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男!岩田剛太郎の秘密  作者: やのへい
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第二十四話 合唱コンクールを目指して

いよいよ、剛太郎の番がまわってきた。その歌声に驚愕。オーディションの結果やいかに。

第二十四話 合唱コンクールを目指して


その男の名は、岩田剛太郎。

高校3年生18歳、ゴツいのは名前だけではなく、見た目もゴツい。身長185cm体重135kg、柔道部主将、屈強な体。目つきも鋭く、強面、かなりゴツい男。

見た目に反して、この男、気は優しく、あまり怒らない。

頭も良く、県下でトップクラスの進学校(一高)に通う。文武両道の男。

ただ、彼には、人に言えない秘密があったのです。


 剛太郎のオーディションが始まる。一小節目から全開で歌う剛太郎。あまりの声量と迫力に圧倒される。剛太郎のいかつい風体とは真逆の優しい歌声に、翻弄されている。剛太郎の風貌にせせら笑っていた参加者、全く期待していなかった顧問の二人、祥子、真奈美、和美も、口が開いたままの状態。剛太郎の歌声に引き込まれていく。ラストの盛り上がりのところで、剛太郎がギアをあげる。そこにいた全員が鳥肌を覚えた。

剛太郎「はあ、はあ、はあ、終わりました。」

演奏していたオーケストラ部員全員が立ち上がり、剛太郎へ拍手を送る。剛太郎のすぐ横で演奏していたピアノ奏者は、下をむいたまま動けない。オーディション参加者と祥子、真奈美、和美も涙を流しながら、拍手を送る。顧問の先生二人は、あっけにとられた様子。

森山先生「な、なんというか、素晴らしすぎて、言葉にならないね。」

原田先生「剛太郎君、あなたのその感情豊かで、力強い歌声に感服したわ。あなた、合唱部に来ない?」

剛太郎「えっ、いえ、僕は柔道部ですから、それに主将ですし、今回はピンチヒッターと伺ったので、参加したんです。」

森山先生「審査するまでもない。この状況をみたら分かると思うが、今回のオーディションは、剛太郎君、君が合格だ。多分、異論のあるものは、いないだろう。」

オーケストラ部員全員「異議無し。」

祥子、真奈美、和美がガッツポーズする。

原田先生「合唱部から選ばれなかったのは残念だけど、久しぶりに凄い歌声を聞けたわ。剛太郎君、柔道がいやになったら、いつでも来てね。あと、ピンチヒッターで呼ぶかもよ。」

剛太郎「いえ、柔道は続けていくつもりですし、それに、合唱部には僕より上手い人は、いっぱいいるんじゃないですか?」

原田先生「いえいえ、今回、剛太郎君に負けてるのよ。さあ、部活に戻って、鍛え直さなきゃね、君たち。」

合唱部員「頑張ります。」

森山先生「じゃあ、オペラのアリア担当は、剛太郎君だ。石橋先生には、私から言っておくから。」

剛太郎「はい。このあと、部活に戻るので、一応、僕からも報告しておきます。」

森山先生「そうか、ありがとう。部活に戻ってくれ。コンサートの詳細についてはまた連絡するからね。」

剛太郎「コンサート?」

森山先生「聞いてないのかね。一高のオーケストラ部は、年に一回、コンサートをしているんだ。地方局だが、テレビ放映もされるんだぞ。」

剛太郎「え、テレビ?校内の発表会とかじゃなくて?」

真奈美「凄いじゃない、テレビよ、テレビ。」

和美「剛太郎君の声が、テレビから流れるんだ。」

祥子「また、凄いことになってしまったような・・・。」

剛太郎「すみません。辞退できないですよね。」

森山先生「ここで辞退したら、男が泣くぞ。あと、もし辞退したら、石橋先生には、剛太郎君への特別メニューの練習を申し出るかな。今の3倍の練習量にしてくれと頼むかな。」

剛太郎「分かりました。お引き受けします。」

森山先生「ありがとう。柔道の練習に支障のないところでやるから、心配しなくてもいいよ。もう既に、今のでも十分過ぎるから。あとは、細かい打ち合わせとかだけでいいからね。」

