第十一話 クマちゃんナイトカーニバル
クマちゃんナイトカーニバルとは?最強のアクセサリー降臨。
第十一話 クマちゃんナイトカーニバル
その男の名は、岩田剛太郎。
高校3年生18歳、ゴツいのは名前だけではなく、見た目もゴツい。身長185cm体重135kg、柔道部主将、屈強な体。目つきも鋭く、強面、かなりゴツい男。
見た目に反して、この男、気は優しく、あまり怒らない。
頭も良く、県下でトップクラスの進学校(一高)に通う。文武両道の男。
ただ、彼には、人に言えない秘密があったのです。
剛太郎宅にて、勝利の宴が始まる。剛太郎の優勝を祝い、皆、歓談している。先ずは、優勝副賞の、限定クマちゃんテレビを皆に披露する剛太郎。
剛太郎「では、目的のクマチャンテレビを見よう。」
箱を開け、テレビを取り出す剛太郎。
剛太郎「はいっ、こんにちは、クマちゃん。」
健太郎「おおっ、眉毛だ。」
ユリ「眉毛ね。」
剛太郎「格好いい。」
健太郎「うむ。りりしい。」
ユリ「中々ね。」
祥子「・・・良さがいまいち・・・分からない。」
剛太郎父達夫「剛太郎、パワー注入してみては。」
剛太郎「うん、やってみる。」
テレビに手をかざし、パワーを送る剛太郎。
剛太郎「おおっ、やっぱり、パワー4だ。」
健太郎「4か、5欲しかったな。」
祥子「4とか5って、普通にあるんじゃないの?」
健太郎「いや、クマちゃんグッズは、量産品が多いから、ほとんど1か2だ。まれに3だな。4は限定品とか非売品がほとんどだ。」
祥子「でも、この間買ったクマちゃんお守りは、お店にいっぱいあったよ。」
ユリ「お守りは1個しか、5にならないの。後は全部1になっちゃうの。神様同士、ケンカしちゃうから。」
健太郎「そう、仏教、神道、キリスト教などの宗教のうち、1個に限定されてしまう。」
ユリ「その1個も、プリンセスに購入してもらい、気持ちのこもったものが、まれにパワー5になるんだ。」
祥子「剛太郎君にあげたお守りは、クマ大明神だったかな。」
健太郎「なんと、クマ大明神か、それはすごいな。」
ユリ「うちはクマ菩薩で、同じパワー5だけど、パワー5にも幅があるの。そっちの、クマ大明神は最強クラスよ。こっちは、菩薩の上に如来があるから。」
健太郎「菩薩と同じクラスでいうと、明王だな。」
剛太郎「でも、健太郎さん達は、天使のくまちゃんペンダントも持ってませんでしたっけ。」
健太郎「ああ、でもこれは、お守りじゃなくて、アクセサリーなんだ。カテゴリーが違うと、
ケンカしないんだ。天使は4だが、その上には、天使長、大天使とある。その2つがパワー5だね。」
健太郎「剛太郎君、アクセサリーは持ってないのか?」
剛太郎「クマちゃんロケットネックレスがあったような、でもそれは、量産品だよ。」
健太郎「それは、剛太郎君が買ったのか?」
剛太郎「そうです。」
ユリ「それは、化けるかもね。」
健太郎「あとで、実験してみよう。」
祥子「実験?パワーってそんなに変わるものなの?」
剛太郎母幸子が、ダイニングに入ってくる。
剛太郎母幸子「さあ、そろそろかたづけましょうか。」
祥子「あ、わたし手伝います。」
ユリ「わたしも、手伝います。」
剛太郎母幸子「悪いわね。気を遣わせちゃって、ごめんなさいね。」
リビングに移動する、剛太郎父達夫、健太郎、剛太郎の3人。
剛太郎父達夫「さて、健太郎君、クマちゃんナイトの話を、聞かせてもらえないですか?」
剛太郎「父さん、実はクマちゃんから、ちょっと教えてもらったんだ。キング、プリンセス、そして、クマちゃんナイトの4人がワンパーティーらしい。」
健太郎「そう。ナイトはキング、プリンセス、クマちゃんを守る。プリンセスは、クマちゃんに祈り、クマちゃんがナイトへパワーを送る。キングは、皆を統率するんです。」
剛太郎父「ふむ、わたしがキング、剛太郎がナイト、祥子さんがプリンセス、でクマちゃん達となるわけですね。」
