第十七話 決勝戦クマパワー全開!
いよいよ、決勝戦、勝敗の行方は?恋の進展もある?
第十七話 決勝戦クマパワー全開!
その男の名は、岩田剛太郎。
高校3年生18歳、ゴツいのは名前だけではなく、見た目もゴツい。身長185cm体重135kg、柔道部主将、屈強な体。目つきも鋭く、強面、かなりゴツい男。
見た目に反して、この男、気は優しく、あまり怒らない。
頭も良く、県下でトップクラスの進学校(一高)に通う。文武両道の男。
ただ、彼には、人に言えない秘密があったのです。
準決勝、ロシアサンボのイゴーリ選手を下した剛太郎。
剛太郎「ナイスファイトでした。属性優位じゃなかったら、負けていました。」
イゴーリ「いや、それでも、ボクは負けていたかも、君のパドノシュカは強烈だな。」
剛太郎「パドノシュカ?ああ、体落としですね。大きい相手だと、払い腰よりも体落としを使うので。上手く技に入れました。」
イゴーリ「柔道の崩しは、すごいな。サンボは、組み手の時に相手をコントロールしていくが、柔道は組んだあとに、崩して、相手をコントロールするんだね。勉強になったよ。」
剛太郎とイゴーリが握手し、祥子とソフィアの元に戻ってくる。
プリンセスソフィア「イゴーリ、ごめんなさい。相手のクマちゃんを見て、火と思って、水を取り出しちゃった、まさか、雷、しかも雷神って思わなかった。」
イゴーリ「気にするな、ソフィア、ハンデ無しでも、剛太郎は強いと思うよ。」
祥子「作戦成功、ね、マモリン。」
マモリン「うん。上手くいった。」
クマリン「昨日の作戦会議の成果だね、火と思わせといて、水を出させて、雷で打つ。」
クマエル「理論派、マモリンだね。」
プリンセスソフィア「まんまとだまされちゃったわ。でも、剛太郎の自力は本物ね。決勝戦頑張ってね。」
イゴーリ「君たちなら、あのウズベキスタンクラッシュの選手に勝てるかもな。健闘を祈るよ。」
祥子「えっ、健太郎さん負けちゃったの?」
イゴーリ「あっちを見てみなよ。」
試合場で座り込み、ユリに肩を抱かれている健太郎が、そこにいた。
剛太郎「健太郎さん・・・。」
祥子「ユリさん・・・。」
選手控え室、時間まで、ストレッチをする剛太郎。そこへ、健太郎を下した、ザファルとローラが剛太郎の元にやってくる。
ザファル「いよいよ、決勝ですね。正々堂々戦いましょう。」
ローラ「やっぱり、剛太郎が刈ったのね。開会式前に感じたパワーは、本物だったわね。」
剛太郎「ザファルさん、思いっきりぶつからせてもらいます。」
祥子「精一杯、力を尽くします。」
ザファルとローラが試合場へ移動していく。
今度は、健太郎とユリがやってくる。
健太郎「いやー、やっぱ、ザファルは強いな。あと一歩だったんだけどな。」
ユリ「あと二歩じゃない?防戦一方だったじゃない。」
健太郎「そう見えた?」
ユリ「水に雷だったもんね。まあ、アンラッキーとしましょう。」
剛太郎「うちも、水と雷で、僕がラッキーでした。」
祥子「作戦だったんだけどね。」
健太郎「まあ、三位決定戦がある、気を取り直して頑張ろう。前回はここで気抜けちゃったからな。」
ユリ「しっかりしてよ、三位なら賞品あるんだから。」
剛太郎「三位決定戦は、あのサンボのイゴーリ選手とですよね。」
健太郎「ああ、何か秘策でも?」
剛太郎「あの選手、上半身は強いんですが、下半身がやや弱いです。下手捻り系の技が有効かもしれません。」
ユリ「あら、アドバイスありがとう、健太郎、聞いた?捻り系の技ですって。」
健太郎「試してみるよ、剛太郎君、ありがとう。」
係員が、声を掛けに来る。
係員「さあ、決勝、三位決定戦の試合場に、移動してください。」
それぞれ、試合場へ移動する。
本部のクマーゾフチェアマンより、アナウンスがある。
