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男!岩田剛太郎の秘密  作者: やのへい
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第二十八話 祥子と加奈子

加奈子と祥子の初顔合わせである。どうする?剛太郎。

第二十八話 祥子と加奈子


その男の名は、岩田剛太郎。

高校3年生18歳、ゴツいのは名前だけではなく、見た目もゴツい。身長185cm体重135kg、柔道部主将、屈強な体。目つきも鋭く、強面、かなりゴツい男。

見た目に反して、この男、気は優しく、あまり怒らない。

頭も良く、県下でトップクラスの進学校(一高)に通う。文武両道の男。

ただ、彼には、人に言えない秘密があったのです。


後ろから声をかけられた剛太郎。

剛太郎「えっ。」

振り向く剛太郎。そこには、昨日の如月加奈子が居た。

剛太郎「如月さん?どうしてここに?」

加奈子「ここに来れば、剛太郎に会えるかと思ってな。」

祥子が横から顔を出す。

祥子「こちら、どなた?」

顔は笑顔だが、声は引きつっている祥子。

どぎまぎする剛太郎。

剛太郎「ああ、こちら、如月加奈子さん、秀英高の3年生で、少林寺拳法部なんだ。」

加奈子「初めまして、如月加奈子です。なんだ、剛太郎、彼女いたんだ。」

祥子「彼女じゃないわよ、クラスメートよ、クラスメート。」

剛太郎「うん、クラスメートだよ。」

加奈子「あら、そう。じゃあ、わたしにもチャンスはあるって事ね。」

剛太郎「へっ。」

祥子「う・う・ん。どういうご関係?」

加奈子「昨日、同じ学校のやつらに絡まれたときに、剛太郎に助けて貰ったんだ。」

剛太郎「そうそう、前に、祥子ちゃんを助けたあのバス停で、昨日、同じようなことがあってね。稔君だっけ?あいつみたいな奴らが、如月さんに絡んでたから、追い払った。」

加奈子「あ、稔ぶん投げたの、剛太郎だったんだ。そういや、5mくらいぶっ飛んだって、稔が言ってたな。」

祥子「稔、知ってるの?」

加奈子「ああ、同じクラスだからな。」

祥子「そう。」

水面下で、女の戦いが始まっていることに、全く気づいていない。さすが、世界一察しの悪い男、剛太郎である。

剛太郎「僕に会いに?」

加奈子「ああ、これ、読んでくれ。」

加奈子が剛太郎に手紙を渡す。開けて読もうとする剛太郎。

加奈子「ちょ、ちょっと、今、読むなよ。家帰ってから読め。恥ずかしいだろ。」

そう言うと、加奈子は足早に去って行った。

剛太郎「何、これ?」

岩田剛太郎、世界一察しの悪い男である。

祥子「剛太郎君、オモテになるのね。」

剛太郎「オモテ?えっ、じゃ、これって、えええええええーーーーーー。」

祥子「多分、ラブレターだね。」

剛太郎「あの・・・、初めて貰ったんですけど・・・。ど、どうすればいいの?」

祥子「わたしに聞かないでよ。家に帰って、手紙呼んで、返事すればいいんじゃない?」

内心穏やかではない祥子、手紙の内容が気になる祥子であった。

剛太郎「まあ、とりあえず手紙のことはあとにして、クマちゃんだ。わーい。」

剛太郎の行動に、ちょっと安心する祥子。

祥子「これ見たら、がっかりするんじゃない、加奈子さん。」

