第二話 岩田家大騒動
祥子の訪問前日の岩田家の大騒動です。
第二話 岩田家大騒動
その男の名は、岩田剛太郎。
高校3年生18歳、ゴツいのは名前だけではなく、見た目もゴツい。身長185cm体重135kg、柔道部主将、屈強な体。目つきも鋭く、強面、かなりゴツい男。
見た目に反して、この男、気は優しく、あまり怒らない。
頭も良く、県下でトップクラスの進学校(一高)に通う。文武両道の男。
ただ、彼には、人に言えない秘密があったのです。
祥子と別れ、帰宅の途についた剛太郎。玄関を開け、家に入る剛太郎。
剛太郎「ただいま。」
ダイニングから母の幸子が迎える。
母幸子「あ、お帰りなさい。今日は、遅かったのね。練習長引いたの?」
母に目を合わせず返事をする剛太郎。
剛太郎「いや、ちょっと寄り道してきた。」
幸子「そう、もうすぐ晩ご飯ですからね。もうちょっと待ってね。」
剛太郎の母幸子は、近所のスーパーでパートをしており、夕方4時には家にいる。体格は
身長163cm、細身で昔可愛かった系の45歳。
二階の自分の部屋に向かう剛太郎。階段で妹の今日子とすれ違う。
今日子は、14歳中学二年生。身長150cmの細身、お母さん似で可愛らしい。
妹今日子「あ、お兄ちゃんお帰り。」
端に避ける今日子。
剛太郎「ただいま。」
自分の部屋に入り、鞄とモールの包装袋を机に置く剛太郎。部屋着に着替え、階段を降り、柔道着を脱衣所の洗濯機の上に置く。
ダイニングに入ってくる剛太郎、その容姿は、クマちゃんTシャツに、クマちゃん短パン。胸に大きなクマちゃん、右足にもクマちゃんが付いている。これが剛太郎の部屋着(彼曰く家での正装)である。
料理中の母に話しかける剛太郎。
剛太郎「母さん、明日、友達がうちに来るから。」
淡々と話す剛太郎。
びっくり驚く母幸子。
母幸子「あら、珍しいわね。剛太郎がお友達を連れてくるなんて。柔道部のお友達?」
ちょっとモジモジ剛太郎。
剛太郎「いや、クラスの子なんだけど・・・・」
そこへ、リビングにいた、妹今日子が、二人の話に割って入る。
妹今日子「お兄ちゃんのその様子だと、もしかして、女子?」
超びっくりの母幸子。
母幸子「お、女の子が来るの?あ、わかった。柔道部の女子ね。でも同じクラスに柔道部いたかしら?」
ため息をつく剛太郎。
剛太郎「一高に女子柔道部は無いよ。クラスの子。同級生。」
皿を落とす、母幸子、じっと、剛太郎を見る。
妹今日子「一人で来るの?ひょっとして、コレ?」
小指を立てる妹今日子。
顔を真っ赤にする剛太郎。
剛太郎「ち、違う、違う。ただのクラスメート。僕の部屋をみたいらしい。」
凍り付く母幸子、妹今日子。
母幸子「剛太郎の部屋?部屋に入れるの?あの、あの・・・」
妹今日子「クマちゃんルームに!」
母幸子「彼女は・・・知ってるの・・・?」
妹今日子「ついにばれちゃったかー。」
ちょっとあきれ顔の剛太郎。
剛太郎「彼女にだけクマちゃんの事、ばれちゃったんだけど、それを内緒にするから、部屋をみせてって言われたんだ。」
ピンポーン。玄関のチャイムが鳴る。
妹今日子「あ、お父さんだ。」
リビングに入ってくる、父の達夫。
父の達夫は、公務員で市役所勤務の課長、顔は剛太郎ほどでは無いが、結構ゴツい。体格は身長175cm体重80kgと、筋肉質だが、ちょっとメタボ傾向の48歳。
父達夫「ただいま。」
妹今日子「お父さん、ビッグニュース、ビッグニュース。」
はしゃぐ妹今日子。頭を抱える、剛太郎。
父達夫「どうした。今日子が、数学で100点でも取ったか?」
首を振る妹今日子。
妹今日子「違う、違う。とれるわけないし、お兄ちゃんの友達が明日うちに来るんだって。」
やはり、びっくりした表情を浮かべる父達夫。
父達夫「ほう、いいじゃないか。剛太郎、柔道部の友達か?」
母幸子と同じリアクションの父達夫。
母幸子「あなた、お帰りなさい。ご飯できましたから、食べながら、話しましょう。」
皆で食卓を囲む岩田家の四人。
父達夫「で、誰が来るんだ?」
クマちゃんどんぶり、クマちゃんお箸で食べている剛太郎。
モジモジ剛太郎「クラスメートだよ。」
クマちゃんお皿の唐揚げを3つ頬張る剛太郎。
父達夫「男なんだろ?」
モジモジ剛太郎「それが・・・。」
箸が止まる剛太郎。
