第十五話 免税店でショッピング
免税店でショッピング、ホテルの宿泊で手違い?
第十五話 免税店でショッピング
その男の名は、岩田剛太郎。
高校3年生18歳、ゴツいのは名前だけではなく、見た目もゴツい。身長185cm体重135kg、柔道部主将、屈強な体。目つきも鋭く、強面、かなりゴツい男。
見た目に反して、この男、気は優しく、あまり怒らない。
頭も良く、県下でトップクラスの進学校(一高)に通う。文武両道の男。
ただ、彼には、人に言えない秘密があったのです。
Bブロックのバトルロイヤルを制した剛太郎、応援席にいる祥子達の元へ行く。
剛太郎「何とか勝てたよ。」
祥子「お疲れ様。」
クマリン「余裕のヨッちゃんだったじゃない。」
クマエル「柔道は強いな、技が理にかなってるもんな、力ずくで投げるんじゃなくて、相手を崩してから投げるから、相手が大きくて力が強くても、関係ないね。一動作の技より、二動作の技の方が投げやすくなるんだね。」
マモリン「柔よく剛を制する。だね。まさに、柔道の神髄、真骨頂。でも剛太郎、内股より払い腰の方がいいよ、内股すかしくらうリスクがある。相撲では内股は掛け投げ、払い腰は二丁投げっていうんだけどね。」
クマエル「さすが、相撲の神、ナイスアドバイス。」
剛太郎「いや、セネガルの選手は、力が半端なかった。道着のお陰で助かった、左の釣り手で防御出来たから。道着がなくて、マワシだったら、危なかったな。」
祥子「じゃ、今日は、免税店行けるね。あ、健太郎さんは、どうなったのかな?」
健太郎「お疲れさん。」
ユリ「お疲れ様。」
剛太郎「健太郎さん、ユリさん、お疲れ様です。ここにいるって事は・・・。」
健太郎「予選じゃ負けないよ。まあ、組割り表見ても、ナイトキャパの上位が残るから。」
剛太郎「ナイトキャパ?書いてあったの?」
ユリ「剛太郎君見てなかったの?対戦表に目安として、横に書いてあるよ。」
剛太郎「ちょっと、見に行っていい?」
健太郎「そうだな、確認のためもう一回見とこう。まあ、トーナメント出場者は本部前に集められるから。」
本部前に移動する、剛太郎、祥子、健太郎、ユリ。
剛太郎「えっと、Bチームは、ボクが10でトップ。あとは、6・5・5・7・7・8・6って、10は僕だけ?」
健太郎「自分の強さに気づいていない。恐ろしい男、剛太郎・・・。」
祥子「いつも、こうなんです。」
剛太郎「健太郎さんの組は?」
健太郎「うむ。Gブロックは、俺が9で、他は7と6と5だった。」
ユリ「そうね。キャパでいえば、今回は10が2人、9が2人、8が5人ってとこね。」
健太郎「キャパの大きい順に振り分けられるから、順当に行けば、8が1人落ちるだけだったな。」
剛太郎「あ、8の人セネガル相撲のあの人だ、力強かったもんな。道着じゃなくてマワシだったら、危なかったかもって思ったもん。」
健太郎「まあ、マワシでも、剛太郎君なら勝てただろう。セネガル相撲は、打撃もあるし、投げだけの競技じゃないからな。」
剛太郎「どうりで、腕太かったし、組み手争いの時、受けが強かった。」
健太郎「まあ、相撲出身の俺を相撲で投げ飛ばすんだ。マワシでも必殺のうっちゃりが炸裂しただろうよ。」
剛太郎「健太郎さんは、相撲出身なんですか。」
ユリ「健太郎は、柔道、相撲、合気道をやってたの。」
健太郎「柔道と合気道は中学でかじった程度。高校、大学は相撲部だったよ。」
剛太郎「だったってことは、今は?」
健太郎「今は、高校教師、相撲部顧問。学生が練習相手。」
剛太郎「えっ、先生だったんですか。」
健太郎「体育教師、生活指導担当。」
祥子「健太郎さん、先生なんですね。あ、名字はまだ、聞いてなかったですね。」
健太郎「いってなかったっけ?中村、中村健太郎。」
ユリ「わたしは婚約者の、西村ユリ。」
