第十二話 クマリンの正体
世界のクマ12種類が分かります。クマリンの正体も分かります。
第十二話 クマリンの正体
その男の名は、岩田剛太郎。
高校3年生18歳、ゴツいのは名前だけではなく、見た目もゴツい。身長185cm体重135kg、柔道部主将、屈強な体。目つきも鋭く、強面、かなりゴツい男。
見た目に反して、この男、気は優しく、あまり怒らない。
頭も良く、県下でトップクラスの進学校(一高)に通う。文武両道の男。
ただ、彼には、人に言えない秘密があったのです。
いつもの下校。剛太郎家への帰路で、クマちゃんナイトカーニバルについて話す、剛太郎と祥子とクマリン。
祥子「カーニバルは、作戦が必要ね。」
剛太郎「うん。同じクマパワー5でも、微妙に違うみたいだしね。」
クマリン「あ、パワーについては、僕が教えてあげるね。今、一番強いのは、ネックレスの大天使クマエルちゃんでクマパワー5、次に僕のクマパワー5、三番目は、クマ大明神ちゃんでクマパワー5だよ。若干しか変わらないので、3匹とも一緒って考えていいよ。」
祥子「クマちゃんの色って、関係あるの?。」
剛太郎「それ、僕も知りたい。気になっていたんだ。」
クマリン「うん。クマには、僕が知ってるだけで、12種類あるんだ。それをモデルに作られてるからね。」
祥子「12種類もあるの。」
剛太郎「世界のクマか。」
クマリン「じゃ、説明するね。多分モチーフになっているクマで、僕らの力が若干変わっていると思う。小さい方からいくよ。実物の大きさで説明するね。まず、マレー熊。」
祥子「小さいの?」
剛太郎「犬熊だね。東南アジアにいるクマ。」
クマリン「そう、体長1.5mで体重65kgくらいのクマ。じゃ、2番目、パンダ。」
祥子「パンダもクマね。」
剛太郎「中国だね。」
クマリン「体長1.5m、体重150kgくらいのクマ。じゃ、3番目、ツキノワグマ。」
祥子「木彫りといったら、このクマね。」
剛太郎「アジアのクマ。インドやロシアにもいる。」
クマリン「体長1.8m、体重120kgくらいのクマ。じゃ、4番目、ナマケグマ。」
祥子「弱そう。」
剛太郎「いや、以外と強いクマだよ。インドにいる。」
クマリン「体長1.9m体重145kgくらいのクマ。じゃ、5番目、メガネグマ。」
祥子「眼鏡かけてるの?」
剛太郎「目の周りに白い模様のクマ。南米アンデス山脈にいる。」
クマリン「体長2m体重200kgくらいのクマ。じゃ、6番目、アメリカグマ。」
祥子「5番まで200kg、1位は何キロあるんだろ。」
剛太郎「北米、カナダ、メキシコにいるクマ。真っ黒いクマだよ。」
クマリン「体長1.8m体重400kgくらいのクマ。じゃ、7番目、ユーラシアヒグマ。」
祥子「日本のヒグマと違うの?」
剛太郎「北欧、ロシアにいるクマだね。」
クマリン「体長2m体重400kgくらいのクマ。じゃ、8番目、グリズリーベア。」
祥子「グリズリーって、怖いイメージよね。」
剛太郎「北米にいるクマ。グリズリーは、ラテン語で恐ろしいクマという意味だよ。」
クマリン「体長2.2m体重250kgくらいのクマ。じゃ、9番目、エゾヒグマ。クマ大明神ちゃんが、このクマだよ。」
祥子「日本で大きな動物っていったら、このクマ想像するもんね。」
剛太郎「北海道のクマ。日本最大の陸上動物だよ。」
クマリン「体長2.3m体重250kgくらいのクマ。じゃ、10番目、カムチャッカヒグマ。」
祥子「いよいよ、ベスト3ね。」
剛太郎「ロシアのクマ。かなり巨大なクマだよ。」
クマリン「体長2.7m体重680kgくらいのクマ、じゃ、11番目、ゴディアックヒグマ、僕、これね。」
祥子「クマリン、ベスト2なの?強いんだ。日本のヒグマかと思ってた。」
