第十八話 ゴールドナイト剛太郎、もう一つの副賞
ゴールドナイトの称号を得た剛太郎、副賞はゴールドクマちゃん。しかし、もう一つ、副賞が存在した。
第十八話 ゴールドナイト剛太郎、もう一つの副賞
その男の名は、岩田剛太郎。
高校3年生18歳、ゴツいのは名前だけではなく、見た目もゴツい。身長185cm体重135kg、柔道部主将、屈強な体。目つきも鋭く、強面、かなりゴツい男。
見た目に反して、この男、気は優しく、あまり怒らない。
頭も良く、県下でトップクラスの進学校(一高)に通う。文武両道の男。
ただ、彼には、人に言えない秘密があったのです。
表彰式に向かう三チームとチェアマン。クマリンが祥子に話しかける。
クマリン「祥子、願い事ってあれでよかったの?」
祥子「名字じゃなくて名前でって事?」
クマリン「うん、もっと他に、告白してとか、好きって言ってとか望まなかったの?」
祥子「ううん、いいの。剛太郎君に今して欲しいことは、それかなって思ったから。」
クマリン「はーーー、正直すぎるよ、嘘でもいいから、告白しろって願えばよかったのに。」
祥子「そんな。剛太郎君にプレッシャーになるし、やっぱり、正直が一番だって思ったの。」
クマリン「僕は、まだまだ苦労するんだね。」
クマエル「でも、その苦労を楽しんでるでしょ、よ、愛の大天使ガブリエル。」
クマリン「分かる?」
マモリン「二人はゆっくりでいいんです。ゆっくりで。正直が一番。」
後ろから走ってくる剛太郎。
剛太郎「さあ、整列だ。」
剛太郎、ザファル、健太郎が、クマーゾフチェアマンの前に、整列する。
クマーゾフチェアマン「優勝、おめでとう、剛太郎君。見事、ゴールナイトの称号を得た。副賞として、この、ゴールドクマちゃんを授ける。大事にしてくれ。次に、準優勝、ザファル君、二連覇とはならなかったが、よく頑張った。シルバーナイトの称号とシルバークマちゃんを授ける。次回、リベンジだな。そして、惜しくも第三位、健太郎君、この3人の実力は肉薄している、君も次回は、優勝出来る、君には、ブロンズナイトの称号と、ブロンズクマちゃんを授ける。みんな、頑張ったな。」
3人がそれぞれ、クマちゃんを頂く。
剛太郎「ゴールドクマちゃんだ、早くパワー充電したいな。」
健太郎「今回は、前回よりも一つ順位をあげられた、次回は、シルバー、いや、ゴールドクマちゃん目指すぞ。ブロンズクマちゃん、初めまして。」
ザファル「二連覇出来なかったけど、ライバルが出来たことの方が嬉しい。シルバークマちゃん、よろしくね。」
ナイト三人は、クマちゃんに夢中である。
クマーゾフチェアマン「プリンセスの皆さん、お疲れ様でした。皆さんには、このカタログギフトを差し上げます。何でもいいものを選んでください。なお、キングには既に、旅行ギフトが贈られています。」
係員が、プリンセスそれぞれにカタログを手渡す。
祥子「えっ、こんなに高いのいいの?」
ユリ「祥子ちゃん、ちょっと見せて。えっ、やっぱり、優勝と三位じゃ一桁違うね。健太郎に今度は優勝してもらわなくちゃ。」
ローラ「いいじゃないの、韓国旅行出来たと思えば。まあ、ギフトはおまけみたいなものよ。」
クマーゾフチェアマン「この大会は、秘密裏に行われているので、賞品もそんなにたいしたものではありません。ただ、クマちゃんを愛するものにとって、ゴールドナイトの称号は何物にも代えられません。これから先、不測の事態に備えるための、いわば訓練なのです。」
祥子「不測の事態?戦争ですか?」