クマーゾフチェアマン「さあ、いよいよ、最後の戦いです。4位の選手は、テレポートされますので、ご注意ください。優勝、準優勝、三位の選手は、表彰があります。それでは、準備をお願いします。
いよいよ、決勝、三位決定戦が始まる。
決勝戦試合場、
審判が合図を送る。
審判「では、両選手、前へ。」
剛太郎「おう!」
ザファル選手「オウ!」
開始線の前に立つ2人。
審判「プリンセス、クマちゃんを前へ。」
クマお守りを前に出す、プリンセスローラ。
クマリンを前に置く祥子。
審判「では、両プリンセス、祈りを。」
プリンセスローラ「アズラーイール、頼みます。」
アズラーイール「四大天使アズラーイール降臨、カムチャッカヒグマパワー5。」
クマリンを手に取り、祈る祥子。
祥子「クマリン、最後よ、お願い。」
クマエル「行くぞ、大天使ガブリエル降臨、ゴディアックヒグマパワー5。」
プリンセスローラ「えっ、ガブリエル?ということは、ジブリール!天使の首位!」
剛太郎、炎の衣を身にまとう。
ザファル、闇の衣をまとう。
クマリン「炎と闇、自力の勝負だ。」
審判「はじめ!」
剛太郎「ゴディアックヒグマパワー5だ。」
ザファル選手「カムチャッカヒグマパワー5だ。」
両者、組み合う。
ザファル選手は、右釣り手、左引手。剛太郎は、左釣り手、右引手。ケンカ四つである。
剛太郎「おおう。」
剛太郎が、左からの支え釣り込み足。
ザファル「クアッ。」
右足を踏ん張るザファル。
今度は、ザファルが右手を剛太郎の脇から背中を持ち、抱え投げを打つ。
ザファル「オルアア。」
左釣り手を上手く使い、間合いを取る剛太郎。引手を引き、右足を一歩だし、大外刈りを狙う剛太郎。
「おりぃやー。」
腰を低くし、耐えるザファル。何かを狙っている。
マモリン「剛太郎、裏投げに気をつけてーー。」
ザファルが右手を剛太郎の腰に回し、引きつけ、裏投げに出る。
サファル「クオオオオオ。」
大内刈りで耐える剛太郎。
剛太郎「く、く、くっ。」
両者再び、組み直す。
剛太郎「何てパワーだ。」
ザファル「つ、強い。」
ザファルが仕掛ける。小外掛けで、剛太郎の左足を右足で掛け、後ろに崩す、前に体重が来たところに大腰を掛ける。
ザファル「フッ、フッ、フオオオオ。」
そこへ剛太郎は裏を取る。後ろから、谷落としの要領で、ザファルの左足を後ろから、左足で払おうとする。
バランスを大きく崩す、ザファル。
クマエル「今だ、攻めろ、剛太郎。」
マモリン「払い腰、いける。」
ローラ「耐えて、ザファル。」
クマリン「今だ、祥子スペシャルだ、愛のブランコ大観覧車攻撃、行けーーー!!」
剛太郎「はいぃーーっ。」
剛太郎が右にフェイントを掛ける。とっさに右に避けるザファル、そこへ剛太郎の左からの支え釣り込み足、更にバランスを崩し、棒立ちのザファル。剛太郎一気に引手を引き出し、ザファルを左前に崩す、釣り手で相手を釣り上げる。右足を半歩しっかり踏み込み、引きつける剛太郎。
マモリン「いけええええええ。必殺の払い腰ぃ――――――。」
剛太郎「うおおおおおおおおおお。」
クマエル「一気に払いあげろーーーー。」
クマリン「愛の観覧車、大回転!」
大きなバルブを回す感覚で体を右に回し、左足で一気にザファルを払いあげる。
ザファル「フアアアア。」
剛太郎「ぐおおおおおおお、うぉりぃああーーーーーーーーーーーー。」
ズバッ、ドドドーーーーーン。
剛太郎の豪快な払い腰が決まる。
審判「日本柔道剛太郎の優勝!それまで!」
剛太郎の優勝が決まった。
時が止まった、試合場。
ザファル選手の上に被さったままの剛太郎。2人とも動かない。
ローラと祥子が急いで駆け寄る。
ローラ「ザファル、大丈夫?」
祥子「剛太郎君、大丈夫?」
ザファル「あ、ああ、ボクは大丈夫、でも剛太郎が・・・。」
ピクリともしない剛太郎、祥子が剛太郎の頭を抱きかかえる。
祥子「剛太郎君、剛太郎君、目を覚まして。」