剛太郎「アラスカのクマ、シャケいっぱい食べてるクマ。クマリンの鈴にシャケの絵あるもんね。」
クマリン「体長3m体重390kgくらい、僕はちっちゃいけどね。じゃ、ラスト。」
祥子「他にクマって・・・、あ、シロクマさんね。」
剛太郎「北極圏、北アメリカ北部、ユーラシア大陸北部にいる、世界最大のクマ。」
クマリン「体長3m体重800kgくらいのクマ。反則くらいデカいクマ。大天使クマエルちゃんは、シロクマさんなの。」
祥子「ふーん。じゃ、シロクマさんで集めれば、強いんじゃない?」
クマリン「そうとも限らない、出来るだけ、クマちゃんナイトの地元のクマちゃんがいいって、噂もある。でも、最後は相性らしいよ。」
祥子「大天使ちゃんと大明神ちゃんにも、聞きたいな。」
剛太郎「大明神は、僕の机の上にある。大天使は、夏目さんの家だよね。」
祥子「学校にアクセサリーは、持って行けないから。引き出しにしまってあるよ。」
クマリン「みんなで、作戦会議だ。」
そうこうしているうちに、剛太郎家に到着。
剛太郎「ただいま、母さん、夏目さんの家に行ってくるね。」
剛太郎母幸子「お帰りなさい、すぐに行くの?ご飯は?」
剛太郎「ご飯までには、帰ってくるよ。向こうでお世話になるのは忍びない。」
剛太郎妹今日子「お兄ちゃん、もしかして、夏目さん家?」
剛太郎「そうだよ。今日子も行くか?」
剛太郎妹今日子「もち、行くわよ。お母さんいいでしょ。」
剛太郎母幸子「ええ、いいわよ。夕飯までには帰ってらっしゃいね。」
剛太郎妹今日子「分かった。行ってきまーす。お兄ちゃん、は、や、く。」
剛太郎「じゃ、行ってきます。」
剛太郎母幸子「行ってらっしゃい。」
外で祥子と合流する、剛太郎と剛太郎妹今日子。
剛太郎妹今日子「祥子さん、今日、蒼太君いる?」
祥子「ええ。いるはずよ。蒼太この頃、お母さんとお菓子作ってるみたいだから。」
剛太郎妹今日子「蒼太君とお菓子作り・・・ムフフ。でも、お菓子って誰に?気になる。みんな、ダッシュですよ。」
剛太郎「今日子、危ないぞ。」
祥子「追いかけましょ。」
クマリン「ゴーゴー。」
みんなで、夏目宅へダッシュ。
夏目家に到着。
祥子「ただいま。」
祥子母律子「お帰りなさい。」
祥子弟蒼太「おかえり。」
祥子「剛太郎君と今日子ちゃんも一緒よ。」
剛太郎「お邪魔します。」
剛太郎弟今日子「お邪魔しまーす。蒼太君、お菓子作り?わたしも手伝うね。」
祥子弟蒼太「あ、今日子ちゃん、来ちゃったの・・・。まあ、いいか。一緒に作ろ。」
剛太郎妹今日子「うん。おかあさん。一緒に作らせてください。」
祥子母律子「あらあら、いいわよ。さ、作りましょ。今日子ちゃん、こっちにいらっしゃい。蒼太良かったじゃない、手間が省けて。」
祥子母律子「お母さん、シーーーー。」
祥子「剛太郎君と2階にいるね。」
剛太郎「2階にお邪魔します。」
祥子母律子「わたしは、お邪魔しませんから、ごゆっくり。」
祥子「もう、お母さん。剛太郎君、先に上がってて。ジュースとお菓子持ってくるから。」
剛太郎「うん。じゃ、上げって待ってるね。」
2階に上がり、祥子の部屋に一人の剛太郎。初めての女の子の部屋に緊張している。
祥子「剛太郎君、ドア開けてくれるかな。両手ふさがっちゃってて。」
剛太郎「はい。ただ今。」
カチコチの剛太郎。祥子が入ってくる。
祥子「剛太郎君、楽にしてていいのよ。そんなに緊張しないの。」
クマリン「祥子、この緊張しーには、無理だよ。まあ、これでもましになった方かな。前なら、ドアで頭ぶつけてるかな?」
剛太郎「クマリン、しょうがないじゃないか、女子の部屋だぞ。初めてなんだぞ。」
笑い出す祥子。
祥子「今日子ちゃんの部屋入ったことあるでしょ。それと同じよ。」