クマーゾフチェアマン「単なる戦争なら、私たちの出る幕ではありません。ただ、ナイトの中にも、ダークナイトと呼ばれる者がいるようです。そのダークナイトに立ち向かうナイトを育成することが、私の本当の使命なのです。」
ザファル「ダークナイトか。」
クマちゃんに夢中だった、ザファルが口を開く。
祥子「ザファルさん、知ってるんですか?」
ザファル「うん、ナイトの力を悪用して、犯罪に手を染める者、そいつらをダークナイトと呼んでるんだけど、ほとんど表には出てこないらしいよ。」
クマーゾフチェアマン「さて、次回のカーニバルに期待してください。カーニバルは不定期です。開催される時は、また、テレパスが来ます。名残惜しいですが、そろそろ、テレポートの時間です。皆さん、ごきげんよう。」
祥子「えっ、これで終わりですか?」
ローラ「そうよ、こんな感じなの、じゃあ、皆さんさようなら。」
クマーゾフチェアマン「そうです。カーニバルは、あっと言う間なのです。明日は、学校、仕事でしょ、レクリエーションみたいものですよ。」
祥子「あの、必死の戦いが、レクリエーションなんて。」
ユリ「みんな、またねー。」
祥子「ユリさん、ローラさん、さようなら。」
クマーゾフチェアマン「ナイトの服装は自動着替えになります、さあ、さあ、さあ、テレポーーーーーーーート。」
皆の姿が消えて行く。
剛太郎宅にテレポートで戻った、剛太郎と祥子。
ゴールドクマちゃんに挨拶していた剛太郎。
剛太郎「ゴールドクマちゃん、こんにちは。あれ、ここは・・・。」
祥子「剛太郎君の家。テレポートで戻ってきたの。夢じゃないみたいね。ゴールドクマちゃんあるし。」
剛太郎「健太郎さんやユリさん、他の人にも挨拶できなかったね。」
祥子「ゴールドクマちゃんに夢中だったもんね。」
剛太郎父達夫「お帰り、テレパスで聞いたよ。優勝おめでとう。ゴールドナイト、ゴールドプリンセスだな。私は、ゴールドキングなのかな?」
祥子「お父さん、ただいま戻りました。」
剛太郎「父さん、ただいま。」
剛太郎父達夫「ゴールドナイト剛太郎か、特に変わった様子はないようだな。」
剛太郎「何も変わってないよ、ただ、いろんな国のライバルと戦えたから、楽しかったよ。」
剛太郎父達夫「そうか、目には見えない成長を遂げた感じだな。」
剛太郎母幸子が、急いでリビングに入ってくる。
剛太郎母幸子「あなた、今、こんなものが届きましたよ。あら、二人ともお帰りなさい。優勝ですってね、おめでとう。その金色のクマちゃんが賞品?カワイイじゃない。」
剛太郎父達夫「もう、届いたのか、どれどれ。ヨーロッパ旅行、アメリカ西海岸、東海岸、オーストラリア、南米、ロシア、エジプト・・・、お好きな旅行先をお選びくださいって書いてあるな。」
祥子「もう届いたの。早いですね。」
剛太郎「おそらく、ギフトもテレポートされたんだろう。」
剛太郎母幸子「あなた、いいわね。それ、剛太郎達からのプレゼントなのね、羨ましい。」
剛太郎父達夫「何を言ってるんだ、ペアだよ。」
剛太郎母幸子「えっ、私の分もあるの?」
剛太郎「母さん、僕たちからのプレゼントだよ。」
剛太郎母幸子「ありがとう、剛太郎、幸子さん。太っ腹よね、その、盆踊り大会。」
剛太郎「盆踊り大会?」
祥子「はて?」
剛太郎母幸子「だって、ナイトカーニバルだったんでしょ、なに踊ったの?優勝するくらいだから、ワルツかタンゴでも踊ったの?」
剛太郎「母さん・・・。」
祥子「ナイト違い・・・。」
剛太郎父達夫「優勝なんだから、ランバダじゃないか?」
剛太郎母幸子「また、激しいの踊ったわね、今度、母さんに二人で踊ったとこ見せてね。」