健太郎「ユリも先生、小学校だけどね。」
剛太郎「そうなんですね。」
係員「剛太郎選手、登録があるので、本部席まで来てください。」
剛太郎が呼ばれる。
剛太郎「ちょっと、行ってきます。」
剛太郎が大会本部へ向かう。
話を続ける祥子。
祥子「お二人とも先生なんですね。出会いは・・・。」
ユリ「そこ、聞くの?恥ずかしいなあ。」
キューピット「そこは僕が、説明しようか?」
健太郎「キューピットちゃん。」
ユリ「お願いね。」
キューピット「うん。健太郎もクマちゃん集めしてたんだけど、同じ大学のコンパでユリちゃんと出会って、ユリちゃんに僕をプレゼントしたの。その時に、僕がユリちゃんに健太郎の代わりに、健太郎の代わりに、健太郎の代わりに、好き好きビーム送ってた。」
健太郎「三回もいわんでいい。」
キューピット「健太郎は、どうだった?どう?どんな感じ?ってしつこかったんだもん。」
赤くなる健太郎。笑っているユリ。
祥子「好き好きビーム・・・、効くの?」
キューピット「効くって言うか、おまじないみたいなもんだよ。で、健太郎に、そろそろ大丈夫だから告白しなさいって言った。」
ユリ「で、告られて、今に至る。」
もっと、顔が赤くなる健太郎。
キューピット「元々、ユリのパパがキングだったから、既に運命だったの。あとは、勇気だけでよかったの。」
健太郎「そうだったのか?」
キューピット「でも、ユリが気に入らなければ、OKしてないと思う。そこは、健太郎の努力の賜物だね。あと、僕の好き好きビームのお陰かな。」
ユリ「好き好きビームのお陰だね。」
健太郎「ユリ、そりゃないよ。」
ユリ「はははっ。」
キューピット「まあ、運命の人だね。」
ユリ「祥子ちゃんと健太郎君も、運命の人じゃないの?」
祥子「えっ。まだ、分からないです。友達ですよ、友達。」
クマリン「僕がどんだけ苦労しているか・・・。」
クマエル「わかる。わかるぞ、クマリン。」
マモリン「ぼくも好き好きビーム出せたらいいのにな。」
キューピット「大天使ガブリエル殿なら、簡単なのでは?」
クマリン「それが、僕でもきっついの。」
祥子「きっついって・・・。」
キューピット「僕ならあきらめモードかも。」
クマリン「それが、僕の性格上、困難な恋ほど燃えちゃうの!」
祥子「ありがとう、クマリン。」
クマエル「よっ、愛の伝道師。」
キューピット「ご苦労、お察しします。」
剛太郎が帰ってくる。
剛太郎「登録終わったよ。健太郎さん、次来てくださいって、呼ばれてましたよ。」
健太郎「おし、行ってくるか。ユリ、ちょっと待っててくれ。登録終われば、免税店行けるからな。」
健太郎「分かった、剛太郎君は、先に着替えててくれ。」
剛太郎「分かりました。夏目さん、着替えてくるから、待っててね。」
健太郎「明日は、クマパワー使うトーナメントだから、道着ももっと厚手になる。今日のは返却すれば大丈夫だよ。俺も後から行くから、先にシャワー浴びててくれ。ユリ達は、競技場前でパスポート受け取って、待っててくれ。」
剛太郎「分かりました、行ってきます。」
健太郎と剛太郎が、免税店に行く準備のため、それぞれ走り出す。
ユリ「パスポート準備して、待ってるからね。」
祥子「あ、パスポートもらえるんでしたね。」
ユリ「そう、じゃ行きましょうか。」
競技場前に移動する、ユリと祥子。
競技場前のパスポート受付に到着した、ユリと祥子。
ユリ「自分とナイトの名前を言えばいいからね。免税店、ホテルでも使うから、なくさないようにね。」
祥子とユリ、写真確認し、係員から自分のパスポートと、ナイトのパスポートを受け取る。
祥子がユリに話しかける。
祥子「ホテル?泊まりはホテルなんですか?」
ユリ「そうだよ。あ、大丈夫よ、あなたたちは未成年だし、別部屋だよ。結婚者は同室かな。結婚していなければ別室。でも、私たちは婚約者だから、同室と思う。」
