第八話▷コミュ症の定義です。
家に帰ってきた光也。そして居間には当然レオ様がいる。
「光也ー!早くオムライス作ってよ〜。材料はあるからさー。」
見るとそこには卵が数個あるだけである。
手抜きでいいならそれだけでいいのだが。
「....レオ様にとってオムライスの定義って何ですか?」
「えっとね!ふわとろ卵のかかった美味しそうなご飯!」
.....大雑把に作ろう、なんか言いたかったんだけどまぁいいや
織田流オムライスの作り方
卵...2個 バター...2切れ
鶏肉...お好みで(ご飯の1/4くらい?) 玉ねぎ...半分 ご飯...茶碗一杯分 ケチャップ....赤く染まるくらい(要はさじ加減)
まずケチャップライスを作ろう。鶏肉を取り寄せなかったのは意外だったな。怪鳥の一羽や二羽くらい狩れそうなのに。
「無茶言わないで。捌けないのよ。」
あぁ聞かれてるのか。
「卸売市場とかないんですか?
「あるわけないでしょ、人間じゃあるまいし。
自由にできるのに卸す人なんていないわよ、メリットがないわ」
それもそうか。生活のためにやるという考えはなかったな。
第一鶏も捌けないのに怪鳥が来ても捌けないか、量多いし。
さぁ作ろう。玉ねぎはみじん切り。鶏肉は乱切りで細かくする。
鶏肉を先に入れる。出た脂で玉ねぎを炒める。
焦がさないよう気をつけて弱火で炒めよう。
「光也まだー?お腹減ったー」
「無茶言わんでください。時間止めない限りそんな早くできませんって」
「あーそういうことね。はい、頑張ってねー」
そういうとキッチン一帯の時間が曲がって遅くなった。神様って何でもありなのかよ。
まぁ続けるか、玉ねぎが飴色になったらご飯を入れよう。脂や具材と絡めてまとまったらケチャップをかける。やりすぎなければどのくらいでもいい。
ケチャップライスができたら冷めないうちに卵に取り掛かろう。
卵をタパタパと混ぜていく。箸の方がいいのか?白身が切れるし。
たしか白身を切っておくと焼いた時白い部分が出ないはず。
フライパンにバターをしいて 溶け出して熱くなってきたら卵を入れる。
焼き方は....わかんない。今までオムライス作ろうと思ったことがなかったから。
レオ様には後で土下座しよう。
とりあえず固まったフチをぐるぐる円を描きながらやっていくはず。
全体が焼けてきてふわとろが混在し始めたらかけてしまおう。
折りたたむという技術はないからそのままかける。うちはレストランではないのだ。
うん、我ながらひどいデキだ。卵の火加減がわからないのが失敗だった。
とりあえずレオ様に持ってこう。
「あのー...失敗しちゃいました」
そういうとレオ様はオムライスを覗き込んでくる。
ふわとろというよりどろどろの卵を見てため息するとパチンと指を弾いた
すると卵が再生されてちゃんとしたふわとろなオムライスになっていった
「.....え!? .....???」
「魔法よ。なんか文句ある?」
「いえ特に何も。」
「魔法調理飽きたのよね。だから作って欲しかったのに。」
「いや初めて作った料理ですし」
「じゃあ何なら作れるの?」
「その時の気分です」
「何よそれ!」
そう言ってブーブー言ってくるレオ様
......子供できたらこんな感じなのかなー
「ねぇ聞いてるの?」
「冷めちゃいますよ。」
「あぁやばっ」ムシャムシャ
....やっぱ子供っぽい
「そういえばさ....」
「?」
「光也って普通に喋れるじゃない。本当にコミュ症なの?」
「.....そこ触れちゃいますか。」
「当たり前じゃない。」
「そもそも僕にとってコミュニケーションとはいらないものなんですよ。ハイリスクノーリターンなもので、会話して友達とアンチを作るより会話しないで普通のイメージを保つ方が幸せなんです。」
「それは極端じゃない?」
「それが小一の頃です」
「ずいぶん悲観的な少年ね」
「そのまま六年間過ごしたらもう戻らなくなってしまって...今もコミュニケーション取るのが怖いんです」
「大雑把な理由はわかったわよ。じゃあ君が心を許す圭介は何なのよ?」
「あいつは昔から積極的に話しかけてきたので、そのうちに話さないやつと格差が開く形でコミュニケーションが取れているだけです。」
「...なんかめんどくさそうね」
「今では私の通訳みたいになってます」
「もっとめんどくさそう」
「あ、それでですね、レオ様とコミュニケーションが取れてしまうのは........
そのまま話し込んでしまった
夢中になって話していたらレオ様がすやすやしてて落ち込んでしまった
まぁ要は傷つくのが怖いのです、でも高校生だからいい加減コミュ症を治さないとね。
「....あ!レオ様に選択肢システムの詳細聞くの忘れてた!」
「...すーやすーや、」
「.....こんな気持ちよさそうに寝てたら起こさないじゃないですか...」
そう言って電気を消して眠った
このことはあした聞けばいいや、
そう思って眠りにつくのだった。