剛太郎「父さん・・・。」
剛太郎父達夫「冗談だよ、剛太郎達は、相撲の世界大会に行ってたんだよ。ナイトは、夜のナイトじゃなくて、騎士のナイトだよ。」
剛太郎母幸子「あら、そうだったの。てっきり、踊りの大会だとばかり思ってたわ、そりゃそうよね、祥子さんならともかく、剛太郎が踊れるわけないか。」
剛太郎「相撲というか、柔道みたいな格闘技の大会だったんだよ。」
剛太郎母幸子「それなら、納得ね。それでも、頑張ったわね、優勝でしょう。旅行は、ありがたく頂戴いたします。あなた、休み取れます?」
剛太郎父達夫「来月なら行けるぞ。」
剛太郎母幸子「そう、じゃあ、来月行きましょうよ。で、祥子さん、お願いがあるんだけど。」
祥子「何でしょうか?」
剛太郎母幸子「私たちが旅行の時、剛太郎と今日子の面倒みてくれない?」
祥子「えっ、面倒ですか。」
剛太郎「母さん、大丈夫だから。」
剛太郎母幸子「夕飯だけ、お願いしたいな。」
剛太郎「そんな、無理だよ、夏目さんも学校あるし。」
祥子「夏目さん?」
剛太郎「あ、いや、祥子ちゃんも、学校あるから、そんな、無理だって。」
剛太郎父達夫「ん、祥子ちゃん?剛太郎、今、祥子ちゃんって言ったな。」
剛太郎「そうだけど・・・。」
剛太郎父達夫「見える成長だな、剛太郎。祥子さん、勝手を言って申し訳ないが、幸子の願いを聞いてもらえないだろうか。もちろん、家の方に相談してからで構わないから。」
祥子「分かりました、私は構いませんが、父と母に相談して決めます。」
剛太郎母幸子「ありがとう、祥子さん。いい返事、舞ってるからね。」
剛太郎「なんで、こうなるかな。」
祥子「いやなの?」
剛太郎「いえ、嬉しいです。」
剛太郎父達夫「じゃ、今から、祥子さん家にお願いしに行くか。」
剛太郎母幸子「そうね、ご迷惑掛けることになるかもしれませんからね。」
祥子「大丈夫です、私から話しておきますから、あとで、電話で構いませんから。」
剛太郎父達夫「そうですか、じゃ、剛太郎、今から祥子さんを家まで送って行きなさい。夏目さんのご両親に、お前からも言ってみてくれ。」
剛太郎「分かった。じゃあ、行こうか。祥子ちゃん。」
祥子「そうね、お世話になりました。お父さん、お母さん、失礼します。」
玄関先で剛太郎と祥子を見送る、剛太郎父達夫と剛太郎母幸子。
剛太郎父達夫「剛太郎、成長したな。」
剛太郎母幸子「ええ、あの奥手の剛太郎が・・・。あ、旅行は、ヨーロッパでいいですか?」
剛太郎父達夫「好きなところへ、行きましょう。」
腕を組む剛太郎父達夫と剛太郎母幸子であった。
夏目家を目指す、剛太郎と祥子。
祥子「な・つ・め・さ・んは、駄目ですよー。」
剛太郎「ごめん、とっさに出た、気をつける。」
祥子「まあ、慣れてないから、許す。」
クマリン「そうそう、ショウコチャンって呼ばないと。」
クマエル「ショウコでもいいんじゃない。」
マモリン「いやいや、それはまだ、早いでしょ。」
剛太郎「もう、何て呼べば・・・。」
ショウコ「こらこら、そこで、勝手に決めないの。今は、祥子ちゃんでいいの。」
クマリン「へーい。」
クマエル「呼び捨ては、よくないもんな。」
マモリン「じっくり行こう、じっくり。」
剛太郎「祥子ちゃん、祥子ちゃんでいいんだね。」
祥子「改まると、こっちが恥ずかしいよ。さあ、急ごう。許可してくれるかなー。」
夏目家を急ぎ目指す、二人と三匹であった。
夏目家に到着。リビングで話す、剛太郎、祥子、祥子父一郎、祥子母律子。
祥子「今度ね、剛太郎君のご両親が海外旅行に行くの。」
祥子父一郎「ああ、さっき、剛太郎君のお父さんから電話があったぞ。」
