第十六話 トーナメント開幕
いよいよ、トーナメント開幕です。剛太郎は、決勝に進めるのか。
第十六話 トーナメント開幕
その男の名は、岩田剛太郎。
高校3年生18歳、ゴツいのは名前だけではなく、見た目もゴツい。身長185cm体重135kg、柔道部主将、屈強な体。目つきも鋭く、強面、かなりゴツい男。
見た目に反して、この男、気は優しく、あまり怒らない。
頭も良く、県下でトップクラスの進学校(一高)に通う。文武両道の男。
ただ、彼には、人に言えない秘密があったのです。
トーナメント当日、ホテルのフロントに集まった、健太郎、剛太郎、ユリ、祥子。
健太郎「さあ、行こうか。」
ユリ「負けたら、テレポートだからね。決勝までお互い頑張りましょうね。」
祥子「そういえば、優勝したら、何がもらえるの?」
健太郎「トーナメント会場で発表になる。前回は、ゴールドクマちゃん、今回も同じじゃないかな。」
剛太郎「ゴールドクマちゃん!」
ユリ「準優勝は、シルバークマちゃん。三位は、ブロンズクマちゃん。」
祥子「オリンピックと同じね。」
健太郎「ナイトには、ゴールドナイト、シルバーナイト、ブロンズナイトの称号がそれぞれ与えられる。」
ユリ「称号はプリンセスとキングにもね。あと、副賞で、プリンセスにはブランド品のカタログとキングには旅行のパンフレットが贈られる、その中から選んでねって事。」
健太郎「キングは、テレポート出来ないからね。それで、旅行なんだと思う、前回は、三位決定戦で負けたから、なんもなかったよ。」
ユリ「まあ、アメリカ旅行は1日出来たけどね。」
祥子「すごいですね。」
剛太郎「ゴールドクマちゃん、見てみたいな。パワーが気になる。」
健太郎「多分、ブロンズが4、シルバーが5、ゴールドも5じゃないかな、じゃ、行こうか。」
競技場へと向かう両チーム。
競技場へ到着した両チーム。そこに、係員が紙を持ち走ってくる。
係員「トーナメント表を貼り出します、選手の皆さん、ご確認ください。」
競技場前、トーナメント表が壁に貼りだされる。
健太郎「どれどれ。日本柔道10、韓国シルム8、スペインルチャ・カナリヤ8、ロシアサンボ9、スイスシュビンゲン8、ウズベキスタンクラッシュ10、中国シュアイジャオ8、日本相撲9だな。みんな強敵ばかりだな。」
剛太郎「相撲系、柔道系ありますよね。あと、着衣系はどれになるかな。」
健太郎「うむ。柔道系は、日本柔道、ロシアサンボ、ウズベキスタンクラッシュ、中国シュワイジャオだな。相撲系は、日本相撲、韓国シルム、スペインルチャ・カナリア、スイスシュビンゲンってとこか。」
マモリン「上半身着衣無しは、韓国シルム、日本相撲くらい、あとは、着衣だよ、マワシ持つか、道着持つかで組み方が違う。柔道系は道着、相撲系はマワシやベルトを持つね。」
剛太郎「僕は、初戦は韓国シルムの選手だ、完全アウェーだな。」
健太郎「俺は、中国シュワイジャオの選手か。組み手苦手だな。とりあえず引きつけて動けなくしよう。剛太郎は、逆に間合いを取った方がいいぞ。韓国シルムは日本の相撲とほとんど同じだからな。」
剛太郎「分かりました。初戦、頑張りましょう。」
ユリ「祥子ちゃん、剛太郎君、頑張ってね。」
祥子「ユリさん、健太郎さん、頑張ってください。」
健太郎「よっしゃ、着替えるか。剛太郎君、行こう。」
剛太郎「はい、行きましょう。」
更衣室へ向かう、剛太郎と健太郎。祥子とユリは試合会場へ向かう。試合会場は、4つあり、芝生の上に丸いマットが敷いてある。レスリングの試合場に似ているが、柔道の開始線が引いてある。
試合会場へ向かうユリが祥子に話しかける。
「この間の、相撲大会とやり方は同じ。ただ、属性が見た目でバレると不利だから、クマちゃん達は見えないようにした方がいいわね。試合場の外に座って、審判の合図とともに、クマちゃん出すの。そして、審判の合図でクマパワー注入、クマパワー注入後、試合開始。流れて的には、そんな感じよ。組み合って、場外に出たら試合が止められる、丸の外ね。わざと出ようとしたら、イエローカード、手で組み手をふりほどいたらイエローカードよ。イエローカード2枚で失格。先に背中をついた方が負けよ。」
クマリン「昨日の作戦通り、まずは、初戦が大事ということで、クマエルだね。」
