超絶群像劇的な三角関係以上の何かの断片
「たくよ、てめぇーのような屑はいいよなぁ~」
「なんでよ」
「才能もない、不幸で馬鹿で無能なら、いろいろ楽で、背負う重荷も軽いだろが」
「死ねよぉ、イデア」
「はぁ、殺すぞダーク」
コイツは、天才だ、それも掛け値なしの天才。
生来の才覚に優れ、恵まれた才能を恵まれた環境で奇跡のように伸ばしきって大成した奴。
僕は、恵まれなかった。
才能があるのか無いのか知らないが、努力と苦労は最大限でしたと思う。
だが芽が出ることは無かった、もう詰んだとも、終わったとも言えるのが、僕の今の状態でスペックである。
僕は彼女のようになりたかったのだ。
いやむしろ、努力も苦労も一切せずに、彼女以上の存在に成り、嘲笑える人になりたい。
どうしようもなくなった今、初めてそのように心の底から燃え滾るように想う。
もう何もかも、頑張りたくないのだ。
頑張っても頑張っても、絶望と不幸に満ちた結果が、己のいま人生として突きつけられているのだ。
頑張っても報われない、あるとすれば、目の前のコイツ、イデアが、限りなく精一杯に見下してくれるだけ。
真底愉悦的な瞳で僕を見て観て視て、くるのだ。
自分は恵まれている、幸福だ、、そのように想われて、踏み台、糧にされるのである。
そんなのは、嫌だ。
もう、僕は死にたい。
「他人の心を平気で、土足で踏み荒らし、僕は君の心境を未だに理解できません」
「かぁー! 雑魚がぁ! くたばり損ないがぁ!!
てめぇーのようなウマシカ、馬鹿に、逆立ちしても俺様の心境が理解できるわけねーだろが。
身の程を知って、一生出直してくるなってな、この無能のゴミ屑がぁ!」
「うぅ、、うぐぅぅぅ」
血が滲むほど唇を噛み、拳を握り締める。
「負け犬がぁ! 敗北者がぁ! 世界の社会の足引張りがぁ! 存在として劣等劣悪者がぁ! きゃっはははぁ!
わかってぇーか? てめぇーの存在意義は俺様に見下されることだ。
良かったなぁ!! お前は俺様の糧になるっていう、生き甲斐が、見出せてんだぁ。
他のなにも無い奴より、よっぽど恵まれている、幸運の星に生まれているって言っても良いね、感謝しろよなぁ」
頭に血が上って、そのまま何かの拍子に死にそうなほど、純粋な怒りで狂いそうに、なっている。
「どうしたぁ? そろそろぶっ壊れるんのか? まあ別にどうでもいいけどな。
所詮は薬に頼るレベルの、底の知れた弱者だしなぁ。
てめぇーは知れよぉー、自分自身が相対的に最底辺であるって事実をなぁ。
肉体的精神的痛みに耐え切れず、薬に逃避して、その挙句脳を根本的に壊してるゴミ以下の存在って事実をよ。
お前が生きている、ただそれだけの事実で、どれだけの富が無駄に浪費されてると思ってんだよぉ? ああぁ?
お前が不幸な人生をだらだら怠惰に続けるだけで、発展途上国でどれだけの人間が殺されてんだよ?
お前が富を浪費し、富を生み出さず、果てしなく害悪を撒き散らしてんだよ、世が世なら殺されるべき存在って自覚しろよ、この厚顔無恥野郎が。
ホント使えねー上に出来損ない、害悪的で良心も善良さも大して期待できねー、ただただ自己愛に溺れてるだけのカスがよぉ、マジでくだんねーよ。
言ってやるよ、てめーのような奴はさっさと死ね、生きててもしかたねーからな、きゃはっはっは」
「うぐぅ、、えぐぅう」
涙が止まらない、手汗が溢れてくる、視界が滲んで奴がいま、どんな表情をしているか分からない。
でも、想像はできる、愉悦に染まった、くだらない顔してるんだ、紅潮してまるで発情している雌犬のように。
「うぅぐ、、かはぁ!!!」
興奮して呼吸困難になる。
最近また変わった薬を取り出す。
これを飲むと一定の間、酷い空腹と喉の渇きを覚える。
僕は過食や暴飲をしない質なので、これを勧められたのだが、苦痛には変わりない。
だが、その苦痛のお陰で、他の痛みには鈍感になれる、そういう仕組み。
いま感じるこの痛みも、鎮痛できる、そう信じる、まるで宗教を信仰している信徒みたいで嫌な気分だ。
常時、僕は頭が痛い。
それは人生に対する絶望や、先の永遠に見えない闇の中にいるような、漠然とした不幸感が過ぎるからだ。
僕は死にたい、だけど死ねない、怖いからか何なのか、死ねないのだ。
それは可笑しい、明らかに生きててもしょうがない、生きている方が苦痛だと確信できるのに。
それは理性的ではない、だから、僕が僕自身が狂って、脳が壊れていることを幸運に感じるべきか、それが理性的なのだから。
それとも、まだ希望や何かを、人生に見出して、無上なほど裏切られて絶望を繰り返してるのに、みっともなく生き恥を晒しているのかぁ?