健太郎「おとうさんは、相手の心を読む力とパワーを測る力をお持ちです。昔はキング同士の争いから、そう言った能力も必要でしたが、今は、あまり必要とされないのかもしれません。すみません。私もナイトなので、キングについては、それ程詳しくは、ありません。」
剛太郎父「キングの争いは、今もあるのですか?」
健太郎「今は、ありません。代わりに、クマちゃんナイトカーニバルというものが開催されています。」
剛太郎「クマちゃんナイトカーニバル?」
健太郎「そう、今回の相撲大会とよく似ている。優勝賞品は、超激レアクマちゃんグッズだ。」
剛太郎父達夫「どこで開催されているのですか?」
健太郎「それは、様々です。開催日も不定期です。ただ、クマちゃんナイトカーニバルの出場者には直接、開催場所と開催日がテレパスされます。ナイトとキングに来ます。あっ・・・今・・・。」
剛太郎父達夫「うん、来月、場所は・・・。」
剛太郎「韓国!」
健太郎「今、来ましたね!やはり、お父さんと剛太郎君にも来ましたか。クマちゃんカーニバルは、国を代表して2名までとなっています。前回は日本からの参加は、私一人でした。ナイトのキャパシティー順にテレパスが来ます。私のキャパは9です。それに勝利したキャパ10を持つ剛太郎君には、当然参加要請が来ると思っていました。」
剛太郎父達夫「しかし、来月、海外にと急に言われても、仕事や学校があっては無理なのでは。」
健太郎「そのためにキングには、皆共通の能力が一つ備わっています。クマちゃんとプリンセスとナイトをテレポートさせる能力です。キング自身はテレポート出来ません。カーニバルの参加・不参加は自由ですが,優勝賞品がものがものだけに、みな参加しますね。敗退もしくは、カーニバル終了時に、自動的に元の場所にテレポートされます。もちろん、キングの能力で連れ戻す事も出来ます。あと、キングが事故に遭った場合など危険な場合は、キングの元に強制テレポートになります。」
剛太郎父達夫「テレポート能力ですか、確かにそれがあれば、世界中どこへでも出場可能ですね。」
健太郎が、ダイニングのユリに声を掛ける。
健太郎「ユリ、来月、カーニバル開催、韓国だ。」
ユリと祥子がリビングに来る。
ユリ「剛太郎君達も?」
健太郎「代表は、健太郎君と私のようだ。」
祥子「何?カーニバルって。」
健太郎「クマちゃんナイトの世界大会だ。」
ユリ「じゃあ、そろそろ父さんからのテレポートくるわね。」
健太郎「僕らのキングは。ユリの父なのです。」
ユリのクマちゃんペンダント「ユリ、カーニバルは、来月、韓国だぞ。こちらで作戦会議だ。テレポートしたいときは、言ってくれ。呼び戻す。健太郎君にクマちゃんテレビ残念だったなと伝えてくれ、以上だ。」
ユリ「相変わらず、せっかちね。お父さん。」
剛太郎父達夫「テレポートの仕方は、どうやるんですか。」
健太郎「キングとプリンセスとナイトの3人が手をつなぐだけです。」
祥子「すごい。パスポート無しで、タダで世界旅行行けるじゃない。」
健太郎「いや、海外にテレポートで送れるのはのは、年に一度です。日本国内も月に1回です。あとは、出来なくなるようです。」
祥子「月に一回、国内旅行は出来るって事か。」
ユリ「そう考えれば、そうね。」
剛太郎父達夫「外国に行って、不法滞在になりませんか?」
健太郎「なりません。カーニバル会場は、能力者しか入れません。会場の外に行くときは、カーニバル主催国からの特別パスポートが支給されます。」
祥子「免税店、いけるね。」
ユリ「そんな、暇ないし、一回戦負けしたら、すぐ、戻されちゃうのよ。」
健太郎「祥子さんは、楽しい方ですね。」
剛太郎「ルールは、どんな感じなんですか?クマちゃんはいくつ持っていくんですか?」