クマエル「了解、なんの属性が来ても大丈夫。相手もキャパ8、剛太郎の自力で多分大丈夫。」
マモリン「頼むぞー。」
ユリ「いいな、うちはキューピットちゃん初戦だよ、光属性だから、不利にはならないけど、パワー4が不安要素、相手がパワー5だったら、健太郎の自力に賭けるしかないわ。」
祥子「いきなり、5は持ってこないんじゃ。」
ユリ「そう願うしかないわね。あ、健太郎達、準備出来たみたいね。」
トーナメント開始にあたり、クマーゾフチェアマンより説明である。
クマーゾフチェアマン「トーナメントに残ったナイトの皆さん、正々堂々と戦いましょう。なお、注意事項として、ダブルパワーは失格、ラストボムの使用も失格となります。ご注意ください。優勝、準優勝、第三位には、それぞれ、ゴールドクマちゃん、シルバークマちゃん、ブロンズクマちゃんが贈られます。プリンセス、キングには、カタログギフトが贈られます。では、試合会場へ移動をお願いします。
試合会場へ移動する、剛太郎と祥子、健太郎とユリ。
健太郎「剛太郎君、頑張れよ。」
剛太郎「はい、勝ちます。健太郎さんも、頑張ってください。」
ユリ「祥子ちゃん、頑張ってね。」
祥子「はい、頑張ります、ユリさんも、頑張ってください。」
剛太郎と健太郎、祥子とユリが、互いに握手し分かれる。
第一試合場、剛太郎と祥子が陣取る。向かいに韓国シルムパク選手とプリンセスのチョウが陣取る。体格は、身長は剛太郎が少しうわまるが、体重はパク選手の方がありそうである。
大会本部前のクマーゾフチェアマンが試合開始を告げる。
クマーゾフチェアマン「では、試合開始。」
第一会場の審判が合図を送る。
審判「では、両選手、前へ。」
剛太郎「おう!」
パク選手「ほう!」
開始線の前に立つ2人。
審判「プリンセス、クマちゃんを前へ。」
クマお守りを前に出す、プリンセスチョウ。
クマエルを首から外し、前に置く祥子。
審判「では、両プリンセス、祈りを。」
プリンセスチョウ「クマ聖王、お願い。」
クマ聖王「パワーを与えん、ツキノワグマパワー4。」
クマエルを手に取り、祈る祥子。
祥子「クマエルお願い。」
クマエル「オッシャー、クマ大天使クマエル降臨、ホッキョクグマパワー5。」
プリンセスチョウ「えっ、ホッキョクグマパワー5?最強パワーヤバいよ、パクちゃん。」
剛太郎、パク両選手、光の衣を身にまとう。
クマリン「2人とも、光属性だ。」
審判「はじめ!」
剛太郎「ホッッキョクグマパワー5だ。」
パク選手「なんの、ツキノワグマパワー4だ。自力で勝つ。」
両者、組み合う。
パク選手は、右差し、左上手。剛太郎は、左釣り手、右引手の左組みである。
パク選手「はうう。」
パク選手が、右から投げ打とうとする。
剛太郎「なんの。」
右足で踏ん張る剛太郎、すかさず、左釣り手を引きつけ、左釣り手と右引手で、相手を左前に引き出す。同時に、内股のように相手の右足を払い、更に相手を左前方に崩す。パク選手たまらず、左足で踏ん張る。そこへ、剛太郎は、右足を一歩踏み出し、相手の腰と自分の腰を密着させる。そこから一気の払い腰!
剛太郎「うおおおおおおりゃあああああ。」
ドドドーーーーーン。
剛太郎の豪快な払い腰が決まる。
審判「勝者、日本柔道剛太郎。それまで。」
祥子「やったーー。」
クマリン「さっすが、我らがナイト。」
マモリン「柔よく剛を制す、やっぱり柔道強いな。いいぞ、剛太郎。」
プリンセスチョウ「よくやったよ、パクちゃん。」
剛太郎が、パク選手に手を伸ばし、握手しながら、引き起こす。
パク選手「ありがとう、強いな、剛太郎。頑張れよ。」
そう言い残すと、パク選手とプリンセスチョウは、テレポートしていった。
祥子が剛太郎に駆け寄ってくる。
祥子「剛太郎君、やっぱり、強い。クマエルも頑張ったね。」
クマエル「これで、今回のボクの仕事は終わり、あとはゆっくり観戦させてもらうよ。」
クマリン「あ、そうか。一回出たら終わりなんだ。初戦で終了なんて、僕が出ればよかった。」
マモリン「いやいや、昨日の作戦会議で決めたんだから。クマリンは最後がいいって言ったじゃない。」
クマリン「あ、そうだった。優勝は僕が決めたって言うんだった。」
クマエル「もう、仕方ないな、頑張れよ、クマリン。次、頼むぞ、マモリン。」
マモリン「任せといて。」
剛太郎「でも実際、戦うのは僕なんだけど・・・。」