「てめぇーが生きてるのは、私への愛情ゆえだよ」
目の前の不快物が、不快な情報を発信している、良い感じに意識が曖昧になっている。
「私の事が好き過ぎて、だから、それでどんなに辛くても生きてられてんだ、死ぬほど感謝しろよな。
まあそりゃそうだよな、これから先も私に愛される、それ以上の希望や幸福なんて、この世界にねー」
死死死死。
「てめぇーは楽して長く生きそうだよなぁ?
私が身を削って日々、世界やお前の為に生きて、恐らく早死にするだろうによぉ、クソゴミが。
目標を考えることも出来ない、日々事なかれ、楽して人生を謳歌しようとする、世界の価値を薄めるマイナス存在。
お前を飼育する為に、どれだけのマイナスを世界が背負ってるかしれよ、この愛玩動物風情が。
日々の中で目的を見つけても、直ぐに甘えが出て、何もしない、致命的に危機感に欠けた存在。
お前のような何の努力もしない、いや、それすらする発想から出来ない無気力人間は、
死ぬか谷底に突き落とされて覚醒するか、さもなくば死ぬべき。
それをするべきだろう、社会が甘いだけで、お前は生かされているって事を感謝と共に知れよ?」
すき放題言ってくれる。
僕はさっさと死にたいのだ、なにものも、真底どうでもいい。
だいたい、生きているだけで、僕の体は弱くなっていく、だったら延命的に生きて、何が悪いと言うのだ?
僕より圧倒的に肉体精神何もかも格段に、別格レベルで優れる彼女の生き方を押し付けるな。
そんな事をすれば僕は死ぬ、ただただ無残に朽ちるように死ぬ、それだけなんだ。
「うぅ、、今のような生き方でも、僕は頑張ってるんだ。
、確かに、昔よりできることが日に日に少なくなってるけどぉ、、。
でも、このまま終わりたくはない、もっと頑張りたい、そう想ってるんだ、、うぇ。
僕は、、僕は、、ありません。
人並みの、人生の情熱みたいなのも、ないかもしれない。
でもでも、、できることを、自分の可能な限りでぇ、探していきたいと、そう思ってるんだぁ!」
「はんっ、、見苦しいな、もう、諦めて死ねよ、くたばれ、去れ」
「くっ、死ねってこと?」
「そうだよ、私は純然に、お前は死んだ方が、よっぽどいいと思う、酷く理性的に感情的に、そう想うんだよ、これ本音な」
お前は既に終わってる、人生が詰んでキングが倒されてんだ。
絶対に起きない奇跡を希望として、だらだら生きてられると迷惑なんだ、そう締められた。
僕は憧れの彼女にそう言われて、掛け値なしに自殺を決意した。
「おい、待て待て」
「なに?」
「確かに、自殺するようなてめぇー、お前のような社会的弱者は金にならねー。
むしろ無駄に浪費される形で、将来性のない投資に金が使われるからな。
役所にも企業にも、等しく用済みの産廃だなぁー。
だがよ、俺様のような社会的強者。
容姿超絶端麗超常高学歴高職歴超越的プロポーション、キリねえわの奴の愛玩存在なんだからよ、自身持てよ」
「それのどこに自信もてって言うんだよ!」
「まああまあ、社会的弱者君は自殺したくてたまらねーだろうがよ。
今からでも、手段を選ばなきゃ、正味、どうにでもなるだろ、なんとかしろ」
「それだけ?」
「ああ、それだけだ、完全無欠に完璧だろ」
「どこに完全も完璧も無欠もあるっていうんだよ」
「ぐだぐだうっせなぁ! てめぇーはわたしのペットだろうが! 勝手に死ぬんじゃねー死ね!」
「うぐぅぅ、ホントに死にたいんだよ、分かってよぉ」
「甘えんな。
うざいんだよ、お前のそのいま晒してる只管弱弱しい存在がよ、死ね」
「うぐ、うえぇ、かは」
「雑魚が、てめぇー観てると思うよ。
頑張れない、じゃなくて、頑張らないんだってな。
雑魚すぎんだよ、存在が腐ってるし性根が腐って、救いようが無いし、どうしようもない。
まあだからこそ、頑張れるわたしが、真底頑張れない、頑張るなんて事すらできない最底辺のゴミの為に、
頑張らないと、頑張るなんて当たり前にできる事を最大限で最善で、しなくちゃってなぁ」
「あ、ああああぁあ、」
心が割れそうに痛い、悲鳴を上げている、薬の鎮痛なんて約立たないほど、強烈に強烈に心が焼けるように痛む。
そう、だからだからこそ死にたかったんだ、心の底から、こんな、こういう目に、死ぬよりも遥かに辛い目に会う前に、死にたかったんだ。
「強制的に今のお前を殺してやるよ、感謝しろよ。
さあさあさっさと死ねよ、今のお前は雑魚だから邪魔あんだよ、さっさと生まれ変われ、用無しのクソ屑人格が」