クマリン「ちょっと、期待したのに・・・。」
クマエル「お風呂も一緒・・・。」
マモリン「寝るのも一緒・・・。」
祥子「ちょっと、ちょっと、まだ、手も繋いだことないのに・・・。」
クマリン「チューは、したでしょ?あとだっこもされた。」
クマエル「なんだ、してるじゃないか。」
マモリン「思ったより、進行してるね。」
顔が真っ赤の祥子
祥子「ちょっと、ちょっと、それは、ぜーーーーんぶ、事故だから。」
クマリン「でも、嬉しかった。」
クマエル「はず。」
マモリン「出せないけど、好き好きビーム。」
照れまくっている祥子。笑っているユリ。
ユリ「あ、健太郎達、来たよ。健太郎、剛太郎君、こっち、こっち。」
健太郎「待ったか?」
ユリ「ううん。今、パスポートもらったところ。」
剛太郎「じゃ、行きましょう。ところで、この自動翻訳は、いつまで続くんですか?」
祥子「このまま続いてくれれば、英語のテスト100点だよね。」
健太郎「ははっ、そう上手くはいかない。自動翻訳は明日まで。テレポートがかかって日本に帰るときになくなってしまう。」
ユリ「まあ、二人とも一高でしょ。英語なら、自動翻訳無しでも大丈夫なんじゃない。」
剛太郎「読む方はなんとか、でも、しゃべるのは難しいですね。」
健太郎「さあ、ユリと祥子ちゃんの目的の免税店に出発だ。」
祥子「ユリさんも?」
ユリ「そりゃそうよ。だって、ブランド品、メッチャ安いんだもん。楽しみね。」
剛太郎「僕らは、荷物持ちですね。」
健太郎「あ、剛太郎君、言ってなかったね、免税店には、世界のクマちゃんアイテムコーナーもあるんだぞ。なんせ、クマちゃんナイトも集まるから。」
剛太郎「世界のクマちゃん・・・、健太郎さん、ユリさん、夏目さん、走りましょう。」
健太郎「お金は、そのまま円が使える。おつりは、USドルか、ユーロだけどね。じゃ、走るか、トレーニングの為にも。ユリ、祥子ちゃん、先に行ってるからな。あ、昼ご飯は、このハンバーガーさっき買ってきた。免税店の滞在時間が減るともったいないからね。」
ハンバーガーをユリに渡し、ダッシュ、ダッシュ、ダッシュの健太郎と剛太郎。
祥子「やっぱり、剛太郎君、目の色変わった。」
ユリ「クマちゃんナイトだもん、仕方ないよ。さ、私たちも急ぎましょ。あのホテルよ。ホテルの中に免税店があるの、宿泊もあそこよ。」
祥子「あんな立派なホテルなんだ。楽しみ。」
免税店を急ぎ目指す、4人であった。
免税店前、はっきりとその趣味が分かれる。入って左側には、ブランド店が10店ほど。右側には、クマちゃんアイテムショップ。女性は全て左、ゴツい重戦車は右に、それぞれショッピングを楽しんでいた。
ユリ「祥子ちゃん、このバックどうかな?」
祥子「あ、いいですね。わたし、このお財布にしようかな。」
ユリ「やっぱり、日本で買う値段の半分だもんね。買いすぎないように気をつけよう。」
祥子「あっちは、異様な風景ですね・・・、ガールズハウスの剛太郎君がたくさん・・・。」
ローラ「はい、ユリ。」
ユリ「ローラ、来てたんだ。」
ローラ「準決勝で、あたるわね。お手柔らかに。」
ユリ「初戦で負けないでよ、うちも勝ってくるから。ザファルは?」
ローラ「あそこで、座り込んで物色中、何時間かかるかな?」
ユリ「健太郎も物色中ね。」
祥子「剛太郎君、目が輝いてる。」
ローラ「チーム剛太郎ね、開会式前にすごいパワーを感じたから、声かけたんだけど、やっぱり、あなたたちだったのね。明日、また、会いましょう。ザファルもキャパ10だから強いわよ。」
ユリ「残念でした、決勝は健太郎が行くの、日本人対決よ。」
ローラ「お互い、頑張りましょう。じゃ。」
ザファルに声を掛けるローラ「ザファル、行くわよ。早くしないと、買ってあげないから。」
