手は勝ったみたいだけど、他が負けちゃたみたいね。2-3のようね。大将の選手、強そうだったよ。」
祥子「大将と言うことは、剛太郎君とあたるのね。」
小声のクマリン「祥子、ちょっと、トイレ行ける?」
小声の祥子「どうしたの?クリン。」
小声のクマエル「ボクも感じた。剛太郎も感じたんじゃないかな?」
祥子「留美さん、加奈子さん、ちょっとトイレ行ってくるね。」
留美「そのクマちゃん可愛いね。祥子ちゃんの趣味?」
加奈子「違うぞ、剛太郎の趣味だぞ。」
祥子「加奈子さん知ってるの?」
加奈子「ああ、剛太郎に聞いた。部屋はクマちゃん一色だってな。」
留美「ええー、剛太郎君って、そんな趣味なの?」
加奈子「そうだ、変態だぞ。」
祥子「変態って・・・、確かに。」
留美「わたし、ちょっと、無理かも。男子でかわいい系好きなのはちょっと引くかな。」
加奈子「そうか?わたしは信念があって良いと思うぞ。」
留美「うん。やっぱり、わたしに剛太郎君は無理ね。祥子ちゃんや、加奈子さんの方がふさわしいと思えた。おならも無理そうだし。」
加奈子「お、一人脱落だな。」
留美「まあ、決勝の応援はするけど。あ、祥子ちゃん、おトイレどうぞ。」
祥子「行ってくるね。」
急ぎトイレに向かう祥子であった。祥子がトイレにつくと、剛太郎が待っていた。
剛太郎「やっぱり、来たね。」
祥子「えっ、クマリンが言ってたけど、剛太郎君も何か感じたんだ。」
剛太郎「クマパワーじゃないけど、同じ系統のパワーを感じた。」
クマリン「アニマルパワーは、アニマルパワーみたいだけどね。」
祥子「アニマルパワー?」
クマエル「そう、ボク達はクマパワーだけど、他にもあるからね。」
マモリン「ワンちゃんパワーとか、ネコちゃんパワーとかね。」
祥子「そんなのあるんだ。」
剛太郎「準決勝の中央校の大将だよね。僕もパワーを感じたよ。祥子ちゃん、相手がパワー使ってくると思うから、マモリン持っててね。」
祥子にマモリンを渡す剛太郎。
クマリン「うん。僕らのうち、誰か発動すると思うからね。」
クマエル「最初はボクから行こうか、それでダメなら、マモリンのダブルパワーだね。」
マモリン「うん、そうだね。」
クマリン「そうしよう。」
祥子「じゃ、わたし戻るね。」
剛太郎「ああ、分かった。あ、祥子ちゃん・・・、優勝するからね。」
祥子「あ、うん。頑張ってね。」
クマリン「さあ、戻って応援するぞ。みんな、えいえい。」
一同「おー!」
応援席に戻ってきた祥子。
祥子「間に合った?」
加奈子「今から始まるところだ、化粧直しか?芋でも食ってきたか?」
留美「さあ、応援よ。」
試合会場、決勝戦が始まる。両校整列である。
審判「正面に礼。お互いに礼。」
先鋒を残し、両校別れる。
先鋒戦、内田が得意の小内刈りからの背負い投げで一本にて勝利する。続く次鋒戦、久保山が一本背負いで一本負けする。続く、中堅戦、坪井が引き分ける。副将戦も田中が引き分けとなる。いよいよ、大将戦、剛太郎の登場である。対戦相手は、中央高校大将水田選手である。
審判「両大将、前へ。」
大将戦の始まりである。
水田「おう。」
剛太郎「おう。」
両者、礼をし、組み合う。水田は右組み、剛太郎は左組みである。
水田「岩田君、本気でいかせて貰うよ。ニャンパワー4発動。」
剛太郎「やはり、アニマルパワーか。」
水田「せいいっ。」
剛太郎「おおおっ。」
水田の大内刈りが決まる。技ありを取られてしまう剛太郎。開始線に戻る両者。剛太郎が、応援席の祥子に合図を送る。
応援席の祥子が剛太郎の合図に気づく。
留美「え、剛太郎君投げられたの?」
加奈子「パワーが凄い選手のようだな。」
祥子がクマエルに祈る。
祥子「クマエル、お願い。」
クマエル「大天使ミカエル降臨、ホッキョクグマパワー5発動。」
光が剛太郎の元に届く。
剛太郎「こっちも、ホッキョクグマパワー5だ。」
剛太郎「くおおっ。」
水田「おおっ。」
大外刈りで投げ返す、剛太郎。技ありを取り返す。
水田「なんと、君もアニマルパワーを使えるのか。これでどうだ、ダブルパワー発動、ニャンパワー8だ。」
水田が大外にいく。必死でこらえる剛太郎。
留美「剛太郎君、ガンバレー。」
加奈子「あの剛太郎が、パワー負けしている。」
祥子が、ダブルパワー発動させる。
祥子「マモリンお願い。」
祥子がマモリンに祈りを捧げる。
マモリン「タケミカヅチ降臨、エゾヒグマパワー5発動。」
光が剛太郎の元に届く。
剛太郎「おお、エゾヒグマパワー5プラス、クマパワー10だ。」
水田「アニマルパワー10だと?そこまで使えるのか?」
剛太郎「おおおおお、おおーー。」
大外刈りを返し、右に体を捻り、払い腰に持っていく剛太郎、一気に払いあげる。
ドドーーーン。
剛太郎が、水田選手を投げ飛ばす。
審判「一本、それまで。」
一高柔道選手全員「やったーーー。」
応援席の3人。
留美「やった、やった、剛太郎君の勝ちよね。」
加奈子「ものすごいパワーだな。あれじゃ、相手は防げないな。」
祥子「勝ったの?剛太郎君、やったーーー。」
再び、試合場。剛太郎と水田選手、両者開始線に戻る。審判が剛太郎に勝ちを宣言し手を上げる。中央に歩き出し、両者握手をする。
水田「完敗だよ。まさかアニマルパワー10とはね。しかもクマパワー、恐れ入ったよ。」
剛太郎「そっちは、ネコパワーみたいだね。パワーは8までかな。」
水田「ああ、マックスは8だね。ああ、あとでゆっくり話そうか。」
剛太郎「ああ、そっちのことも知りたいしな。」
両者別れる。審判が両校選手を呼び出す。
審判「お互いに礼、正面に礼。」
柔道地区大会は、一高の優勝で幕を閉じたのであった。
第三十八話に続く。
第三十八話に続く。第三十八話も書きます。