父達夫「まさか、剛太郎訪ねて、女の子が・・・来るわけ・・・来るわけ・・・。」
モジモジ剛太郎が、首を縦に振る。
父達夫「来るのー。」
箸を落とす父達夫。
驚きを隠せない父達夫。
父達夫「柔道部の女子か?」
サラダを食べる妹今日子。
妹今日子「それ、お母さんと同じリアクション。」
箸を拾い、父達夫に渡す、母幸子。
母幸子「クラスの女の子ですって。」
クマちゃんグラスで、お茶を飲む剛太郎。
モジモジ剛太郎「同じクラスの、夏目さん、夏目祥子さん。」
クマちゃんお椀で、味噌汁をすする剛太郎。
父達夫「もしかして、コレか?」
小指を立てる父達夫。
味噌汁を吹き出す、剛太郎。
母幸子「あらあら、もう。」
にやつく妹今日子「それ、私と同じリアクション。」
モジモジ剛太郎「母さんゴメン。自分で拭くからいいよ。」
自分のクマちゃんおしぼりでテーブルを拭く剛太郎。
父達夫「剛太郎・・・。その夏目さんって美人か?」
また、吹き出しそうになる剛太郎。
モジモジ剛太郎「美人って言われれば、美人かな。」
父達夫「そうか、で、何しに来るんだ?」
妹今日子「お兄ちゃんの部屋見に来るんだって。」
箸がまた止まり、凍り付く父達夫。
父達夫「ク、クマちゃんルームをか?」
父以外3人うなずく。
父達夫「それは困ったな、剛太郎。クマちゃんばれちゃったか。ご飯終わって、リビングで話そう。作戦会議だ。」
リビングへ移動する4人。
妹今日子「ねえ、お兄ちゃん、夏目さんって弟居ない?」
剛太郎「いや、知らないな。」
妹今日子「隣町の中学校だと思うんだけど、三年生に、夏目蒼太くんって超イケメンの子が居るらしいんだけど、そのお姉さんじゃないの?」
剛太郎「そうなのか?明日、夏目さんに聞いとくよ。」
妹今日子「もしそうなら、紹介してって言っといてね。」
剛太郎「ああ、分かった。でもそんな余裕ないぞ。」
父達夫が話し出す。
父達夫「で、剛太郎、どこまでばれてるんだ。」
皆に話したせいか、モジモジがおさまった剛太郎。
剛太郎「クマちゃんが好きって事だけかな。」
父達夫「持ち物、着るもの、部屋の中、全部クマちゃんグッズの事は、まだ知らないんだな。」
クマちゃんコップでジュースを飲む剛太郎。
剛太郎「見られたのは、コップとカードケース、キーホルダーくらいかな。」
父達夫「よし、じゃ、父さんの部屋を一時、剛太郎の部屋にしよう。」
妹今日子「というと?」
母幸子「お父さんの書斎をとりあえずで、剛太郎の部屋にするのね。」
父達夫「うむ。机、教科書くらい移動しとけばいいじゃないか。殺風景なのは、性格ということで。学校にクマちゃんの事が広まったら、剛太郎もやりにくいだろうし。」
剛太郎「父さん、ありがとう。」
立ち上がる父達夫。
父達夫「じゃあ、今から移動するぞ。みんな手伝ってくれ。」
妹今日子「えー。今からー。」
父達夫「お兄ちゃんの為だ、みんなで頑張ろう。」
家族4人で、机、教科書を移動。文房具も父のものをそのまま流用。小一時間で終了。
父達夫「よし、これで良いだろう。」
最後に、GOUTAROUと書いてあるクマちゃんルームプレートを剛太郎自身で、書斎のドアに掛ける。
妹今日子「お兄ちゃん、このプレートはいいの?」
心配する妹今日子。
剛太郎「これくらい大丈夫だろ。」
父達夫「さあ、終わった。皆、風呂に入って寝よう。」
皆、順々に風呂に入る。
母幸子「二人とも、おやすみなさい。」
妹今日子「おやすみー。」
剛太郎「おやすみなさい。」
部屋に戻ろうとする剛太郎に、話しかける父達夫。
父達夫「剛太郎、パワーの事は、ばれていないんだな。」
剛太郎「うん。まだ、ばれてないと思う。ちょっと見られたみたいだけど。」
父達夫「そうか、気をつけるんだぞ、お前の場合、まだ、制御が効かんだろうから。」
剛太郎「うん。分かってる。」
父達夫「じゃ、おやすみ。」
剛太郎「おやすみなさい。」
やっと、落ち着いた岩田家であった。
その頃、祥子もベッドで就寝準備。
祥子「明日、剛太郎君の部屋見るの、たーのーしーみー。多分、クマちゃんいっぱいあるんだろうなあ。」
期待に胸膨らむ祥子であった。
剛太郎と祥子、双方の思いが錯綜する。
第三話に続く。
いよいよ、祥子が岩田家を訪問。第三話に続く。第三話も書きます。