剛太郎「やっぱり、妹の部屋とは、ちょっと違うよ。こんないい香りしないし。」
クマリン「剛太郎の部屋は、ちょっと汗臭いかもね、クマちゃんワールドがもったいない。」
剛太郎「仕方ないじゃないか、腕立て300回、腹筋300回は日課なんだから。」
祥子「今度、クマちゃんの芳香剤、買ってあげる。」
剛太郎「クマちゃんの芳香剤?見つけたの?どこ?どこ?」
祥子「ほんと、クマちゃんマニアなんだから。今度一緒に買いに行きましょう。駅前のショップで、この間見かけたから。」
剛太郎「明日、明日行こうね。夏目さん。」
クマリン「まあクマちゃんマニアじゃないと、クマちゃんナイトには慣れないからな。」
祥子「それより、大明神ちゃんと大天使ちゃんに、カーニバルのこと聞いてみよ。」
祥子は、立ち上がり、引き出しからネックレスを取り出し、首に付ける。
剛太郎も、お守りを手のひらに置く。テーブルの上にはクマリン。
剛太郎「クマ大明神、クマ大天使クマエル、カーニバルについて教えて欲しいのだが、話せるか?」
クマ大明神「いいよ、それから、クマ大明神は堅苦しいから、ぼくの事、マモリンって呼んでね。お守りだから。」
クマ大天使クマエル「作戦会議?分かった。僕のことは、クマエルってそのまま呼んで。二人のパーティになれて、ボクも嬉しい。天界でクマリンが羨ましいなって思ってたところだったんだ。そしたら、呼ばれたんで、ラッキーって感じだった。」
祥子「じゃ、聞くわね。カーニバルってっどんな感じなの?全く分からないから。」
マモリン「カーニバルは、ぼくは出たことないから分からない。クマリンと一緒で、噂でしか聞いたことない。」
祥子「そう。クマエルは?」
クマエル「ボクは、前一回出たことあるよ。前のナイトの時に。トーナメントまで行って、準々決勝は、ボクで勝ったんだけど、準決勝で負けちゃったから。」
クマリン「クマエルなら、負けないだろう、だって、最高クラスだから。ナイトの自力が少し弱くても、大天使パワーがカバーするもん。」
剛太郎「確かにな。」
祥子「ゴメン。話変わるけど、クマエルの元のナイトはどうしたの?クマエルから離れたの?前のナイトから離れていったの?」
クマエル「じゃ、クマちゃん契約の話からしようか。クマちゃんアイテムは、ナイトからパワーをもらうこと、これを契約と呼んでいるんだ。クマちゃんには、パワー注入でいろんな意識が入る。そこには入りたいと思う意識があれば、即、入ることが出来る。神、神の使い、親友、友達、物の意識が入る。それぞれパワー5、4、3、2、1となる。」
祥子「ふむふむ。」
クマエル「クマは意識体なんだ。天界、天国にたくさんいる。天界にいるのは神と神の使い、天国にいるのは親友と友達。ナイトのパワー注入の際、ナイトやプリンセスから相性の良いクマにテレパスが送られる。それに答えるかどうかなんだ。答えられない場合は、よりパワーの低いものに繰り越される。行きたいとなれば、そこで契約成立。誰も行きたくなければ、ただの物となり、パワー1の物となる。1のクマは話せない、2から5のクマは話せる。ナイトの欲しいというの望みと、意識体の行きたという望みが合致しなければ、契約に至らないって事だよ。」
クマリン「うーーーん。難しい。ようは、お互いが好きかって事?」
マモリン「そうだね。剛太郎に呼ばれたとき、祥子の気持ちに賛同してきたもん。」
クマエル「ボクは、さっき言った通り、クマリンいいなーって思ってたら、剛太郎からお願いしますって来たから、ちょっとびっくりだったけどね。片思いから両思いって感じ。」
クマリン「僕も、剛太郎から呼ばれて、祥子と剛太郎と一緒にいたら楽しいだろうなって思って、来ちゃったもん。」
祥子「みんな、ありがとうね。」