健太郎「組み合ったままの相撲って感じかな。土俵というよりもコロシアムって感じだよ。最初、バトルロイヤルで戦い、8名に絞られる。翌日、朝順々決勝、昼準決勝、夕方決勝だ、かなりハードだよ。バトルロイヤルでは、同じ国の選手は戦えない。トーナメントも決勝でしかあたらない。あと、ルールだけど、単純明快、背中がついた方が負け。」
祥子「柔道と同じね。」
剛太郎「確かに、柔道に似ているね。」
健太郎「あ、服装は、半袖の柔道着って感じ。細かく言うと、足取りは反則、持っていいのは上半身、必ず片手は相手を掴んでおく事、両方放したら、イエローカード。イエローカード2回で反則負け、相手の掴んでいる手を体じゃなく、手で外したてもイエローカードになるよ。ちょっと、剛太郎君、やってみるか。」
剛太郎と健太郎、二人楽しそうに、組み合って話している。
剛太郎父達夫「大まかには、分かりました。とりあえず、私は、剛太郎と祥子さんを、そのカーニバル会場へ送ればいいわけですね。」
剛太郎母幸子「あなた、ちょっと手伝ってくださる?」
剛太郎父達夫「ああ、今行くよ。剛太郎、ちょっと手伝ってくる、続けておいてくれ。」
剛太郎父達夫がダイニングへ向かう。
剛太郎「うん。分かった。」
ユリ「剛太郎君、クマちゃんも要るよ。最初のバトルロイヤルでは使えないけど、トーナメントでは、クマちゃんは3つ必要なの。一戦に一個の使用、1回使用したら、そのアイテム、次は使えない。ダブルパワー無し、あと、ラストボムは反則負けね。」
祥子「戦略が必要ね。」
ユリ「健太郎、そろそろ、戻らないと。せっかちのお父さんが首を長くして、待ってるわ。ねえ、剛太郎君のアクセサリー強化、今、やってあげようか。」
剛太郎と組み合っていた健太郎が、組み合いをやめ、ユリに答える。
健太郎「ああ、やってみよう。剛太郎君、ネックレス持ってきてくれないか。」
剛太郎「分かりました。持ってきます。」
二階へ行く剛太郎。
ユリ「さあ、お楽しみ。パワーいくつまで出るかしら。説明するね、お守りは、プリンセスからナイトへの贈り物。アクセサリーは、ナイトからプリンセスへの贈り物。贈り物は、最初のパワーが1でも、二人の絆でパワーアップするの。ただ、お守りとアクセサリーは、相手を思うものだから、クマちゃんも、パワーをあげたいって思ってる。二人の絆が弱ければ、パワーを出さない。その絆が強ければ強いほどあと、パワーが上がる。アクセサリーとお守りは一つしかパワーアップしない。もう一つは、自由枠なんだけど、これも贈り物がポイントが高いの。ただ、自由枠は、難しくて、限定品が言い場合もあるし、パワー1の量産品が言い場合もある。ケースバイケースね。ただ、二人のことを本当に大切に思っているクマちゃんが一番いいの。クマちゃんの、ナイトとプリンセスに対する思いが大きいほどパワーも上がる。自由枠は、本当に難しいの。いろいろ試すしかないの。」
剛太郎が戻ってくる。
剛太郎「お待たせしました。」
ユリ「剛太郎君、祥子さんに付けてあげて。そして、祈ってパワー注入して。」
剛太郎「分かりました。夏目さん、僕の前に座って。」
祥子「はい、お願いします。」
平然を装うが、剛太郎の手が首にまわったとき、祥子の胸の鼓動が止まらない。剛太郎も胸の鼓動を抑えられない。
剛太郎「夏目さん、付けるね。」
剛太郎が、ネックレスを付け終わる。
健太郎「剛太郎君、パワー注入だ。」
ユリ「祥子ちゃん、祈って。」
ネックレスがとてつもない光を放つ。
健太郎「こ、これは。」
大天使クマエル「大天使クマエル降臨!!」
ユリ「大天使!しかもクマエル!」
光がおさまる。
健太郎「まいった、これ程とは、マックスレベルが出てしまった。」
ユリ「祥子ちゃんが羨ましい、これ程思われてるなんて。」
祥子「えっ、良いの出たの?」
剛太郎「大天使って、天使、天使長の更に上ですよね。あ、パワー5だ。」