ザファル「待ってよ、ローラ。今行くから。」
ザファルの手にたくさんのクマちゃんアイテム。去って行く二人。
ユリ「そろそろ、チェックイン行こうか。」
祥子「そうですね。」
ユリ「健太郎、剛太郎君、チェックインいくよ。」
健太郎「もう?分かった。」
剛太郎「・・・。・・・。」
返事がない剛太郎。祥子が剛太郎の元に駆け寄る。
祥子「剛太郎君、チェックインするって・・・剛太郎君?」
涙目の剛太郎。
剛太郎「ここ・・・パラダイスですね・・・。」
クマリン「いかん、現実逃避しとる。」
クマエル「剛太郎には、刺激が強すぎるかな。」
マモリン「お店全部買いそう。」
祥子「剛太郎君、行くよ、ほら。」
剛太郎の手を握る。
剛太郎「あ、夏目さん、もう行くの?」
健太郎「剛太郎君、名残惜しいのは分かるが、明日もある、そろそろ行こう。」
ユリ「剛太郎君が、免税店に一番ハマってるね。」
祥子「行こう、剛太郎君。」
祥子が健太郎達のところまで、剛太郎を引っ張ってくる。
ユリ「祥子ちゃん、剛太郎君、手繋いでるじゃない。」
はっとする、剛太郎と祥子。
剛太郎「ご、ごめん、夏目さん。」
祥子「剛太郎君が遅いから・・・。」
クマリン「よ、ご両人。」
クマエル「祥子、確信犯だな。」
マモリン「早く行こー。」
健太郎「さあ、チェックイン行くか。」
全員がホテルのフロントへ向かう
ホテルのフロントでのチェックインの際、ちょっとした問題が発生する。剛太郎と祥子の部屋が一緒だったのである。
フロント「すみません。お二人は、一部屋となっております。」
祥子「えーーー。でも、私たち、未成年ですし、結婚もしてないんですけど・・・。」
既に、顔が真っ赤っかの剛太郎、何も喋れない。
フロント「婚約者とお聞きしてましたので、同室にさせて頂いております。」
健太郎「婚約者?ちょっと待って、じゃ俺たちの部屋はどうなってます?中村健太郎です。」
フロント「中村様、中村様、あ、こちらが別々の部屋になっておりますね。」
ユリ「やっぱり。」
健太郎「おそらく、健太郎と剛太郎を間違ったじゃないか?僕たちが同室です。」
フロント「そうでしたか、では、そのようにしてもよろしいですか。申し訳ございません。」
ユリ「祥子ちゃん、代わらない方がいい?」
祥子「えっ、それは、代わりましょう。」
健太郎「はっはっは、高校生2人を、同室には出来んよ、生活指導担当としてね。」
クマリン「惜しかったね。」
クマエル「いきなり、ホテルは・・・。」
マモリン「好き好きビームの効果かな?出せてないけど。」
ユリ「さあ、部屋に行きましょう。」
エレベーターで上がる4人。部屋は隣どうしだった。
健太郎「じゃあ、レストランで食事するか。夕食は付いてるから。」
ユリ「祥子ちゃん、剛太郎君、行きましょ。」
4人でレストランに行く。食事を終えて、部屋に戻ってくる4人。
ユリ「じゃあ、また明日ね。お互い頑張りましょ。」
健太郎「明日も9時に集合、9時半から試合だ。8時にフロントに集合でいいかな。」
剛太郎「ええ、お願いします。
祥子「8時ですね、分かりました。」
剛太郎「じゃ、部屋に行こう。」
祥子「1時間くらい、作戦会議しない?」
剛太郎「そうだね。それくらいは大丈夫だね。」
クマリン「お邪魔虫は、となりにいましょうか?」
クマエル「ボクも、お邪魔虫?」
マモリン「ぼくも・・・かな?」
祥子「さ・く・せ・ん・か・い・ぎ。」
剛太郎「そうだね、クマリン達の出る順番決めとかないと。」
クマエル「まあ、明日の対戦相手のクマちゃんみて、イレギュラーはあるかもだけどね。」
祥子「じゃ、会議開始。」
会議のあと、思い思いで、ベッドに入る剛太郎チームであった。
第十六話に続く。
第十六話に続く。第十六話も書きます。