原田先生「じゃ、私たちも、失礼しますね。

森山先生「原田先生、ご足労ありがとうございました。」

剛太郎「では、練習に戻ります。失礼します。」

それぞれ、部活に戻っていった。


部活後の放課後、校門で剛太郎を待っている、祥子、真奈美、和美。そこへ剛太郎が合流する。剛太郎が皆に声を掛ける。

剛太郎「みんな、待ってたの?」

真奈美「当たり前でしょ、剛太郎カラオケ倶楽部なんだから。」

和美「コンサートに向けて、練習しなきゃね。」

祥子「今日は、遅くなるから、休みの日と部活が早く終わる日にしましょう。」

真奈美「今日は行かないわよ、剛太郎君も疲れてるだろうし。」

和美「カラオケにオペラなんてあるのかな。」

祥子「あると思うよ。有名なオペラのアリアだから。」

剛太郎「祥子ちゃん家のカラオケマシーンにも入ってるかな?」

祥子「多分、入ってるんじゃない?」

剛太郎「じゃ、今夜は、それを練習だね。」

祥子「そうね。その手があったわね。」

不思議な顔つきになる、真奈美と和美。

真奈美「ちょっと待って、カラオケマシーンって、祥子の家にカラオケマシーンあるの?」

しまったの表情の祥子。

祥子「う、うん。こないだ、お父さんが買ってきたのよ。お父さんの趣味でね。」

真奈美「そう、もう、早く言ってよ。わざわざ、カラオケショップ行かなくても、祥子の家でクラブ活動出来るじゃない。」

祥子「そうよね。機械が来たの一昨日だったから。それに、防音設備とかないから、あんまり大声で歌えないから。」

和美「そうね。大声でうたうなら、やっぱりショップの方がいいわね。あまり、祥子のご家族に迷惑を掛けることにもなるしね。」

ちょっと、ほっとする祥子。

真奈美「ん、ちょっと待って。剛太郎君、さっき、今夜もって言ってなかった?」

しまった、しまったの祥子。

剛太郎「うん。僕の両親が今、ヨーロッパ旅行に行ってるから、妹の今日子と二人、祥子ちゃん家に厄介になってるんだ。」

しまった、しまった、しまったの祥子。

真奈美「え、ということは、剛太郎君、祥子の家に泊まってるの?」

剛太郎「うん。そうだけど、知らなかったの?祥子ちゃん、もしかして、川口さん達に言ってなかったの?」

困ったちゃん状態の祥子。

祥子「うちのお父さんがね、剛太郎君のお父さんに、うちで預かるって言ったみたいなの、それで・・・。」

和美「一つ屋根の下で、暮らしてる訳ね。」

真奈美「寝るのも一緒?」

顔が赤くなる祥子。

祥子「そんなわけないでしょ、剛太郎君は、蒼太の部屋で寝てるの。」

和美「お風呂は一緒?」

祥子「だ・か・ら、そんなわけないでしょ。お父さんとお母さんもいるんだから。」

真奈美「でもお風呂をいきなり開けられて、バッタリとかありそうね。」

剛太郎・祥子「あ!」

真奈美「あったの?」

祥子「あるわけないじゃない。お風呂入るときは、声かけあってるから。」

剛太郎「僕たち兄妹を不憫に思ってくれた、祥子ちゃんのお父さんのご厚意に甘えさせてもらってるだけだよ。」

真奈美「そうなんだ、楽しそうでいいわね。」

剛太郎「あと8日間だけだよ。」

和美「8日間も?」

剛太郎「まあ、合宿みたいな感じだよ。祥子ちゃんのお父さん、お母さん、蒼太君がよくしてくれるから、妹の今日子の方がはしゃいでるよ。」

真奈美「私もお邪魔しようかな?」

和美「私も。」

祥子「家が狭くなるから、やめて。ただでさえ、今6人で大所帯なんだから。」

剛太郎「ごめんね。」

祥子「剛太郎君に言ったんじゃないよ。真奈美と和美に言ったの。」

真奈美「じゃ、帰りますか。今から、オーケストラ部のコンサート楽しみだね。時間の都合のつくときに、倶楽部活動ね。」

和美「そういえば、毎年、一高のオーケストラ部、テレビで放送されてたもんね。」

剛太郎「ピンチヒッター頑張ります。」

真奈美「剛太郎カラオケ倶楽部、ファイトー!」

全員「オー!」

皆、別れて、家に帰っていく4人であった。


夏目家に帰りついた剛太郎と祥子、剛太郎妹今日子と祥子父一郎、祥子弟蒼太も帰ってきており、夕食後、リビングで話す6人であった。

剛太郎妹今日子「今日、みんなにお姫様みたいって言われちゃった。」

剛太郎「お姫様?」

剛太郎妹今日子「だって、立派な車で毎日、学校に送り迎えだもん。」

祥子父一郎「そうだよ。今日子ちゃんは、うちの大事なお姫様だよ。」

剛太郎妹今日子「お姫様だ、わーい。じゃ、祥子さんも、お姫様だね。」

祥子父一郎「うん。祥子も、お姫様だな。剛太郎君と蒼太は王子様だな。」

剛太郎妹今日子「蒼太君は、白馬の王子様って感じだけど、お兄ちゃんは姫を守るナイトって感じだね。」