健太郎「しかも、クマエルだぞ。戦いの神。手強いのが更に手強くなってしまったな。」
ユリ「健太郎、そろそろ。」
健太郎「ああ、お父さん、そろそろ、失礼します。今日は、ありがとうございました。剛太郎君、祥子さん、では、カーニバルで。」
ユリ「では、失礼します。今日はありがとうございました。皆さんによろしくお伝えください。祥子ちゃん、剛太郎君、またね。」
剛太郎・祥子「じゃ、カーニバルで。」
ユリ「お父さん、テレポートお願い。」
ユリのペンダント「おお、分かった。テレポーーーート。」
健太郎とユリが消える。
リビングに来た、剛太郎母幸子。
剛太郎母幸子「あら、あの二人帰っちゃったの?」
剛太郎「うん。お世話になりましたって。」
剛太郎母幸子「そう、あ、あなた、そろそろ祥子さん送らないと。」
剛太郎父達夫「おお、そうだな。祥子さん、今日はどうもありがとう。いつでも来ていいからね。」
剛太郎「僕が送っておくよ。」
剛太郎父達夫「そうだな。今日子も迎えはゆっくりでといってたしな。」
祥子「お邪魔しました。」
剛太郎母幸子「また、いつでもどうぞ。」
家を出て、祥子を送っていく剛太郎。
剛太郎「カーニバルか、楽しみだな。」
祥子「戦いが楽しみなの?」
剛太郎「夏目さん、戦いが楽しみってわけじゃないよ。いろんなクマちゃんに会えるのが楽しみなんだ。あ、靴紐ほどけちゃった。ちょっと、先行ってて。」
祥子のポケットに入っていたクマリンが話し出す。
クマリン「カーニバルって、僕も噂でしか聞いたことなかったもんな。楽しみだ。」
祥子「そうね。ね、クマリン、自由枠のクマリンは、私たちへの思いが大きいからパワー5なんでしょ。何でそこまで、気持ちが強いの、私たちが大好きとか。」
クマリン「それもあるけど、この、奥手で不器用で、女性になれてなくて、緊張しーで、世界一さっしの悪い男に、祥子の思いを伝えるのが、普通の努力で出来ると思う?」
祥子「思わない。」
クマリン「やっぱり、僕じゃないと、他のクマならとっくにあきらめてるよ。」
祥子「その努力、痛み入ります。くじけず、一緒に頑張っていこうね。クマリン。」
クマリン「でも、外に出さないだけで、剛太郎の祥子への思いは、本物だね。だって、大天使呼んじゃうんだもん。おったまげたよ。」
祥子「ちょっとでも、だしくれればねー。」
クマリン「お互い、頑張ろう。」
走って追いついた剛太郎。
剛太郎「何を頑張るの?あ、カーニバルだね。」
クマリン「ね。世界一さっしが悪いでしょ。」
祥子「うん。悪い。」
剛太郎「うん?何が悪いの?何か悪いことした?」
クマリン・祥子「はーーーー。」
深いため息をつく。
夏目家に到着。
祥子「今日子ちゃん呼んでくるね。」
祥子は、家に入っていく。
玄関から出てくる剛太郎妹今日子。
剛太郎弟今日子「あ、お兄ちゃんがお迎え?」
剛太郎「さあ、帰るか。」
祥子弟蒼太が飛び出てくる。
祥子弟蒼太「剛太郎兄さん。また、今日子ちゃんを連れてきてください。待ってます。」
剛太郎妹今日子「じゃ、翔太君、またねー。」
祥子弟蒼太「うん。待ってるね。さよなら。」
歩き出す剛太郎と、剛太郎妹今日子。
剛太郎「剛太郎にいさん?ってなんだ。」
剛太郎妹今日子「お兄ちゃん、ほんと察しが悪いんだから。わたしが、いろいろアプローチして、蒼太君に気に入られたんだから。」
剛太郎「???」
剛太郎妹今日子「お兄ちゃんには、10年早いか、この話は。さあ帰ろう。」
その光景を2階からから、見送る祥子とクマリン。
祥子「あの今日子ちゃんの積極性、ちょっと見習ってほしいわね。」
クマリン「あの察しの悪さ、宇宙一。頑張ろう祥子。」
祥子「頑張ろうね。クマリン。」
クマリンと祥子。絆が、また一段と深くなった一日でした。
第十二話に続く。
第十二話に続く。第十二話も書きます。