剛太郎「みんな、大事にするからな。」
クマエル「そういえば、クマリンも大天使だよ。」
クマリン「はいーーーーー?」
クマエル「忘れちゃったの?そうか。クマはナイトに呼ばれるとき、前の記憶を忘れちゃうこと、忘れさせられることがあるんだ。多分、クマリンもそうじゃないかな。」
クマリン「覚えとらん。」
クマエル「多分、自分が記憶をなくしたいと願ったか、ナイトの剛太郎が前の記憶をなくしてきてって願ったか、どっちかだね。でも、思い出すこともあるよ。そのまま、思い出さないかもしれないけど。必要になったとき、記憶は蘇るんだ。」
クマリン「で、僕、なんて大天使なの?」
クマエル「クマリン、ほんとに知らないみたいだね。知りたい?剛太郎、教えたくないって気持ちない?」
剛太郎「いや、そんな気持ちはない。」
クマリン「知りたい、知りたいーーーー。」
クマエル「分かった。僕が呼ばれたのも、クマリンに本当の名を伝えるためだったのかもしれない。分かった。言うね。君の本当の名は・・・ガブリエル。愛の大天使ガブリエル!」
クマリン「ええええええ。ガブリエルって、えええええ。」
クマエル「僕の本当の名は、ミカエル、戦いの神。ガブリエル、いや、クマリン、天界でとなりにいたじゃーん。ずっと、一緒だったじゃーん。きみがいなくなってさ、寂しくってさ、いつか呼ばれないかなーって思ってた。早速、呼ばれて、ヨッシャーみたいな。」
固まるクマリン。
マモリン「二人とも、すごいんだね。」
クマエル「いや、君も神道では、神だから。最高位じゃないのか。他宗教は、良く知らなくてゴメンね。」
マモリン「ううん。大丈夫。僕も、天使のことよく分からないから。」
剛太郎「これが、ユリさんが、同じ宗教だと神様がケンカするって言ってたあれか。」
祥子「とりあえず、みんなすごいんだね。」
まだ、固まってるクマリン。
祥子「クマリン固まってるから、ジュースお代わり持ってくるね。」
一階に降りる祥子。
クマエル「剛太郎、ちょっと。剛太郎、クマリン呼ぶとき、祥子のこと考えた?好きって気持ちを知られないように、でも好きだ、みたいな。そして、自分じゃ伝えられないから、なんとかしてって願わなかった?」
剛太郎「な、なんでそこまで知ってるんだ。クマエル。」
クマエル「なるほど。ガブリエルが呼ばれるわけだ。ガブリエルは愛の大天使、どんな困難にも立ち向かい、愛を叶えようとする。しかも、ガブリエルは、自分がガブリエルだと知られたくない、剛太郎も祥子に知られたくないという気持ちが働き、記憶をなくしてきたんだと思う。」
剛太郎「なるほど。」
クマエル「僕が、剛太郎に呼ばれたときは、祥子を守りたいという気持ちが強かったから、戦いの神を呼べたんだと思う。ボクも来たかったしね。」
ドアが開く。
祥子「おまちどおさま。クマリン、まだ、固まってるの?」
やっと固まりが直るクマリン。
クマリン「僕、ガブリエルだったんだ、どうりで。この奥手の剛太郎のところに。」
祥子「それはそうと、クマエル、前のナイトとの関係は?」
クマエル「あ、話がそれちゃったね。前のナイトは、プリンセスを思う気持ちがとっても強かったんだ。それで、ボクも契約したんだけど、自力がないって、ナイトが気がついて、自分にはもったいないから、他のところに行ってくれって言われた。相手を思う気持ちで契約は成り立ってるから、ボクは、それに応じて天界へ戻ったんだ。」
祥子「そう、苦しい決断だったんだね。」
剛太郎「さあ、今日は、もう遅いから、また、明日、作戦会議だ。同じ時間に集まろう。カーニバル優勝目指して、頑張ろう。」
クマリン・クマエル・マモリン・祥子「おおーー!」
みんなの絆が、更に深まった一日だった。
第十三話に続く。
第十三話に続く。第十三話も書きます。