剛太郎「え、何か言った?」

クマちゃんに夢中の剛太郎。

祥子「ううん。さあ、お気に入りクマちゃんグッズを探すのだ。」

剛太郎「おーー。」

クマちゃんコーナーを探検するする二人で会った。


先にモールを出た加奈子が、家に帰りつく。

加奈子「ただいま。」

加奈子の父真一が出迎える。

加奈子父真一「おう、おかえり、早かったな。」

加奈子の母文恵も出迎える。

加奈子母文恵「加奈子、おかえり。ご飯食べるでしょ。」

加奈子「うん。父さん、今日、道場行くの?」

加奈子父真一「ああ、夕飯のあとに行くぞ。」

加奈子「わたしも久しぶりに、行っていいかな?」

加奈子父真一「ああ、構わんぞ。」

加奈子の父真一は、近くの空手道場の師範で、休みの時は、道場に空手を教えに行っていた。

加奈子母文恵「ささ、ご飯にしましょ。遅くなるわよ。」

3人で食卓を囲む。加奈子父真一が、加奈子に話しかける。

加奈子父真一「どうした、加奈子。また、空手やってみたくなったのか?」

加奈子「ううん。ちょっと、体動かしたいだけだから。」

加奈子父真一「そうか、ただ、空手の選手相手に拳法の技使うんじゃないぞ。掴んだり、関節技は駄目だからな。」

加奈子「分かってるよ。ただ、体が反応したときは、ごめんね。こないだ、あんまり、相手が接近戦仕掛けてきたから、手取って、逆小手やっちゃったもんね。」

加奈子母「秀英に空手部がなくて、拳法部に入ったからね。」

加奈子「まあ、高校では、違うことしたかったし、丁度良かったんだけどね。」

加奈子父一郎「まあ、護身術としては、女子には少林寺の方が合ってるかもしれんな。極めて動けなくする方が、力はあまり関係ないみたいだからな。」

加奈子「でも、わたし、剛法の方が得意なんだけど。あ、そう、そう、わたし、今日、初めてラブレターつうもん書いてみたよ。」

味噌汁を吹き出す加奈子父真一。

加奈子母文恵「あらあら、もう。」

加奈子父真一「ラ、ラブレター・・・?」

加奈子母文恵「加奈子も、もうそんな年頃なのね。相手には渡したの?秀英の子?」

加奈子「ううん。一高の子。柔道部の主将なんだって。」

加奈子母文恵「まあ、一高なの?カッコいいの?どんな感じなの?イケメン?」

加奈子「イケメンつうか、ゴツい系の極みかな。背は180越えの、体重100kg越え。腕は顔ぐらいある、柔道っていうより、ラグビーのフォワードって感じ。」

加奈子父真一「強いのか?」

加奈子「うん。こないだの柔道の対抗戦で、世界Jrチャンピオンで留学生のキム君に勝ったんだって。」

加奈子父真一「あのキム君をか?凄いな。」

加奈子母文恵「加奈子は。思い立ったら一直線だもんね。その子、彼女はいるの?」

加奈子「いないって言ってたけど、それっぽいのは、いるみたいな感じかな。」

加奈子父真一「ラブレターには、好きですって、書いたのか?」

加奈子「ラブレターっていうか、感謝の手紙かな?こないだ危ないとこ助けて貰ったから。」

加奈子母文恵「大丈夫だったの?」

加奈子「あ、全然平気。弱っちい奴らだったから。一人でも大丈夫だったんだけど、二人相手で、一人に掴まっちゃって。そしたら、いきなり現れて、女に手を上げるのは最低な男だって言って、十字固めで投げ飛ばしてた。」