祥子「あら、もうあったの?じゃ、話は早そうね。」
祥子父一郎「うむ、それでだな、祥子が夕飯を作りに行くという申し出は、断ったよ。」
祥子「えっ、駄目なの。夕飯作りに行くだけだよ、別に泊まったりしないから。」
剛太郎「そうですか、まあ、僕と今日子だけで大丈夫ですから、心配をおかけすることになりますからね。変なお願いをしてしまって、申し訳ありません。」
祥子父一郎「いや、そうじゃないんだ。」
祥子「どういう事?」
祥子父一郎「剛太郎君のご両親が不在の間、剛太郎君と今日子ちゃんをうちで預かる事になったんだ。」
祥子「はい?」
祥子母律子「うちに泊まるって事よ。よかったわね、祥子。」
祥子「ええええええ、なんで、それ、ほんと、ええーーーーー!」
剛太郎「ちょ、えっ、いいんですか?そんなご迷惑じゃ・・・。」
祥子父一郎「ご両親との話はついとるぞ。安心しなさい。聞けば、世界相撲大会に行ってきたそうじゃないか、その話をじっくり聞きたいと思ってな。剛太郎君と、飯も食ってみたいし、公園相撲のリベンジもあるからな。毎日、剛太郎君と相撲が取れるじゃないか。今度、庭に土俵作るか?」
祥子「庭に土俵は・・・。」
祥子母律子「祥子の料理で、今日子ちゃんと剛太郎君が、お腹でも壊したら、ご両親に申し訳ないからね。」
祥子「そんなに料理下手じゃないです。」
剛太郎「今日子は、何て・・・。」
祥子母律子「飛び跳ねて、喜んでるそうよ。」
剛太郎「そうですか、でも、本当にいいんですか?」
祥子父一郎「全然構わんよ。こっちがお願いしたいくらいだ。世界の相撲の話など滅多に聞けるもんじゃないからな、10日間でも短いくらいだ。」
祥子「10日間?」
祥子父一郎「ああ、ヨーロッパに行くそうだから、それくらいじゃないか。」
祥子母律子「寝る部屋は、別でいいでしょ。一緒がいい?」
祥子「ちょ、ちょ、ちょっと、お母さん。」
祥子母律子「冗談よ、蒼太の部屋よ、蒼太が剛太郎君と一緒がいいって。祥子は、今日子ちゃんと一緒でいい?」
祥子「私は構わないよ。今日子ちゃんがいいようにしてくれれば。」
祥子父一郎「よし、決まった。剛太郎君のお父さんに電話してくるよ。」
部屋を出る祥子父一郎。
剛太郎「ほんとに、よろしいんですか?」
剛太郎が、祥子母律子に聞き直す。
祥子母律子「全然構わないわよ、むしろ、あの人が一番乗り気なんだから。」
祥子「と、いうことになったのね。お部屋片付けないと。」
剛太郎「祥子ちゃん、迷惑じゃない?」
祥子母律子「祥子ちゃん?あら、いつの間に・・・。迷惑なもんですか、大歓迎ですよ。」
祥子「お母さん、もう・・・。」
剛太郎「では、お言葉に甘えて、今日子と二人、来月お邪魔します。今日は、これで帰ります。失礼します。」
そこへ、電話を終えた祥子父一郎が戻ってくる。
祥子父一郎「剛太郎君、もう帰るのか、夕飯食べていかないか?」
剛太郎「父と母が待っていると思いますし、今日は失礼させて頂きます。」
祥子父「そうだな、帰ってきたばかりだからな、世界の相撲の話は、来月の楽しみにしておこう。」
剛太郎「では、失礼します。」
玄関で剛太郎を見送る、祥子、祥子父一郎、祥子母律子。
祥子父一郎「剛太郎君、楽しみにしてるぞ。」
祥子母律子「また、いつでもどうぞ。」
祥子「明日、学校でね。」
剛太郎「お世話になりました。」
そういって、岩田家に戻る剛太郎。
キングへの副賞が、夏目家に宿泊という思わぬ副賞をもたらしたのであった。
第十九話に続く
第十九話に続く。第十九話も書きます。