そこへ、クマーゾフチェアマンがやってくる。
クマーゾフチェアマン「クマパワーが切れたようだ。大丈夫。プリンセス祥子、クマちゃん達をここへ連れてきなさい。」
祥子「え、クマちゃん達を?」
呆然とする祥子。
クマーゾフチェアマン「パワーが足りないだけだ。」
祥子「分かりました。」
急いで、クマエル、クマリン、マモリンを持ってくる祥子。
クマーゾフチェアマン「では、プリンセス祥子、あなたの望みを、3匹のクマちゃんを通して、祈りなさい。それで、パワーチャージ出来るはずだ。みんなも一緒にだよ。」
祥子「はい。分かりました。クマエル、クマリン、マモリン、一緒に願って。」
クマリン「おう、任せとけ。」
クマエル「耳ハムハムだな。」
マモリン「ハムハムなの?」
クマーゾフチェアマン「いや、ハムハムはしなくて大丈夫。プリンセスの願いを心で一緒に願えばいい。」
クマリン・クマエル・マモリン「了解。」
祥子が祈る。
クマリン「え、そんなんでいいの?」
クマエル「まあ、そうだな。」
マモリン「二人は、ゆっくりゆっくりでいいんだよ。」
祥子の祈りが光に変わる。
クマリン・クマエル・マモリン「剛太郎へ、パワー充電、どーーーーーーーん。」
剛太郎にクマパワーが充電される。
剛太郎が動き出す。
剛太郎「う、ううーーーん。」
祥子「剛太郎君?」
クマリン「お、気がついたか。」
マモリン「みんな、心配でしたよ。」
クマエル「さあ、起きましょう。」
剛太郎が立ち上がる。
剛太郎「あれ、試合は?」
祥子「覚えてないの?」
剛太郎「うん、払い腰掛けたとこまで、それから気が遠くなって・・・。」
クマリン「暴走したか。」
クマエル「いや、パワーを全て使い果たしたんだろう。」
マモリン「ギリギリの戦いだったね。」
クマリン「あ、そうそう、祥子にいう事ない?」
クマエル「あるよね。」
マモリン「約束したもんね。」
剛太郎「あ、そうだね。な、夏目さん・・。」
クマリン「夏目さん?」
クマエル「違うでしょ!」
マモリン「や・く・そ・く。」
剛太郎「あ、ああ、夏目さん・・・、いや、・・・祥子ちゃん・・・、ありがとう。」
クマリン「ヨッシャー。出た、出たね。」
クマエル「うん、うん。」
マモリン「一歩前進だね。」
祥子「願い、・・・届いたんだ。」
剛太郎「うん・・・、クマちゃん達から、夏目さんじゃ駄目、祥子ちゃんって呼びなさいって約束させられた・・・。」
クマリン「名字から名前になるまでに、こんなに苦労する?」
クマエル「分かるぞ、分かるぞ、その苦労、クマリン。」
マモリン「まあ、でも、なんというか・・・優勝だーーーーーーー!」
クマリン・マモリン・クマエル「やったぞーーー。」
祥子「夢・・・、じゃ、・・・ないよね。」
クマリン「どっちが?優勝?祥子ちゃん?」
祥子「両方・・・かな。」
クマーゾフチェアマン「さあ、表彰式だ。あっちも三位が決まったらしい。」
剛太郎と祥子が、向こうの試合会場に目をやる。
健太郎「おーい。剛太郎君、祥子ちゃん。」
剛太郎「健太郎さん、テレポートしてない!ということは。」
ユリ「勝ったわよ。」
祥子「やったーーーー!」
健太郎「剛太郎のアドバイスが効いたぞ。上手とって右から下手捻り、崩れたところに上手投げで決めた。」
ユリ「接戦だったけどね。」
剛太郎「さすが、健太郎さん。」
祥子「健太郎さん、ユリさん、おめでとうございます。」
健太郎「まあ、優勝者に、おめでとうって言われてもな。」
ユリ「ひがまない、ひがまない。三位で上出来よ。」
ザファル「いい勝負でした。」
ローラ「剛太郎、次は、負けないわよ。」
健太郎「剛太郎君の前に、俺が倒す!」
ユリ「どーかなー?」
クマーゾフチェアマン「さあ、さあ、表彰式ですよ、行きましょう。」
表彰式が始まる。
第十八話に続く
第十八話に続く。第十八話も書きます。