加奈子父真一「少林寺もやるのか?」

加奈子「ううん。少林寺は見よう見まねで覚えたみたい。」

加奈子母文恵「加奈子、気をつけてね。」

加奈子父真一「加奈子は大丈夫だ。しっかり自分を持ってるからな。で、その子の名前は?」

加奈子「岩田剛太郎君。」

加奈子父真一「ははっ。名前からして強そうだな。それに男を感じるな。そこに加奈子は惹かれたかな。」

加奈子「そうかもね。あと、わたしを可愛い女の子って思ってくれたみたい。」

加奈子父真一「私たちにとって、加奈子は可愛い女の子だぞ。さあ、道場行くか。そのもやもや、吹き飛ばしたいんだろ。」

加奈子「父さん、分かる?さすが、わたしの父さんだ。」

加奈子母文恵「はい、じゃ、行ってらっしゃい。」

食事を終え、道場に向かう加奈子と加奈子父真一であった。


 一方の夏目家。いよいよ、剛太郎達のお泊まり最終日である。剛太郎兄妹と夏目家一家がリビングで話していた。

剛太郎「本当に、お世話になりました。この10日間楽しかったです。」

祥子父一郎「いやいや、お礼を言うのは、こっちのほうだよ。楽しい時間を、ありがとう。結局、相撲も剛太郎君には勝てなかったな。やっぱり歳だな。」

祥子「剛太郎君は、部活で鍛えてるもん。今のお父さんじゃ無理だよ。」

祥子父一郎「ジムに行って鍛え直すかな。まあ、そんな時間は無いか。」

祥子母律子「剛太郎君に張り合っても無駄ですよ。」

剛太郎妹今日子「蒼太君とお別れか。悲しい。」

祥子母律子「今日子ちゃん、いつでも、泊まりに来てもいいからね。今日子ちゃんのお手伝いで、わたしの方が助かったもん。」

祥子弟蒼太「良かったね。今日子ちゃん。」

剛太郎妹今日子「うん。」

剛太郎「お母さん、いいんですか?」

祥子母律子「ええ、いつでもどうぞ。あ、剛太郎君もいつでもどうぞ。」

剛太郎「いや、僕は・・・。」

祥子母律子「祥子、いいでしょ。」

祥子「えっ、まあ、剛太郎君が来たければいつでも・・・。」

祥子父一郎「明日から、寂しくなるな。剛太郎君と今日子ちゃんの姿が見られなくなるからな。」

祥子「あ、そうそう、こないだのオーケストラのDVDなんだけど、テレビ局の人が学校用に編集してくれた分が送られてきたんだって。今日、それ貰ったの。今から見ましょう。」

祥子父一郎「おお、待ってたよ。」

祥子母律子「さあ、ティッシュティッシュ。」

リビングのテレビにDVDをセットする祥子。オーケストラ映像が流れ出す。

祥子父一郎「コンサートの最初からだな。」

祥子母律子「みんな、上手ね。」

1時間半を経過したところで、剛太郎の登場である。

剛太郎妹今日子「あ、お兄ちゃん出てきたね。ぷぷっ、変なお面。」

剛太郎のアリアが始まる。オーケストラの前奏が始まり、一小節目から全開で歌っている剛太郎。教会で聞いた聖歌、購入したCDを参考にカラオケで練習した剛太郎。その声量と迫力に、テレビの前の祥子父一郎、祥子母律子、祥子弟蒼太が度肝を抜かれる。剛太郎の仮面やいかつい風体とは真逆の優しい歌声に、翻弄されている。みんなティッシュを取り出し、涙と鼻水を拭いている。剛太郎の歌声に引き込まれていく。剛太郎はギアを一段上げ、切なさ、苦しみ、喜びなど感情豊かに、歌で表現している。みんなのティッシュの消費量が半端ない。ラストの一番の盛り上がりのところで、剛太郎が更にギアをあげている。祥子父一郎、祥子母律子、祥子弟蒼太が鳥肌を覚えた・・・。歌が終了し、剛太郎が会場に一礼している。そのテレビの剛太郎に対し、涙を浮かべ立ち上がり拍手を送っている、祥子父一郎、祥子母幸子、祥子弟蒼太であった。DVDが終了する。

剛太郎妹今日子「お兄ちゃん、上手い、上手い。」

剛太郎妹今日子は余裕の表情。あとの4人は号泣している。

祥子「何度見ても・・、凄い・・・。」

祥子父一郎「これが放映されてていたら・・・。」

祥子母律子「テレビで、この迫力。会場に行くんだった・・・。」

祥子弟蒼太「・・・何にも言えない・・・。」

静まりかえるリビング。

剛太郎「最後の夜に、しーんとさせてすみません。」

祥子父一郎「いやいや、剛太郎君。本当にありがとう。君とカラオケの練習ができで光栄だったよ。」

祥子母律子「マシーンはここにあるから、練習が必要なときは、いつでも来てね。」

剛太郎「いえ、ピンチヒッターは終わりましたから。」

祥子「あ、合唱コンコールの歌って、これに入ってるんじゃ。」

祥子弟蒼太「合唱コンクール?」

祥子「あ、入ってる。剛太郎君、練習できるよ。」

祥子父一郎「なんだ、今度は合唱コンクールなのか?」

祥子母律子「どこであるの?」

祥子「オーケストラコンサートと同じ、市民会館であるよ。」

祥子弟蒼太「見に行ってもいいの?」

祥子「平日だから、蒼太は学校で無理ね、お母さんは来れるんじゃない。」

祥子父一郎「わしも何とか、行けるようにするか。」

祥子母律子「そっちも楽しみね。」

祥子「合唱は、ソロパートのあるものだから、剛太郎君の歌唱力が発揮されるわよ。」

祥子父一郎「ナイスアイディアだな。」

祥子「真奈美のアイディアなの。」

祥子母律子「剛太郎君、頑張ってね。」

剛太郎妹今日子「お兄ちゃん、がんばれー。」

剛太郎「はい、頑張ります。」

今度は、合唱コンクールを目標にする剛太郎であった。


第二十九話に続く。


第二十九話に続く。第二十九話も書きます。

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