クマリン・クマエル・マモリン「あ、忘れてた。」
祥子「ふふっ。じゃあ、お昼まで、休憩ね。あ、健太郎さんどうなったかな?」
健太郎「勝ったぞ。」
剛太郎「僕も勝ちました。」
健太郎「だろうな、テレポートしてないみたいだから。」
ユリ「うちも、安泰でした。」
健太郎「中国のシュワイジャオの選手だったけど、パンダパワー3だった。次の戦いのために、パワー4や5は温存したんじゃないかな。組み手はやりにくかったけど、強引引きつけて、左からの上手投げでぶん投げた。」
ユリ「圧巻だったわね。」
健太郎「次、だな。問題は。」
ユリ「そうね。」
剛太郎「健太郎さん、次は、あ、ウズベキスタンクラッシュの選手だ。」
健太郎「そう、前回と一緒。でも今回は、千手観音と阿弥陀如来があるからな。属性もあるが、あとは自力の勝負だ。」
剛太郎「お互い頑張りましょう。」
ユリ「でも、ベスト4まできたから、もういきなりテレポートは無いよ。三位決定戦あるから。」
祥子「そうですね。でも、いきなりテレポートされたら、着替えや荷物はどうなるんですか?」
ユリ「ナイトは着替えた状態にされて、テレポート。荷物も一緒にテレポートになるみたいよ。」
剛太郎「なるほど、じゃ、僕の相手は?」
健太郎「ロシアのサンボ選手、キャパ9の選手だ。」
剛太郎「サンボか、強敵だな。」
健太郎「決勝で待ってるぞ、剛太郎君。この間の相撲大会の借は返させてもらうぞ。」
剛太郎「夏目さん、行こう。」
祥子「うん。決勝で日本対決。」
ユリ「負けないわよ。」
両チーム試合場へ向かう。
大会本部、クマーゾフチェアマンが、ベスト4の選手に声を掛ける。
クマーゾフチェアマン「いよいよ、準決勝です。正々堂々戦いましょう。では、準備に取りかかってください。」
第一試合場に、剛太郎と祥子、ロシアサンボのイゴーリ選手とプリンセスソフィアが入場する。両者、体格は互角である。
審判「両プリンセス、クマちゃんを前へ。」
祥子がマモリンを前に置く。
それを見てソフィアはペンダントを置く。
審判「では、両プリンセス、祈りを。」
プリンセスソフィア「ボロス、お願い。」
ボロス「家畜の神降臨、カムチャッカヒグマパワー5。」
マモリンを手に取り、祈る祥子。
祥子「マモリン頼むわね。」
マモリン「建御雷神、相撲の神降臨、エゾヒグマパワー5。」
プリンセスソフィア「雷神、しまった。」
祥子「作戦成功、いけーマモリン、剛太郎。」
剛太郎、雷の衣を身にまとう。イゴーリ、水の衣を身にまとう。
クマリン「水に雷、剛太郎が有利だ。」
クマエル「カムチャッカヒグマか、でもマモリンもエゾヒグマだ。」
審判「はじめ!」
剛太郎「エゾヒグマパワー5だ。」
パク選手「カムチャッカヒグマパワー5だ。水に雷か、いいハンデだ。」
両者、組み合う。
変則的だが、イゴーリ右組み手、剛太郎左組み手、ケンカ四つである。
イゴーリ選手がいきなり、膝刈り(柔道の大外刈り)をみまう。イゴーリ「タリャア」
剛太郎「くうっ。」
耐える剛太郎、裏投げで対応しようとするが、イゴーリ選手が左足を引き、これに耐える。
イゴーリ「ハ、ハハッ。」
今度は、イゴーリ選手が腰投げ(柔道の大腰)を打つ。
イゴーリ「クウウッ。」
お腹を出し、耐える剛太郎。
イゴーリ選手がバドノシュカ(柔道の体落とし)に切り替える。
剛太郎「ん、んんっ。」
右からの大外刈りみまおうとする。
左足を後ろに引き、耐えるイゴーリ選手。
元の形に戻る。両者一歩も引かない。
祥子「行けー、剛太郎。」
剛太郎が、左釣り手を小刻みに動かしイゴーリ選手を崩す。大内刈りで、後ろに崩す。
体重が前に戻ってきたところに、右足を一歩踏み出し、引きつけて大外刈り。耐えるイゴーリ選手。
イゴーリ「クウウウッ。」
剛太郎がそこから、刈った左足をマットにつき、体を右にひねり体落としにつなげる。
剛太郎「おるあああああーー。」
イゴーリ選手が宙を舞う。
ドドドーーーーーン。
剛太郎の体落としが、鮮やかに決まる。
審判「勝者、日本柔道剛太郎、決勝進出。」
祥子「やった、やった、やったー。剛太郎君、決勝だよー。」
クマリン「い・い・ぞ・い・い・ぞ、ご・う・た・ろ・う。」
クマエル「さすが、相撲の神、マモリンパワー。」
次は、決勝である。
第十七話に続く。
第17話に続く。第17話も書きます。