剛太郎「うん。僕はクマちゃんナイトなんだ。」

祥子母律子「可愛らしいナイトね。」

皆、食事しながら歓談している。

祥子「そうそう、一高のオーケストラ部って毎年、テレビ放映さてるじゃない。」

祥子父一郎「うむ。吹奏楽部は、どこにでもあるが、オーケストラ部は、稀少だからな。」

祥子「その、オーケストラ部が今年、オペラの曲に挑戦するらしいんだけど、オペラってアリアが流れるじゃない。」

祥子母律子「アリアって、オペラで歌われる歌でしょ。」

祥子「そう、そのアリアを、剛太郎君が歌うことになったの。」

祥子父一郎「なんと、テレビに出るのか。」

祥子母律子「大変じゃない。」

祥子弟蒼太「剛太郎さんのあの歌が、テレビに流れるのか、凄い。」

剛太郎妹今日子「お兄ちゃん、やるー。」

剛太郎「地方局の放映ですから、たいしたことないと思いますが、出るからには全力で歌いたいと思います。」

祥子父一郎「じゃ、今夜もカラオケ大会で練習だな。あのマシーンには、その曲は入っているのか?」

祥子「さっき調べたら、入っていたわ。有名なオペラのアリアだからね。」

祥子母律子「あなた、高い機械買ったかいがありましたね。」

祥子父一郎「そうと決まれば、練習だ。食事と片付け、あとお風呂も早めにしよう。片付けはわしも手伝うぞ。」

祥子母律子「まあ、明日は嵐が来るんじゃないですか?」

その日の夜も、カラオケ大会となった夏目家であった。


カラオケを終え、二階に上がってきた祥子と剛太郎。

祥子「剛太郎君、ビックリしちゃった。真奈美と和美に、ここに泊まってるっていきなり言うんだもん。」

剛太郎「ごめん、ごめん。てっきり、祥子ちゃんが伝えてるって思ってたから。」

祥子「どうごまかそうか、必死だったよ。」

クマリン「お風呂の事件を突っ込まれたときは、危なかったね。」

マモリン「あの時、二人そろって、あって言っちゃうから、こっちがハラハラしたよ。」

クマエル「それは、危なかったね。」

祥子「あれは、事故だからね。事故。」

クマエル「さっき聞いたけど、剛太郎のアリア、最高だね。学校のみんな、ビックリしたんじゃない?」

クマリン「そうか、クマエルはお留守番だから、聞いてないもんね。マモリンも、部室にいたんでしょ。」

マモリン「そう、柔道の練習の合間だったからね。」

クマリン「聞いたのは、僕と祥子だけだね。あのオーケストラの前で歌う前の練習で、もうヤバかったもん。」

祥子「練習聞いてるだけで、涙が止まらなくて、座り込んじゃって、真奈美に肩貸してもらったもん。」

クマエル「聖歌隊の歌とか向いてるんじゃない。」

剛太郎「聖歌隊?」

クマリン「おお、ぴったりかも。この辺に教会ってないの?」

祥子「教会なら、すぐ近くにあるわよ。」

クマエル「教会なら、聖歌隊はいるね。明日の日曜日に行ってみない?」

クマリン「ミサは、何時からか知ってる?」

祥子「えっと、教会に通ってる友達がいるから電話で聞いてみるね。」

友達に電話を掛ける祥子。

剛太郎「聖歌隊って、賛美歌を歌う人たちのこと?」

クマエル「そうそう。オペラだったら、そっちの方が練習になるよ。」

クマリン「確かにね。発声とか近いんじゃないかな。」

マモリン「ぼくには、わかりましぇーん。」

クマエル「マモリンは、神道だからね。でも、見たら感動すると思うよ。」

電話を終えた祥子が、戻ってくる。

祥子「お友達の南ちゃん、明日ミサに出席するんですって。」

クマリン「お友達って、南ちゃんだったの?」

マモリン「クマリン知ってるの?」

クマリン「祥子の幼なじみだよ。」

祥子「それが、南ちゃん、今、聖歌隊に入ってるんだって。」

クマエル「それはいいな。剛太郎も参加させてもらえないかな。」

祥子「もう、伝えたわよ。」

マモリン「さすがだね。」

剛太郎「じゃ、明日は何時から?」

祥子「ミサが9時からだから、練習もあるから、8時に来てって。」

クマリン「ミサか、楽しみー。」

クマエル「ボクもー。」

マモリン「二人の宗教だからね。羨ましいな。」

祥子「マモリンは、今度、神社に連れて行ってあげるよ。」

マモリン「わーい。楽しみー。」

剛太郎「じゃあ、寝よう。」

立ち上がり、部屋を出る剛太郎。

剛太郎「おやすみー。」

祥子・クマエル・クマリン・マモリン「お休みー。」

皆、それぞれに期待に胸を膨らませ、眠りについた。


第二十五話に続く。


第二十五話に続く。第二十五話も書きます。

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